Start with what is right rather than what is acceptable.

1月1日(月)
先に申しておきます。かなり無駄に長文です。(オチまでが遠い)


朝、ちゃんと起きてよ。手伝ってよ。
昨晩眠る前、散々そう伝えたのだけれども、起きてくる気配が微塵もない我が配偶者。
私は、一人、寒い台所で家族の朝食の準備。寝ぼけていたし、急いで仕度していたのでストーブの電源をいれるのをすっかり忘れていた。

ややイライラし始めた頃、ようやく我が配偶者が起きてきた。起きて、真っ先にストーブの電源をいれた。
ああ、ごめん、ごめん。バタバタしていて忘れていたよ。
……え?ちょっと何してるの?!

ストーブの電源をいれた我が配偶者、そのまま寝室へとUターン。再び布団に包まって寝てしまった。
ちょっと、起きてよ!!!

「だって、寒い。」
カチンッ!!!
だったら、その寒い中で一人バタバタしている私は、何だっつーのさ。
ムカっときたが、新年早々険悪な雰囲気はゴメンだ。
ここは怒鳴ってやりたい所だったが、そこはグっと我慢。ああ、なんて出来た妻。
しかし無言のシグナルは発信。(通じていないだろうけど)
娘の朝の身支度は丸投げで、一人だけで先に朝食開始。新年早々黙々と一人でトーストをかじる朝食。
そんな感じで始まった新しい年。



さて、すっかり我が家の新年恒例行事となった福袋行脚。今年も勿論参戦して参りました。
昨年は、並んでいる途中で車の中に財布を忘れた事に気付き、慌てて取りに戻るも我が配偶者と娘は既にショッピングモールの中。
仕方なく最後尾に並びなおして入店したが、お目当ての品はことごとく売り切れていた。
今年は、そんなヘマは絶対にやらかさないぞ!!!

鞄の中に財布があるのを何度も確認してから列に並ぶ。突撃前の入念な打ち合わせも忘れずに。
我が配偶者には、昨年も目をつけていたのに買えなかったSTRAWBERRY-FIELDSに走ってもらう。そして私は、反対側のエリアの別ブランドへと向かう。
何はなくとも、先ずは私の分を確保するのが先決。


そして遂に開店。決戦の火蓋が切って落とされた!!!
即座に二手に別れ、目当てのブランドへと走る、走る。正月早々走る。
だが、私がショップの玄関を潜った時には、既にそこには人の山。そしてお目当てのブランドの福袋は、もうない………。

思わず眩暈がしそうになったその時、ふと目に入ったのがBarbieのロゴ、それもMサイズ。
こ、これは…

年甲斐もないかとも思ったが、悩んでいる暇はない。早速手に取りレジへと向かう。肝心なSTRAWBERRY-FIELDSは無事に手に入れたと我が配偶者からは連絡済み。
とりあえず二つの袋を確保出来てホっと一安心。そしてようやく我が配偶者の分、ATELIER SABを確保すべく再び走り出す。
新年早々走ってばかりの我々親子。いや、娘は抱かれていて走っていないから走っているのは、我々夫婦二人か。新年早々、相変わらずな夫婦だ。
ちなみに我が配偶者が購入したATELIER SABは、、私のSTRAWBERRY-FIELDS同様、昨年から情報収集に情報収集を重ね、真の福袋である可能性が高いという噂を入手しているブランドだ。

こうして今年も計6個の福袋をゲット。
帰宅後、ようやく正月らしい食事を終えたら早速開封。我が家のお正月メニューは、花飯にて掲載中。
そうそう、沢山の袋を抱えての帰り道。娘がポツリと呟いた。
「皆、いなくなっちゃった。どこ行っちゃった。」

その時、我々親子が歩いていたのは、先ほど開店前に並ばされていた駐車場横の通路。
さっきまであんなに沢山人が並んでいたのに、今は誰もいない。
その光景が娘には、とても不思議に思えたんだろうな。


さて、入手した福袋。その6個の内訳は-----
私:真の福袋との呼び声も高い、昨年から欲しくて欲しくてたまらなかったSTRAWBERRY-FIELDS、Mサイズ1万円。
成り行きで買ったBarbie、Mサイズ5千円。
我が配偶者の分を購入のために走っている最中に、ふと目に入ったINTER PLANET、1万円、Mサイズ。
既に時刻は10時半を回っていたのに店内に山積みされていて、レジに並んでいる人もいなかったので閃きで購入。
山積みになっている中から一番大きく、一番重い袋を選んでレジに並んだ。
さて、この大きなつづみ、凶と出るか吉と出るか。

娘:OLIVE des OLIVE DOLL、5千円。昨年大当たりしたELLEを目当てにしていたのだが、今年のELLEはワンピース1着にトップスが2枚程度とボリュームに欠けたので急遽予定変更。

我が配偶者:真の福袋である可能性が高いと噂のATELIER SAB、1万円。既にMサイズが売り切れており、Lサイズを購入したのがどう出るか。
最後に購入したのは、ATELIER SABでMが買えなかった事で、急遽購入したBIGIのMサイズ5千円。


先ずは、閃きで購入した私のINTER PLANETから開封。
ロングと言うには中途半端な長さだが、普段使いには持ってこい&欲しいと思っていた白いニットカーディガン\10,290
丈短レース付き濃い茶色のベルベット調ジャケット\10,290
黒いショートコート\25,200
ラインストーン入りベルト、色が金色だが、素材がいいので嫌味じゃない。すぐに使えそう。 \10,290
夏の冷房対策に丁度いい、茶色のグラーデーションが素敵な薄手レースのボレロ\11,550
ピンクのフェイクパールのピアス\3,045
ビターチョコレートみたいな濃い茶色のベルベット調ふんわりスカート\12,600
サーモンピンクのベルベット調丈短レース付きパーカー\10,290

って、何これー?!
使えない物がヒトツもないどころか、欲しいなと思っていた物がそのまま福袋になった感じ。
しかも総額\82,005也。
初めて福袋を手に入れたよ…嬉しすぎて天にも昇る気持ちだ。
しかし、興奮する私の隣で憂鬱な顔の我が配偶者。今まで絶好調だった自分の福袋運を妻に持っていかれたんじゃないかと心配しているようだ。
いいじゃんか君。今まで散々美味しい思いしてきたんだからさ。散々欝な袋ばかりに遭遇してきた私にちょっとくらいいい思いさせてくれたっていいじゃんかよ。
全く、小さい男だぜ。って、小さいんだけど。


そんな我が配偶者の不安を払拭するためにも、お次は我が配偶者のBIGI。
ネズミ男色のビーチサンダル\1,900
ネズミ男色のリストバンド\1,000
ネズミ男色の帽子\3,900
ネズミ男色のカーディガン\5,900
スリムなシルエットのパンツ。色は、ネズミ男色。\12,800
店員さんが言っていた通り、総額約2万五千円の商品達でした。
って、あらら…本当に君の福袋運を私が奪ってしまったかしら。欝袋とまではいかなくても、ちょっとこれは酷い中身。
ところがこの帽子、後に私がふざけて被ってみたら、非常に似合っていたので譲っていただくことになりました。ラッキ。


サクっといきましょう。娘のOLIVE。
ピンクの中綿入りフード付きコート
裾のフリルが可愛い茶色のコーデュロイパンツ
二段になったフリルが可愛い茶色のスカート
ストライプのTシャツ
パジャマによさそうな淡いピンクのスウェット
ロゴ入りポシェット
値段タグはなかったので、福袋専用商品かもしれないが、まぁ納得の中身。
ちなみに娘は、ポシェットをいたく気に入った様子で、早速中にオモチャを詰め込み、肩にかけて部屋の中を闊歩していた。


書くのが疲れてきた。サクサクっと私のBarbie。
淡いペパーミントグリーンのニットレースキャミ\12,600
ベーシックな黒いニットキャミ\15,540
ピンクの二段フリルスカート\12,390
リボン付き薄手のジャケット、色はピンク\17,850
ペラペラの黒のティベット。
メーカータグすら存在せず、この商品の作りのみすぼらしさからして販売促進用ノベルティ商品か福袋専用商品と推測。
感想は、ピンクのスカートとジャケットの物は悪くないんだが、如何せん年甲斐もなさ過ぎる。
しかしこれらの作りは悪くないので、不満に思うことはない。


そして開封作業も佳境。噂のATELIER SAB。
一見ダウンジャケットに見えるがダウンじゃない、ファー付き黒のジャケット
黒と濃いグレーのストライプニット
重ね着風、黒のニット
マルチストライプと、茶赤の太いストライプのリバーシブルマフラー
ほぉ、これは、噂に違わぬ福袋ですね。点数が4点とやや少なめだが、一つ一つの質の高さで充分クリアー出来ている。
なんだ、君の福袋運は、まだまだ継続中じゃないか。
そしてこのジャケット、メンズのLサイズでありながら、細身の作りで私にもピッタリ合うのが素晴らしい。実にいい!!!


夫婦二人、気を良くした所で大トリ。真打登場。カモン、STRAWBERRY-FIELDS!!!
店頭では決して見掛けない妙にくすんだ緑色のニットタンクトップタートル\6,825
店頭では決して見掛けないゴールドのラメが入った薄手半袖ニット\9,975
店頭では決して見掛けない海の露店で売っていそうな貝のネックレス\9,800
店頭では決して見掛けない謎の布。床に広げてみればテーブルクロス、着用すればチャンチャンコに見えそう。お色は微妙なグレー\13,650
店頭では決して見掛けない何の変哲もないが古臭いデザインのデニムスカート\11,550
店頭では決して見掛けない仕立ての悪い超細身のフェイクレザーフリルジャケット。薄いベージュなのだが、なんだか薄汚れて見える。\47,250
コサージュ付き、黒いカットソー。最近見掛けなくなった公務員の腕輪付き。裾が妙に広いのがなんだか嫌な感じ。\9,975

総額なんと驚きの\109,025也!!!なんと実質払った金額の10倍!!!これこそ福袋の醍醐味だね!!!
って、ちょっと待たんかいっ!!!
1枚も着用に耐えるような物がないじゃん!!!
って、これこれこれ、これこそが欝袋!!!正月早々味わう、この敗北感、この憂鬱な気持ち、堪らない~♪

所で何?この謎の布。
これを作った人、一体何を思ってこれを作ったのかしら。
そしてこの商品に\13,650という決して安くない値段をつけた人は、どういう頭の構造をしているのかしら。
で、何なの?何なのこの布。
あ、ひょっとして……








あら、違ったのかしら。
テーブルクロスだと思ったのだけれど、ちょっと大きさが中途半端だものね。
うーん、本当にこれなんだろう。




まぁ、いいわ、折角なので着てみよう。
かろうじて、腕を通せそうな穴が2本あるからちょっと着てみよう。




着てみた。






分からん。ますます分からん。
この服に一体どんなメッセージが秘められているのか。



とりあえず、脱ぐ時にこの服が何であるか判明。
タグに「カーディガン」と記されていた。
カーディガン、これが?無理あり過ぎじゃないのか?




去年の元旦から欲しくて欲しくて堪らなかったSTRAWBERRY-FIELDSの福袋。
その袋を肩にぶら下げた人を羨望の眼差しで見つめていたSTRAWBERRY-FIELDSの福袋。
我が配偶者に正月早々走ってもらい、女だらけのショップで、女にもまれながらゲットしてくれたSTRAWBERRY-FIELDSの福袋。
ありがとう、我が配偶者、STRAWBERRY-FIELDSの福袋。
開けてビックリSTRAWBERRY-FIELDSの福袋。
\109,025の商品を1万円で我が物にさせてくれたSTRAWBERRY-FIELDSの福袋。
正月早々敗北感と憂鬱な気持ちを味合わせてくれたSTRAWBERRY-FIELDSの福袋。
ありがとうSTRAWBERRY-FIELDSの福袋。
でも、来年は絶対に買わないよSTRAWBERRY-FIELDSの福袋。

そして我々夫婦二人は、ようやく娘の寝てくれた深夜に、来年の福袋購入について作戦会議を開くのでした。
夜の夫婦の時間、もっと有効に使えよという突っ込みは無しで。



こんな私とその家族、どうか見捨てず今年もよろしくね。奇特な閲覧者諸君。

1月2日(火)
新年明けて暫くの間は楽させてもらおうと、毎年作り置き可能な献立を年末に大量生産している。
その大量生産された献立のヒトツがおでん。

まさかこの画像を覚えている輩は存在しないだろうが、これ、昨年のお正月用に作ったおでん。
あまりの大量っぷりに、我が配偶者に「大丈夫なのか?」と心配された代物。
その様子は、1月3日付けの日記に記されている。
そしてこのおでんのその後については日記中で触れていないが、腐らせる事無く、無事全てのおでんを食する事が出来た。
しかし私は、反省した。
いくら何でも作りすぎだ…と。


そこで私は、買い物をする時に気をつけるようにした。おでんの具を買いすぎないように…と。
さらに昨年末は、スーパーの店頭に並ぶおでんの具の材料が乏しく、いつもだったら投入するがんもどき等も買う事が出来なかった。
うん、量を少なめにするためにも、あまり沢山の種類の具材を買えないのは願ったり敵ったりだ。


そして出来上がった今年のおでん。























「ねぇ、大丈夫なの?全部食べられるの?食べきれなくって、腐っちゃうんじゃないの?」
用意されたお節の山を見つめ、心配するのは我が配偶者兄ちゃん。
大丈夫、大丈夫、去年よりは少ないはずだから。

「だけど…鍋からはみ出してるよ?おでん。」
画像では鍋の大きさまでは分からないだろうが、決して小さな鍋ではない。
いわゆる大鍋。直径30センチ、深さ10センチ。そこにギッシリと詰まったおでんの具。
去年よりは若干少ないとはいえ、それでも充分に大量。


「ねぇ、これ、フタ出来ないんじゃないの?」
配偶者の心配は尽きぬよう。しかし、君のその心配はしごく真っ当。
そして昨年と同じ会話を繰り広げる我々夫婦。



誰か私に学習能力とか、適量とかいう言葉を教えてください。

1月3日(水)
もうそんなに混雑していないだろうと勝手に予測し、初詣に出掛けたのだが、甘かった。甘納豆くらい甘かった。
駐車場入り口までの道のりが遠いったらありゃしない。
こんなん待っていられないと急遽予定変更。某デパートへ向かう。お目当ては、勿論バーゲン!!!
あんなに福袋買ったのに、まだ買うんかいっ!!!という突っ込みが聞こえてきそうだが、福袋は福袋、バーゲンはバーゲン。別物なのである。
所で福袋だが、元旦に購入した分だけでなく、年末にネット通販していたものが2日に届いた。
しかしこれが中身を晒すのも嫌になるような酷いもの。100円均一ショップでも売れ残っていそうなビニールケースに4,000円の値札がついててぶっ飛んだよ。

さて、某デパート。こちらの混雑も神社とさほど変わらず。だが、行かねばならぬ、行かねばならぬのだ。
と思ったが、やはりこの混雑っぷりでは物色もままならない。
結局某デパートでは化粧品と娘の靴だけ購入し、周辺の店舗ショップへと移動。

先ずは、L'EST ROSE
ロング丈のコートが欲しい。でも、セールになってもやはり高い。これは諦めようと思っていたのだが、我が配偶者の「いいんじゃない?」の一言で決まり。調子にのってこれまた前から欲しかったツィードのスカートと合わせて購入。
わーい、ありがとう。

お次は、UNITED ARROWS。ここでは我が配偶者のスーツを購入。
これで「結婚以来スーツを買ってない!!!」と文句言われずに済むな。そして、この先3年は買わずに済むな。つか、買わないからな。だから太るなよ。それ以上ブクブクブクブク太るなよ。
とりあえず、夜中のお菓子は禁止だからな。


おまけ話:
購入したスーツは、私が一目見て「これが良い」と推薦したものだったが、彼は、最初非常に難色を示していた。曰く、「きつすぎる」との事。
それでも強く薦めて、ようやく試着まで漕ぎつけたのだが、着てみるとやはりとても良い。彼自身も着用してその良さをやっと認め、購入に至った。
まぁ、妻の審美眼をなめるなって事だな。


「あ、ママ、スタイがないよ。ねぇ、花のスタイ、とってよ。」
お転婆娘、食事の時間が近づくと、自分で勝手にハイチェアーによじ登る。そして、スタイがないと調理で忙しい母に要求。
まだご飯出来てないよと返事をし、調理の手を止めない私。しかし、娘の要求は続く。

