谷川連峰 |
オジカ沢 |
~爼嵓尾根の彼方へ~ |
2007年10月13日~10月14日 |
昨年の10月、中ゴー尾根を登って肩の小屋へ泊った際に尾根から見たオジカ沢の大滝の存在がず~と頭に残っていた。ネット上にはほとんど記録がなく、モコモコさんも登攀系の沢と察知したらしく拒絶反応を起こしている。「お酒も持っていかないし、軽量化でいくから大丈夫だよ!」などと強引に説得した。
しかし我々の実力では日帰りは無理だろうということで、軽量化とはあまりいえない泊りでの装備で挑んだ。
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アプローチ
10月13日 東京駅6:08-高崎駅6:58/7:10-水上駅8:12/タクシー谷川温泉8:30
コースタイム
10月13日
谷川温泉8:40~二俣10:20~魚止め滝15m10:55~ネジレの滝12:35/滝上13:15~40m大滝14:00~40mチムニー滝14:20/滝上15:51~幕営17:30
10月13日
6:50発~80m大ナメ滝7:05/滝上9:00~運命の滝10:00/滝上11:00~爼嵓稜線13:45~オジカ沢の頭14:20~肩の小屋15:15~ロープウェイ16:45
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10月13日
コースタイム
谷川温泉8:40~二俣10:20~魚止め滝15m10:55~ネジレの滝12:35/滝上13:15~40m大滝14:00~40mチムニー滝14:20/滝上15:51~幕営17:30
朝から気持ちのいい天気。紅葉シーズンでタクシーが出払っているのではないかと、心配していたが無事確保して早速谷川温泉へ向かう。
1泊2泊の荷物は肩に堪えるが、1時間30分ほどで二俣に到着。
最初は水流が少なくこの先に貧弱なイメージを持ったがすぐに魚止め15m滝がドーンと登場した。ここは潔く登山体系の遡行図を読む。右岸のDルンゼとやらを登りトラバースする。
これで終りかと思いきやまたもや8mの滝。幸い残置ハーケン、ボトルがあり古いスリングを掴んだり振り子トラバースしてなんとかクリア。
滝の上には古いリングボトルがあった。モコモコさんはこの二つの滝でオジカ沢に来たことを早くも後悔して「も~やだ。帰りたい・・・・」とドナドナの歌をBGMにしているかのような、マチホド沢の大滝の巻きのときよりも参った様子になっている。
ドナドナ状態のモコモコさんをなんとかなだめて先を進む。
雪崩に磨かれた岩質で、濡れている部分は良く滑る。そのたびにモコモコさんは「やめようよ~。」「早く沢から上がりたい(この願いは翌日変な形で叶えられることとなる)」と訴えてくる。
逆「く」の状の滝が現れた。これがネジレの滝かな。二段になっていて、一段目を登ろうとしたが登れないので右岸から大きく巻くことにした。モコモコさんが怖がるのでザイルを出したりして大幅に時間のロス。
ここを抜けるとスラブ状の広大な景色に目を奪われる。一時の静けさの中、遠目にドカーンとした大滝が見える。前衛の滝は比較的簡単。
大滝40m。実際滝に近づいてみると思ったよりも簡単に登れそうなので安心する。しかし、濡れているので、念のためザイルを出して登るが、残置がなく、ハーケン、カムをセットする場所も見つからないので気合で乾いているところまで登った。乾いたところからは意外と快適に登れたが、高さが高さだけに結構緊張した。
ほっとしたのもつかの間、40mチムニー滝がデーンと登場。
1P目
ザイル使用で右壁を登る。うまい具合に古い残置が数箇ある。45mロープ一杯で藪テラス。
2P目
藪テラスから先は傾斜が立っており、大荷物では無理そう。 仕方がなく藪テラスから強引に藪を登り上部を高巻いた。かなりの時間ロス。
上部に抜けたときには16:00近くになっており、ビバークポイントを探すリミットが迫っている。枝沢がありそこを少し下降する。最後はブッシュにスリングを残置して5m程懸垂下降して本流に戻る。
このあたりから岩質が変ったのか、只でさえ滑るのが輪をかけてツルツル滑るようになったような気がした。
戻った先から手ごわい小滝が2つほど続き更に時間をロス。(ここで濡れてしまった)
おまけに7mほどの滝が出てきた。センターリッジを登ろうとして、途中から腹ばい状でなんとがずり上がろうとしたが、やばいことにずり下がってもはやこれまでかと思いきや、運よく右足が引っかかり転落を免れた。
