平成21年1月30日
  岐阜市長
    細 江 茂 光 様

                                                       岐阜市議会議員  
                                                          服 部 勝 弘

             公 開 質 問 状

前略 平素は岐阜市発展のために日夜ご尽力を頂き深謝致します。

 さて、学校法人立命館が岐阜市に市立岐阜商業高校移管による中高一貫校の設置を提案している問題については、今まで岐阜市議会の本会議の質問や文教委員会、特別委員会等でいろいろと議論されてきましたが依然として多くの疑問があります。これは市長が多くの質問について十分な説明責任を果たしていないことが要因であると思います。

 立命館誘致は岐阜市の活性化になる。百年に一度のチャンスだ。といった耳ざわりの良いキャッチフレーズを並べた安易な宣伝により、有名私学を誘致すれば学生が集まり、経済が活性化するのではという漠然とした期待を持つ市民から、当面の市岐商の存続を主張する慎重派議員に、「なぜ反対するのだ」と反感を持たれていることは誠に遺憾であります。

 この問題について十分な説明をせず、賛成か反対かといった選択肢を示し、辞任して出直し市長選で民意を問うという手法は、正に郵政民営化に対する小泉元首相の戦法と同じで、多くの市民は疑問を感じています。市長は慎重に見極めたいという市民がいることを念頭におくべきであります。

 今、岐阜市は経済不況のあおりを受けて市民生活は苦しく、行政課題も山積みしております。そんな最中に私学の誘致という一つの課題で市政の混乱を招くことは好ましくありません。それ故に、本件について慎重かつ冷静な対応をされますよう強く要望致します。

 そこで、改めて以下の疑問点について公開質問をさせて頂きます。つきましては、ご多忙のところ申し訳ございませんが、平成21年2月12日までに文書にてご回答を頂きますようお願い致します。

                                                            草々

                        
                           記


1. 学校法人立命館の誘致について、岐阜市からお願いしたのか、それとも立命館側から市岐商移管の申し入れがあったのか、最初にどちらから話を切り出したのか明確な回答を求めます。
2. 市岐商の校舎を無償譲渡、土地(27,000u=地料年間3千万円相当)を無償貸与(資産総額 約22億円)することは、特定の学校法人に対して便宜を供与することになり公平性に欠けるが、なぜ市の普通財産貸付料算定基準を無視して立命館に特典を与えるのですか。
3. 市長は市岐商の廃校について、今まで市岐商関係者には説明をせずないがしろにして来られたようだが、なぜ現場の意見に耳を傾けて来なかったのですか。また今後の対応をどのように考えておられるのですか。
4. 市岐商を廃校して私立校を誘致するというならば、一定の基準を定めて公平・公正に公募によって行うべきである。なぜ立命館に特定して強行にことを進めるのですか。
5. 18万人もの「市岐商の存続を求める」署名を無視して、なぜ混乱を承知で立命館を誘致するために来年3月までに市岐商の廃校を強行しようとするのですか。これは日程的にも無理があるのではないでしょうか。
6. 私は立命館が自力で岐阜へ進出することは拒むものではありません。むしろ歓迎します。そこで旧岐阜藍川高校の跡地(岐阜市芥見南山)へ誘致するなどの対案も示しました。岐阜市は立命館の誘致についていろいろの選択肢を提示し、柔軟な対応をすべきだと思われますが、なぜ市岐商に固執するのですか。
7. 岐阜市議会は平成20年12月11日「市岐商の当面の存続を求める請願」を賛成多数で採択しました。しかし、市長は議会の議決は民意が反映されていないと主張。このことは議会軽視で、議会制民主主義を否定することにもなりかねませんがいかがお考えでしょうか。
8. 市長は1月18日の新聞社のインタビューで、中高一貫校が出来れば小規模な学園都市化し、地域が活性化されて地価も上がり、十億、百億円単位の経済効果があると発言されましたが、その根拠についてお尋ねします。
9. 立命館を誘致すると経済効果があるとのことですが、学校法人は地方税法により非課税となっており税収はありません。そこで市岐商を廃止して立命館岐阜高校を設置した場合、両校を比較してどれだけの経済効果の差が出てくるのでしょうか。
10. 当選後のインタビューで「市議が自分を選んでくれた人の思いを認識しながら、議会で行動をされたかどうかを非情に疑問に思った。」と発言されましたが、この発言の真意をお尋ねします。
11. 多くの市民から「何のための辞職だったのか」「何のための市長選挙だったのか」「税金の無駄遣いだ」などといった批判の声が聞こえるが、この度の市長選挙は市長の都合で勝手に始まって終ったが、この選挙の意義についてどのように認識しておられるのでしょうか。
12. 直接市民に賛否を問うというならば、なぜ住民投票を提案しなかったのですか。
13. この度の突然の市長辞任は、切羽詰まっての場当たりの決断であったのか、それとも想定内の計画的な対応であったのですか。
14. この問題は当初から立命館ペースで進み、立命館を誘致するためには市岐商を潰すという手法で、市として教育ビジョンや主体性がなく、関係者への説明も不十分で、市長がゴリ押しで計画を進めて来たことが混乱を招いている。なぜ立命館に合わせて拙速な対応をされるのですか。
15. 立命館の誘致問題で、今、岐阜市議会や市民の間で賛成か∞反対か≠ニいった対立の構図が出来ています。事業計画について疑問を質す私共慎重派の議員も含めて反対するのはけしからん≠ニいう一部市民からの威圧的な言動も見受けられることは誠に遺憾に思います。これでは自由闊達な議論が阻害されかねません。このような状況になったことについてどのように思われますか。
16. この問題に関して、反対・慎重派議員に対して、細江市長支援派の関係者から「次の市議選では応援しない」などといった圧力をかけるような言動が見受けられることは由々しき問題である。これについてどのように考えておられますか。
17. 三月議会で決着を図るとのことで、存続派市議の説得をするために市議宅を戸別訪問して切り崩し工作をしておられるが、市岐商廃止条例(案)が否決された場合の対応と結果責任をどのように考えておられるのでしょうか。
18. 最後に、岐阜市内の小・中・高校及び市立の女子短期大学・薬科大学の将来のあり方等、岐阜市の教育全体に対するビジョンをどのように考えておられますか。

以上