塩の道(其の二 水窪から飯田まで)


2004年11月21日(日)

ツアー2日目
昨夜は、夕食のあと布団にゴロリと横になったとたん、眠ってしまったらしい。
アルコール控えめで、ぐっすり寝たので、気分は爽快。
筋肉痛もない。

ちょっと朝の散歩に出てみたら、うっすらと靄がかかっていて、かなり寒い。
3台のサポートカーは朝露に濡れていた。

水窪の朝は寒い 凛と静かな朝

いつもは控えめの朝食も、ご飯を山盛りおかわりする。
8時半に宿のおかみと若おかみに見送られて出発する。

出発準備中 朝陽を受けて
山肌から水蒸気が立ち上る

まず最初の目的地は水窪町役場。
我々には、運んできた塩とお茶を届ける任務があるのだ。
なんと、町長に直接お届けするとは知らなかった。
ねぎらいの言葉を頂いて役場を後にしたのは9時ちょうど。

水窪町長に塩をお渡しする 同じくお茶も

役場からはダラダラと、ひたすら上るばかりのコース。
だが、勾配はそれほどでもなく、きつい感じではない。
毎週のトレーニングが効いているのだろうか。

 ゆるやかに山道を上っていく

水窪は西浦(にしうれ)田楽で有名なところ。
この田楽は、旧暦1月18日の月の出から、翌朝日の出まで、
夜を徹しておこなわれる神事である。

本来、田楽というのは字のごとく、田の神に奉納するもの。
山間部の水窪に、長く、しかも世襲制をもって伝えられていて
珍しいものであるため、国指定重要無形民族文化財に指定されている。

西浦は田楽(舞い)の里 上りが続く

役場から1時間あまり。
ようやく草木トンネルの手前に到着する。
しばらくぶりに塩の道の碑に出会った。

 草木トンネル手前に見慣れた碑

この草木トンネルは自転車通行禁止。
なぜなら、このトンネル区間だけ三遠南信自動車道という
高速道路(予定)の一部とされているからだ。
確かに良く見れば、道路案内の標識は緑色。
なんとも珍妙な光景である。

この先草木トンネルは
自転車通行禁止なのだ
サポートカーに相棒達を乗せて
ワープ
ヒョー越林道側の標識

トンネルを抜けて再び走行開始。
草木川に沿って峠に至る、ヒョー越林道に入った。

 トンネル付近の道は現代的だが、少し走るといい雰囲気の林道になる

峠へのアプローチは、さすがに勾配もきつい。
ランドナー隊は1:1ギアで時速6〜7キロ程度。 
ゆっくりノロノロと上っていくが、快速ロード隊は
高いギア比をものともせず、鍛え上げた脚力でグイグイ上っていく。

兵越峠は、静岡県と長野県の県境いに位置する標高1168mの峠。
ここには峠を示す標識が2つあるが、ひとつは峠の国盗り綱引き合戦の場。
もうひとつが、本来の峠の標識である。

 兵越峠 ここで国盗りの綱引きがおこなわれる

 さらに上るとまた峠の標識 ランドナー3人隊で記念撮影

ここまでの疲れを癒すため、コーヒーブレイク。
風は無いが、気温は低い。 上りで温まった体が冷えないように
ウィンドブレーカの上から、さらにレインウェアを着込む。

11時45分、出発。
下りの勾配はきつく、ブレーキが耐えられるか心配になる。
路面も荒れているので、先導するツアーリーダー氏を抜かないように
ゆっくりと下っていく。

 旧道へちょっとまわり道

林道途中に寄り道した此田(このた)の集落は、まるでペルーのマチュピチュ遺跡のように
山の高みにポツリとあった。
陽がたっぷりふりそそいで、気持ちいい。 空が近い。

 此田(このた)の集落

 天日干しの唐辛子 赤が綺麗

シューから煙が出るのではないかと思うほど、急な坂道をブレーキングしっぱなしで下る。
ついにツアーメンバーの一台で、シューが磨り減ってしまうトラブル発生。
なんとか予備パーツで対応できたのだが、ツアー初トラブルがシュー交換とは。

八重河内で長い下りも終わり、近くのせせらぎの里で昼食休憩をとった。

13時15分走行再開で、少し走るとようやく町らしい開けたところ。
和田はこのあたり一帯、南信濃遠山郷の中心地である。

 和田のバス停

 和田の街並み

近くには、長くこの地を治めていた遠山氏の居城、和田城も再建されている。
今回のツアーでは残念ながら寄っていく時間がない。

和田から30分ほど走って、木造がなつかしい小学校跡に寄り道する。
窓枠こそアルミサッシになってはいるものの、自分が通っていた
木造校舎を想い出すには充分だ。
学校史によればこの木造校舎、敷地は個人の無償提供によるもので
基礎には二間おきに尺角の鉄筋コンクリートを埋めているのだとか。

旧木沢小学校
昭和7年築の校舎である
平成3年閉校
平成12年廃校
「廊下を走っちゃいけません!」
なんてね
あしたに仰ぐひじり岳
夕べに望むうさぎ岳・・

小学校跡から数分で、遠山森林鉄道、梨元停車場跡にさしかかる。
往時はこの東にある大沢渡、西沢渡を結ぶ、総延長30.5キロの鉄道だったらしい。
昭和48年に最後の軌道が撤去されたとある。
保存されているのは客車だが、最盛期、貨車242輌に対し、客車は5輌。
当然のことだが、木材運搬のための鉄道だったのである。

 旧遠山森林鉄道 酒井のDL

木沢から先は上村川に沿って上っていく。
両側に山が迫り、陽が遮られる。
平地ならまだまだ明るい時間だが、山陰は夕方のようにほの暗く、寒い。

木沢付近 上村付近の旧道 中郷付近

小学校から約1時間半。
本日2回目のトンネルワ−プである。
この矢筈トンネルも、午前中に通った草木トンネルと同じく、
三遠南信自動車道の一部とされているため、自動車専用道なのである。

 矢筈トンネルも自転車通行禁止

 またまたサポートカーでワープです

トンネルを抜け、サポートカーを降りると、身震いするほど気温が下がっている。
ここから天竜川に出会うまでは長い長い下り道。
皆、一枚、二枚と着込んでいる。
時刻は15時50分、今日も宿への到着は日没後だ。

 飯田の街へと下っていく

 あっと言う間に暗くなっていく

トンネル出口から約1時間。
天竜川にかかる弁天橋を渡る。
深い山間を流れる天竜川のイメージが強いので
これが天竜川と言われても拍子抜けだ。

 天竜川

今日の宿はビジネスホテル。
宿のある飯田駅近くまでは、再び上りになる。

本日の走行距離:65km

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