「おーい、ママー。花のスタイとってよー。おーい、とってってばっ。」
その口調が妙におかしくて、最後は結局スタイを渡してしまう。しかし、娘の要求はさらに続く。

「あれ?ご飯は?ご飯、まだ?」
お前ってやつは…ご飯はまだ出来ていないと先に言っただろ。




「うえーん、パパに怒られちゃった。片付けなさーい、って怒られちゃった。イッパイ怒られちゃった、うえーんっ。」
この頃の娘、親のどちらかに怒られると、もう片方の親に走り寄り、泣きながら怒られた事を報告する。
しかし当然ながら報告された方の親に「それは、花が悪い事をしたからでしょ。」とさらに怒られる結果となる。
こうして娘は、両方の親に怒られ、さらに泣く事になる。


それにしても、ねぇ…マトモに喋り始めるようになったのは、約7ヶ月ほど前。それが今やこの状態。
いやはや、我が子ながら、この成長ぶりには驚かされますよ。自分の気持ちをこうもはっきりと言葉にして伝える事が出来るんだもの。
だがしかし、その反面、今でも理解不可能な音を発し続けているのも事実。

「パパにクジャク!!!」
娘、ニコニコしながら父親に向かって言い放つ。我が配偶者が真似して「クジャク!!!」と言い返すと、さらに彼女は続ける。

「ゴーン!!!」
ニコニコと嬉しそうな娘。そしてさらに続く。

「グセッ!!!」
ちなみに「クジャク」の発音は、鳥のクジャクを言う時のものではなく、「クジャク」と、「ジャ」の部分にアクセントがくる。「ゴーン」は英語の「gone」のような感じだ。
この三つの言葉は、いつも言葉もその発音も一緒で、思いつきで言っているような感じではない。
うーむ。


娘の機嫌が良いと、必ず飛び出す謎の言葉。
一体、何の言葉遊びなのだろうか。何かの呪文なんだろうか。
我々親に向かって放たれるこの三つの言葉、謎過ぎる。

1月4日(木)
「ママ、シーサーがいる!!ママ、シーサー!!!」
昨日は目前逃避した初詣、今日こそはと気合を入れて行ってきた。
昨日ほどではないものの、やはり駐車場までの道のりは遠く、長かった。ようやく車を停め、親子そろって境内に足を踏み入れた途端、娘が怯えたように叫んだ。

え?シーサー…?どこに?
怯えた彼女の視線の先を追うと、そこに鎮座するは狛犬。
あ、ああ、なるほどね。確かに、シーサーと狛犬ってなんとなく似てるよな、雰囲気とか。

怯える娘にあれは、狛犬。犬なんだよ、と伝える。すると、途端に娘の顔色がパーっと明るくなる。
なんだぁ、あれは、ワンワンなのかぁ。じゃぁ、大丈夫だね。
そう顔にハッキリ出るのが面白い。


さて、初詣を済ませた我々が向かったのは、某デパート。前日出掛けたデパートとは、また違うデパート。
まだまだ買うぞ、バーゲン行脚!!!

だが、勇んで飛び込んだものの、お目当てのFLANDRE系ショップは、まだバーゲンを開催していなかった。ガッカリ。
手ぶらでトボトボと帰宅しかけたその時、特別催事場で某下着メーカーがバーゲン開催中という看板が目に飛び込む。
こ、これは……行かねばならぬっ!!!
目指すはただヒトツ、おなかウォーカー!!!

このおなかウォーカーなる代物、メーカーの謳い文句は「はいて毎日歩くだけで引き締まったおなかに!」という魅惑的な品。
私が子どもご飯の師匠と仰ぐ人物が購入し、その存在を教えてくれ知ったのだが、興味は募る一方。だが、なかなか手に入れる機会がなく、もはや恋愛状態にまで恋焦がれていた品でもあるのだ。
ここで会ったが百年目、いざ行かん、いざ行かん。


鼻息も荒く到着した催事場は、何故かオバちゃん達が溢れていた。
しかし負けてはならぬ。早速オバちゃん達をかきわけ突き進む。おなかウォーカー探して彷徨う催事場。
ところがこれが見つからない。
オーマイガッ。

仕方ない、これはもう諦めて帰ろうかとしたその時、遂に憧れのその品を発見。商品からは後光がさしていた。
だが残念な事に、割引無しの定価販売。えーい、構うものか!!!
サイズを確認し、早速購入。
ああああ、嬉しいー。明日から早速履いちゃうもんね。
塩梅がよければ、色違いでもう2枚くらい買っちゃうもんね。




前ふりが長くなった。ここからが本題。
お腹問題が切実なのである。いや、マジで。

現在、私のウエスト周りのサイズは、妊娠6ヶ月の頃とほぼ同じである。気付けば、アンダーバストとウエストが同サイズだ。有り得ないっ。

妊娠前、痩せの大食いと呼ばれ、食べても食べても太らない奇異な体質であったが、それはもはや過去の事。
妊娠発覚と同時に食べ悪阻に襲われ、一日中食いまくったおかげか体重激増。
しかし、出産後は、水芸が出来るほどに噴射する母乳のおかげか、あれよあれよと体重は戻り、バランスボールを用いた体操のおかげで開いた骨盤も戻り、すっかり元の体型に戻る事が出来た。
さらにしかし、必要とする母乳、その噴射量が減っていくのと比例し、あれよあれよと腹回り、腰周りに肉が蓄積。
妊娠前には想像も出来なかった部分にたぷたぷと贅の肉が蓄えられていった。

気付いた時には、立派な中年体型の出来上がり。手足は妊娠前の通り、細いままだから余計に格好悪い。
やばい、本気でやばい。

次々に着用が困難になり、苦しくなっていくクローゼットの服達。日に日に増加していく体重。
これまで何度もやばいと思いつつ、長続きしなかったダイエット、そして運動。
ん、いや、待て、運動は妊娠以前に比べると比較にならないほどやってるぞ。なんたって週に三回ベビースイミングに通っているんだからな。
という事は、加齢により、新陳代謝が落ちている…って事か。ヒイィィィィィ
じゃぁ、もっと運動量を増やさなきゃな…でも、どんな運動をしよう………。

そう思い悩みつつ迎えた新年、元旦にサンテレビで放送された「もう一つの楽園 タヒチ・海と空の物語」。我々夫婦は、当然ながら喜んで見た。
そしてその番組の中で、運命の出会いを果たす。ポリネシアンダンスのレクチャーがなされていたのだ。

こ、これは………

すくりと立ち上がり、レクチャーの指示に従う。
軽く膝を曲げ、腕を腰にあて、そこを軸に腰を右へ、左へと交互に突き出す。
お?お、おおおおぉぉぉ、こ、これは、いい。物凄くいいぞ。
クイクイ腰を左右に突き出し、踊る、踊る。
踊るアホーに見るアホー。同じアホなら踊らにゃ、損だ。

と、くだらん与太話はおいといて、だ…タヒチで遭遇したポリネシアンダンサー達は、皆、揃いも揃ってまっ平らなお腹と引き締まったウエストの持ち主ばかりだった。(極稀に土管もいたが)
なるほど、それもそのはず、この動き、確かにお腹にグっとくる。半端じゃなくグっとくる。
早く突き動かさなくとも、ゆっくりと丁寧に突き出す動きを繰り返す事で、周辺の筋肉がかなり鍛えられているのが分かる。

うん、いい、これは実にいい。
これは、効果的な動きであるだけでなく、どこでも手軽に例えば台所に立って鍋をかき混ぜながらでも実践可能な動きなんだから。



台所で料理をしながら、洗濯物を干しながら、歯磨きをしながら、娘の今日着用する洋服を選びながら、クイクイと腰を振る私。
ええ、ええ、分かってます、分かってますよ、傍から見たら怪しいヤツだって分かっていますとも。人の足にしがみ付き、腰を振る欲求不満の犬のように見えなくもないって、分かっていますとも。
分かっちゃいるけど、止められませんって。
振って、振って、振りまくりますわよー。



とりあえず、ウエスト10センチ減目標で。


レア物求め、嫌がる女児撮影
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/news/20070103ddm001040005000c.html

↓はアンケート。興味のある方は、どうぞ。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/kunrin/etc/que02.html

1月5日(金)
どこまで続く、我が家のバーゲン行脚。

今日は、シベリア中央に昨年末出来たばかりのショッピングモールが決戦の場。
いざ、行かん。いざ、行かん。
ここでは、FRANDRE系のショップがバーゲンを開催されていた。よし、気合を入れて、いざ、突撃!!!

お、おおお、可愛い!!!欲しいと思っていたライトグレーのツインニットが半額じゃないか。
お、おおっとぉ、こちらも可愛い!!!欲しいと思っていたブルーグレイのロングニットカーデガンがこれまた半額だ。
お、おおおお、すっげー可愛い!!!このライトグレーのニットワンピ、ものすげー可愛い!!!しかも、これも半額だぁっ!!!
ええ、ただ今、グレーブームが到来しております。ちょっと前までは、なんだか安っぽく見える色…なんて思ってて、グレーの服なんて一枚も持ってなかったのにね。


欲しかった品々を目の前にし、狂喜乱舞したが、それは一瞬の事だった。
ああ、でも、福袋、いっぱい買っちゃったしな…。
一昨日もコートとスカートを買っちゃったしな…。
そういえば、年末にはHanna Andersson で娘とお揃いのニットカーディガン買っちゃったしな…。
でも、でも、今目の前にあるツインニットもニットカーディガンもニットワンピも全部欲しい!!!



物欲の魔物に負けてしまいそうになったけれど、そこはグっと堪え、ツインニットのみ購入。
STRAWBERRY-FIELDSの福袋、買わなかったら余裕でロングニットカーディガンも買えたんだよな。
ネット通販で衝動買いしてしまったLIS LISAの福袋、あれがなかったらニットワンピも余裕で買えたんだよな。

決めた。決めたよ。もう、福袋買わないよ。脱フクブクラー宣言!!!
来年からは、福袋止めて、その分バーゲンで買おう、そうしよう。
あ、いや、1袋だけ買おう……あ、いや、2袋だけにしとこう、そうしよう。うん。普通の福ブクラーになろう。



さて、今日のショッピング、お目当てはバーゲンだけじゃない。
様々な美容のアドバイスと情報をくれる友人お薦めのLUSHの生パックを買わねばならぬ。

久しぶりに訪れるLUSHの店は、独特の匂いが漂っていて妙に興奮してしまう。
そういえば、浦安在住時は、よく色んなバスボムを買って楽しんだものだ。ラメ入りのものを買って、家中がラメだらけになった事もあったっけ。
娘が産まれる前の、つい3年ほど前の事なのに妙に懐かしく思えてしまう。そして、懐かしさのあまり、ついついチェルシーガールを購入。
娘のお肌にどうなんだろうと心配ではあるが、えーい、たまには、いいだろう。
今日は、家族三人揃って狭い湯船に浸るぞーっ。


「なんかゴミ浮いてる。うえんっ、なんかゴミ浮いてる。うえんっ、あがる、あがる。」
娘、チェルシーガールの花びらをゴミだと言って湯船から出たがる。狭い浴槽に家族三人で浸った我々親は、そんな娘を宥めるのに必死。
ほら、これは、ゴミじゃないんだよ。お花の花びらなんだよ。花は、お花、大好きでしょ?

両側から両親に説得された娘は、ようやく泣き止んだ。しかし、それでも湯船に浮かんだ花びらを嫌そうな顔で睨んでいる。

うん、そうだよな、君のその気持ち、母も分かるぞ。
だって、想像してたのと全然違ったんだもん。
ドライフラワー化した花びらは、母の私の目にもゴミに見えて仕方ないんだもん。
それにこの濁ったような紫色の水と化したお湯は、浮いたドライフラワーをますますゴミに見せてくれるんだもん。
それに、何コレ、何ですかこの謎の縮れ毛みたいな物体。
最初、本物の縮れ毛だと思っていたのだが、どうやらこのバスボムに入っているドライフラワーの一部らしい。あっちにも、こっちにも、謎の縮れ毛のような物体がプカプカと浮いている。
ゴミと縮れ毛と我々親子三人、狭い浴槽、それも薄汚れたようなお湯の中で完全同居。匂いはいいんだけど、見た目、全然美しくないよなぁ。



濁ったようなお湯に浸り、ゴミのような花びらと、縮れ毛のような花びらの一部に囲まれた入浴タイム。
初めての家族三人一緒にお風呂の想い出は、あまり美しくない光景の中に納まった。

バスボム、他のにすれば良かった。

1月6日(土)
娘の言葉:

バーゲン行脚ですっかり疲れた我々家族。今日は、本屋に出掛けただけで、ほぼ一日中部屋で過ごした。(本屋に出掛けた理由は後ほど明らかになる)
まぁ、我が配偶者と娘は、二人で仲良くお買い物兼お散歩に出掛けて行ったが。

「ただいまー。」
楽しいお散歩から帰宅した娘、早速私にお散歩中の出来事を話してくれる。

「お魚さん見た。」
えー、またセレブスーパーに行ったのぉ?

「ひらめさん、下のほうにいた。ネンネしてた。」
いいけど、あの親子、また来た…って言われない程度にしときなね。

我が配偶者のお散歩コースは、私のそれとはずい分違う。
まぁ、公園へ向かうまでは一緒なのだが、彼の場合、公園を後にして向かうのがその近くにあるセレブスーパー。
このスーパーの鮮魚コーナーには、大きな水槽があり、そこには様々な魚が泳いでいるのである。配偶者は、この水槽の魚を見るためだけにこのスーパーに向かう。
魚を見るのが目的なのだから、当然何も買わない。
私は、配偶者と娘がいつもいつもこのスーパーに魚を見に行くものだから、そのうち店員に目を付けられるんじゃないかと、やや心配をしている。

さて、このセレブスーパー。その名の通り、セレブ御用達として関西方面では名高いスーパー。
決して広くない店舗スペースに置かれた各種食料品は、住処近くのスーパーとは比べ物にならないほど種類が豊富。結構珍しい物も置いてある。
そしてセレブ御用達らしく、レジの奥にはサッカー台というものが存在せず、レジの横にスタンバっているサッカーボーイが購入した品物をきちんと袋に詰めてから客に手渡してくれる。
当然ながら、商品の価格は、近所のスーパーとは比べ物にならないほど高い。
このスーパーのエコバックをぶら下げ、この店に買い物に来る事は、一種のステイタスなのだそうだ。
そういえば、客が放置したカートがレジ付近に散らばっている近所のスーパーと比べ、この店の買い物客は身なりが確実に小奇麗で、身のこなしもなんとなく優雅だ。その上、駐車場には高級車ばかりが停まっている。
勿論、店内にカートが散乱している事なぞ絶対にない。
と、まぁ、そんな事はどうでもいいんだが。

「カニさんいた。動いてた。花がしたら動かなかった」
…ンン?ちょっと待て、花がしたら…って何をしたんだ?ひょとしてカニを触ったりしたんじゃないだろうな。

我が配偶者と娘、そのうちこのスーパーから出入り禁止を命じられるんじゃないかと、ちょっと冷や冷や。




「パパ、パーパ。ご飯食べてないで拾って!!!」
娘、食事の最中ポロリと葡萄を床に落としてしまった。
それを拾ってくれと我が配偶者に頼んでいたのだが、彼は、自分の食事に熱中する余り娘のお願いをスルーしていた。
すると、娘、強めの口調でお願いというよりは命令。やれやれ、本当に生意気になったもんだよ。


我が配偶者の言葉:

「グアム行こうか。」
我が配偶者、彼がこよなく愛しているLet's noteの画面から目を離しもせずに言う。
突然何を言うのかと驚いたが、どうやら自分の仕事の都合と、マイレージで取得できる飛行機のチケットの都合がピッタリ合うらしい。
うわーい、やったー♪

すっかりその気になり、家族揃って本屋へ出掛ける。本屋では、ガイドブック選びは我が配偶者に任せ、私は、コスメ雑誌のチェック。
1時間ほど滞在し、お店を後にする。

帰宅後、購入してきた本が入った袋を開封。
ン?アレ?ガイドブックは、買ってこなかったの?いいのなかった?
「金曜日の飛行機がとれないのが判明したんだよ。」

相変わらずの話し方に意味が分からず目を白黒させていると、どうやら、我が配偶者が予定していた日程では、帰りの飛行機が確保出来ないらしい。
そ、そんな今更…すっかりその気になったのにっ!!!
「滞在を一日延ばせば、飛行機あるんだけど。でも、でもなぁ…うーん。」

うーん、じゃないよっ!!!すっかり盛り上がったこの気持ちをどうしてくれるんだよ!!!
なんだか、当て馬の気分だよ!!!
ヽ(`Д´)ノウワァァンッ!!!


