平成16年6月16日
県議会議員としてはじめて、6月定例県議会で、一般質問

6月県議会におきまして、議員としてはじめての一般質問を行いました。
30分間の質問のため、4月、5月、6月と調査や視察、新聞や文献などの収集読破など、多忙な毎日でした。

県議会の議事録は、広島県ホームページより御覧いただけます。その答弁部分を下記に転載します。

◯知事(藤田雄山君) 安木議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず、中小企業への支援に対する基本的な考え方についてお尋ねがございました。

 県内の景況は、輸出、生産が好調に推移しているほか、個人消費も横ばい圏内の動きになるなど、緩やかに回復をいたしております。
 こうした中で、中小企業においては、自動車部品や電気機械などの業種で売上高の増加などの改善傾向が見られますが、一方で、原材料等の高騰により収益が圧迫されるなど、依然として厳しい経営環境にあると受けとめております。
 このため、中小企業の当面する資金需要にこたえる無担保スピード保証融資を新設したほか、県費預託融資制度の対象要件等を拡充・緩和するなど、金融面からの支援を強化いたしております。
 また、中期的な視野に立って、ベンチャー企業や中小企業の意欲ある取り組みに対しては、製品の高付加価値化に向けた研究開発や新たな販路の開拓、環境変化に対応した経営革新への取り組みなど、個々の企業の経営課題に応じた支援を行っているところでございます。
 今後とも、景気動向に十分に注意を払いながら、本県の中小企業が経済環境の変化に柔軟に対応できるよう、企業体質の一層の強化に向けて積極的に取り組んでまいります。

 次に、観光産業の振興についてお尋ねがございました。
 本県におきましては、観光産業の振興や交流人口の増大による地域の活性化を図るため、官民一体となって二十年ぶりとなる大型観光キャンペーンを展開いたします。この観光キャンペーンでは、本年十一月と来年十月から十二月を重点集客期間とし、JR各社とタイアップのもとに、「ええじゃん広島県」をキャッチフレーズに本県の多彩な観光資源の魅力を全国に発信してまいります。
 具体的には、瀬戸内海の豊かな歴史や景観を結ぶ周遊ルートの開発や神楽に代表される伝統芸能の紹介、さらには県内各市町村の特色を生かしたイベントの実施など、観光資源の魅力づけやルートづくりを進めてまいります。
 また、広報宣伝活動としては、全国のJR駅へのポスター掲出や観光番組の放映、本県ゆかりの著名人に観光特使として御協力いただくなど、さまざまな手法により本県の魅力を全国に周知いたします。
 さらに、本年十一月に全国各地から旅行会社等の商品企画担当者約四百名を招請して販売促進会議を開催し、本県向け旅行商品の開発を積極的に働きかけることといたしております。
 こうした取り組みを通じ、入込観光客の増加と、観光交流県広島の認知度を高め、すそ野の広い観光産業の振興を図ってまいりたいと考えております。

 次に、明るく活力ある高齢社会に向けた取り組みについてお尋ねがございました。
 団塊世代の高齢化を目前に控え、高齢者が長年培ってきた豊かな経験と知識を生かし、積極的に地域づくりに参画するための環境づくりは、重要な課題であると認識いたしております。
 このため、県におきましては、平成十四年度から高齢者のためのホームページを開設し、イベントや生涯学習の情報の発信やネット上での情報交流の機会の提供に努めているところでございます。
 また、従来から高齢者健康福祉大学校などにおいて、老人クラブ、ボランティア、自治会などで指導的役割を果たす人材の育成に取り組んでいるところでございます。
 さらに、平成十五年度からは、高齢者が地域の課題について研修や体験学習を行う高齢者地域づくり活動促進事業を実施するなど、活動の場を広げるための仕組みづくりを支援しております。
 今後とも、市町村や関係団体とも十分連携を図りながら、こうした社会参加の環境整備を進めることにより、高齢者が元気で生きがいを持って地域づくりに積極的に参画できる、ゆとりある明るい長寿社会の実現に努めてまいりたいと考えております。

 次に、県職員の退職時特別昇給制度の見直しについてお尋ねがございました。
 現在、厳しい行財政改革が求められている状況の中で、退職時特別昇給制度につきましては、県民の皆様の御理解が得がたいものではないかと考えております。
 職員には、財政健全化のため、給与減額による負担を求めているところではございますが、国家公務員における制度廃止などの状況等も踏まえ、今年度内の制度廃止に向けて関係機関等との協議・調整を進めてまいる所存でございます。
 その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁いたさせます。


