谷川連峰
小出俣川マチホド沢
〜怖い沢&バカ虫襲撃〜
2007年6月30日〜7月1日

 今シーズン初の泊りでの沢。
 6月30日は私の誕生日の関係から、「たまには好きな沢登らせてくれ〜!」とリクエストしたのがマチホド沢だった。当初心配された、天気予報も雨マークが消え曇りに変わったので乗り気でないモコモコさんを説得して決行することにした。

アプローチ
6月30日
東京駅6:32〜上毛高原駅7:50/(タクシー)〜川古温泉ゲート8:30頃 5920円


コースタイム


6月30日
 川古温泉ゲート8:40〜千曲橋手前林道〜松ホド沢9:50/10:10〜3段100m大滝(11:05休憩11:40)登攀断念12:00頃〜センノ沢とマチホド沢間の尾根取付12:10〜16:15巻終わり〜150mスラブ滝(下16:40〜上18:40)〜BP19:30頃

7月1日
 起床5:30/7:00〜20mほどナメ状滝上7:40〜50mナメ滝下8:20/上9:30〜二俣10:10〜稜線12:50〜小出俣山13:30〜林道17:00〜川古温泉18:00



6月30日
コースタイム; 川古温泉ゲート8:40〜千曲橋手前林道〜松ホド沢9:50/10:10〜3段100m大滝(11:05休憩11:40)登攀断念12:00頃〜センノ沢とマチホド沢間の尾根取付12:10〜16:15巻終わり〜150mスラブ滝(下16:40〜上18:40)〜BP19:30頃

 川古温泉手前の広い駐車場のあるゲートから林道を歩く。天気は曇りで比較的歩きやすい。途中、斜面に黒パイプが刺さっておりそこから冷たい水が出ている。とてもおいしい。しばらく行くと貯水池がある。

伐採地を通りテクテク歩くと左にヤブっぽい林道が伸びている。ここが松ホド沢へ伸びる林道のようだ。念の為、山人が空身でその先の千曲橋を確認しに向かう。5分ほど先にあり間違いない。モコモコさんの所に戻り松ホド沢へ向かう藪林道を進む。

クモの巣を掻き分け進むと松ホド沢出合い。ここで身支度する。山人のネオプレーン靴下の上の肌にヒルが一匹。血を吸っている。人差し指と親指で潰そうとしたがムニュとして潰れず逃がしてしまった。

モコモコさんにも一匹付いていたようで石でやっつけようとしたがムニュムニュしてしぶとい。ヒルを石の上に置き山人がアイスバイルで仕留めて任務終了。

入渓地点から、150mスラブ滝のような大滝が見える。モコモコさんは「え〜あんなとこ登んの?」と驚いている。山人も内心「めちゃくちゃ急に見えるコワ〜」と思っていた。「近くに寄れば斜度は落ちて見えるよ」と不安を隠す。

しばらく歩くとすぐに大ヒラナメのセンが始まる。前日からの雨のせいか、流れに勢いがあり、水も少し濁っている感じだ。この先不安になる。

やがて、右から3段100mの大滝が目に飛び込んでくる。こりゃでかい。左からはセンノ沢のチムニー状の滝から始まる連曝が立ちはだかる。滝を見ながら休憩を兼ねてゆっくり休む。

さていよいよ、1段目に取り付く。軽くシャワーを浴びながら3分の一ほどまでの小さなテラスまで登る。ここまでは簡単だがその上はホールド、スタンスともあるが何せ確保が取れない。シャワーに打たれながらハーケンが打てそうなところがないか探したが見つからず。ヌレヌレ岩で突っ込む勇気がなく撤退することにした。

さて、降りてきて辺りを見渡してどうするかモコモコさんと相談。モコモコさんはしばらく戻り左岸から巻いたらどうだろうと提案。山人はセンノ沢と100m大滝の中間尾根を上りそこから巻こうと提案。結局は山人プランになった。これが、長く辛い大高巻きの始まりとは知らず・・・。今思うと一段目登れない時点で帰ったほうがよかったかな。