我が配偶者、どうやら男に二言はあるようで。
「行ってこーい!!!」と、誰か彼の背中を思いっきり押してやってくれないか。

1月7日(日)
「外、凄い事になってる。」
カーテンを開け、窓の外を覗いていた我が配偶者が言う。
ああ、今年もきたか。今年は、暖冬だから大丈夫だと思っていたのになぁ。
窓の外は、真っ白い雪景色が広がっていた。

多分、雪多い地方に住む人にとっては、こんな雪大したことないと言うのだろう。しかし、雪に馴染み薄い地方で生まれ育った我々夫婦にとって、数センチの積雪は、大騒ぎに値するのだ。
これは今日の外出は取りやめだと、一日家で過ごすのを覚悟していたのだが、昼過ぎから顔を覗かせた太陽。みるみるうちに雪は溶けてなくなった。
ならばとこの付近で一番大きいショッピングモールに出掛ける。だけど、流石に今日は散財無し。そんな一日。
特筆する事もないので、思いつくまま適当に、つらつらと……。




「今の方が断然マタニティ可愛いのがあるし。」
新年散財ツアーの折、マタニティ売り場近くを通った。ふいに義妹の言葉を思い出す。
義妹が二人目を妊娠した時、一人目と出産の季節がほぼ同じだった。
マタニティ買う手間が省けて良かったねと言う私に、義妹は、新しく買いなおしますよと笑って言った。
そんなもんなのかな。マタニティなんて、いつだって同じようなものなんじゃないかな。
そう思っていたけれど、うん、確かに今の方が可愛い。私が妊婦だった頃より、確実に可愛いマタニティ服が並んでいた。
自分が妊婦だっ頃って、そう遠くない過去だと思っていたけれど、時代はどんどん流れ、変わっているんだなぁ。



「あ、改良されてる。」
新年散財ツアーの折、おもちゃ売り場付近を通り、懐かしくて乳児用玩具を覗いてみた。
娘が乳児だった頃、使っていたSassyのアクティビティマットが改良されて新しくなっていた。
ふぅん、娘が使っていたヤツは、2本足のバーで安定が悪く、よく倒れていたからニューバージョンのこれは倒れ難そうでいいね。
娘が乳児だった頃って、そう遠くない過去だと思っていたけれど、時代はどんどん流れ、変わっているんだなぁ。



「うわぁ、ちーさぁ~い。かわいいー♪」
新年散財ツアーの折、PETIT BATEAU のショップに立ち寄り、懐かしくて新生児用肌着を手に取ってしまった。
1Mos、54cmの前あわせボディは、暴力的なほどに小さい。だけど、娘が産まれた当初、この暴力的に小さい肌着の中で娘の体は泳いでいたんだよな。袖の部分を折り返して着せていたんだっけ。
娘が新生児だった頃って、そう遠くない過去だと思っていたけれど、彼女はどんどん大きくなっている。今でも彼女は小さいけれど、あの頃と比べるとずい分と大きくなったんだよな。
それにしても新生児の肌着。あの小さい服を見ると、心がほんわりと温かく、嬉しく、そして気恥ずかしい気持ちになるのは何故なんだろうね。



「自分とは、別の生き物のようだ…。」
新年散財ツアーの折、ランジェリーショップの前を通りがかった。壁に掛かる新商品のポスター。下着姿で微笑むモデル。そのモデルったら、お腹が真っ平ら。
彼女と私、とても同じ動物だとは思えなかった。体のアウトラインが全然違うから!!!
今日帰ったら、ポリネシアンダンス頑張ろう。



「パパ、凄い。じょーずー。」
娘、紅葉の如き小さな手をパチパチと叩きながら父親を褒め称えている。
何事…?と思いきや………

「スィーティをフォークで刺して食べただけ。それだけ。」
え?それだけ?
予想もしていなかった返答に思わず笑ってしまう。褒め称えられた我が配偶者も笑っている。娘だけが大真面目。
娘の褒めのツボは、妙な所にあって面白い。

1月8日(月)
今日出掛けた某ショッピングモールには、無料の大きな遊技場がある。
昨年改装されたその遊技場は、我が家にもいるRODYがいくつか置いてあり、ビーズコースターもあって楽しく遊ぶ事が出来る。また、その隣には子どもが座るのに丁度いい高さ・大きさの椅子とテーブルがある。
さらには、オモチャの家が建っているし、遊技場そのものがとても広い。
そしてそれだけじゃない、親用には、子どもが遊んでいるのを座ってみていられるソファーベンチが遊技場を囲うように置いてある。かゆい所に手が届くとはこの事だ。
そして何より、このスペースで遊べるのは6歳以下のみと大きな告知が数箇所に貼ってあるのが良い。
小さい子を持つ親なら分かるだろうが、乳幼児が遊ぶエリアに大きい子が混じってくると、どうしても冷や冷やする場面に遭遇してしまいがちなのだ。
って、まぁ、こうして貼り紙がしてあっても、気にせず乱入してくる子どもはいくらでもいるんだけどね。
そういう子は、今日もいた。それも二人。

推定、小学校3~4年生と思しきその少女達は、茶髪というよりは、ほとんど金髪。しかもメッシュ入りの頭髪。ミニスカートからチラチラ覗いているパンツを気にする事もなく、小さい子達に混じって遊んでいた。
時々、元気余って全力疾走したりするから、見ているこっちが冷や冷やする。
まぁ、これだけ大きい子だと、器用に直前で小さい子を交わしているけれども、ぶつかりそうな場面も一度や二度じゃなかった。

やれやれ、親は何をしているのかねぇ。
子どもだけでこのショッピングセンターにやって来て遊技場で遊んでいるのか、それとも親に「ここで遊んでいなさい」と言われて放置されているのか、そのどちらなのか分からないが、困ったもんだ。
なんて思っていたのだが、実は、親は、彼女らのすぐ傍にいた。


この少女の一人がプレイマットが引き詰めてあるエリアにやって来たのだが、そこにゴロリと寝転ぶ女性が一人いた。
最初、あまりの寝転びっぷりに子どもがふざけて何かしているのだろうと思っていたのだが、この人物がヨイショと身を半分起こした時にそれが大人であると気付いたのだ。
茶髪というよりは、ほとんど金髪。しかもメッシュ入りの頭髪をした、年齢おそらく私と大差ない女性。顔立ちや雰囲気からして少女の母親であろう事はすぐに察する事が出来た。

いくらなんでもくつろぎすぎだろ。私だったら、自分の家の中でもあそこまでダラーとしちゃいないぞ。
呆れて見ていると、彼女の隣にやはり寝転がっている、もう一人の人物の存在に気付く。
母親や少女ほどではないが、やはり茶色い髪の男性。ダブっとしたジャージの裾をだらりとたらしてプレイマットに寝転ぶ男性。
この男、どうやら旦那らしい。
さらに驚きはここでは終わらない。
母親と父親の間に転がる乳児。
そして、母親の背中にくっついているのは、花とかわらない年齢の幼児。

えーっと、家族総出ですか?



娘が一頻り遊んで満足し、我々がプレイエリアを離れる時になっても、この一家が立ち去る気配はなかった。
母親、一度たりとも半身以上身を起こさなかったよ。いくらなんでも、くつろぎすぎだ。





散々驚いて自宅へと急ぐ帰り道、ふと対向車に視線が行く。三台のVOLVOが連なって走っている。
徐々に近づいてきたその中の一台、サンルーフから子どもが顔を覗かせていた。
いや、あれは、顔を覗かせていた…というレベルじゃない、腰から上がはみ出している。
最初、子どもが屋根に上って立っているのではないかと見間違えたほどだから。
子どもが突き出した位置からして、多分、センターコンソールの上に立ってサンルーフから身を乗り出していたんだと思う。

すれ違う瞬間、落ちるんじゃないかと思わず息を呑む。
何事もなくすれ違った後、我が配偶者と共に大きな溜息。


人様のやり方にとやかく言える義理ではないが、なんだかなぁ~な家族に遭遇した一日だった。


我が配偶者、突然のグアム旅行宣言。
しかし、それは、24時間あまりでアッサリ撤回。あーだ、こーだと、尤もらしい言い訳をする我が配偶者。
だったら最初から言うなよ、ヽ(`Д´)ノウワァァンッ!!!

1月9日(火)
長いようであっという間だった我が配偶者のお休みも終了。今日からまた娘とどっぷり二人きりの生活が始まる。
正月惚けの頭と体で、今日はのっけからベビースイミング。鈍った体に辛かった。

「兄ちゃん、兄ちゃん。いつまで寝てるの、早く起きなさーい。」
娘が我が配偶者を起こしているのだが、その台詞がまんま私だ。でも、兄ちゃんってのがパパの名前だって事は、分かってないんだろうな。

「パパ、いい加減にしなさーい。」
しつこく構ってくる父親に、半ば切れ気味で娘が言っているのだが、その台詞がまんま私だ。自分が怒られてる時の台詞をよく覚えている事で。

「あら、そう。それは、良かった。」
娘、一体何をしていたのだろう。それは分からないが、良かったと言っている。どうでもいいが、その台詞だけでなく、口調も私そのものだ。

「今ご飯作ってるの。一生懸命ママのために作ってるんだから、後でね。」
オママゴト遊びに忙しい娘に話し掛けてみたら、にべもなくそう言い返された。どうでもいいが、その台詞だけでなく、口調も私そのものだ。私が食事を作っている最中、構って欲しいとごねる娘に言う言葉だ。



娘の言葉の殆どは、私の口癖なのだと今更ながらに実感。



「うわーい、ペネロペだ。」
NHKの子ども番組で放送されていた「うっかりペネロペ」。娘は、ペネロペが大好き。
そして、我が配偶者もペネロペが大好き。何故なら、3歳の女の子という設定のこのペネロペ、その言動がなんとなく娘に似ているからだ。
今日、我が配偶者は、ペネロペの携帯ストラップを購入した。娘は、その携帯ストラップが入っていたペネロペの描かれた台紙を見付けて大喜びしているのだ。

「みんなぁ、一緒にペネロペ見るよー。」
娘、ヌイグルミ達を大集合させ、自分の周りに座らせる。そしてペネロペが描かれた台紙を器用にオモチャ箱の隙間に立てかけ、まるでテレビを観るかのようにして眺めていた。
いつまでもいつまでも、ペネロペの描かれた小さな台紙を眺め続ける娘とヌイグルミ達。


その夜、ネット通販でペネロペの絵本を探す我が配偶者。
「あんな台紙を大事そうにして、あんな嬉しそうに見ているんだもん。絵本の一冊くらい買ってやってもいいかなぁって。なんか不憫になってきてさ……。」


子どもが喋れるようになると、その欲求や気持ちを容易に知る事が出来るようになって親も大助かり。
そしてそれは、娘にとっても良い事で。
娘よ、良かったな。父がペネロペを買ってくれるそうだぞ。お前は、ホントに羨ましいやつだよ。


私も雑誌からカルティエの指輪を切り取り指にはめ、「うわーい、カルティエだー」って言ってみようか。不憫がって買ってくれるかしれん。
もしくは、グアムの旅行パンフレッドの上に水着姿で腹ばいになってバタ足のヒトツでも披露しつつ、「うわーい、グアムだー。バシャバシャ」って言ってみようか。不憫がって連れてってくれるかもしれん。
うん。

1月10日(水)
あ、お金がない………。


買い物を終え、長蛇の列、その最後尾に並んだ。ようやくあと2、3人で自分の番が回ってくるという段階になって財布にお金が入っていないと気付く。
そういえば、昨日ATMでおろしたお金、通帳に挟んだまま別の鞄に入れちゃったんだっけか。
慌てて列を離れ、商品がたっぷりと入った買い物カートを店内の死角に置く。そして走る。娘を抱え、自宅を目指して走る。

「お買い物、お買い物。お買い物したいー。」
娘、私が買い物を中断したのを認識しているのだろう。カートのところに戻るんだと大きな声で抗議。
そんな娘を宥め、走りながら言い聞かせる。
「ママ、お金忘れちゃったの。」「お金がないとね、お買い物できないの。」「お金忘れちゃったから、ちょっとお家に戻ろうね。」

自宅に辿り付き、お金を握り締めたらそのままUターン。急いだ甲斐あってか、カートは店内の死角にそのまま残っていた。
はぁ、やれやれ。再びレジの最後尾に並びなおす。


「ママ、お金忘れちゃったねー。」
「お金ない、お買い物できないねー。」
「ママ、お金忘れちゃったよー。」
「お金ない、お買い物できないよー。」

クスクスと聞こえる笑い声。
恥ずかしい、ホントに恥ずかしいから、頼む、止めてくれ~。
しかし、願い虚しくオウムのように繰り返し続ける娘。

「ママ、お金忘れちゃったー。」
「お金ない、お買い物できないー。」

娘よ、母は、穴があったら入りたい気持ちでしたよ。


ベビースイミング、前々からその顔は知っていたけど、一度も言葉を交わした事のなかったママさんから話し掛けられた。場所は、レッスン終了後のジャグジーの中。
暫し、色んな話をした。
彼女の子どもは、娘よりも4ヶ月早く産まれているが、我々の子ども同士は同じ学年。しかし彼女らが入会したのは、2歳直前の頃でスイミング暦は花の方が圧倒的に長い。
そんな彼女の子どもは、プールをあまり楽しんでいる様子ではなく、レッスンの最中に度々泣いている姿を見掛ける。それで花がとても楽しそうに潜ったり、飛び込んだり、遠くの方まで泳いでいく姿を羨ましく思っているのだそうだ。


「あら、うちの子は、夏にオムツ取れたのよー。」
ジャグジー終了後、着替えのために移動した採暖室で娘にオムツを装着していた時、再び彼女に話し掛けられる。
へぇ、凄いー。羨ましいなぁ、うちはまだまだ……と返事をするや否や、彼女のトイレトレーニング話が始まる。

1歳になってすぐあんぱんマンの補助便座を買った事、トイレの壁に大好きなキャラクターのポスターを貼った事、2ヵ月半かかった事、オムツがとれた途端よく喋るようになって大人っぽくなった事、などなど。

うーん、うちも、しまじろうの補助便座用意してるし、トイレの内にはプーさんのカレンダーが貼ってあるし、トイレカバー等はキティちゃんで統一されてて、ドライフラワーのフレームアレンジメントを幾つも飾ったりしている。この内装、娘好みだと思うんだが、それでも嫌がるんだよな。
昨日なんかいつものように隠れてウンティしてるから、コッソリ覗きに行ったら「花、今、ここでうんちしてるの!!!」って怒って、追い返されちゃったもんな。
トイレに行こうなんて気、微塵もなし。


そんな娘、今日からオムツのサイズがLになりました。今日はLサイズ記念日。
Lサイズのオムツは、使わずに済むと密かに思っていたんだが、甘かったな。甘納豆くらい甘かったな。

1月11日(木)
今年一発目の幼児英会話。案の定娘は、久しぶりに見る赤鬼みたいな顔のジョニー先生にビビって泣いた。困ったもんだ。
ま、レッスンが始まってしまえばハイテンションで踊りまくり、ジョニー先生に笑われていたが。

さて、我々親子が通う幼児英会話スクール。4回ワンセットのローテーションで、そのレッスン内容が若干変わる。レッスン内容が変わると、当然使うテキスト(絵本)も変わる。
我々親は、ローテーションを把握し、使うテキストをリュックに詰め込んでおかなければならない。
しかし、これが結構忘れてしまいがちで、他のママさん達は忘れて前ローテーションで使ったテキストをそのまま持ってきている事もあった。
今日は4回ワンセットの初回日で、レッスン内容が変わっていた。当然使うテキストも変わっていなければならないのだが…………

「Story time!!」
掛け声と共にジョニー先生がテキストを開く。我々親子もそれぞれにテキストを開く…って、ン?ジョニー先生のテキスト、前ローテーションで使ったものじゃないか。

慌てて他の親子がリュックからテキストを引っ張り出している手元を見ると、一組は前ローテーションのテキストをそのまま出し、もう一組は前ローテーションと本来なら今日から使うべきであるテキストの2冊が入っていた。そしてジョニー先生の手元を見て、前ローテーションのテキストを選んで出してきた。
むむむ………

困っていると、娘は、即座に自分のテキストが違うものであると気付いたらしい。それじゃない、と首を横に振っている。
「ごめんね、ママ、違うの持ってきちゃった。先生に一緒に見せてもらおうね。」

私の言葉に娘は、先生の許へと駆け寄ったが、すぐにこちらに戻ってきた。そして言った。

「ママ、違うの持ってきた。」
うんうん、ごめんね。だから先生に見せてもらおうね。
再び、先生の許へ駆け寄る娘、そして先生と一緒に絵本を見ながらレッスン再開。
淡々と進んでいくストーリータイム。しかし……

「ママ、違うの持ってきた。」
思い出したように振り返り、私に言う娘。
うんうん、ごめんね。ママ、違うの持ってきちゃったもんね。
私の言葉を聞き、再び先生の絵本に見入る娘。
さらに続く、ストーリータイム。だが……

「ママ、違うの持ってきた。」
娘、またも振り返り言う。
うんうん、ごめんね。ママが間違えちゃったんだよね。
私の言葉を聞き、再び先生の絵本に見入る娘。
まだまだ続く、ストーリータイム。

「ママ、違うの持ってきた。」
まただ。また娘が振り返り言う。
うんうん、ごめんね。ママが間違えちゃったんだよね。
私の言葉を聞き、再び先生の絵本に見入る娘。
あともうちょっと続く、ストーリータイム。

「ママ、違うの持ってきた。」
またかいっ!!!


