旧東海道(亀山から草津まで)


2003年12月22日(月)

今日のメインは鈴鹿越え。 東海道の三大峠、最後の難所を通る。

亀山宿の次、関宿は往時の雰囲気が強く感じられる宿場だ。
まがいものではない古い建物が多く、国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定されている。
電柱が無く、空がすっきり見えるのがまたいい。

 関宿

とベタ褒めだが一点気になることがあった。
この東の追分に掲示されている宿場の案内図。
北が上になって描かれている。 南を向いて案内図をみるのだから
天地左右がまったく逆になっているのだ。
現地の地図は道なりに描くのが親切だと思うのだけど・・・
ここから先、何度かこれで迷わされることになる。

 関宿 東の追分

関宿を抜けたところで旧街道は一旦1号線と合流する。
もちろん大型車がブンブン通って車道を走る気はしないうえに、片側にしか歩道がない。
ところがこの歩道には一昨日の雪が残っている。
どっちもどっちだが、歩道を押していくことにする。

こんなこともあろうかと、山歩き用のスパッツを着けているので雪が靴に入り込むことは無い。
走っていても風を避けてくれて足元が暖かいという効果もある。

 歩道は雪、車道はトラックブンブン(たまたま写ってませんけど)

1号線と分かれて坂下宿への旧街道に入れば路上の雪はとけているが、
山から吹き降ろす風は冷たく強い。 端のほうは凍結している。
片山神社への道へ分け入り、いよいよ鈴鹿峠へのアプローチである。
覚悟はしていたがカツギだ。 階段に石畳、乗っても押しても進めない。

 峠へと続く山道

これはちょっとした山サイだ、と意気込んで先を行くが、意外とあっさり峠に到達する。
片山神社から15分もかかっていない。
峠付近には雪がたっぷりと残っており、歩けばキュッキュと音がする。
静かな雪景色のなかに身をおいてみる・・。

 残雪の鈴鹿峠

ウォーミングアップ程度で終わってしまった鈴鹿峠を後に土山宿へ。 
伊勢国から近江国、三重県から滋賀県へ入った。
旧道はほとんど姿を消しており、1号線を走るしかない。
雪解けの茶色い水を霧のように吹き上げながら大型車が追い越していく。
現実世界は非情だ。

道の駅『あいの土山』から旧街道に入る。
土山宿も往時の雰囲気があっていい。 
道の駅があるおかげで観光客が増えたのかも知れない。
宿場内は綺麗に整備されている。

 土山宿 本陣跡

水口宿では街道が川の字のように三筋に分かれて平行に通っている。
のの字を描くように三筋全部を走ってみた。
真ん中の道はアーケード付きの商店街になっている。
シャッターをおろした店が目立つのは、朝早いからという理由だけではないだろう。
どこの宿場町でも商店街の活況は似たようなものだ。

 水口宿(みなくち) 三筋の広場

石部宿に入ると短いトンネルを2つばかり通過する。
このトンネルの上は川なのだ。 関東地方ではあまり見かけないが、
近畿や関西地方に多い『天井川』である。

 石部宿 大沙川トンネル 天井川なので橋と呼ぶべきでしょうか

2つ目のトンネルを抜けて間もなく、造り酒屋が目にとまる。
これまでも東海道を走っていて何件か造り酒屋を目にしてきたが、寄ったことはなかった。

今回もすいっと通過・・・のつもりが何となく惹かれるものを感じてUターン。
重厚な引き戸を開ければ、店内は木の香りと酒の香りでいっぱい。 
水琴窟もあったりしてすごくいい雰囲気。 
こちらは耳あてにスパッツ、ヘルメットを被っていたのでボサボサ頭。 
いかにも場違いな格好で少々恐縮する。

正月用に酒を選んでいると『外の自転車はオーダー車ですね』などと声を掛けられた。
話を聞けばここの常務さんで、サイクリングが趣味とおっしゃる。
だから惹かれたということでもないのだろうが、こういう出会いはうれしい。

 北島酒造

ちょっといい気分になって草津宿へ向かう。
草津へ近づくにつれ、細い旧街道に車が多くなる。
1号線の抜け道になっているのだろう。

草津追分の道標脇は草津川が天井川となっており、中山道は川の下を抜けていく。
このトンネルは明治19年(1886)に掘られたもので、それまでは中山道を行く旅人は
徒歩で川を渡ったという。  今は川も枯れている。

 追分道標『左中仙道 右東海道』

三条大橋まで26キロ。
頑張れば今からでも行ける距離だが楽しみは最後までとっておきたい。
旅が終わってしまうのも寂しいしね。

本日の走行距離:50km
本日出会ったサイクリスト:1人


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