パシフィック-18購入記



今ブームの『小径車』を初めて意識したのは、今でも売れ筋のトップにあるBD−1を見たときだ。
通販のカタログに載っていたのを覚えている。 日本に紹介されて間もない時期だったと思う。
BD−1は1995年から量産が開始されているからそれくらいの時期。
これまでにない極太の直線的なフレームに前後サスペンション。 ユニークな折りたたみ方。 
そして『軽い』ということ。
それまでの『折り畳み自転車』ではなく、『フォールディングバイク』という新しいカテゴリーを
生み出すきっかけとなった。

いいな、とは思ったが10万近い価格では簡単に手も出ない。
おまけにその頃バイクを買い換えたばかりだったし、それほど強い欲求もなかった。

相棒1号のパスハンターを購入するきっかけは、バイクのスピード感が自分に合っていないと感じてきたからだった。
私のバイク暦は短い。30才になってから免許を取って始めたから数年程度のキャリアだ。
走りながら目に付く『おっ』と惹かれる風景も、急停止して引き返すということもままならず、
当然のことながら全ての旅先へは自走していかなけなばならない。
もっと気ままに出かけたい。

そんなモヤモヤした思いから『自転車なら輪行でもっといろんなところに行ける。』と考えるようになり、
これがパスハンターに行き着く『自転車が欲しい』という思いの出発点だった。

パスハンターは文句なくいい。ツーリング用自転車だけあるし、自分の思いが反映されたオーダー車だし。
でも、もっと軽い感覚でぶらりと出かけ、その時に少し遠くに行きたくなったら輪行で足を伸ばす。
そんな使いかたができる自転車が欲しくなってきた。



車種選定にあたっては、輪行できる程度に軽いことが絶対条件だが、車輪の大きさも結構気になる。
少なくとも20インチは欲しい。
それに輪行時に自立することも意外と重要なポイント。

とりあえず候補として選んだのは
BD−1,ブロンプトン,DAHONヘリオス,モールトンAPBの4車種

BD−1は文句なしのランクイン。
デザイン的に気に入ったのがブロンプトン。折り畳んだときのコンパクトさもピカ一だろう。
ヘリオスは20インチのタイヤ径に着目。ダンロップやマルイシの別ブランドでも発売されていた。
APBはモールトンのデザインコンセプトが気に入った。

比べていくうちに、まずヘリオスが落選する。
理由はハンドル部分のつくりがいまいちだったこと。
ハンドルバーとステム部分が溶接されていて、見た目に弱そうだったのと
ハンドルバーのパーツ交換ができないと見たからだ。

次にブロンプトンが落選する。
理由はフレーム部で折り畳む構造。
個人的にこの構造はどうも馴染めない。
強度が下がりそうだし、まずこういう部分から故障する、という気がして仕方がない。
いわゆる『芯が出ていない』ことにもなり易いように感じられるからだ。

この理由ならAPBも落選するはずだが、3点で結合するトラスフレームのデザインがどうにも魅力的。
それに『芯が出ていない』状態を、いかにこの3点結合で克服しているかを知り、なお気に入ってしまったのである。
それにメカニカルなフロントサスペンションの構造にも惹きつけられる。

BD−1をいろいろ調べているうちに、パシフィックの存在を知った。
カラーリングも豊富で私好み。 BD−1はあえなく落選し、パシフィックが緊急ランクイン。

最終的にはパシフィック18,モールトンAPBに絞り込まれた。

あとは実車を見てから決めよう。ということで何件かサイクルショップを見て回った。



BD−1とパシフィックはカラーリング以外に細かい点で違いがあることを発見する。
 @BD−1にはスタンドが標準装備されていない。
 Aギア構成に若干違いがある。
 Bパーツアッセンブルもそれぞれに特色がある。
この頃BD−1にはフロント2枚の新製品が出て、一瞬気持ちが揺れたが、峠越えをする目的で
新しい相棒を購入するのではないので、フロントシングルで充分とした。

APBは実車を置いてあるところが少なく、数少ない取り扱いショップをあちこちと見てまわった。
フロントダブルはいらない、などといいながら、当時のAPBにはフロント台座が付いたFX8というモデルが
発売されたばかりだった。オリジナルのフロントはシングルなので、将来的に拡張も可能ということだ。
FXはFIXEDつまり非分割モデルということなのだが、ショップの方によれば近々分割モデルでフロント台座付の製品が
発売される(APB8)という。
これはちょっとその実車を見てから決めよう、ということで、1〜2ヶ月待ち、発売早々に実車を見てみた。

FX8のカラーはトラフィック・オレンジとメタリックブルー。
APB8はウェッジウッドブルー(水色に近い)とブリティッシュグリーン。

カラーリングはFX8のほうがよかった。特にメタリックブルーは高級感があって好きだったのに。
実車はブリティッシュグリーンだったが、ベタ塗りという感じでどうにも良くない。
各所の仕上げもじっくり見てみるとかなり雑だったりする。これが英国品質というやつか?
ショップの方からも日本製品のような高レベルの均一品質は期待してはいけないと言われた。
要するに気に入らないところは自分で良くしていくのが前提なのだ。

まあしかし、この辺で勝負あったというところ。
初心に戻って素直に『輪行のしやすさ』という点を重視してパシフィックを選んだ。

実車を見たその足でパシフィックをオーダー。
納車整備がある、ということで、一週間後に引き取りに行った。

ショップから東京駅まで自走したが、タイヤ径が小さいので、漕いでいる時にハンドル直下の
路面に視線がいってしまい、少し戸惑う。
ハイプレッシャータイヤのゴツゴツ感は、前後サスペンションがうまく拾っているみたいだし
スピード感もいい。

東京駅から自宅まで初輪行。
折り畳みや組み立ては本当にあっという間。
工具が要らないので5分もあればおつりがくるほどにお手軽だ。

納車2001年2月17日

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