こうしてストーリータイムの間中、私は、娘に責め続けられるのでした。
しかし、まだまだ終わらない………


「ママ、違うの持ってきた。」
レッスン終了後、ハー終わった、終わったとばかりに上着も着ずに部屋を飛び出していった娘。後から追いついてきた私に向かい、まだも責め続ける。
ごめんごめん。次からは気をつけるよ。

「ママ、違うの持ってきた。」
…もういいじゃないか。

「ママ、違うの持ってきた。」
「ママ、違うの持ってきた。」
いい加減うんざりし、黙っていたら矢の様に責めたててくる。
それでも無視し、黙ったままで自宅到着。
その後娘は、大好きなNHKの子ども番組に夢中になり、ようやく責めてこなくなった。
はぁ、やれやれ。君は、結構執念深いんだなぁ。
しかし………



「ママ、違うの持ってきた。」
「ママ、違うの持ってきた。」
「ママ、違うの持ってきた。」
「ママ、違うの持ってきた。」
「ママ、違うの持ってきた。」
だああああああああぁぁぁぁーーーーっ!!!うるさーいっ!!!


NHK子ども番組が終わり、さぁ、食事にしようと娘をテーブルへと誘ったら、また責めてきた。それも何度も何度も。
うがーーーーーーー!!!もういいじゃないかーーーーーっ!!!
だから謝ってるじゃないか。次から気をつけるとも言ってるじゃないか。何度謝れば気が済むんだ。

2歳の娘に向かって、本気でキレるダメ母。
だって、本当にしつこいんだもん。


これからは、絶対に間違えないようにしよう…って、間違ったのは、ジョニー先生じゃないかっ!!!





しかもお話は、ここで終わりじゃない。まだ続く。
珍しく娘が寝る前に帰宅した我が配偶者。彼が余計な一言を発したばかりに………

「花さん、花さん。今日はドコ行ってきたの?ママとどこに行ってきたの?」
「エビシー行った。エビシー行って踊った。……ママ、違うの持ってきた。ママ、違うの持ってきた。ママ、違うの持ってきた。ママ、違うの---(以下延々と続く)
我が配偶者よ………余計な事を言うなーーーーっ!!!!
折角忘れていたのに、思い出しちゃったじゃないか。

1月12日(金)
出掛ける際の女の身支度は、時間が掛かり過ぎるとよく聞くけれど、それを我が愛娘で思い知らされる。

「あ、ねぇ、ママ。花のキティちゃんのバックは?」
要望に応じバックを手渡してやると、その中に詰め込むオムツを物色し始める。
いいけど、今使ってるオムツは、ムー○ーだから全部同じプーさんだぞ。

「あ、ママ。花のお帽子がないよ。お帽子、お帽子。」
要望に応じ帽子を頭に乗せてやると、満足そうにニッコリ笑う。

「あ、髪の毛結んでない。」
いいよ、髪の毛は。どうせ帽子被ってるんだし、プールでもスイミグキャップ被るでしょ。
私の言葉に不満足気味な表情をした娘だが、一応納得してくれたようだ。

「あ、ちょっと、コート着てなかった。コート!!!ママ、コート取ってってば。」
はいはいはい。要望に応じコートを着せてやると、満足そうにニッコリ笑う。そして鏡の前へと走り、自分を眺めてご満悦。
なんだい、ナルシストかい。

「新しい靴履く。黒い靴。パパが買ってくれた。」
ようやく玄関へと向かった娘、バーゲン行脚で購入した新しい靴を履いて立ち上がる。やれやれ、ようやく出掛けられるか。

「あ、ちょっと、ママ!!!花、手袋してないよ!!!」
手袋はもういいじゃん、早くしないとスイミング始まっちゃうよ。娘の手の引き、手袋は後ではめてやると言いながら部屋を飛び出す。


こうしてようやく出掛けたのだが、娘の世話焼きのため、実際はもっと時間がかかっている。
「ママ、はい、ママのバック。」
「ママ、はい、ママの靴。」
「ママ、はい、ママのサングラス。」
「あ、ママ、手袋ここ。」



ママは、自分の事は自分で出来るんだから、君も自分の事をしてくれ。



ベビースイミング。
通い始めた頃は、週に一回レッスンに通うだけでバテバテ。ベビーとは名ばかりのママのための水中ウォーキングに付いていくだけで必死だったが、この頃はすっかり慣れたものだ。
週に三回のレッスンに全て参加しているし、プログラムも余裕でこなせている。
その証拠に水中ウォーキングの時は、意識して腰をひねりながら歩いたり、踵を蹴り上げて歩くようにしてみたり、色々工夫してやっている。
それにしても凄い変化だ。妊娠をきっかけにすっかり健康的な人になったもんだ。妊娠前は、不健康を絵に描いたような生活、不健康そのものな人物だったというのに。

だがしかし、何故なんだ。それまで肉一辺倒だった食生活を改善し、こんなにも運動三昧な日々をおくっているというのに、この腹周りの肉は何故なんだーーーー。




加齢で新陳代謝が落ちているだけだろ、という冷静な突っ込みはなしで。



明日は義理実家詣で。それでは、帰宅後にお会いしましょう。

1月13-14日(-
「おじいちゃんに教えてあげよう!!!イエローは、黄色だって教えてあげよう!!!」
最近、すっかり色の英単語をマスターした娘。おじいちゃんに黄色は英語でイエロー、緑はグリーン、赤はレッドだって教えてあげるんだと息巻いている。

わぁ、花は優しいねぇ。おじいちゃん、黄色はイエローだって知らないかもよ?教えてあげたら、喜ぶかもよ?
黄色い風船を掲げながら言う娘に、そう伝えると「そっか、おじいちゃん喜ぶね!!!」とばかりにパーっと顔を明るくさせた。


娘が楽しみにしていた義理実家詣で。恙無く終了。
だがしかし、たった一泊のそれは、ネタの宝庫。色んな事がありすぎて、忘れちゃならぬとばかりに帰宅後即「義理実家滞在中出来事メモ」を作成した。
ふむ、これで書き忘れる心配はないぞ。


あまりに盛りだくさん過ぎて、どこから手を付けていいのか分からない義理実家滞在中のお話。これは、まとめるのが難しいぞ。困ったな。
まぁ、一回では書ききれないので複数回に分け、思いつくままに書いてみる。
今回の義理実家詣でのキーワードは、「スケールがでかい」。



義理母は、料理が上手だ。これは、お世辞でもなんでもなく正真正銘私の本音。
特に彼女にとっての息子家族である我々が訪問すると、彼女はその腕を存分に発揮し、素晴らしい料理でもてなしてくれる。

夕食、卓に並んだのは、固体認識番号入り高級近江牛ステーキ。焼き具合も絶品の肉を引き立てるのは、ドイツで購入してきたキャビアとロシアで購入してきたフォアグラ。ネット通販じゃない、義理両親が直接現地を旅した時に買ってきた品々だ。
ご飯は、野菜たっぷりのちらし寿司。
どれもこれも涙が出るほどの美味しさ。
娘のために用意された野菜の煮物とホッケも悶絶するほどに美味。

そうそう、義理両親は趣味で近所の農家の方から畑を借りて野菜作りをしているのだが、自家製野菜を白ワインで漬けた漬物がまた堪らなく美味い。
白ワインで漬物、言葉で聞くだけではピンとこないだろうとは思うが、癖になる美味さとはこの事だと心底思う。
そしてデザートは、ガーデニングで育てたパンジーの花がトッピングされたフルーツゼリーと上海で購入してきたというグラスの中にお花が浮いたお茶。
余談だが、このフルーツフラワーゼリー、義理母が主催しているパッチワークサロンでのレッスン終了後、生徒さん達にも振舞われたそうだ。
教えるだけでなく、こうやって手料理でもてなしてやらなきゃいけないなんんて、サロネーゼも大変だ。

さて、義理母のそれらの料理に舌鼓を打つその部屋、その壁には、マチュピチュ(ペルー)で購入してきたラマの毛で織られた飾りラグに、義理母が作成したパッチワークのタペストリーが花を添えている。
ちなみにパッチワークの生地は全て130年の歴史あるリバティプリント(イギリス)の物。当然、現地のショップで義理母自らチョイスした選ばれし布達。
そしてこの頃飾られたばかりの喜望峰(南アフリカ)到達証明書。

なんか、凄い。この凄さを言葉で形容する術を私は、知らない。だが、察してくれ。この凄さを察してくれよ。



「はい、花、お年玉。」
デザートを食している最中、義理父より花へお年玉贈呈。
おお、初お年玉だぁ~と思って眺めている。(花は、これが産まれて初めて義理両親からもらうお年玉)
すると、事態は予想もしない展開をみせた。

「はい、これはゆ様さんに。」
義理父がポチ袋を二つ手にしていたのには気付いていたが、まさかその一つが私のために用意されているなどと誰が想像しようか。
あまりの出来事に目を白黒させつつ、しどろもどろにお礼を述べる。
それにしても、お年玉なんていつ以来だろうか……小学生の頃は確実にもらっていた記憶があるが、中学の頃はどうだったか。高校の時分には、既にもらわなくなっていたのは間違いないんだが。
ふむ、そうすると実に○○年ぶりだという事か。

それにしても、正直怖いというか、ごめん、キモイ。
彼らが最初からこういう感じだったのなら、ただ素直にありがたく、嬉しく頂戴するのだろうが、そうではない。
結婚当初の敵意剥き出しの彼らでなくなっているとは既に理解しているが、だからこそこちらとしてもどの程度の距離感を保って接すれば良いのか試行錯誤している最中なのに、いきなりお年玉って。
これからは、もっと良い嫁した方がいいのか?


そんな風に悩んでいるとはおくびにも出さないでいたが、さらに私を悩ませる義理両親。
お年玉に引き続き、某ブランドのパジャマをプレゼントされた。普段私が着ている服よりも、よっぽど高い某ブランドパジャマ。
まぁ、これは、ちょっとした伝があって市価より安く手に入るそうなのだが。しかし如何せん某ブランドパジャマだ、着心地、商品品質、温かさは文句の言いようがない。
むむ、やっぱりもうちょっと良い嫁した方がいいのか??

思いっきり悩みつつ、娘を寝かしつけるため早々に布団に潜り込む。
ああ、そういえば、娘をお風呂に入れるという名目で、私、一番湯を頂戴してしまったわ。なんて嫁なのかしらね。
ここはやはり、嫁らしく終い湯に浸るべきだったのかしら。
良い嫁って、難しいなぁ。



しかし悩んでいるとか言いつつ、、翌日は9時半過ぎまで寝ていたグータラ嫁の私。
いや、だって、「やけに日が昇ってこないなぁ。まだそんなに早い時間なのかな?」なんて思っていたら、雨戸が閉めてあったんだもん。
そりゃ、いつまで待っても部屋は明るくなりませんて。
うがー。我が配偶者のバカ、もう9時過ぎてるなら過ぎてるって教えてくれよっ。

ばつが悪い気持ちをたっぷりと抱えたまま起きて行き、「おそようございます」と挨拶をした。
「あら、おそよう」と返事をする義理母。
うがー。我が配偶者のバカ、雨戸が閉まってて朝になってるの知らなかったってフォローしろよっ。




すいません、どう頑張っても良い嫁にはなれないようで。
もうちょっと義理母の手伝いした方がいいのかしら。片付けだけじゃなく、料理とか。
でも、他所様の台所って勝手が分からないし、キッチンは神聖なエリアだと他人が侵入してくるのを嫌がる人も存在するし。
世の中の嫁族って、どの程度義理母の手伝いをしているものなのかしらね。って、ああ、お年玉なんかもらったばかりに重たいものを背負わされた気分だわ。


義理母のスケールのでかい発言は、また次回。

1月15日(月)
私は、今、小刻みにプルプルと震えている。
何故かって?それは、笑いを堪えているからさ義理母のあまりのスケールのデカさに感動し、震えているのだよ。
義理母は、本当に凄い人だ。



「タヒチって、なーにもない所なのねぇ。」
前回の訪問の折、「一緒にタヒチへ行きましょう」と誘ってきた義理母。費用は、全額義理両親持ちという太っ腹な発言。
しかし私は、この発言がすぐに撤回されるであろう事を、聞いたその場で予想していた。そしてそれは、大当たりだったわけだ。
タヒチに関する話を続ける義理母。手元には、タヒチのツアーパンフ。

海しかないから、こんな海の上に家を建てて……まぁ、仕方ないわね。土地がないから。海しかないもの。」
義理母、タヒチの代名詞である水上コテージを指して言う。彼女にとってこの水上コテージは、地面の上に建つのが許されなかった、とてもつまらない物なのである。
私なんかには、絶対に出来ない発想だ。<土地がないから水上コテージを作る
それにしても、彼女の目には、ホテルの背後に聳え立つオテマヌ山の姿が見えていないのだろうか。海ばっかり…では、ないはずなんだが。

義理母のタヒチ話は、まだまだ続く。

「何にも観光するところがないじゃない……。それに、ずっと同じホテルに泊まるのね。ふぅん…。」
何もしない、それこそが究極の贅沢。
私は、そう思うのだが、観光のない旅というのは、義理母にとって考えられない事らしい。そして同じホテルに連泊するのがこれ以上もない苦痛のようである。

「タヒチみたいな所は、仕事の忙しい人が行くのよ。何にもしないで、何も考えなくて済むからね。」
ハハハ、じゃぁ、私みたいみたいなのは一生行っちゃいけない所って事だな。
って、義理母様、だったら貴方のような方こそがタヒチに行かなきゃいけませんよ。
パッチワークのサロンを切り盛りしながら、さらには市のパッチワーク講座で講師として活躍。
そして教えるだけじゃなく、定期的に個展を開催し、そして生徒として関東まで通うパッチワークのお教室は、その世界の人だったら皆知っていて当然の超有名名門スクール。
関西からせっせとレッスン上京するのもステイタスなのだろう。
そして趣味の旅行で世界各国を飛び回り、自宅ではガーデニングと本格的な野菜作り。
充分すぎるほどに忙しすぎますって。さぁ、いざタヒチへ!!!
(と、心の中で思ったが、当然口には出していない。)



さて、義理実家には、パンフレットがまとめられて本になったツアーパンフならぬ、ツアーブックが旅行会社から毎月届いている。余談だが、旅に関しては担当の営業さんがいて、義理両親は、全てを彼に任せているのだとか。
さて、そのツアーブックを見た我々夫婦の一致した意見。
「見事なまでに我々が行きたいと思う国(方面)が全く載っていない。こんなに魅力の感じられないツアーブックを初めて見た。」

ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、オーストラリア、そして南アフリカまで、世界各国を網羅しているかのように見えるツアーブック。
だがしかし、例えばフィジーだとか、またはタヒチだとか、それからモルディブ、はたまたセブ、パラオ、カンクン、サイパン、モーリシャス、セイシェルなどの文字は、どれもチラリとも見る事が出来ない。
たった一ページだけ、ハワイが載っていたけれども、それはハワイの四つの島を渡り歩くツアーだった。
たった四泊五日の旅で四つの島……私の感覚から言えば、それは拷問だ。
そう、このツアーブックに掲載されているツアー、どれもこれも拷問なんだ。


日程表をチラリと見れば、びっしり書き込まれた観光スケジュール。
初日、◇◇国到着。A遺跡とB修道院を観光し、宿泊はイロハホテル。
二日目、B美術館を観光し、次の予定国、●●国へ向かう。
三日目、●●国到着。C高原で野生動物を観察し、夜はオーロア鑑賞ツアー。宿泊ホヘトホテル。
四日目、午前市内観光、午後D聖堂観光。宿泊はチリヌルオホテル。
五日目......

