塩の道(其の三 飯田から高遠まで)


2004年11月22日(月)

ツアー3日目
今日も天気予報は晴。
ツアー前からこの期間中は、連日晴の予報。
最近の天気予報は、直前で変化することが多いのだが
うれしいことに当たっている。

日の出直前、飯田の街は朝霧にけむっていた。
雲の中にいるようだ。
空が見えないので、天気が良いのだか悪いのだか。

 JR飯田駅

だが、朝陽がのぼると、まるでうそのように霧は晴れ、青空が広がっている。

 昨夜の宿はビジネスホテル

ボリューム満点のおかずに加え、また山盛りご飯の朝食を済ませて8時半出発。

今朝の塩とお茶のお届け先は、飯田市役所。
メンバーにスタッフ、全員が立派な市長会見室に通され、背筋がピンとなる。
室内には記者も数人いて、なんともすごいことになっている。

会見時間になって市長入室。 一同いっそう緊張である。
このツアーの趣旨を説明し、塩とお茶をお渡しするが、
雑談のなかで、自転車イベントにも興味があるとのお話。
ぐっと親しみを覚えて、短い会見時間は終了した。

多忙な市長らしく、我々との会見のあとには、すぐ定例記者会見が
おこなわれるらしい。
会見室の外には、大勢の記者達が待っていた。

 中日新聞 南信版に掲載された記事(翌日の新聞から)

右手と右足が一緒に出そうな緊張感を残して、市役所を後にする。

午前中は飯田市内をポタリング。
まずは飯田市美術館に寄り道。
休館日のようだが、敷地内には入れるようだ。

 飯田市美術館に寄り道

屋上からは飯田市内をぐるりと見渡せる。
それもそのはず、この場所は飯田城本丸の跡地なのだ。

 美術館屋上からの景色

ローカルな雰囲気がいい、飯田線の桜町駅にも立ち寄ってみる。
この線は一時間に一本の割でしか列車が通らない。
特急列車も一日二往復しか走らないのだ。

この飯田線、地方線にもかかわらず、起点の豊橋から
終点の辰野まで全線電化されている。
もともと4社の私鉄線を買収して、国鉄になった経緯があるからだが、
その名残で、平均駅間距離は2.1キロと短い。

今の時刻表を見ると、豊橋から辰野までの直通運転は3本だけ。
延長196キロ、6時間以上の長旅だ。
輪行派の私もちょっと遠慮したくなる。

 飯田線 桜町駅

桜町駅のあとは、昨日、矢筈トンネル出口から合流した
飯田のサイクリスト、T氏のお宅でコーヒーブレーク。
ビンテージもののサイクルコレクションに全員見入ってしまう。

そんなこんなでここまでは、ゆったりのんびり数キロしか走っていない。

11時、T氏宅を辞し、走行開始。
県道15号に入ると、農村風景になる。
納屋の軒先には干し柿の簾、道の脇には林檎園が多い。

干し柿の簾
一里塚 たわわに実った林檎

道端に一里塚を見つけて立ち止まった。
写真を撮っていると、林檎の木の間からおじいさんが声を掛けてきた。
『どうかしたか?』
ちょっとしわがれた声。
数人で立ち止まっていたので、事故でも起こしたのかと心配したらしい。
旅の途中だと話をする。

そのうち奥さんも出てきて、
『その一里塚、昔はもっと大きくて、向こうのほうにあったのさ』
などと、このあたりの昔話をしてくれた。

ふといなくなったおじいさんが、林檎をもいできてくれた。
『持ってけ』
渡されたのは少しキズもの。
『これじゃ売り物にならんからな。 だが味はいいぞ』
さっそく袖口でゴシゴシと磨いてからガブリ。
うまい。 みんなでガシュガシュとほおばる。
芯の近くには蜜がたっぷり。 おいしい林檎の証だ。

 林檎農家の老夫婦としばし談笑

もっともっと話をしたそうな老夫婦に手を振って先を行く。

右手に南アルプスの山々が見えている。
山頂付近はすでに雪を頂いていて白い。
山も好きなMさんがガイドをしてくれる。
塩見岳、烏帽子岳、赤石岳・・

 山好きにはたまらない風景ですな

道の駅『花の里いいじま』に到着。 時刻は12時45分。
今日の昼食はここでとる。
名物のローメンとソースカツ丼がお目当てだ。
午前中走っていないので、あまり腹は減っていないが、
こういうときはつい食べてしまう。

道の駅『花の里いいじま』 サポートスタッフ

13時30分出発。 ほどなく伊那中部広域農道に入る。
そういえば今日は平日なのだ。 大型車が多く走りにくい。

 伊那中部広域農道を走る(車多し)

軽くアップダウンをしながらも、比較的単調な道。
15時、小黒川(おぐろがわ)大橋の交差点に到着。
ここから東に進路を変え、今日の宿泊地高遠へと向かうのだ。

 小黒川大橋南交差点から

入舟で天竜川を渡る。
川はいっそう細くなっていた。

 これでも天竜川です 入舟付近

16時、高遠町の中心部に到着。
その足で高遠城へと向かう。
今は『天下第一の桜』と称される桜の名所として有名で、
花の季節には1,500本以上ものタカトオコヒガンザクラが咲き誇る。

ところでこの高遠城址、当然のことながら町を見下ろす高みにあり、
つまりはアップヒル。
連日、旅の最後は上りでしめくくることになっているようだ。

今日はあまり脚を使っていない。
快速ロード隊はダンシングでガシガシと上っていった。
あまりにヒートしすぎて、目的地を通り過ぎたらしい。
サポートカーが連れ戻しに行ったのだった。

高遠城址 高遠城楼門(縮小復元)
高遠高校の正門として使われていた

高遠城から再び町の中心部へ引き返し、本日2度目の
塩とお茶のお届け先は、高遠町役場。
明日は役所がお休みなので、こんな時間の訪問となった。
ここでも高遠町長にお出ましいただいて直接手渡しする。

お返しに高遠銘菓を頂いて、一同感激である。
スーツ姿の町長とサイクルウェアの我々。
なんともチグハグだが、いたしかたないか。

 高遠町長にお届け

今日の宿まで、またひと上り。
明日の峠越えに備えて、走行距離は控えめである。

本日の走行距離:64km

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