夕闇迫るところ、さらに7mほどの滝の登場。右から登るが落ち口が難しく少し迂回するようにしてトラバースしながらの冷や汗ものの登攀となった。カム2、ブッシュ利用。
セカンドのモコモコさんはカムの一つがなかなか外れなく悪戦苦闘。回収をあきらめて残置を決めた時に思いもせず外れてそのショックで数メートルずり落ちたが何とか無傷。
落ち口までのトラバースのルートはモコモコさんには危険と判断し、落ち口の部分を強引に引っ張り上げて登攀終了。「ヒーもういやだー」と騒いで引っ張り上げるのに大仕事でした。いや~ここが核心部でした。
どっぷり日が暮れてしまったが、泊まれるような場所は見つからないまま、なんだかよく滑るナメ滝を急いで登った。泊まる所が欲しい、どうか見つかりますようにと祈りながら更に急ぎ足で進んだ。
谷川温泉の明かりが見える頃ようやく、わずかなスペースを見つけてツェルトを張ることにした。雨が降ったらすぐ水没だが、選択の余地はない。
すぐに整地にかかる。
体が濡れているので寒い。タープも持ってきたのでそれも張った。着替えをして夕食の準備をしているあいだに、モコモコさんが焚火をしようと頑張って薪を集めて、火をつけてみたものの、谷川特有の濃いガスと冷たい風で寒いので結局やめた。
ツエルトの中は暖かく、モコモコさんが持ってきた隠し酒を飲みながら今日の健闘を称えあった。
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魚止めの滝15m |
その上の滝 |
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美しい沢 |
濡れているところは滑る |
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ネジレの滝 |
広大なスラブ |
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ボスの姿が |
前衛 |
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大滝40m |
40mチムニー滝 |
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チムニー滝上部 |
懸垂下降の後も手強い滝が続く |
10月13日
コースタイム
6:50発~80m大ナメ滝7:05/滝上9:00~運命の滝10:00/滝上11:00~爼嵓稜線13:45~オジカ沢の頭14:20~肩の小屋15:15~ロープウェイ16:45
昨日短い時間ながらも、モコモコさんが丁寧に整地してくれたのと、ツェルトとタープの併用で快適に過ごすことができた。今日も快晴だ。
起きてすぐモコモコさんが焚火を起こしてくれたが、寒いのでツェルトの中で朝食を摂り着替えを済ませてから、モコモコさんが起こしてくれた焚火のそばで靴を履いた。
昨日は暗くて周りの状況が分からなかったが、明るくなって見てみると泊まっていた所はちょうど二俣だった。
7:00出発。
まだ80m大ナメ滝が控えているので気が抜けない。出発してすぐに80m大ナメ滝が姿を現した。朝日を浴びて堂々たる風格。前衛の滝を右岸から小さく巻き、途中から80m大ナメ滝に取り付く。ザイル使用で登った。今までで一番快適な登りだった。
滝上では国境稜線が目前に飛び込んでくる。幕岩もデーンと聳え立っている。滝上も、登れない滝が2・3続き右岸を高巻く。
しばらく進むと10mほどの滝が姿を現した。二俣といえば二俣、ルンゼといえばルンゼ。まさかこの滝が我々の運命を分けるとは知らず・・・。
ザイル使用。右は岩が立っているように見えたので左から少し登って、ガラガラのところをトラバースする。ルンゼを少し登り草付き&ガラガラ部分を登る。途中なんとかカム一つセットして一安心。際どく登る。
滝上に出ると、先で三俣状になっているのが見える。ここですぐに下降して沢に戻れば良かったのだが、モコモコさんの「あそこ登れそうじゃないからこのままついでにいかない?」との訴えを、なぜかそのまま聞き入れて、目前の藪尾根を登り出してしまった。
そして、気づいたときにはもう沢に戻れなくなっていた。(今考えても不思議・・・?「早く沢から上がりたい」のモコモコさんの言霊の力か?)