と、まぁ、とにかく毎日びっちりと組み込まれたスケジュール。幾つもの国を渡り歩くのも当然だし、当たり前のように毎日違うホテルに宿泊。
こんな日程が10日前後の旅だけでなく、20日以上に渡る長期ツアーでもみっちりこんな有様だ。
うげー、この日程を見るだけでゲッソリするし、なんだか疲れてしまう。
人それぞれ旅に関する価値観があるのだろうが、私は、絶対にこんなツアーには参加したくない。金を貰ってもお断りだ。
そうそう、一つ一つのツアーには、「ゆったり度」という評価が存在した。星三つで評価されるそれは、そのツアーがどれだけ「ゆったり」しているかを一目で分かるように記されているらしい。
ふむ、「ゆったり度星三つ」レベルなら、私でもちょっとは行こうって気になれるかしら……
そう思いつつ、数少ない星三つのツアーを探す。

初日、◇◇国到着。A遺跡とB修道院を観光し、宿泊はイロハホテル
二日目、B美術館を観光し、その後市内観光。宿泊はイロハホテル
三日目、C国立公園散策後、次の国、●●国へと移動。
四日目、午前市内観光、午後D聖堂観光。宿泊はチリヌルオホテル。
五日目......

これのどこが「ゆったり」なんじゃいっ!!!!
と、思ったが、初日と二日目の宿泊ホテルが同じである事、次の国へと移動するタイミングが遅い事の二つがポイントのようだ。
なんか、眩暈がした。

しかし、この「ゆったり度」、星が多いほど駄ツアーと評される様子。
うーん、我々夫婦のようにただキレイな海があるだけのなーんにもない所でゴロゴロと過ごす旅が一番だと考えるのは、少数派なんだろうかねぇ…。こんなツアーブックが存在するって事は、日本人の多くは、こういう観光がビッシリ詰まったツアーが好きなんだって事だものね。
でも、やっぱり、嫌。絶対に嫌。私は、こんなツアー、真っ平ゴメンだっ!!!



だが、その「絶対に嫌」という気持ちは、義理母も同じなのだろう。なんたって、タヒチのツアーったら……

初日、タヒチ到着。ボラボラ島へ移動。チェックイン後、終始自由。宿泊、ル・メリディアン・ボラボラ。
2-7日目、終始自由。
8日目、帰国。

自由過ぎ、自由過ぎだぜタヒチ。ブラボー、フリータイム。


そりゃ、観光大好き、じっとしているのが嫌いな義理母が「タヒチなんて…」と言い出すのも無理はないか。



オチに辿りついていないが、長くなったので続きは後日。

1月16日(火)
「耳、痛い。」
義理実家詣でから帰宅した娘、鼻をたらし始めたので気にしていたのだが、耳が痛いと言い出し焦る。
一度中耳炎を患った娘。中耳炎って、癖になるって聞いてるし。
慌ててご老公ヨイヨイ小児科医院を訪れ受診。
診察の結果、耳に異常は認められないが、用心して二日後にもう一度受診するよう言われる。
鼻と咳の薬を処方してもらって帰宅した。

心配していた中耳炎ではなさそうなので安心したが、非常に疲れた。娘の力の強さに驚いた。
耳を診るために大人三人がかりに押さえつけられた娘だが、渾身の力で大抵抗。酷く暴れるから、一向に診察が進みやしない。押さえているこっちは必死。いつの間にこんなに力がついたんだ。ついこないだまで、フニャフニャした生命体だったのにねぇ。
等と思いつつも、娘のそういう成長も嬉しく感じられたり。

食欲もあるし、元気もある。だけどプールは暫くお休みだな。
さて、元気をもてあましている娘とどう付き合って過ごしましょうかねぇ。


観光こそが旅と言い張る義理母と、キレイな海を眺めてのんびりする旅が一番の私。
義理母の旅に関するお喋りは、まだまだ続く。


旅に関する価値観が真逆だと改めて痛感したわけだが、彼女の話とこのツアーパンフでツボはつかんだ。
ポイントは、「世界遺産」「美術館」「歴史、文化」そして「大自然」の四つだ。
今年の旅先は既にトルコ、エジプト、シルクロードと決めており、さらに友人達と北欧ツアーも計画しているらしいが、まだまだ行き足りないという義理母。
そんな彼女に、他にどんなところへ行きたいのですか?と質問を投げかける。

アンコールワットとか、どうですか?なんか神秘的ですよねぇ。
「アンコールね、もう行ったわ。あの辺はねぇ...」(以下アンコールワットに関する知識を延々と述べる)

うーん、あ、ベネチアの街をゴンドラでくだるのとか素敵そう。
「そこももう行ったわ。ベネチアの家はね.......」(以下ベネチアに関する知識を延々と述べる)

じゃぁ、スペインなんかどうでしょう?世界遺産が沢山あるそうですが。
「スペインは、お友達と行ったわ。トレドの歴史都市はね....」(以下略

それでは、フランスなんかはどうでしょう?美術館も沢山あるでしょうし。
「フランスはね、もう何度も行ってるのよ。でもね、今度はフランスのみ滞在のツアーに参加して、美術館巡りをしたいと思っているのよ。フランスの美術館といえばね...」(以下略

じゃぁ、青の洞窟とか。
「行ったわよー。それでね....」(以下略


すいません、行った事のない国を教えてください。(心の叫び)
だけど伊達に世界各国を旅しているわけじゃない。義理母の知識には、驚かされるばかり。

では、オーストラリはどうでしょう?エアロックでしたっけ?凄そうですよね。
「ああ、オーストラリアはつまらないわっ。エアロック以外何もないっ。お友達が行ったけど、つまらなかったって怒ってたわ。歴史や文化のない所はつまらないのよ。」

あ、そうなんですか。それじゃぁ、バリにケチャを観に行くってのは?
「バリ?アジアなんてね、国内旅行よ。国内旅行と一緒。」

はぁ、そうなんですか……。
「ハワイもつまらないわね。なんであんなところに行くのかしら。」

うーん、義理母の判断基準は難しい。


さらに会話を続けていると、「動物園はつまらない」という発言を聞く。
娘も大好きな動物園、何故につまらないのだろうと不思議顔の私を他所に義理母は、続ける。

「だって、南アフリカで本物をイヤというほど見てきたもの。檻の中の動物なんて、つまらないわ。動物が見たくなったら、南アフリカに行けばいいじゃない。」
…なんか、マリー・アントワネットが「パンがないならお菓子を食べればいいじゃない」と言い放ったのと同じ匂いを感じてしまうんですが。
(この台詞、本当はマリー・アントワネットのものではない)



義理母、なんか、本当にすげぇ……。 こういう人、嫌いじゃない。ただし、心からの親交は無理だけど。


義理母と旅行の話、もう少し続きます。


隆行…そんな、Fマリだなんて………そっか、じゃぁ、あの30番のレプリカは封印だな。
隆行、待ってろ、心の底からブーイングしてやるからなっ!!!

1月17日(水)
朝目覚めたら、喉が酷く痛かった。そして体がダルい。
どうやら娘の風邪がうつった模様。このまま寝ていたいが、娘の世話をしなけりゃならぬ。
起き出しいつものように家事育児開始。

昨日は、雨降りと娘の鼻水具合で見送った買い物。天気はあまりよくないが、流石に今日は行かなくてはまともな物が作れない。
空模様と娘の様子を見て午前中のうちにサっと出掛ける事にする。
寒くないようにと娘と二人、しっかり着込んで玄関へと向かう。
って、ン?何…コレ。


玄関に散らばるのは、謎のビニール袋2枚とクシャクシャと丸められた紙が6個。
それらを手に取り、これは一体何だろう。何故、こんな所に散らかしてあるのだろうと考え込む。
さほど長く考えずに、それが一体何なのか気付く。
先日、我が配偶者が靴をクリーニングに出した。うん、これは、キレイになって戻ってきた時に、靴が包まれてあったビニールと、靴の中に詰めてあった紙クズ。それが散乱しているのだ。

脱いだら脱ぎっ放し、したらしっ放しの我が配偶者。
全く、親の顔を見せてもらおーか。
ええ、今回ばかりは本気でむかついておりますよ。


ことごとく旅行に対する価値観が違う義理母と私。
だがそんな我々だが、共に旅行に出掛けようという話が浮上している。勿論、義理母が持ち出したタヒチ旅行とは別の話だ。
去年の夏ごろに出たこの話、私の父の急遽などがあってなかなか実現出来ずにいたが、今回の滞在でおおまかな時期だけでも決めてしまおうと、我が配偶者が義理父に話をつけていた。
詩吟の師範で各地を飛び回る生活をしている義理父、そんな彼でも月末近くは比較的スケジュールを空けられると言う。
その言葉に畳み掛けるようにして具体的な日程をぶつける我が配偶者。

「じゃぁ、2月の最後の週とかどうかな。」
ちょっと、待て!!!
その週は、君が先日突然言い出したグアム旅行の日程と同じじゃないか。
つまり、君の頭から完璧にグアムは消えている…とう事なんだな。


次は義母に話をつける番だ。
ここまで旅行に関する価値観が違い過ぎると、いくら孫というワンクッションが存在するとはいえ、お互い楽しい時を共有出来るとは到底思えないが…。
しかしこの旅行はこちらから言い出した手前、義理母にも話を切り出す。
ちなみに我々が候補にあげている旅先、国内旅行は温泉で、下呂か白浜かのどちらかを考えている。第一候補は白浜。
だけど白浜はきっと却下だな。だってここを選んだ理由ってのが、アドベンチャーワールドの存在なんだもの。娘が喜びそうだからね。
でも、だめだ、ここは。なんてって「動物園はつまらない」、「動物を見るなら南アフリカに行けばいい」と義理母は、言うのだからね。「つまらない」と不機嫌になる義理母の顔が目に浮かぶよ。
あと、白浜を選んだ理由は、普段オンボロ登山電車しか見る機会のない娘にカッコ良くて速い電車の旅を楽しませてやりたいと思ったから。それに電車だと、移動中でも義理父と娘が一緒に遊べるしね。


さて、義理母の反応は……
「お母さんは、松江温泉がいいわ。美術館に行きたいわ~。」

えーっと、花を連れて美術館…ですか?
それ、無理。
無理だから。
というか、孫連れの旅の時くらい孫優先と考えてくれないのかね。滅多に旅行にも行けず、この時しかチャンスがないから!!と言うならまだしも。たった一度の孫付き旅行の時くらい、美術館を忘れたって罰は当たらないだろうよ。
って、花がいるから美術館は無理だって言えよ、我が配偶者よ。

「車で行けば、すぐよ~。」
いや、だから花にカッコ良くて速い電車の旅をさせたいのですよ。義理父と花をたっぷりと遊ばせてやりたいのですよ。それにチャイルドシートがあるから、車で行くのはかなり辛いです。
って、それをちゃんと説明しろよ、我が配偶者よっ!!!!



なんか、もぉ、どっと疲れた。
義理父は、孫である花との旅を楽しみにしているのが手にとるように分かるから実現させたいと思うのだが、如何せん義理母がこれだもの。
こりゃ、無理に花を中心にした行き先を決め、花中心の旅を決行したら途中で怒って機嫌を悪くさせてしまいそうだ。
義理父には悪いが、この話は、なかった事にするしかないわね。
ちなみに海外で考えていたのは、グアムとボルネオだった。「そんなつまらないとこ」と言われてしまうの請け合い。


義理実家滞在中のお話、もうちょっとだけ続きます。

1月18日(木)
定期的に訪れる育児疲れ、イライラ、その真っ只中。
娘が鼻風邪をひいてから、プールもお休みしてベッタリ二人きりで過ごしているのがそれを加速させている。
しかし、そんなの知った事ではない娘は、一日中喋りかけてくるし、ひっつきもっつきしたがるし、遊ぼうと一日中まとわり付いてくる。
あー、もぅ、ダメだ。娘に何を話し掛けられても「うるさい」としか思えなくて生返事すら出来ない。
すると娘は、私が返事をするまで、構ってくれるまで喋りかけてくる。私、ますます鬱陶しくて返事をしない。娘、私が返事をするまで、構ってくれるまで喋りかけてくる。私、ますます鬱陶しくて返事をしない。(以下無限ループ)
この悪循環、暫く続くな。はぁ…


さて、今日は幼児英会話スクールの日。鼻水は垂らしているが、咳は止まったんで行く事にした。一日中、二人っきりでベッタリしてちゃ敵わんからな。
テキスト(絵本)の入ったリュックを背負い、元気よく玄関を飛び出していく娘。
だから待ってくれって、母は、鍵を閉めなくちゃならんのだから。


「Big!!!.....Small!!!...Fast!!!...Slow!!!」
ティーチャー・ジョニー、新しいエクササイズを仕入れてきた。これが子ども達に大うけ。
やるじゃないか、ジョニー。
突如始まる指令に、娘は先生を見よう見真似で体を動かしている。ビックの指令で大の字のポーズ、スモールの掛け声で小さく縮こまり、ファストとスローの号令に合わせて走る速度を変えている。
そうそう、すっか慣れたのか、今日はジョニーの赤鬼のような顔を見ても泣かなかった。良い傾向。
ただし、またまた新しくなった事務員のお姉さんを見て泣きそうになっていた。前回から着任したという事務のお姉さんはどこに行った。1回限りで退任か?
我々が通うようになってまだ3ヵ月。なのに、これで4人目。いくらなんだも変わりすぎだ。


1/13-14日の義理実家滞在記最終編

「おじいちゃんとボール、コロコロリンしてない…。」
詩吟の師範として活躍する義理父は、パッチワークのサロンを営む義理母以上に忙しい。
我々が訪問した日も何やら会合があったとかで、帰宅は夕食開始直前。そして翌日はやはり詩吟の所用で10時半前に家を出て行ってしまった。
すいません、義理父。グータラ嫁がいつまでも起きてこないものだから、孫と遊ぶ時間が減ってしまいましたね。ホント、申し訳ない。

出掛ける直前まで花と遊んでいた義理父だが、花は物足りなく思っている様子。
おじいちゃんとブロック遊びはしたけれど、ボール遊びが出来なかったと悲しんでいる。
君は、本当におじいちゃんが好きなんだねぇ。

さて、義理実家滞在中の娘の話。
彼女はおじいちゃんが大好き。それもそのはず、義理父は、いつもたっぷり花と遊んでくれる。詩吟の会合で疲れ、眠たくて堪らず大欠伸をしつつも一緒にブロック遊び。
やや話が逸れるが、この木製ブロックは我が配偶者が子どもの頃に使っていたもので、義理父が花と一緒に遊ぼうと物置の奥から引っ張り出してきたもの。
さらに話が逸れるが、このブロックには、幼き日の我が配偶者が落書きした形跡がくっきりと残っている。誰に似たのか妙に几帳面な娘は、「これ、汚い。フキフキする!!!」と言い、落書き部分を消そうとティッシュペーパーでゴシゴシと擦っていた。
さらにさらに話が逸れるが、この木製ブロック。ずい分立派な木箱に入っていると思っていたら、そこに薔薇の花のマーク。これは、高●屋のオリジナルブロックなのですね。

散々話が逸れまくったが、義理実家滞在中に娘の相手をするのは義理父だという事だ。
そして今回、義理父が外出してしまったのだから、娘の遊び相手は存在しない。
義理母?彼女は自分の話をするのに忙しいんだもの、孫の相手なんかするはずないじゃない。そして私は、そんな義理母の話を聞くのに忙しい。我が配偶者は、なんだかすっかりくつろいでしまっているし。


哀れ娘、義理両親宅で一人遊び………

と、思っていたらやけに静かだ。これは変だぞ。
何をしているのかと、そーっと覗いてみたのだが、犬のシャガールちゃんと二人で座り込んで静かに遊んでいる。
おや、珍しいこともあるもんだと娘の顔を覗き込んでみたのだが、彼女の顔、特に口元が何やらキラキラと光っている。
ン?ひょっとして私の化粧品を扱った?

