赤石高下林道


2005年6月26日(日)

二日続けてツーリング。
カーサイクリングでちょっと本格的に林道ツーリングだ。

誘っていただいたのは清水のSさん。
昨日の掛川イベントが珍しく土曜日開催だったので、
日曜日もどこかへ行こう、とお誘いを受けていたのだ。
東海道旅の途中で知り合って以来、過分のお世話になっている。

鰍沢の北にある増穂(ますほ)までは清水から車で約2時間。
増穂町役場の駐車場に車をデポ。
地方の役場は意外にオープンで、休日でも一声かければ駐車しておけるのだ。
 増穂町役場

ここは甲府盆地の端に位置するだけに、陽射しが強い今日は特に暑い気がする。
このあたりで標高275メートル。
ここから登り返しを入れて標高900メートル超の林道を攻める。

時刻はすでに11時。 太陽が高い。
日焼け止めを何回も塗り重ねて走行開始。
路面の照り返しと強い陽射しがやけにしみる。
1キロも走らないうちに滝のように汗が流れ出る。
風があるのでなんとかしのいでいるが、街中には日陰も無い。
 下界は暑い

市街の風景が農村のそれに変わり、やがて山道へのアプローチとなる。
すぐ脇を流れる利根川の水音は涼しげだが、黙々とペダルをこぐ体は
さらに汗が噴き出してぐっしょりとなってきた。
だが、調子が悪い。

汗だくの山登りは伊豆大島でも経験済みだが、どうも違う。
頭の芯がモヤモヤしている不快感。

山道に入ってからは風も無くなった。
正確には、弱い追い風が吹いているのだが、ちょうど風速と
同じ速さで走っているので相対風速はゼロになっている。
熱射病になりかけているのかも知れない。
 写真を撮る余裕がある序盤

山道に入っても相変わらず日陰は少ない。
幅員が広いうえに、道路脇の木も枝の張り出しが無いのだ。

あたりは静かだ。
はるか上空を行くジェット機の音が幻聴のようにも聞こえる。

たまらず日陰に逃げ込んで休憩。 とにかく水分補給。
10%を越す勾配が先に進む気持ちを萎えさせる。
えいっ、と走りだすが、500メートルも走るとおかしくなってくる。
ヘルメットをとって少しでも風を感じるようにする。

少ない日陰を見つけは立ち止まって休憩する。
そして水分補給。

我ながら情けない。
少し走っては『ちょ、ちょっと止まりましょう』とあえぎながらの悲鳴モード。

走り始めて1時間あまり。
どうにも耐えられなくなって強制水冷開始。
まだ冷たいペットボトルを脈打つ首筋に当てて、血液温度を下げる応急対処。
頭内の温度を下げたい。
都合よく雲がかかって陽射しも無くなった。 これはいい。
10分くらいでずいぶん楽になった。 ゆっくりと走りだす。
近くに自動販売機を発見。
冷えた飲み物を補給する。
あとひと登りで昼休憩の場所だ。
 ピークまであと一息

昼食場所は平林の『みさき耕舎』を予定していた。
外観は養蚕農家をイメージしてつくられているらしい。
ここの蕎麦は地元でとれたソバ粉を使った手打ちで、
うまいらしいのだが、今は全く食欲が無い。

ここまでたった7.5キロしか走っていないが、
バイタリティーはゼロ。
Sさんには申し訳ないが一人で蕎麦を食べてもらう。
 ようやくたどり着いた『みさき耕舎』

手洗い場の蛇口をひねって冷たい水を頭からかぶる。
ああ、生き返る。
そのまま日陰で伸びていると、ロードのサイクリストが颯爽と駆け上がって来た。
各地のロードレースに参戦しているツワモノらしい。
腿の筋肉の張りが見るからに違う。
丸山林道を走ってここで昼食をとって帰るのだとか。

頭や首筋を冷やしながら30分ほど休んでいると、ようやく調子が良くなってきた。
元気になってくると食欲も沸いてくる。
コンビニで調達したおにぎりを水で流し込む。

Sさんは、さきほどのサイクリストとずっと話込んでいるが
次回のターゲット、丸山林道の情報収集だろう。
私もようやく走る気力が沸いてきた。
ここから赤石温泉までは下りだ。バテることもないと思う。
ロードのサイクリストに別れを告げて、ダウンヒル開始だ。

今日はブレーキの鳴きもなく調子いい。
がしかし、熱バーストが起きないかと気が気ではない。
Sさん、実は4月の春野で2日連続、下り道で熱バーストを起こしている。
その経緯を一部始終見ていた私はトラウマに陥っている。
以来下り恐怖症になっている。
 赤石温泉への下り

 途中の展望

下りきったところにある、川岸の赤い屋根の建物が赤石温泉らしい。
 赤石温泉(林道ゲート側から撮影)

橋を渡った先にあるゲートから赤石高下林道が始まる
が標柱を見るとこちらが終点のようだ。
ゆるゆるとした登り返しだが、相変わらず陽は陰っていてちょうどいい。
高度もあるのでいくぶん気温も低いようだ。

路上はガレが多くやや荒れている。
 赤石高下林道ゲート

ゆっくり登ること約30分。
路上になんと猿の親子を発見。
道端の野いちごでも採って食べているのだろうか。

近づいても逃げる気配が無いのでバッテリーランプを向けて点滅させてみる。
さすがにピカピカには驚いたのか慌てて逃げていった。 愉快愉快。

が、彼女らは逆襲してきた。
彼女らが集まっていた場所を通過するとき、石を投げて威嚇してきたのだ。
あたりもかすりもしないが、ちょっとびっくり。

この威嚇に対抗しようとしたのだろう。 Sさんの猿の擬声にはもっとびっくり。
彼女らの影を探して山側の林のなかを見ていた私には、谷側から別な群れが
襲ってきたように聞こえたのだ。
思わずコケそうになった。

林道ピークにはちょっとした展望台がある。
空気が澄んでいればかなりいい景色が望めるはず。
梅雨時のくすんだ空気では無理な話。
冬場にまた来たいところだが、路面凍結で走るどころではないだろう。
 林道ピークにある展望台

展望台から下ること約15分で林道の終点。(正確にはこちらが起点となっている)
この下りは危険箇所が多かった。
路上の砂。 ズレたグレーチング。
通行の際は充分注意してほしい。

 赤石高下林道(こちらが起点)

林道終点からの道は舗装が荒れていて
林道に劣らず走りにくい。

林道出口まで下ったところで、山間の涼しい空気は終わっていた。
殿原スポーツ公園まで下ると、すっかり街中の空気で
ムッとした暑さを感じてしまう。

ここで最後の休憩をとり、コーヒータイム。
Sさん持参のガスストーブで湯を沸かす。

2日間たっぷりお世話になりました。

と言っても役場に戻ってから、車での移動が残っているのだ。
カーサイクリングは運転好き、かつ自転車好きであることが必須条件。
疲れた体で車の運転は大変だ。

でも輪行と組み合わせると行動範囲は限りなく広くなる。
鉄道から遠いところのほうが、いいサイクリングフィールドが多いのだ。

 殿原スポーツ公園からの展望

本日の走行距離:24キロ

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