.◯土木建築部長(田原克尚君) 私の方からは二点お答えいたします。
 まず、中小の建設業者に対する支援についてでございます。

 市町村合併の進展や国を挙げての公共事業の抑制など、建設産業をめぐる環境は極めて厳しいものがございます。県といたしましては、これまで建設業者の新分野への進出など建設産業再生への取り組みを支援するため、相談窓口の設置、主な支援制度を掲載したリーフレットの配布やホームページへの掲載、建設産業再生のための講習会の開催などを行ってまいりました。
 今後は、これまでの取り組みに加えまして、今年度から新たに創設したアドバイザー派遣など、新たなビジネス展開を図るための制度も活用しながら、建設業者のさまざまな具体的ニーズに応じた実務的な個別指導や、モデル的な取り組みといたしまして、公共事業への依存度が高い中山間地域の建設業者を対象に、市町村や建設業者団体と協同して新分野進出に向けた具体的な指導・助言を行うなど、実情に即した取り組みを行うこととしております。
 今後とも、中小の建設業者の産業再生への取り組みに対し、引き続き支援を行ってまいります。

 次に、呉地域における道路網整備についてでございます。複数部局にわたるお尋ねでございますが、私が代表して答弁をいたします。
 まず、国土交通省が整備を進めております東広島呉自動車道の郷原インターチェンジから阿賀インターチェンジの間、約八・七キロメートルにつきましては、用地買収をおおむね完了し、平成二十年代前半の供用を目指し、横路トンネルなどの工事が鋭意進められているところでございます。引き続き、早期完成に向けて国土交通省などの関係機関に働きかけてまいります。
 次に、一般国道四百八十七号警固屋音戸バイパスにつきましては、呉市及び音戸町で用地買収並びに工事を進めております。今年度は、引き続き用地買収を進めるとともに、新たに警固屋トンネルの工事に着手する予定です。
 また、主要地方道呉平谷線につきましては、上二河から焼山此原間の約二・四キロメートルについて、国の新規事業採択が認められたところです。今年度は地質調査等を実施するとともに、用地買収にも着手する予定です。この二路線につきましては、新道路整備計画の計画期間でございます平成二十二年度までの完成を目指して、引き続き整備促進を図ることとしております。
 次に、林道郷原野呂山線につきましては、全体計画延長約七・八キロメートルのうち、平成十五年度末で約四・七キロメートルが完了しております。今年度は、橋梁工事を含め、三工区合わせて一・二キロメートルの区間において工事を行うこととしており、平成十九年度の完成を目指して引き続き整備を進めてまいります。
 厳しい財政状況ではありますが、これらの道路の整備につきましては、地域間の連携強化を図るなど、呉市の一体的発展にとりまして重要な課題であると認識しております。早期完成を目指し、事業の促進に努めてまいります。



◯商工労働部長(藤井秀幸君) 三点についてお答え申し上げます。
 まず、中小企業に対する資金供給の支援についてでございます。

 このたび創設した無担保スピード保証融資は、中小企業の資金調達の選択肢の拡大に資するものであり、担保や第三者保証人に依存することなく、迅速な保証承諾により機動的な融資が可能になるものと考えております。この制度は、県、信用保証協会、金融機関の三者が連携した新たな資金供給の仕組みであり、取扱金融機関の地域中小企業の支援強化につながることも期待しております。
 また、県費預託融資制度につきましても、金融機関や中小企業のニーズに合わせて、貸出利率の引き下げや貸し出し要件の緩和など、制度の見直しを行ったところでございます。
 一方、信用保証協会に対しては、引き続き経営基盤を強化するための出捐金を交付するとともに、代位弁済に伴う損失の一部を補てんするなどにより、保証協会が積極的かつ柔軟な保証運用ができるよう支援することとしております。
 依然として厳しい経営環境にある中小企業の実態を踏まえて、今後とも信用保証協会に対しては、個々の企業の実情に応じた柔軟できめ細かな対応を要請してまいります。

 次に、広島TLOの今後の活動についてでございます。
 広島TLOは、県内企業のものづくりの高付加価値化を支援するため、財団法人ひろしま産業振興機構に配置された特許流通アドバイザーと一体となって、大学や工業技術センターで生み出されたすぐれた技術の掘り起こしと企業への技術移転に努めているところでございます。
 現在、広島TLOが特許出願したものと、大学みずから出願したもの、合わせて二十六件の技術移転に取り組んでおります。その結果、去る六月三日には、移転第一号として、補助人工心臓に関連する技術のライセンス契約を県内中小企業と締結したところでございます。
 また、工業技術センターの食品関係の特許について、特許流通アドバイザーが現在、県内中小企業と技術移転のための交渉を進めております。
 今後とも、広島TLOを中心として、大学や工業技術センターの知的財産を積極的に企業へ紹介し、技術移転を進めることにより、本県製造業の国際競争力の強化を図ってまいります。

 次に、国際観光の推進についてでございます。
 国際観光の推進につきましては、国際定期航空路線の就航などを契機として、今後、観光客の増加が期待できるアジア地域を中心として、マスメディアや国際観光展を活用した広報・宣伝、海外の旅行会社の招請や視察の受け入れなど、取り組みの強化を図ってまいりました。しかしながら、本県の知名度は、欧米と比べると、アジア地域ではなお低い状況にあり、さらなる努力が必要であると考えております。
 このため、世界文化遺産の厳島神社を初め、瀬戸内海の多島美や町並み、地域ではぐくまれた伝統芸能や食文化、産業など、本県特有の観光資源をマスメディアなどを活用して積極的に情報発信してまいります。
 あわせて、広域的で多彩な魅力ある旅行商品の開発を進めるため、広島、山口、愛媛三県で構成する瀬戸内国際観光テーマ地区推進協議会など中国・四国の関係県と一体となった国内外の旅行会社への働きかけや支援を強化いたします。
 今後とも、国の「ビジット・ジャパン・キャンペーン」や関係県などとの広域的な連携のもと、国際観光の推進に積極的に取り組んでまいります。