1P 山人
 最初の数メートルはいいが、先に進むに従い斜度が段々増してくる。なんとか細い潅木で確保を取る。その後も草つきを掴んだりして騙しながら登る。途中ハーケンを2本を打ち込むことが出来た。その間にも、細灌木でなんとか確保を取りながら登った。45mザイル一杯でようやく当初目標としていた樹林帯へ到着。太い潅木にセルフビレイをとり一安心。

2P 山人
 当初思い描いたような単純な尾根ではないことが判明。段々畑のような構造になっており、4〜5mのハング気味の壁がずーっと続いている。上に登るのには、トラバースぎみに進み、弱点のあるところから上に登るといった感じ。左に左に(センノ沢沿いに)追いやられる。

これ以降は適当。センノ沢からの滝の音や左に行ったり右に行ったりと意思の疎通が取れず短くピッチを区切ったりした。

段々畑の何段目か忘れたが、岩の間を斜めに這って進む箇所があり下の岩は一枚岩で覆われていて、下は見えない。そこにさび付いた古いハーケンが折れ曲がったまま刺さっていた。恐らく先人はこのハーケンを足がかりにここを突破したと考えられる。それにしても、大昔にこんなルートを取った人がいたことがいたなんて驚きです。

我々は、灌木にスリングを巻きつけてそれを足がかりにクリア。回収できず残念ながらスリングは残置してしまった。
モコモコさんは途中枝が絡まり脱出するのに苦労し、「腕がパンプして握力がないよ〜、もう降りようよ〜」と泣きが入っている。

登り始めてからいったい何時間たったのだろう。3時間を経過した頃、段々畑の弱点を突いて直上。ようやく尾根上にでることが出来た。そこからは灌木を伝いようやく沢床に戻れた。かれこれ4時間ほど経過している。

沢の水を一杯飲んで水分補給。やっと一息つくことが出来た。続きましては150mスラブ滝の登場だ。これまた凄い迫力。下から見えていたのはこれだった。

ここまで来たら行くっきゃない。

1P 山人
斜め左に気味に登る。途中2本ハーケンを打ってランニングとした。45m一杯でちょうどブッシュに到達。そんなには難しくはないが45mザイルなんかめったに使わない我々にとってこの高さは怖い。

2P モコモコさん
ルートとしてはブッシュ沿いをしばらく登ったあとにブッシュに逃げ込んだほうが当然藪コギは少なくて済む。しかし、モコモコさんはすぐにヤブに突入してそれからまたもやヤブをお腹一杯漕ぐことになった。

ヤブを漕いでようやく滝上。降りたところはオゼノ沢なので、小尾根を越えて、マチホド沢へ戻る。時間も押しているので、すぐ上の6m、8mトイ状滝も一緒に巻く。

沢は狭まりホット一息できる川原歩き。6月はいくら日が長いとはいえ時計は19:00を回っている。20mほどナメ状の滝が立ちはだかる。もう、選択の余地はない。右岸の岩の上か、左岸のちょっとしたスペースのどちらか?迷ったが、左岸のスペースに幕営することにした。大雨が降ったらあっという間に水没だが寝心地はこちらのほうがいい。

早速土木工事をしてタープを張る。ノコギリで切った跡がありどうやら先人が泊ったような痕跡があった。小さいながら今シーズン初の焚火も出来てやっと落ち着くことが出来た。
宴会もそこそこに、いつでも逃げられるように荷物整理をして明日に備えて休んだ。


大ヒラナメのセン モコモコさんが行く
左がセンノ沢、右がマチホド沢、正面が中間尾根 3段100m大滝
一段目。あと一歩、勇気がでず撤退。 手ごわい
大高巻き途中から、センノ沢の滝 150mスラブ滝が姿を現した
ドカ〜ン モコモコさんが登る
1P終了点から上部 正面には洞窟のような空間が・・・


7月1日
コースタイム; 起床5:30/7:00〜20mほどナメ状滝上7:40〜50mナメ滝下8:20/上9:30〜二俣10:10〜稜線12:50〜小出俣山13:30〜林道17:00〜川古温泉18:00