慌ててテーブルの上に放置していた化粧ポーチを確認したが、ファスナーはちゃんと閉まっているし、そもそも娘がこれを悪戯したのならこの場所にはないだろう。

私の勘違いか………そう思い、再び義理母のいるキッチンの方へと戻る…………ふりをして隠れて娘の様子を見守る。

すると、娘、テーブルの上の化粧ポーチに手を伸ばし、中から口紅を取り出した。シアーな色づきとキラキラのラメが入ったディオールのアディクト。
あの子、よりによって私が一番お気に入りのヤツに手を出したんだな。
そのまま様子を見守っていると、流石にクルクルと回して中身を出すのは出来ないようで、指を突っ込み口紅を指先にとり、それを口元に塗っていた。
おーおーおー、嬉しそうな表情をしている事。
娘、至福のお化粧タイム。

暫く塗って満足したのか、娘はキャップをはめ、口紅とポーチに戻し、しっかりポーチのファスナーを閉じたなら、まるで何事もなかったかのようにそれをテーブルの上の元の場所に戻しやがった。
うーん、知能犯だなぁ。


さて、ようやく義理実家滞在中のお話もこれで最後のネタ。
帰る間際の出来事。散々旅行の話はし尽くしたので会話のネタがない。そこで、壁に飾ってあるパッチワークのタペストリーについて話をふってみた。
すると、まぁ、次から次へと話が広がる事ったら。殆どは、ご自分の作品の自慢話なんだが。
それでも正真正銘、掛け値なしに義理母の作る物は凄い。以前、チラっと話を聞いた事があるのだが、義理母の作る物に値段をつけるとすると、ビックリするような高額になるそうだ。しかし、義理母は、自分の作品を売るつもりは微塵もないのだとか。
まぁ、そのくらい、本当に彼女の作る物は凄いのだ。

「これ、ゆ様さんにあげるわ。夏場にピッタリでしょ。」
義理母が何やら取り出してきたバック。勿論、義理母のお手製、パッチワークの品である。

「これ、全部リバティの布を使ってるから、分かる人が見たら「凄い」って思ってくれるわよ。」
実に97種類もの布を使ってこしらえたパッチワークのバック。下世話な話だが、生地代だけで一体どれくらいかかったんだろうと気になってしまう。
でも、これが物凄く可愛い。春先にインエのスプリングコートと合わせてきたら絶対似合うだろうな。ああ、もう絶対スプリングコート買っちゃうから。
勿論ありがたく頂きました。

様々な技術が練りこんであるバックを見つめていると、一つ一つ義理母の説明が入る。
「前に一度同じデザインの物を作ったんだけど、どうしても取っ手部分がどうしても汚れちゃうのね。だから、これはそこの部分だけ濃い配色の布を使ったの。勿論、そこの布もリバティのものよ。分かる人が見たら「凄い」ってビックリするわ。」

バックは巾着のような形になっており、締める紐の先の部分には立体的なチューリップが作られている。ここにも義理母の技術が光っている。
「ああ、だめだめ。口はちょっと緩めに締めた方が可愛いわ。そのチューリップの部分、そこの布もリバティのものよ。分かる人が見たらビックリして感動するわ。」

ン?コレ…は?
「あ、ああ、これはね、ちょっとしたコツがあるの。で、このバックの布、全部リバティの布を使ってるから、分かる人が見たら「凄い」って思ってくれるわよ。」


すいません、義理母。きっと私の知人、友人には、リバティプリントの布を見分けられる人物は一人もいないと思います。



こうして私は、物凄く可愛いパッチワークのバックを貰った。義理母、太っ腹だなぁ。
そしてさらに娘も義理母作成のパッチワークバックを貰った。バック大好きな娘は、早速それをぶら下げてニコニコ笑いながら部屋の中を徘徊している。

「花ちゃんのバックの布は、プロバンス地方で買ってきたものだから。」
義理親邸には、世界が溢れてる。



今回の義理実家訪問で思った。義理母、本当に普通の姑になったなぁ…と。
最初が肝心と、初対面でいきなりKOを狙うパンチを繰り出してきた事。
私を指し、「息子さんから全てを奪っていく女」だと言い放った占い師に執心していた事。
その頃の面影はどこにもない。

彼女が最初からこうだったら、我々の関係はもっと違ったんだろうな。うん、初対面は肝心だよ。あの時、貴方が殺人パンチを繰り出してこなければ、違う形を成していたと思うよ。
きっと、絶縁期間も存在しなかったはずだよ。

自分が選んだ人生の伴侶の、その親に対していきなり攻撃を仕掛ける嫁なんてのはね、そうそう世の中にはいないのですよ。
たいていの嫁はね、自分の選んだ人生の伴侶を産み育ててくれたその人々と巧くやっていこうと願っているの。
嫁を鬼にするのは、義理両親。
向こうが打ってきたから、こちらも仕方なしに打ち返しているだけ。されるがままで応戦しないと、こっちの精神が参ってしまう。売られた喧嘩を買っているだけなんだから。
(たまに自分が選んだ人生の伴侶である夫が原因で鬼嫁と化す事もあるけれど)

姑と私の関係は、これから再構築されていくのでしょうか。
って、このタイミングで言ったら、まるで物に釣られたみたいで嫌だな。

1月19日(金)
娘とペネロペ:

娘は、ペネロペが大好き。
我が配偶者が購入したペネロペ携帯ストラップの台紙に描かれたペネロペをたいそう大事にしている。紙切れを大事そうに抱えて、「ペネロペ」と呟きながら部屋を徘徊する娘。
そんなに好きなら…と、何かペネロペグッズを買ってあげようと思ったのだが、どうやらペネロペは全国的にブームになっているらしい。どこのお店に行っても商品は売り切れ。ペネロペ、大人気。
某オークションでは、普通のヌイグルミが定価の5倍で取引されており、驚いてしまう。
うーん、これは流石に買えないぞ。

探し回ること数日、たまたま出向いた本屋にたった一冊だけ残っていた絵本が残っていた。勿論、即お買い上げ。
手に入れられたのは「おなかすいたね、ペネロペ」。本当は、「ペネロペ、うみへいく」が欲しかったのだが、選り好みしている余地はない。
そんな大人の思惑も知らず、手渡された絵本に大喜びで見入る娘。


「まーた間違えちゃった。うさぎさん、人参どうぞ。」
「亀さん、こんにちは。おなかすいたかな?何食べるのかなぁ?」
「おじいちゃん、ありがとう。わぁ、美味しいな。」

娘、膝にエルモのヌイグルミを乗せ、なんと絵本を読んでいる。いや、彼女が字を読めるはずがないのだから、暗記した内容を喋っているだけなのだが。
しかし、私は、この絵本をまだ1回しか読んで聞かせてやってないぞ。

「私も一回しか読んであげてないよ。」
驚いていると、我が配偶者が割って入ってきた。ふむ、つまり娘は、あの絵本を2回読んでもらっただけで内容を覚えてしまったというわけだな。
2歳児の記憶力は、凄いな。

そうそう、この絵本、そうとう気に入ったのか、単にペネロペだから嬉しいのか、どこへ行くにも大事そうに抱えている。それまでヌイグルミを抱いて歩いている事はあっても、絵本を抱いている事はなかったのにな。
寝る時は、枕元まで持って行ったりもする。
やれやれ、よっぽどペネロペが好きなんだな。



「ピョーンピョーン、うさぎさん♪ニョーロニョーロ、へーびさん♪」
娘が何やら歌っている。これは、何の歌だろう……。

「これ、番組の中でペネロペが歌っている歌だよ。」
叫ぶ我が配偶者。
え、ペネロペに歌なんかあったっけ。

「違う、違う。ペネロペがお話の中で一度そう歌うシーンがあったんだよ。」
え?じゃぁ、たった一回で覚えちゃってるって事?

「ピョーンピョーン、うさぎさん♪ニョーロニョーロ、へーびさん♪ヒーラヒーラ、蝶々さん♪」
親の気も知らず歌い続ける娘。
本当に凄いな、ペネロペに関する記憶力は。



「わぁーい、わぁーい♪」
娘の最近の口癖、嬉しい事があるとそう言いながら小走りで部屋をグルグル回る。
この「わぁーい、わぁーい♪」が妙に芝居染みているというか、大根役者が棒読みで台詞を言っているように聞こえるんだが。
しかし、これってドコかで聞いた覚えが………あ、そうだ、ペネロペだ。

ペネロペは、嬉しい出来事に遭遇すると「わぁーい、わぁーい♪」と言いながら小走りで駆けていたっけ。

「わぁーい、わぁーい♪」
やけに芝居がかった口調で喜びながら部屋を駆け回る娘、君は、本当にペネロペが好きなんだなぁ。ペネロペと同化してるじゃないか。



さて、娘に購入したペネロペの絵本だが、ヒトツ、どうしても気になって仕方がない事がある。
作中に登場する犬さんなのだが…………








幼児向けの絵本に登場する犬とは思えぬこの目つきの悪さ。
いいのか?いいのか?こんな目つきで本当にいいのか?
ペネロペや他の登場動物が皆可愛いのに、この犬だけ浮いてるぞ。
この目つき、いくらなんでも極悪過ぎだ。

夢に出てきそう……。

1月20日(土)
育児疲れと風邪で身も心もヘロヘロ。だが、待ちわびた週末がやって来た!!!
と、思ったら、我が配偶者は今日明日と休日出勤。うへぁ~。
鼻たれ娘と二人っきり、がっつり四つに組むクソ寒い土曜日。


「痛いの痛いの、飛んでけ~♪」
痛いの痛いの飛んでけの効果は絶大だ。それまで「痛い痛い」と愚図愚図言ってたのが嘘のようにケロリとしてくれる。
そしてこの頃は、親にやってもらわずとも、自分で「痛いの痛いの、飛んでけ~♪」と言って満足してくれている。痛くなくなったと言ってくれる。
ふむ、自己暗示か。

「痛いの痛いの、飛んでけ~♪」
娘、また自己暗示をかけているようだ。痛いのを向こうの方へと飛ばし、飛んで行った方向を眺めながら続ける。

「あっち行った。痛いの、あっち飛んで行った。」
そうか、そうか、良かったね。
痛くなくなったよ、とニコニコ笑顔の娘、彼女の言葉はさらに続く。

「痛いの飛んでった。あっち行った。「花ちゃん、バイバーイ」ってあっち飛んで行った。」
なんと痛み、君に挨拶してから飛んで行ったのか。ずい分、礼儀正しい痛みなんだな。




「半分こ、半分こ♪」
娘、おやつを食べながら歌っている。与えられたチーズを半分にしながら歌っている。
この歌は、しまじろうに出てくる歌。半分こにして二人で仲良く食べよう…という歌。

「半分こ、半分こ♪仲良く一人で食べようね♪」
二人で食べるんじゃないんかいっ!!!それ、仲良くでもなんでもないぞ。
てか、一人で食べるんなら半分にする必要ないじゃないか。




好き嫌いの多い娘、豚汁の中身をほじるだけで食べようとしない。
ほら、里芋入ってるよ、食べなよ、美味しいよ。熱いから、ふーふーして食べなよ。

私の言葉を聞き、豚汁の中から里芋を掘り出して貪り食う娘。
君は、本当にイモ類が好きだなぁ。

そして暫く食べていると………

「ママ、ほら、里芋入ってるよ、食べなよ、美味しいよ。熱いよ、ふーふーして食べなよ。」
言われなくても知ってるって…つか、それ私が君に教えてあげた事じゃないか。
なんだか、私の売り上げ成績をネコババし、自分の手柄にしてしまったOL時代の上司を思い出すな。




「ママー、ママー。大変、花がー!!!」
食事を作っていると、娘が大変と叫びながらこっちにやって来た。
何事かと振り返ると、彼女の頭上にビニールボール。

「ママ、大変。ママ、大変。花の頭にボールがくっ付いた。」
確かに彼女の頭上には、ビニールのボールがあるけれど、それは娘が自分の手で頭に乗せているからで、当然くっ付いているわけではない。
しかし、娘は大真面目。いたって真顔である。

「ママ、大変!!!くっ付いた、くっ付いた。花の頭にボールがくっ付いた。うーん、取れない。」
娘よ、母は、君をお笑い芸人に育てたつもりは微塵もないぞ。

それにしても、私が料理を作っている最中は、なんとかして気をひこうと必死だが、こういう手でくるとはね。彼女なりに、色々考えているんだろうな。



娘、魔の2歳児。母にとって、彼女は、どんなお笑い芸人にも負けず劣らず面白い。











画像は、頭にボールがくっ付いたと証言する兄ちゃんちの花ちゃん(2)。






「花もトイレでおしっこするー。」
説明が面倒くさいので省略するが、娘と二人っきりの在宅時に私がトイレをする時、トイレの扉は開けっ放しだ。居間にいる娘は、それを娘侵入防止の柵越しに眺めている。
トイレを嫌がり、一向に進んでいないトイレトレーニングだが、何を思ったのか急にこの台詞。
どうしたい、あんなにトイレを拒絶していたというのに。
そして驚いている私を尻目に一人でサッサとタイツとスカートを脱いでしまった。

おお、これはどうしたことだい。
慌てて自分の後始末をし、本当にトイレでおしっこするの?と聞きながら彼女のオムツを外す。「する」という娘の言葉を信じ、しまじろうの補助便座の上に座らせた。

暫しそのまま待ってみたが、出なかった。うん、まぁ、こんなもんだろう。
じゃぁ、お終いにしようかという私の言葉に、トイレットペーパーを取り出し、まるで本当に股間を拭いているかのような仕草をする娘。
へぇ、母がトイレの扉を開けっぱなしにしていた効果か、これは。

トイレを出、手を洗わせ、少々大袈裟なほどに褒めてやる。誇らしげな表情の娘。ふむ。


このまますんなりいくとは思えないが、大きな一歩だよな、これは。

1月21日(日)
「花、もうオッパイいらない。オッパイ止める。」
娘、突然のオッパイ卒業宣言。

まぁ、この台詞は、突然彼女が言い出したわけではなく、私の「オッパイ止めようか?」という問い掛けに返事をしただけなのだが。
しかし、ここにいたるまで何度も「オッパイ止めようか?」という問い掛けはしており、その度に娘は聞こえないふりを決め込んだり、微妙な顔つきで私を見つめ返すだけで、一度たりともこの問いに返事をした事はなかった。

驚いた。こちらから言い出した事だが、まさか娘が「止める」なんて言うとは微塵も思っておらず、「本当にいいの?」と聞き返してしまった。

思えば水芸の如く噴射する母乳のおかげで、完全母乳で育児をしてきた。
低月齢の頃から愚図愚図泣いてばかりいた娘に対抗できたのも、この湧き乳があったからこそ。
愚図愚図大魔王娘を黙らせるには、その口に乳首を突っ込むしか他に手立てがなかった。
そして娘ももう2年4ヶ月となり、とっくの昔に卒乳していていい歳。量も期間も他の子の倍以上飲んでいるはずだ。
もう充分じゃないか。
でも、その日がこんなにも急に来るとは………。
いつ止める日が来ても後悔はないと思っていた………が……………なんだろう、この脱力したような、ほっと安心したような、それでいて寂しいような気持ちは…。
それにしても、昨日はトイレでオシッコすると言い出し、今日は卒乳宣言。
なんだか彼女が急に大人になった気がする。



「オッパイいらない。止める。」
就寝準備が整い、二人で寝室へと向かう途中に娘が言う。そうか、そこまで決心したのなら、母は、何も言わないよ。
今までありがとう。イッパイ飲んでくれて、ありがとう。





娘を定位置に寝転ろばせ、私もその隣に体を横たえる。そして二人の体の上に布団をかける。布団越しに伝わる娘の体温が心地良い。
さぁ、オッパイのないネンネタイムの始まりだ。






「ママ、オッパイ飲む。」
え?オッパイ止めるんじゃなかったの?

「オッパイ、オッパイ!!!」
さぁ、乳首を出せよと目をキラキラさせて待っている。
オッパイ、止めるんじゃなかったのかよ?