この藪尾根、草付きと笹で主に構成されている。草付きは乾いていたので比較的登りやすいが傾斜がある。
途中、一部急で、笹もないところがあり、ザイルを出すことにする。ザイルをほどいているときに「お~い」と呼ぶ声が聞こえた。てっきり中ゴー尾根を登っている人からのコールだと思い、取り合えず「ヤッホー」と答えるが、呼びかけてくれた人の姿は見えなかった。
ザイルを出し、急な草付きでしかもぬめっているところを、笹が無いので滑落しないよう必死に登り、少し傾斜が緩んだところに生えている小さな灌木で確保をとる。この尾根一番の緊張したところだ。モコモコさんも必死に登ってきて、合流してからオジカ沢上部をふと見るとなんと2人組の姿が見える。
山「あそこに本当のオジカ沢を登っている人たちがいるよ。」、モコ「うん、さっき私が下で待っているときに、『ロープ出してる、結構苦労しているみたい』って話しているのが聞こえてきたよ。」から始まり、
「いつ登ってきたのかね、うちらより下で泊ったのかな」「朝出発したとしたら相当早いね」「あーあ、あそこで早いうちに下降してればな~」「ここにいるのなんだか恥ずかしいよ~」などと、わずかに残ったペットボトルの水(300ml)を飲みながら苦行の藪尾根登攀を続けた。
それでもオジカ沢を登り詰上げていく人の存在になんだか慰められた。
家に帰ってからオジカ沢のお二人は、リンク先の
「その空の下。。。」のヒロタさんと
「K.U. Outdoor Site」現場監督さんということが判明。さすがオツルミズ遡行済のお二人。情報が無いこの沢を日帰りで駆け抜けてしまうスピードにびっくりでした。
運命の滝下部が10:30でマナイタグラ尾根の稜線に抜けたのが13:40分。約3時間の藪尾根ルートだった。なんとも恥ずかしい。こんなへんちくりんなところを登ってしまったのは、後にも先にも我々だけだろう。まあ今思い出すと、快適に登れる部分もあったが。
稜線に出てしまえば「こういう藪尾根はわりと得意だ。」(二人とも藪コギは嫌いではないです。藪コギが早いかどうかは別として。)ということで、オジカ沢の頭の避難小屋へ向けて笹の稜線を辿っていくこととなる。
幸いにも笹は腰までだ。
笹薮の中、綺麗に紅葉した中ゴー尾根や、赤谷川源頭の美しさに慰められながら、俎グラ尾根を進む。
オジカ沢の避難小屋にたどり着き、僅かに残っていた水を一口飲んで、次ぎは肩の小屋目指してひたすら前進あるのみ。
肩の小屋手前まで来て水がないのがかなり応えてきた。最後の一登りが3登りくらいに感じた。そのとき小屋周辺を見回っていた管理人の馬場さんが我々を見つけて歩みの遅さに心配になったようで、しばらくこちらを見ていた。
やっとたどり着いた肩の小屋で買った缶ジュースを2本一気に立飲みして、そそくさと小屋を出る。少し元気が回復し、天神尾根を下りロープウェイ営業終了間際の17:00前になんとか滑り込みセーフ。
まとめ
◎大滝よりも小滝の方が難しい(いやらしい)
◎濡れたところは滑りやすい
◎我々の藪尾根コースはお勧めできません。以上
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幕岩 |
80m大ナメ滝前衛 |
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80m大ナメ滝 |
登れない滝右岸から |
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運命の滝 |
運命の滝 |
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高巻き途中。この時点で戻っていれば・・・ |
藪尾根ルート、登攀意欲が湧く岩峰? |
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モコモコさんが登る |
オジカ沢の頭方面 |
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谷川岳方面 |
左前方の小尾根を登ってきた。信じられない急斜面 |
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