心配していた雨は一滴も降らず、青空が見える朝を迎えた。20mほどナメ状滝の登攀から始まる。簡単そうに見えて取り付いてみると中段までは快適に行けるが、左壁は上部は滑りそうで怖いのでザイルを出す。朝からザイルが絡まり二人ともイライラする。爽やかな朝に申し訳ない。ブッシュで中間支点をとってなんとかクリア。

数個小滝を越えると30mナメ滝。左を登るが、ホールド、スタンスを探しながら微妙な前進が続く。ブッシュでランニングをとって一安心。この辺が小ヒラナメのセンだろう。

ここを越えるとデーンと50mナメ滝が立ちふさがる。青空が良く似合う。

1P 山人

左壁の乾いた所を登る。途中ハーケンを一箇所打つ。後は細いブッシュで2箇所ほどランニングを取る。ロープ一杯で何とか樹林帯へ逃げ込む。あとはヤブを少し漕ぐと滝上に出た。

そのあとも滑りそうなナメ滝が続き、なかなか楽しい気持ちになれない。モコモコさんと「ゴーロはないのかね。ゴーロ歩きたいよ」と贅沢な発言。

ようやく両門のナメともいえる、二俣に到着。ここを右に進む。しばらくナメを進むとまた二俣になり、ここは左に入る。その先でスノーブリッジの登場。安定しているようなので下をくぐると5mほどの登れない滝。左壁を登り、雪渓の淵にトラバースする。そこから泥壁を登ってようやくクリア。雪渓がなかったら逆に困っていた滝だった。

あとは念願のゴーロの登場で順調に高度を上げる。癖のある小滝をいくつか越えると草つきになり、ヤブコギも少なく大ビノ沢との中間尾根に飛び出す。

ここからはひたすら忍耐のヤブコギに入る。目指すは小出俣山だ。ヤブは恐れていたほど濃くはなく、末沢川のときのほうが大変だったと話しながらなんとか進める。傾斜がなくなったところから10分ほどで小出俣山山頂に到着。山頂には三角点と小さなプレートが置かれてあった。

問題はここからだ。少し戻ってオゼノ尾根の分岐らしきポイントを探す。幸い視界も良く下降すべきオゼノ尾根も確認できる。

尾根が広いので大木穴沢方面へ寄ってしまい、軌道修正したつもりが逆に行き過ぎたりとヤブ尾根を右に左にルート修正しながらもひたすら進む。ゆっくり休みたいが立ち止まるとバカ虫(ブヨ)がわんさかやってきて耳を集中的に狙って襲ってきて、ゆっくり地形図をみる余裕もない。これには山人モコモコさんも一日中イライラさせられる。

標高1500m辺りだろうか、木に巻かれた赤テープを発見。これは事前情報とおりだ。半信半疑だったが、こんな尾根に誰が付けたのだろう?疑問は深まるばかりだ。

途中、尾根が檜と石楠花の混成状のちょっとした崖となり、その先は激ヤブで行き場を失う。いったん戻り赤テープを探す。するとモコモコさんが左を巻くように付けられた赤テープを発見。なるほど、先ほどの崖を巻くようにルートだったとは、結局はこれがこの尾根の核心部だった。

あとはヤブに隠れたかすかな踏跡と赤テープを探しながら下ると最後は平らな杉林になり、そこをそこをわずかに進むと林道に飛び出た。

あとは林道と辿って無事、川古温泉ゲートに到着。幸い携帯(ドコモFOMA)も通じてタクシーも呼ぶことが出来き、親切なタクシーの運転手さんのお陰で素敵な温泉に浸かって帰京することができた。


テン場正面の滝 テン場
30mナメ滝、緊張する登り  モコモコさんが登る
モコモコさんが登る 50m大滝
大滝上部も滝が続く 両門のナメ、二俣
滑りやすい滝が続く モコモコさんが登る
唯一の雪渓、スノーブリッジ 源頭
稜線より、松ホド山方面 小出俣山


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