◯福祉保健部長(新木一弘君) 介護予防に関する二つの御質問についてお答え申し上げます。
 まず、介護予防の取り組みについてであります。

 要介護者の増加や重症化を防ぐためには、高齢者の自立と生活の質の確保を図り、社会参加を促進することが重要な課題であると認識しております。このため、県といたしましては、介護予防を高齢者プランにおける重点的な施策の一つとして位置づけ、市町村事業への助成や人材育成、情報提供などに積極的に取り組んでいるところです。
 一方、国においては、現在、介護保険制度の見直しが行われており、その中でも、介護予防の重要性を踏まえ、そのあり方が検討されております。
 県といたしましては、こうした国の動向も踏まえながら、市町村と連携し、介護予防事業の一層の充実に努めてまいります。

 次に、介護予防のための拠点整備についてです。
 介護予防事業は、地域のニーズや実情に応じ、市町村においてさまざまな事業が実施されてきております。中でも、近年、専門スタッフの指導に基づく高齢者筋力向上トレーニングの予防効果が高いことが注目されていることから、平成十五年度から補助事業のメニューに追加いたしました。平成十六年度では、十三の市町村が地域の保健福祉サービスの提供施設である保健センターや老人福祉センター等の施設を活用し、この事業を実施する予定であります。
 県といたしましては、これら既存施設を有効に活用しながら、この事業がより多くの市町村で実施されるよう、効果的な事例の紹介や人材育成の支援を行うなど、引き続き普及に努めてまいります。



◯政策企画局長(城納一昭君) 瀬戸内海の環境再生についてお答え申し上げます。
 瀬戸内海の環境を再生するためには、近年、大きく減少しているアマモを再生していくことが重要であり、平成十六年度から三カ年で、水産試験場など五つの試験研究機関が協力して、広島湾の環境再生を図るための横断的な研究プロジェクトに取り組んでおります。
 具体的には、農業系や工業系などの試験研究機関が蓄積している専門的技術や知識を活用しながら、アマモの苗を人工的に安定して生産する技術や生産した苗を海底に定着させる技術、さらにアマモの定着状況を上空から的確に把握する技術などを開発することといたしております。
 こうした研究を効果的に進めるため、大学を初め、関連の試験研究機関や民間企業と連携するとともに、情報交換や技術交流を推進するための研究会を今年度設立することといたしております。
 また、現在、新たに水産試験場に整備中の、藻場や干潟など海洋環境に関する実験棟も最大限に活用して、アマモの効果的な再生に向けた研究開発を一層推進してまいります。


◯総務企画部長(横田真二君) 二点の御質問についてお答え申し上げます。
 まず、県庁舎の災害対応機能の強化についてでございます。

 県庁舎につきましては、防災拠点機能、とりわけ災害時の司令塔としての機能が重要であると考えております。現在の県庁舎は、平成十三年三月に発生いたしました芸予地震の際に、広島市中心部がおおむね震度五の揺れであった中で、窓ガラスの破損や内壁のクラックの発生等の被害が生じましたものの、構造体には影響がなく、防災拠点機能を果たしたところでございます。
 しかしながら、今後起こり得るであろう大規模な地震を想定すれば、それに対応し得る防災拠点機能を備えた新しい庁舎の整備が必要であると考えております。
 新しい庁舎の整備までの間の対応につきましては、本館、南館等の防災拠点機能が万が一被害をこうむった場合に備えて、現行の耐震基準を満たしております東館の六階に災害対策本部の代替機能を確保しますなどの措置を講じているところでございます。
 今後とも、防災拠点機能を確保するため、庁舎の状況に応じて必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

 次に、IP電話の活用についてでございます。
 インターネット技術を活用しましたIP電話を導入しますと、一般加入電話を利用することに比較いたしまして通信コストが削減されます。しかしながら、IP電話につきましては、それに対応するネットワーク機器の設置費用などの初期費用が必要となりますことから、現在は、本庁と地方機関との間、または地方機関相互の間では、通信コストがかからない防災無線を利用しております。
 なお、本庁と東京事務所との間では、初期経費に比較して通信コストの削減効果が大きいため、平成十四年三月からIP電話を導入しているところでございます。
 このため、現状におきましては、災害時にも十分対応できる防災無線を職員が積極的に活用するよう努めているところでありまして、このことによって通信コストの削減を図ってまいりたいと考えております。今後、急速に進展されることが予想されますIP電話につきましては、費用対効果を検証しまして、その導入の検討を行ってまいります。


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