三浦半島一周


2003年6月8日(日)

近くていつでも行けると思うところほど、結局行かずに終わってしまうことが多い。
遠くに行けないという情けない経済事情もあるので、梅雨入り前に三浦半島を一周してみよう。
夏になれば道路は海水浴客の車で大渋滞する地ゆえ、ハイシーズンの前に済ませておきたい思いもある。
それともうひとつの目標は100キロ走破。
地図上では自宅を起点・終点にすれば100キロちょっとになる計算だ。

半島ツーリングのセオリーどおり右周りのコースにする。
こうすると常に海に近いほうの車線を走ることになるからだ。
自宅からまずは金沢八景に近い六浦の交差点を目指す。
いくつかの丘を越えるアップダウンコースはいつものポタリングコースでもある。

朝比奈からぐっと下って京浜急行のガードをくぐれば六浦の交差点。
ここから南下し、横須賀に向かうが、半島の道らしくトンネルが多い。
交通量はさほど多くないが、トンネル内で後方から迫ってくる車は心臓に悪い。

浦郷トンネル 田浦トンネル 吾妻トンネル 長浦トンネル

※浦郷トンネルと田浦トンネルの途中が一箇所抜けてます。

新吉浦トンネル 新逸見トンネル 新横須賀トンネル

桜のレリーフが綺麗な新横須賀トンネルを抜けると横須賀の市街地へ入る。

 横須賀市の市木はオオシマザクラ

左手にヴェルーニ公園が見え、港には自衛隊や米軍の艦船が停泊している。
公園は1946年に開園した歴史あるものだが、1996年から再整備が始まり、2002年にリニューアルオープンした。
横須賀、そして日本海軍と縁の深いフランス人ヴェルーニの名前を冠した、国内では珍しいフランスの庭園様式を
とりいれた公園である。
軍港の街にして意外と思われるかも知れないが、南極観測船は自衛隊の艦船で、ここ横須賀地方隊の所属である。

 横須賀ヴェルーニ公園から米軍基地を望む

ヴェルーニ公園から米軍横須賀基地のゲート前を通り、三笠公園に向かう。
5分もかからない距離である。
日露戦争で奇跡ともいえる大勝利をもたらした連合艦隊の旗艦三笠。
記念艦として陸上に保存されているが、今もマストにはZ旗と大将旗が翻っている。
もう一つの旗列には今どきのサービスらしくWELCOMEの表示。
もちろん船で使う旗による表示なので、一般の人は気づかないだろう。
高いマストは帆走のためではなく、無線通信が発達していなかった時代のことゆえ
旗による指令が遠くから視認できるようにするためである。
三笠は今、船首を皇居に向け、静かに余生を送っている。

 戦艦三笠

公園の脇からは猿島への渡船も出ているが、今日は見送るだけである。

三笠をあとにして浦賀へと向かう。
途中観音崎も通るが、今日は景色がいまいち。 沖を行く船もかすんで見える。
観音崎には灯台があるが、東京湾を出入りする船を見守る東京湾海上交通センターも同居している。
船乗りの間では東京マーチス(Tokyo-Wan Maritime Traffic Information Sytem)として知られている。
いわば海の関所のような存在だが、練習船などが海外へ向かうとき、UW旗(貴船のご安航を祈る の意味)を掲げ見送ってくれる。

 観音崎の東京湾海上交通センター

観音崎トンネル

浦賀といえば浦賀ドックである。
住友重機械工業追浜造船所浦賀工場(通称浦賀ドック)は、現在就航している2代目の練習帆船、
日本丸、海王丸の生まれ故郷でもある。  青函連絡船もここで生まれた。
ペリーが黒船と共に浦賀沖にやってきたのが1853年。 来航150周年にあたる2003年という年に、
皮肉にも開国以降の造船の歴史を刻んだ浦賀ドックは閉鎖されたのである。

造船所の脇を走っていると、『浦賀の渡し』という案内表示が目にとまった。
ちょっと行ってみる。
船着場に着くとちょうど船が出たところで、次の便の時間が気になる。

 浦賀の渡し 《清水の塚間の渡しより優しい操船!》

だが、待合小屋に時刻表はなく、どうやらピストン輸送しているだけのものらしい。
どこへ向かうのかと見ていると、対岸に同じような造りの小屋が見える。
まさに目と鼻の先といった距離。

 ※画像にカーソルを合わせると目的地が判ります。※

船着き場には大人(150円)と小中学生(50円)の料金表示しかない。
向こう岸から船が戻って来るのを待って、船長に自転車を載せられるか尋ねてみると
『自転車は50円だったかなあ』などとのんきなこたえが返ってくる。
『乗ったら出るよ!』などとせかされて、あわてて乗船するが、私と相棒の貸切でもって対岸へ向かう。
これでも市道2073号として認知されている海道である。

 自転車立てはあれど自立せず

次の目的地は城ヶ島。
ペリーの上陸記念碑と、久里浜のフェリー乗り場を横目に、三浦海岸沿いに進む。
金田を過ぎてから、道はぐっと丘を登り、畑の中を進むようになる。
毘沙門トンネルを抜けると風車が見えてくる。 風力発電の施設である。

川間トンネル 千駄ヶ崎トンネル 毘沙門トンネル

トンネルを抜けて間もなく、なにやらトラブルらしいマウンテンバイクがとまっている。
近づいて声をかけてみると、どうもパンクしているらしい。
相棒用に替えチューブは持っているが、あいにくとパッチセットは持って来なかった。
家は近くで、何とかなりそうだということで、その場をあとにする。
力になれなかったことがちょっと悔やまれる。

 三浦の風車

風車を過ぎれば城ヶ島までは近い。
城ヶ島大橋を渡り、島内で昼休憩にする。
客が入っている食堂を選んで入ったが、瞬間に『ちょっとハズしたかも..』という気分になった。
ネギトロ丼をたのんでみる。 いやな予感は的中し、出てくるのが遅い。
味はまあまあなのだが、店に活気がなく、若い店員も要領が悪い。
海水浴シーズンを前に研修中なのだろうか。 善意に解釈しておこう。
他の客も頼んだものが出てこない、などと文句を言ったりしている。
お品書も外税表示で、少しばかり損した気分になってしまった。

 城ヶ島大橋

城ヶ島から進路は反転し、北上する。
立石公園まではゆるやかながら登りの続くコース。
おまけに内陸部を走るので景色も良くないし、照り返しがきつく感じる。
いつもならそろそろ上がってもいい距離を走ってきた。
京浜急行の三崎口駅を通過し、このまま100キロ走破を目指すことにする。

立石公園は夕景が綺麗な場所として有名。
安藤広重の名作『相州 三浦秋屋の里』の構図そのままの景勝地である。

 立石公園(なんとしたことか奇岩立石の写真がありません)

立石公園からはしばらく海岸沿いを走って、葉山の御用邸前を通過
ここから海岸沿いをいく県道207号は車がすれちがうのもやっとの細い道。
前後を車に挟まれてノロノロとすすむしかない。

伊勢山トンネル 飯島トンネル

逗子から由比ヶ浜まで来れば、私のいつものお気に入りコースに合流。
海岸では海の家の建設が始まっている。  湘南の海はもう夏に向かっているのだ。

由比ヶ浜のいつもの場所で最後の休憩をとったあと、鎌倉方面へ向かい、帰路に着いた。
自宅付近でメーターも100キロを超え、本船も無事帰港である。
初夏のように暑く、ペットボトル3本分(1.5リットル)も水分補給をした。

本日の走行距離:102km
本日出会ったサイクリスト:20人ほど


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