旧東海道(島田から袋井まで)


2003年6月28日(土)

日帰りの東海道旅もとうとう難しい局面に入った。
経済性を優先して普通列車を利用するのが基本とはいえ、この先は新幹線も使って時間を
節約する必要が出てくる。 とりあえず今日は東海道1/2をクリアーしたい。

それにしても今日は天気予報では梅雨らしい、逆に言えばサイクリングにはふさわしくない天気のようだ。
車窓にはときどき雨粒が尾をひいて気分はいまいち。 
乗っているのは何度か利用している特急タイプの車両である。
清水あたりで陽が射してきてひと安心していたが、島田に着いたら分厚い雲に覆われた曇り空。

明日は浜名湖一周のサイクリングイベントに参加するので、できれば新居まで行きたいが、
本格的に降ってきたら途中で切り上げることにして島田駅を出発。
まずは旧街道からはずれるが、大井川を渡る蓬莱橋に寄り道してみる。
ギネスブックにも載っている世界一の木造歩道橋、自転車も通行できるのだが、乗って渡るのはお薦めしない。 
欄干が低く、転倒でもして橋から落ちたら大変なことになる。 
歩いて渡っても少々揺れるスリリングな橋なので心の準備をしてから歩を進めてほしい。

 蓬莱橋(全長897.4m) 相棒を置いて途中まで

蓬莱橋から旧街道へ向かっているうちに雨が降ってきた。
ざーっと音を立てる本格的な降りで、店舗の軒下を借りて雨宿りする。
まだ走り始めたばかりだし、こんなところで切り上げたくはない。
15分ほど足止めを食らう。 今日はずっとこんな調子かも知れない。

小止みになったので走り出すとうまい具合に雨も止んだ。 大井川川越遺跡に向かう。
電柱もなくすっきりと復元された家並。 
街道の両脇には水路があり小さな水車が回っている。
一部の家屋は公開され、中を見ることができる。

 大井川川越遺跡

旧国道1号線の大井川橋は昭和3年(1928年)完成、全長1026mもある。
なんと17連もあるトラス橋は全景を写真に収めることができないほど長大だ。
橋の長さに感服すべきか、大井川の大きさに感服すべきか、この際だから両方に感服しておく。

 大井川橋 風が強い

橋を渡ると、旧東海道の案内板があり、これに従い進む。
大井川鉄道の踏切りを越え、4月に金谷駅へ向かった道と合流し、一里塚に再会。
ここでまた雨が降ってきた。 一里塚そばのJR高架下で雨宿り。
しかし、どうにもはっきりと止む気配が無く、ある程度の濡れは覚悟で先に進むことにする。

金谷駅裏手に続く細い旧街道をぐっと登って道路を横切ると、さらに登りが続いて金谷坂にはいる。
途中からは復元された石畳が430m続いている。
ここの石畳は、箱根旧街道の石畳と同じように、ごろごろした大きな石でできている。
もちろん乗っていける道ではないので押していくが、これがまた雨でよく滑る。
あじさいは雨に打たれていっそう綺麗だが、こちらは汗と混じってベタベタしてきた。

 金谷坂の石畳 雨..

石畳は背の高い木々の間を抜ける。 雨がいっそう強くなってきて音をたてる。
葉の茂った枝が雨をよけてくれ、なんとか濡れずにすんでいる。
また雨宿りだ。

10分くらいで小止みになったので、押しを再会。
金谷坂を登りきり、間の宿菊川へ向かう
途中の菊川坂にも石畳(611m)が復元されているが、こちらは下り坂のうえに、雨をさえぎる木々もない。
並行するように舗装路があるのでこちらを下る。

 菊川坂の石畳 雨..

菊川から中山峠まで再び登りコースになる。
茶畑の中を進むが、ちょっと時期はずれのよう。 
葉の部分をバッサリと刈り取られ、枝だけになった畑が目立つ。
しかしこの坂はかなりきつい。 明日のこともあるのであまり足を使いたくない。
また押して行くことにする。
途中でこちらの気分を見透かしたかのような手作り看板に出会った。
あと700mもあるのか。

 小さく『がんばれ』とある

坂を登りきると久延寺(きゅうえんじ)。
掛川城主、山内一豊が関が原の合戦に向かう家康を接待したと伝えられる。
夜鳴き石、家康の手植と伝えられる五葉松を見ることができる。

 夜鳴き石(左)と五葉松(右)

菊川から日坂に至るこの峠は小夜の中山峠と呼ばれ、箱根峠、鈴鹿峠とともに
東海道の三大難所とされている。
ここからは下り。 途中広重の描く『日坂 小夜の中山』の絵碑があるが、
急峻な坂はまさにこの絵のとおりである。

 広重の絵碑

日坂は古くは西坂、入坂あるいは新坂とも書かれていたところ。
宿場町の面影を残す静かなところである。
このあたりから西の空も幾分明るくなってきて、雨の心配は無くなってきたみたいだ。

 知らずにこのそばで昼休憩してました。

掛川は旧街道の風情に乏しい。
新町の七曲は道案内もなく、あたりをぐるぐると3回もまわったが、結局判らずじまい。
開かれた街並みと綺麗に整備された史跡。
木造建築で復元された掛川城が偉容をほこっている。

 ちょっとだけ掛川城

掛川から袋井までの旧街道沿いには立派な松並木が残っていて、自転車で抜けるのが気持ちいい。
間の宿原川の手前に残る松並木、袋井宿手前に残る松並木など見ごたえがある。 
特に袋井宿手前の松並木は、大木に混じって若い木も植えられている。 
松がどれくらいのスピードで成長するのか知らないが、
時間をかけてでもよくしていこうという気概が伝わってくる。

 原川の松並木

袋井は江戸からも京都からもちょうど27番目の宿場にあたるが、
特に史跡が多いわけでもなく、石碑と案内板がある程度だ。
住宅地として整備されてしまったからだろう。

 袋井宿

今日の東海道旅、せめて浜松まで行って距離で1/2をクリアーしたかったが
途中の雨宿りで予定を2時間近くオーバーしている。
ちょっとズルをして宿場の数でちょうどど真ん中のここ袋井で上がることにした。

袋井から新居町まで輪行し宿に向かったが、JRは事故で遅れ、
新居町に着いたら突然夕立のような大雨。  ゆっくり行けという啓示なのか。
駅前で最後の雨宿りである。

本日の走行距離:40km
本日出会ったサイクリスト:ゼロ


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