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03.5.5
回想エッセー
[5] 

みちのくロマン「夢の花吹雪」オフ会

【弘前駅に集合、てちさんとも再会】

4月29日の午後2時半すぎ、今にも降りそうな空を仰ぎ、傘を持って弘前駅へ。

駅入り口を入ると、桜模様のシャツを着たsakuraさんがにこやかに立っていた。
ほどなく手さげかごを抱えたポンコさんがやってきた。
2時50分すぎ、改札の前で待っていると、ペコンとお辞儀をする女性。
なんと、となさんではないですか。

そうしてるうちに、てちさんの乗った八戸からの特急つがるが、ホームに滑り込んできた。
改札の混雑が途切れても、それらしき人の姿が見えず。
これは・・と思っていたら、出てきました。ちょっと乗車券に不具合があったとのこと。

「いや〜、よぐ来てくれました」と、あいさつもそこそこに駅を出る。
どうも雲行きがあやしい。「てちさん、雨を連れてきたかな」。
とにかく弘前公園へということで、バスに乗った。


【てちさん、いざ弘前へ】

3月末の関東、自称雨女のてちさん、雨にたたられたこともあり、思うように桜が見れなかったと言う。
「ぁあぁ、残念」と悔しがるてちさんに、「4月末に弘前に来たら」と声を掛けると、「行きたいなー」。
「行きたい」から「行きます」に変わるのに、それほど時間は掛からなかった。

日時は自分の都合に合わせるという。
よーし、それじゃぁせっかくだから、みちのくロマン「夢の花吹雪」オフ会やるぞー。
27日までは統一地方選挙でどうにもならないため、花のチャンスを29日「みどりの日」に賭けた。
それにしても、きっと「花吹雪」も見られるだろうと容易に想像がついた。

宿も確保でき、てちさんの方は切符がうまく取れたという。
あとは29日午前9時56分、東京駅から八戸行きの新幹線はやて9号に乗るだけ。
その日の朝、てちさんから携帯に「これからはやてに乗ります」というに電話があった。


【ピンクの花じゅうたんに迎えられ】

バスは弘前公園の東門に到着。
予想通り、外堀はかなり散っていた。

     

バスを降りてお堀端に立つと、すかさず歓声が上がった。
なんと水面一面がピンクの花じゅうたん。
花いかだという風流だけでは書き表せない、自然の演出に迎えられた。
ポンコさんはカメラ片手に大忙し。

その外堀を歩き、自分の会社の前も通って追手門に。
カメラライブで約束した定位置についたのは、約束の午後4時15分前だった。
とりあえず、みんなで手を振ったり、ピースをしたりして門から園内に入った。


【元気なてちさん】

とにかくてちさんは元気だった。

昨年6月の玉川温泉で具合が悪くなったのを見てたので、どれくらい体力があるのか心配だった。
正直、弘前公園は広い。そこで念のため、公園内で無料貸出している車椅子を予約しておいた。
が、杞憂だった。てちさん元気に歩く歩く、そんな姿を見てうれしくなった。


【天気も上がり、本丸で花見のうたげ】

公園内はまだ満開を誇っている枝もたくさんあり、華やかさに彩られていた。
その花と人の波に導かれ、お城のある本丸へと上った。

空を見ると、なんとお日様の姿が。天気が上がり暖かい日差しに包まれた、絶好のお花見日和となった。

本丸は高台になっており、岩木山の眺望もバッチリ。桜はシダレザクラがまさに見ごろで、たくさんの団体や家族が桜の下でうたげを繰り広げている。
自分たち一行も、ちょうどよいシダレを見つけその下に敷物を広げた。

      

自分とsakuraさんがビールやおでんの買い出しに出掛けてる間、てちさんたちは寝転がって、シダレを眺めしばしの余韻に浸っていたという。周りは騒々しいのだが、そこはなんとも伸びやかな空間だ。

ポンコさん手作りのいなり寿司とフルーツサンド、キュウリ漬けを広げ、焼き鳥、おでんも加えてみんなで乾杯。車座になって花見のうたげが始まった。
ちょっとぬる目だったけど、ビールが旨かった。

とねっちさんから「オフ会に皆さんでどうぞ」といただいた知多半島名物の「いろいろせんべい」も肴にし、おしゃべりも尽きない。
たくさんおしゃべりをしたけど、何を話したんだっけ(^^ゞ。

気がついたらもう午後6時ころで、あたりが暗くなり始め、照明にも灯が入った。


【幻想美の夜桜】

本丸を下り、興行街へと足を運ぶ。

縁日の出店が両脇に次々と軒を並べ、灯りが軒下を照らす。
お化け屋敷やバイクの曲乗りなどの小屋からは、ひっきりなしに呼び込みの声。
舞台では、演芸が行われ津軽三味線が辺りに響きわたる。

そんな喧騒を進み、こちらの一行はいよいよクライマックスの西堀の「桜のトンネル」へと向かった。

出店と人の波が途切れ、スピーカーの音も遠くになったころ、西堀に出る。
目の前にはゆったりした湖面が広がり、思い思いにボートを漕ぐアベックや家族連れ。
辺りが夕闇に包まれた。