「オッパイ、オッパイ!!!!。オッパイ飲んでネンネするーーー!!!うわぁーーんっ!!!
お前ってやつは………ものの数分もせずに宣言撤回かよ、まるで我が配偶者のグアム旅行撤回宣言並の早さじゃないか。




さて、トイレの方ですが、隠れて踏ん張っている娘を捕まえ、トイレに行こうと誘ってみたが泣いて断固拒否。「うんこしてるんだから、あっち行って」と言われてしまった。トイレでしてくれよ…
その後私が用を足している最中に「花もトイレでおしっこする」と言い出したので補助便座の上に座らせてみたが、どうやら彼女はトイレでおしっこするよりも、トイレットペーパーをクルクルと悪戯するのが目的の様子。
チョロリたりとも出す気配なし。やれやれ。



娘、魔の2歳児。愚図愚図甘ったれ娘が大人になるのは、まだまだまだまだ先のようで。

1月22日(月)
我が家のソファーには、行く予定もない国の旅行パンフレットが散らばっている。
旅行に行く予定がない時もついつい店頭から持って帰ってしまうのだが、脳内旅行を楽しむにはなくてはならない品である。

今日も新しいパンフを手に入れてきた。だが、今回はいつもと違い国内旅行のパンフ。
我が配偶者が突如言い出したグアム旅行、それをあっさり撤回してくれたおかげで、私の「どっか楽しいところに行きたい病」は、猛烈ピーク。だったらせめて温泉旅行くらい…と資料集めをしてきたというわけだ。


「何かいいところあった?」
そんな私の集めてきた旅行パンフを手に取り眺める我が配偶者。すると私が返事する暇もなく、我々夫婦の会話に割って入ってきたのは我が愛娘花。

「パパ、それママのえっふぉん!!!読んだらダーメ。」
父親の手から旅行パンフを取り上げる娘、それはママの絵本なんだから、パパが読んだら駄目でしょと主張。



よく見てやがんなー。そうだよな、最近の私ときたら、暇さえあれば旅行パンフばかり眺めていたもんな。
そういえば、「構ってくれ」とまとわりつく娘に「後でね~」なんて言って遊んでやらなかった事もあったっけ。
ごめんよ…と反省しつつも、母のささやかな楽しみ、唯一のストレス発散を奪わないでくれよと思ってしまうあたりが駄目母たる所以。

1月23日(火)
「うわーい、ペネロペいっぱーい。アラジンもいるぅ。ストロンボリもー。」

昨日の事だが、我がサイトの掲示板にも時折書き込みをしてくれる"ますに"から電話が掛かってきた。
彼女は、サッカー観戦仲間なのだが、私の引越しにより物理的距離が発生し、さらには出産・育児に追われる日々で、最近の交流はもっぱらネットのみ。
そんな彼女が久しぶりに電話掛けてきたのだから、何事だろうと思わず身構えたが……

「なんか、ペネロペがいっぱいあるんだけど?!あ、今、東京駅。」
私の娘が三度の飯よりペネロペ好きだという事実を、このサイトを読んで知っている彼女は、偶然遭遇したペネロペの山に驚いて電話をしてきてくれたというわけだ。
持つべきものは、友達だなぁ。

娘のために、ペネロペを捕獲してくれるという彼女の好意に甘え、こちらではなかなか手に入らないヌイグルミをお願いした。
その荷物が今日早速届いたのだが、封を開けてみてビックリ。出てくるわ、出てくるわ、ペネロペ達。
お願いしたヌイグルミは勿論、キーホルダー、ペンシル、ノート、そしてポストカード。ごっそりと出てきましたよ。

突然のプレゼント、ペネロペの山に娘は大興奮。大喜びで遊んでいる。ヌイグルミについていたタグ(ペネロペのイラスト入り)まで大事そうに抱えているから笑える。

「ペネロペ、ますにがくれた。「花ちゃん、ハイ、どーぞ」ってくれた。」
ペネロペの山を前に、これは、ますにがプレゼントしてくれたんだよ、と伝えたのだが、なんかちょっと違う。しかも、「ハイ、どーぞ」の部分では、ご丁寧に両手を前に差し出すという振り付き。
ますにがくれた…と理解はしているようだから、まぁ、いいか。(いいよね?)


「花、ペネロペと一緒にお仕事行ってくる~。行ってきまーす。」
ペネロペとごっこ遊びに勤しむ娘。彼女とペネロペの仕事って、一体なんなんだろうなぁ。



こうして娘は、一日中ペネロペと遊んで過ごしたのだが……

「ペネロペがベッドにいる!!!」
娘、ベッドの枕元に置いてあるペネロペを発見して怒る。
いや、君がそこに放置していたんだろうて。
怒った娘は、ペネロペ達を抱き上げ、それぞれ定位置と思われる場所に戻していった。
そして何故かキーホルダーの格納場所はお弁当箱の中らしい。
オママゴト用のオニギリやブロッコリーと共にお弁当箱の中に鎮座するペネロペ……いいけど、なんで一緒に寝ないんだ?てっきり一緒にネンネすると思っていたのに。
うーん、娘の心は、親の私にもよう分からん。


それにしても、本当に友達ってありがたい。本当にありがとう、ますに。




さて、友達といえば………。

このシベリアの地に越してきて早三年目。
だがしかし、未だに友達と呼べる存在がいない。


ベビースイミングや幼児英会話スクールで、顔を合わせれば挨拶に二言三言と言葉を交わすママさんはいるものの、お互いの家を行き来したりだとか、一緒に公園に出掛けたりするような仲ではない。
なんというか、やっぱりどうしても「子育て中の母親」という共通点しか持たない人と、長く会話をするのが苦痛なのである。
それに私は、あまり喋るのが好きじゃなく、どちらかというと相手が話しているのをウンウンと聞いているだけの方が楽だし、そっちの方が楽しい性分。
話し掛けられれば受け答えするが、こちらから話題を振ったりするのは無理。会話が続かない。何人かが輪になって話している中に突撃していくなんて、とんでもない。
なので、お互い競うようにしてマシンガントークを交わしているママ友達の姿を見ると、心底凄いな…と尊敬すらしてしまうんだ。

さて、今日は、1週間ぶりにスイミングに参加したのだが、娘の新しい水着を見て何人かのママさんが「その水着、凄い可愛いねー」と喋り掛けてきた。
だが、やっぱり、どうにもこうにもその後の会話が続かない。

気の利いた会話すら出来ない、そんな自分が嫌にもなるが、気を使ってまで話したくもないという思いもある。
無理して話をするのがストレスなんだ。黙っている事は、苦痛ではない。
結果、誰とも喋らず過ごしてしまう。
レッスン終了後のジャグジータイムでは、ママ達の井戸端会議の場と化してしまうのだが、毎回私一人が押し黙ったままボケーっとしているのである。
よく喋るなぁ~、と、他のママさんを観察している嫌らしい人間なのである。
浮いている存在である事は自覚しているし、コミュニケーション能力に欠けているとも自覚している。
だけど、これが私の性格、仕方ない。

そうそう、公園も相変わらず苦手。群れているママさん達を見掛けると、ついつい距離をとってしまう。
公園ママの事は、スイミングママの何億倍も苦手なんだ。
たまたま居合わせた人々、次はいつ会うやもしれぬ人と話をするのは心底苦痛。なんで見知らぬ人を相手に、愛想笑いで会話を交わさなきゃならんのだ。
正直言うと、スイミングや英会話に通っているのは、公園に出掛けずとも娘に運動させられるという下心が少なからずある。
だからスイミングに週三回通っている事を「凄いねー」等と褒められると、物凄く後ろめたかったりする。いや、コミュニケーション能力に欠けているだけだから…と恐縮してしまう。

だけど、繰り返しになるけれど、これが私の性格、仕方がない。
保健師達は、口を揃えて「ママ友を作りなさい」と言ったけれど、やっぱり私には無理。
コミュニケーション能力欠落母でも、育児はそれなりに出来ている(多分)からいいじゃないか。



と、思っていたのだけれど…………。

「お友達、いっぱいるから嫌だ。」
出掛けたとあるプレイスペース。そこには娘の喜びそうな遊戯物やオモチャが沢山並んでおり、ここなら楽しく遊べるだろうと思ったのだが、彼女はそこに足を踏み入れる事すら拒んだ。
その理由が「お友達がいっぱいいるから」。

確かにそこには、上は小学校低学年から、下はヨチヨチと歩き始めたばかり子が沢山いた。
娘は、大好きな遊戯物やオモチャの魅力よりも、子どもが沢山いるから嫌だという気持ちが勝っているのだ。
いいじゃない、遊んでおいでよ、と語り掛ける親の手を振り払い、ジリジリと後ずさり。
遊びたい、遊びたいけど、いっぱい人がいるから嫌だという彼女の姿。
それは、まんま母である私の姿だ。
沢山ママさん達がいるから公園には行きたくないと、人気の少ない所ばかり選んでいる私の姿だ。



気付けば、娘も今年で3歳。まだまだ先だと思っていた七五三の歳があっという間にやってきた。
この調子であっという間に時は過ぎ、来年の春には幼稚園入学。
なのにいいのか、こんな調子でいいのか。こんな有様で、集団生活に馴染めるのか。幼稚園は、お友達がいっぱいだから嫌だとか言い出しやしないだろうか。
今まで別にいいや…と思っていたコミュニケーション能力の欠落という欠陥が、ここにきて重たくのしかかってきたぞ。
でも、だからといって、やっぱりあの輪の中でマシンガントークを繰り広げる勇気も気力も微塵もないんだよな。
育児の悩み、コンプレックスは色々あれど、これは本当に頭が痛いよ。

1月24日(水)
風邪、悪化。
熱もないし、元気なのだが、如何せん咳が酷い。
どんだけ酷いかというと、昨晩は、咳き込みが酷くて殆ど眠れなかったし、たまに咳き込みすぎて吐いてしまうほど。
こりゃ、スイミングどころの話じゃない!!!
娘を保育室へ預け、その足で病院へ。
あ、風邪が悪化したのは、娘ではなく私。若い頃と違って、無理がきかなくなったもんだとシミジミ実感。とほほ。


内科の病院で受付を済ませ、待ち時間の間に二軒の金融機関をハシゴし家賃等の支払いを済ませ、そのまま眼科の病院へ。(ただ今、アレルギーで通院中)
シベリア無法地帯の寒空の下、実に狭いエリアを駆け巡る。
すると、何故か娘と同じような年月齢の子どもと母親の姿ばかりが目に付いてしまって仕方ない。

母親に連れられ、手を引かれている小さい人間、娘と同じくらいの子ども。
なんだかその姿というか、母親と子どもの大きさの違いとか、母と子が二人で奏でるオーラ、その独特な雰囲気が可笑しくって仕方がないんだ。
可笑しいといっても、アハハ!!!という気持ちではなく、なんだか心がポーっと温かくなるような気持ちがこみ上げ、自然に笑顔になってしまう可笑しさ。
でも、そうだ、あの姿、あの光景、あの雰囲気、いつもは私と娘も醸し出しているんだよな。



計画的に行動したおかげで、昼からはゆっくり出来た。まぁ、一度薬を飲んだくらいでは咳は治まらないが。
そしてあっという間に娘を迎えに行く時間がやってきた。


「おじちゃん、お仕事してる。おじちゃん、頑張って一生懸命お仕事している。」
保育室からの帰り道、今日の出来事をあれこれ話しながらの帰り道、スーパーの横を通りがかると、商品を搬入しているおじさんがいた。
娘は今日の出来事報告を止め、おじさんの仕事ぶりに見入る。おじさんは、仕事の手を止め、「こんにちは」と娘に笑いかけた。
すると驚いた娘は、慌てて私の陰に隠れてしまった。
少し申し訳ない気持ちでおじさんに軽く会釈をする私。ニコニコと笑い続けるおじさん。
そうだ、おじさんのこの笑顔は、心がポーっと温かくなるような気持ちがこみ上げ、自然に出た笑顔だ。


今回、通院が理由で娘と暫し離れていたわけだが、この短い時間で今現在の自分が幸せなのだと改めて実感した。
悩み、ストレス、コンプレックス、睡眠不足に自分の時間が持てない事。色々苦労はあるけれど、やっぱり幸せなんだよな。
娘よ、君が私のところにやってきてくれて、嬉しいよ。



なんて思った事は、舌の根も乾かぬうちに…………
「こら、待ちなさい!!!!裸んぼうでウロウロしたら、風邪ひいちゃうでしょ!!!」

今の時期のシベリア無法地帯は、寒いというより冷たい。九州育ちの私には、耐えられない冷たさ。
だからお風呂で温まって、そのまま娘と寝てしまおうと目論んでいたのだが、甘かった、甘納豆くらい甘かった。
だいたい、娘と一緒の入浴で温まろうなんてのが無理なんだ。それに入浴後は、バスタオル一枚体に巻きつけた状態で娘の身支度を整えてやらなきゃいけないんだから。
こら、だから、ジっとしてろって!!!!!キイイイイイイイイィィィィィィッ!!!

結局、入浴後ものの数分もしないうちに体は冷え冷えに……はぁ…。



幸せなんだけど、やっぱり辛いよ。早く風邪を治さねば。
母親業に休みなし。

1月25日(木)
「グリーンとパーポー!!!」
今日は幼児英会話の日。私の風邪具合はまだ回復しておらず、仕事を途中で切り上げてきた我が配偶者が娘を連れて参加してくれた。
英会話レッスンの一回あたりの月謝って、スイミングの何十倍もするから休みたくなかったんだよね。
娘も父親と参加したのが楽しかったらしく、ずい分とご機嫌だ。「パパとエビシー踊った」とご機嫌で報告してくれた。
それで今日は何色を習ったの?と訊ねたら、実に良い発音で答えてくれた。ほぉ、ちゃんと先生の言葉を聞いているんだねぇ。

さて、話は全く変わるが、Jリーグの試合日程が発表された。
昨年までは、娘を連れてのスタジアム観戦は無理だと諦めていたが、今年からはやりますよ。スタジアム復帰するのです。とりあえず、近場から遠征する予定。(ああ、遠征ってなんだか懐かしい響き)
先ずは、ウィング(兵庫)、ビックアーチ(広島)、万博(大阪)辺りから狙ってみるつもり。あ、ビックアイ(大分)もいいわね、温泉アウェイ。

日程表と我が配偶者のスケジュール等を照らし合わせて、観戦可能な試合をチェック。
うーん、なんだかOL時代を思い出すぞ。あの頃は、試合と仕事のスケジュールを調整しては出掛けていたんだよな。
でも、あの頃と一番違うのは…………

「あー、ウィングスタ、ナイトゲームだよ。こんな寒い季節なのに。」
そう、娘を連れてのナイトゲームは、無理なのだ。いくら宵っ張りで夜中まで起きているとはいえ、予定通りに試合が終了しても午後9時。それからどんなに頑張って急いで帰宅しても10時半、それからお風呂して………うん、無理。
幼児連れにナイトゲームは、やっぱり無理だよ!!!