その堀端に満開の桜のトンネルが続いている。
ライトアップが、花の美しさと華やかさをより引き立たせ、幻想の世界へと誘ってくれる。

     

その中にみんなで溶け込み、幻想の世界の一員になった。
それぞれの顔も輝いていた。

トンネルを出て、出口に向かう。
この界隈はほとんど人通りがない。

その一画に、黒いお堀の湖面に映された、神秘の桜を見た。
実際の桜以上に優雅でミステリアス、吸い込まれそうになる。
静寂の中で、湖面に別世界をつくっていた。
てちさん、じっと湖面を見つめ、なかなか動かなかった。


【春ねぷた】

弘前公園を出て、商店街に向かった。
きょうは「じょっぱれ弘前」春ねぷたの出陣の日。
運行終点のねぷた小屋の前でねぷたを待つ。
ここで、ポンコさんととなさんが、名残惜しくも帰路につく。

てちさんとsakuraさんと3人で、縁石に腰を掛けて待っていると、聞こえてきました太鼓の音が。
その音は段々迫力を増し、いよいよ目の前に・・津軽じょっぱり太鼓がやってきた。
なんと太鼓の上にはあでやかな女性が3人、華麗なばちさばきを見せている。
下では太いばちを持った男が、夜空に響きわたる迫力の音を響かせていた。

     

その後に小さいねぷたや担ぎねぷたなども登場、最後は人並みをかき分けるように、ゆうゆうと勇壮な本ねぷたが人通りを圧倒した。
3人はただ口をあんぐり開けて見入るばかり。
そこへ、なんと雨が落ちてきたではないですか。

sakuraさんを駅まで送り、てちさんと宿へ。
ホテルの1階にある和食レストランで、飲みなおし。
ここでは地酒の冷酒で乾杯した。
てちさんには郷土料理「けの汁」も味わってもらった。


【青荷温泉へ】

2日目の30日は、朝から雨。
それにしても、きのうはよくもったものだと感謝。

2日目は十和田湖へ行こうかな、と思っていたがこの雨。
てちさんに聞いたら温泉もよいという。
いろいろ迷ったがランプの宿「青荷温泉」へ行くことにした。

朝、弘前駅でsakuraさんを拾い、インター駐車場でポンコさんと待ち合わせをして、十和田通りを走った。山々は若葉が萌え出し、ピンクの山桜があちこちに見えた。

はじめに津軽こけし館を見物。
1億円の純金こけしに直に触り、皆さんご満悦。
それにしても、きょうはきのうと打って変わり寒い。
やっぱり、温泉へ行こう。

青荷温泉はランプの宿として有名。
八甲田につながる山々に囲まれた山狭の秘湯といわれ、歌人、丹羽洋岳が開いた名湯。
南八甲田連峰の櫛ケ峰から流れる青荷渓流を望む、一件宿。
特に首都圏などの若い人たちが「癒やし」を求めて、訪れる宿でもある。

     

【露天風呂に大喜び】

そんな温泉なので、とにかく山の中。
車は曲がりくねった道をどこまでも、雲の中を行ってるようで、もやが立ちこめている。
国道から離れて約20分。ようやく行き着いた。

とにかく照明はランプだけ。
宿の中はランプが点いているが薄暗い。

大広間でくつろぎ、女性陣はおしゃべりに花。
自分はひとり、男風呂へ。雨で増水した青荷渓流を眺めながら、ゆっくり浸かった。
自分が上がるのと引き代えに、女性たちが風呂へ。

この風呂は一昨年に新しく出来たのだが、なんと女性風呂には露天もついているという。
一眠りしていると、皆さん上がってきた。
てちさん「極楽ごくらく」。もうちょっとで、湯あたりするところだったと笑う。
3人で釜の風呂にも入ったとか。とにかくいい湯だったと大喜び。

お昼を食べて、またのんびり。至福のときだったような気がする。

午後、弘前のホテルへてちさんとsakuraさんを降ろし、自分の役目はここまで。
2人と固い握手をして家路についた。


【余 談】
自分はどうしてもぬけられない用事ができ、2日目の午後までしか付き合えなかった。
さて、てちさんはその後どうしたのだろう。
ここからは聞きかじりです。

2日目、ホテルに帰ってからてちさんは一眠りし、下の和食レストランでスタッフと意気投合。
東北でも随一の歓楽街・鍛冶町にくりだし、お土産にワインまで貰ったとか。
さすがというか、なんというか「てちパワー」本領発揮ですかね。

5月1日の3日目は、てちさんお昼に青森駅に出没。sakuraさんと待ち合わせ、となさんもやって来たそうだ。

駅前にある新鮮市場で、旬の酒の肴もたっぷり仕入れたそうで・・。
これで免疫が上がらないわけがないくらい、旨いものを買い込んだようだ。

またの機会を夢見て、今回のオフ会のお話はこれでお終い。
ご清聴ありがとうございました。

《写真提供、ポンコさんほか》

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