デイゲームが開催されそうな気候の時期は限られている。広島も万博も……多分ナイトゲームだな、こりゃ。


子どもが産まれると、なにかと行動が制限されがち。今年もサッカー観戦は、難しそう。娘のスタジアムデビューは、いつになるんだろうなぁ。
(鹿島の試合に限らなければ、いつでもデビュー出来るんだろうけど)

1月26日(金)
風邪を悪化させてからというもの、娘の寝付かせ作業と同時に私も寝る事にしている。後片付け等の家事は、とりあえず放置だ。
なんだかんだ言ったって、風邪に一番有効なのは、睡眠だからな。
とは言うものの、一向に良くならない私の咳風邪。それもそのはず、ちっとも早く眠れていないんだから…。

薬の影響で、眠気はすぐにやってくる。そんな私の睡眠を邪魔するのは、他の誰でもない、我が愛娘花。
恐ろしく寝つきの悪い彼女、絶妙のタイミングでゴソゴソやりだす。娘の寝つきの悪さは、元々私からの遺伝。寝つきの悪い私は、彼女のゴソゴソで容易く眠りの入り口から引き戻されてしまう。
「寝なさい!!」という私の喝に、暫くは大人しくなる娘だが、これまた見計らったかのように私がウトウトしだすとゴソゴソゴソ…私、寝損ねる、そして怒る。娘、大人しくなる。再び私がウトウトしだすとゴソゴソゴソ…(以下、無限ループ)。
こんな調子で、日付が変わる。結局ちっとも早く眠れやしない。これじゃ、家事を済ませてから寝てもたいして違わないじゃないか。
そして、翌朝私を迎えてくれるのは、散らかりっ放しの台所。我が配偶者、食ったら食いっ放し。
その光景にますます風邪が悪化………しているような気がする。


愛しき家族よ、配偶者よ、娘よ。妻は、母は、とってもとってもとってもとってもとっても疲れているよ。うがー。

1月27日(土)
日に日に娘の言葉、というか喋り方が生意気になっていくような気がする。


昼食時、まだ台所で忙しく働く我が配偶者を尻目に母と娘は、ピザを食べ始める。
すると娘が一言。
「ママ、熱いよ。用心して食べてね。」

彼女のこの忠告に、生意気な発言をするようになったものだと半分笑いつつ、半分呆れつつピザを食べようとすると、娘がさらに一言。
「ママ、熱いからね。フーフーして食べな。」

君にそこまで世話してもらわにゃならぬほど、母は不自由していないぞ。



ピンポーン♪
夕食時に鳴ったインターフォン。この時間帯の訪問は、何か荷物が届いたか。
案の定、応対をした我が配偶者が印鑑片手に玄関へと向かった。

「花のお洋服かなぁ。」
娘の服の殆どは、GymboreeHanna Andersson の海外ネット通販物。彼女もそれを分かっているらしい。
自分のお洋服が届いたと思い込み、食事を中断している娘に「花の洋服は買ってないよ」と伝える。

「お野菜かなぁ。」
すっかり定着したお取り寄せ野菜。定期的に注文している事を彼女も知っている。
野菜が来たと思い込み、食事を中断している娘に「野菜はお願いしていないよ」と伝える。

「分かった。新聞の集金じゃない?」
この発言に食べていたグラタンを思わず噴出しそうになる。
集金がきたと思い込み、食事を中断している娘に「新聞の集金は、昨日きたよ」と伝える。



娘、魔の2歳児。心身共に発達著しいこの頃。
それにしても、新聞の集金なんて言葉を知っていたとは、親の私もビックリだ。


久しぶりに隆行を見た。(Fマリ入団会見)
笑い飯になっていた。

1月28日(日)
育児。それは、娘の起床と共に始まり、娘の就寝で終わる。
一日最後にして最大の育児、娘の寝付かせ作業。時に2時間以上にも及ぶその過酷な任務は、私の神経をすり減らすだけでなく、私自身の時間さえも奪っていく。
苦痛、苦痛だ。これは、一体何の修行、荒行か。真っ暗闇の寝室で、何もせず、何も出来ず、ただ只管娘が寝付くのを待つ。辛い、辛すぎる。

日々、そんな苦行に耐える私に、我が配偶者が何やらプレゼントをくれた。
娘を寝付かせる時に使うといいよと、手渡してくれたそれは、手の平にすっぽりと納まる小さな機械。これ、なんと、音楽を聞く事が出来るらしい。
へぇ、最近の音響機器って凄いんだねぇ。で、この小さい物体にどうやってCDやMDを挿入するのさ?

機械音痴の私、この装置の仕組みってのはサッパリ分からない。なんとか使い方は覚えたものの、音源をどう仕込めばいいのやらとんと検討がつかない。どうなってんだ?これ。
そうこうしているうちに、我が配偶者は、私のリクエストしたタヒチの結婚式で歌われるというダンスミュージック集を入れ込んでくれた。(娘の背中をトントンする手がポリネシアンダンスのリズムになってしまうのはご愛嬌)
おお、ありがとう配偶者よ。そうか、自分で労せずとも君にお願いしてしまえば全て解決だね。
じゃぁ、次は一体何をお願いしようかしらね………



「ゆ様、ゆ様。いいの見つけたから入れといたよ。」
気が利く我が配偶者、私がリクエストする前に何やら音源を仕組んでくれた模様。
おお、それは、ありがたい。君は、本当に気の利くヤツだ…と再生ボタンを押してみる。


♪甘いとき、弾む心~♪一夜のきらめきに揺れる~♪
突如流れてきた、もんたの歌声に思わず動揺。な、なに、コレ……。
すぐにもんたをスキップし、次の曲の再生をスタート。

♪子ども達が♪空に向かいー♪両手をひーろげー♪鳥や雲や夢までもつかもうとしていーるー♪
こ、これは…久保田早紀。空で歌えるのがやや悲しい異邦人。
密かに歌詞を口ずさみつつも、保田をスキップし、次の曲の再生をスタート。

♪曇りガラスの向こうは風の街♪問わず語りの心が切ないね♪枯葉一つの重さもない命♪あなたーを失ってからぁ~♪
これは、これは、お懐かしい、寺尾 聰。
なんか既に嫌な予感がするのだが……めげずに次の曲の再生スタート。

♪あーあー♪果てしないー♪
クリスタルキングかいっ!!!


曲をスキップすればするほど、険しくなっていく私の表情。次々現れる曲、スニーカーぶるーす/近藤真彦、ハイスクールララバイ/イモ欽トリオ、メモリーグラス/堀江 淳、止めはRomanticが止まらない/C-C-B。

「ね?ね?いいでしょう?」
すっかり不機嫌になった私に気付こうともせず、得意げな表情の我が配偶者。
それがまるで娘が一人でお方付けをした後に、「花、一人で出来たよ?凄いでしょ」と自慢げにしている時と全く同じ顔をしていやがる。していやがるんだ。
バカやろぉ~!!!(by.近藤真彦/ブルージーンズメモリー)




我が配偶者が仕入れてきた青春歌年鑑80年代総集編は、その後削除されてしまったのは言うまでもない。
そして彼には、「山本リンダ」と「アン・ルイス」を入手せよという指令がくだされたのであった。
ハイ、そこー。我が配偶者チョイスも、ゆ様チョイスも大差ないとか言わない。

1月29日(月)
今日、明日と我が配偶者は出張で留守。愚図愚図大魔王娘と二人きり、がっつり四つに組むクソ寒い月曜日。


「ピョーンピョーン♪象さん♪」
今日はいつも行く近所のスーパーとは違う少し離れた位置にあるスーパーへ行った。少し離れたとは言っても、私一人で出掛けるのならものの10分もせずに到着する距離。
そんな程よい距離をゆるゆると、娘と手を繋ぎ、散歩がてらのお買い物。彼女は、何やらご機嫌に歌を歌っている。
これは、大好きなペネロペの歌だ。

「ピョーンピョーン♪象さん♪」
えぇ?象さんがピョンピョン?なんか違うんじゃない?

「あれぇ、間違えちゃった。えーっと…ピョーンピョーンは、そうだ、ウサギさん!!!ピョーンピョーン♪ウサギさん♪」

♪ピョーンピョーン♪ウサギさん♪すーいすーい♪魚さん♪ニョーロニョーロ♪蛇さん♪ヒーラヒーラ♪蝶々さん♪
物語中、ペネロペが歌う歌の正しくはこうなのだが、そこは「うっかりもの」のペネロペ。彼女は歌詞を間違えながら、それを徐々に訂正しながら歌っていくのであった。
娘は、それを忠実に再現しているのだ。

NHKでの放送は終了したペネロペだが、我が配偶者が全26話を仕入れてきた。それを先日見せた所、娘は、すっかり内容を覚えてしまったのだ。繰り返し見せたわけではなく、一度見せただけなのに大した記憶力だ。
娘の忠実な再現は続く。

「すーいすーい♪ねーこさん♪」
えぇ?猫さんは、お水が嫌いなんじゃない?

「あれぇ、間違えちゃった。えーっと…スーイスーイは、なんだっけ。そうだ、魚さん!!!スーイスーイ♪魚さん♪」
娘と私のまるで漫才みたいなペネロペ再現ごっこは続く。

「ニョーロニョーロ♪ひつじさん♪」
えぇ?なんか、それ、気持ち悪いよ……。

「あれぇ、また間違えちゃった。えーっと…ニョロニョロは、なんだっけなぁ。あ、そうだ、蛇さん!!!ニョーロニョーロ♪へーびさん♪」
こうして一通り間違った後、ようやく正しい歌を歌い始める娘。これも、まんまペネロペの再現だ。

「ピョーンピョーン♪ウサギさん♪スーイスーイ♪魚さん♪ニョーロニョーロ♪へーびさん♪ヒーラヒーラ♪蝶々さん♪タタタタって走る♪元気なロペロペー♪」
最後のペネロペの部分が何故か「ロペロペ」になるのはご愛嬌。

「花、じょーずに歌えた。」
娘、自画自賛。そうだね、とっても上手に歌えたね。


こうして二度ほどペネロペの再現ごっこを楽しんで、ようやく目的のスーパーへと到着。ただの日常品のお買い物なのに、その道中がこんなに楽しいとはね。
私の手を握り、私の顔を見上げながら、ニコニコ笑いつつ歌を歌う娘のなんと可愛い事よ。
愚図愚図と訳もなく泣き喚いたり、夜ちっとも寝てくれなかったり、そんな時は、「このヤロー!!!」って思う事もあるけれど、育児にはこういう堪らなく可愛いシーンがあったりするから、頑張れたりしているんだよな。
ン?なんだか私って、娘が与える飴と鞭に、体良く使われているみたいだな。まぁ、いいか。
それにしても、ただ寝転がっていただけの生命体が、こんなに上手に歌を歌えるようになるとは。なんだか感慨深いね。

1月30日(火)
そうだ、学校。娘が通う学校。流石に日本人学校なんてのは存在しないだろうから、現地の学校に通わせるしかないよな。
英会話スクールに通っているとはいえ、言葉は全然通じないよな。幼児英会話スクールなんて、お遊びに短い毛が生えた程度のものなんだから。
じゃぁ、自宅学習…??でも、それって、楽しくないだろうな。やっぱり、学校で皆と学び遊んでこその学校だもの。
いや、娘だけじゃないよ。私の言葉もだ。私の英語力なんて、娘のそれに毛が少々生えた程度だもの。それに英語だけじゃないぞ、フランス語と現地語も学ばなきゃいけないんじゃなかろうか。
あ、それに日焼け対策。日焼け止めクリームなんて塗っても無駄なんだろうな。娘は、数日もしないうちに真っ黒になっちゃうだろう。
あー、うー、悩みは尽きないなぁ。



一日最大にして最後の育児、娘の寝付かせ作業。我が配偶者からのプレゼントにより、作業中はタヒチアンミュージックを聞いている。
太陽の匂いがしそうな独特のリズム、ターコイズブルーの海と真っ青な空を連想させるタヒチアンの歌声、タヒチの風のような太鼓の音、そして時折混ざる波の音。
それを聞いていると、アレコレ妄想してしまうんだ。

今日の妄想ネタは、我が配偶者が仕事でタヒチに赴任する事になったら----。
無駄、あまりにも無駄で馬鹿馬鹿し過ぎる妄想だ。だが、無駄で馬鹿馬鹿し過ぎるほど、妄想のし甲斐があるってもんだ。
ブラボー妄想。イヤッホー妄想。

所でね、鬼に笑われるどころか、鬼にダンスパーティ開かれてしまいそうな勢いの話なんだけど、決意表明(貯金意欲増進目的)のために、ここで一つ宣言しておくわ。
結婚10周年には、家族でタヒチ旅行するぞ!!!
タヒチって、子ども割引が無いに等しいんだよね。頑張って三人分の旅費、貯めねば。


「ウサギさんと白いのパパのトコにネンネさせよう。」
昨晩、寝付かせ作業に突入直前に「今日、パパは帰ってこないよ」と娘に伝えた。すると、娘、その言葉の意味をどう理解したのか、突然我が配偶者のベッドであるエアーベッドの上にヌイグルミ達を並べ、優しくそーっと布団を掛けてやるのだった。
*白いの=あざらしのゴマちゃん

ふぅん、じゃぁ、ピングーも一緒にネンネさせたら?
たまたま近くにあったペンギンのヌイグルミを拾い上げ、娘が並べたヌイグルミの横に寝かせてみた。

「ダーメ、ピングーは、花とネンネ。」
娘、ペンギンのヌイグルミを大慌てて抱き上げ、自分の寝るベッドへと移動させた。
ふむ、先日、あんなに可愛がっているペネロペのヌイグルミがベッドで寝ていると怒ってみたりしたが、彼女のヌイグルミに対する基準って何なんだろうな。

始まりはエルモ。そこにしまじろう、歯磨き像さん、着物ミニーちゃん、沖縄亀さんが加わった。さらにその後、クマさんが加わり、ラベンダーキティちゃんが加わり、一体どこまで増えるのだろうと思われた就寝のお供達。
所がそれ以降が全く増えない。RODYのヌイグルミやら、ペネロペやら、一日中抱きかかえて歩き、物凄く大事にしているのにベッドで共に眠るのは許さないんだよな。
娘のヌイグルミに対する判断基準、親の私にもさっぱり分からん。

1月31日(水)
本日、我が配偶者は仕事が休みで在宅。娘を彼に託し、久しぶりに美容室へ行ってきた。

シベリア無法地帯に越してきて早3年目。未だに行きつけの美容室に巡り会えない。そんな難しい要求はしていないのだが、ココなら安心!!!な所に辿り付けないでいるんだ。
私が美容室に求めているのは、

●デジタルパーマをやっている事
●「スイカが入ってるみたいですねー」とか「僕が産まれた時は、とてつもない難産で、母は死に掛けました」等の無神経な言葉を後期妊婦に投げかける美容師がいない事
●「週刊朝日」や「週間芸能」「SPA!!」などの雑誌を持ってくる美容師がいない事
●責任者と他のスタッフの意思疎通がなされている美容室である事
●一人で意味不明な会話を喋り続けるオバちゃん美容師がいない事
●揃えるだけと伝えたのに、がっつり10センチ切ってくれる美容師がいない事

どう考えても、無理な注文じゃないと思うんだけどなぁ。


それでもここはシベリア無法地帯。所謂田舎。デジタルパーマの時点で選択の余地がグっと狭まってしまう。
これはもうデジタルパーマを諦めるしかないのかと思っていた頃、無料の地域情報冊子が届いた。その冊子で見つけたデジタルパーマをやっているという美容院に今日は行ってみたのだ。



出掛けた感想だが、あれこれ書いていたが全部消した。これは、もう面倒くさい説明は不要だと思ったからだ。手短にズバっといきます。

感想、「小汚い」。

店も小汚ければ、スタッフも小汚い。いつ掃除したんだろうと思われる床に散らばる埃まみれの髪の毛。枯れた観葉植物。
そこにいるのは、小汚い40代後半男性と、小汚い30代前半男性が二人きりで切り盛りしているお店。二人とも色のあせた小汚いトレーナーに身を包み、小汚い無精ひげを生やしていた。
今、流行のお店の中でミラーボールが乱反射していたり、スタッフがやけに気張って着飾っている店とは対極の位置にある店だ。
だけど、私は、今後この店に通う事を決めた。
ポイントは、スタッフが全員(といっても責任者を含め、二人しか居ないんだけど)無口なのがいい。必要な事以外殆ど口を開かない。そして必要事項を話し掛けてくる時、何故かタメ口なのが楽でいい。
それに変な雑誌を持ってきたりもしなかったし、何より言った通りに仕上げてくれて、その腕も文句なし。
かなり少々小汚いのは、目をつぶりますよ。




「パパ、どこ行こう。パパ、花と二人でどこ行こう。」
美容院までは我が配偶者が車で送ってくれた。そして私が車を降りた途端、娘は、ウキウキと父をドライブに誘ったのだとか。
娘、小さくても女でいやがる。ママの居ぬ間にパパと楽しく過ごそうってか。なんか、ママは、邪魔者みたいだな。

さて、邪魔者母親が不在の間、娘は……………








父と二人でお菓子作りをしたり、










父と二人で洗濯物を取り込んだりして楽しく過ごしたようです。
母はいなくとも、娘は楽しく…か。

あ、こちらの画像は、父が取り込んだ洗濯物を何故か全て着込んでしまった娘で御座います。パジャマ用の靴下付きカバーオールの足の部分に手を通し、変な風に被ったものだから顔が出てこなくて困っている所。
やれやれ、一体何を考えているのやら。

娘、魔の2歳児。大人の女のような台詞と、子ども特有のわけの分からない行動。両方を併せ持つ年頃。