吾妻連峰
天元台〜鏡沼〜谷地平〜中吾妻山〜議場〜裏磐梯 
〜念願のルートにも暖冬小雪の影響が〜
2007年1月26日〜29日

今シーズンは昨シーズンと正反対の暖冬・小雪で先にシーズンインした方々の記録を見ても行き先を探すのが第一の核心になってしまっているようだ。

山人・モコモコ隊も遅れることようやくシーズンイン。
行き先は相変わらずの吾妻連峰だ。代休やら有給休暇を使って4日の休みを確保することに成功したので、鏡沼や昨年とうとう実現できなかった中吾妻〜議場への下山にも挑戦することにした。
 例によって食料計画に一番時間をかけた結果、二人とも荷物が異常に重くなってしまった。

余裕をもった行動プランとはいえ、はたして計画通りにこなせるのか?


アプローチ

1月25日
東京駅20:36〜米沢駅22:48(泊)
1月26日
米沢駅8:05〜白布湯元8:46


コースタイム

1月26日
リフトトップ10:30〜中大巓11:〜東大巓12:50〜明月荘14:15
1月27日
明月荘8:20〜東大巓9:00〜昭元山トラバース開始10:20〜鏡沼11:00〜谷地平13:00〜谷地平避難小屋14:20
1月28日
谷地平避難小屋8:00〜稜線12:45〜下降点13:50〜C1500m付近(イグルー)15:00
1月29日
イグルー8:30〜林道11:50〜レークライン下13:30〜秋元湖キャンプ場16:35〜スキー脱ぐ17:00/17:30〜裏磐梯ロイヤルホテル18:00


一日目(1月26日)


 今年も米沢駅のビジネスホテルに泊って朝一番の白布湯元駅行きのバスに乗り込む。
天元台スキー場は平日というだけあって、ガラガラだ。このままゲレンデで遊びたくなる。

リフトトップでシールを貼り付け、体操をしてから出発。
これまたさすがに平日なのでトレースは皆無だ。
昨年よりもラッセルはずっと楽だが、重荷のためペースがあがらない。
稜線に付くと風が強いが、思ったよりも強くなく、予報に反して晴れてきたので気持ちよく歩いて行ける(重荷を除けば)。
藤十郎付近では、犬が鼻をくんくん鳴らすような機械音がずっと聞こえてきたので気を取られたりしながら進む。
やがて明月荘が見えてきた。
当初では、東大巓に13:00頃までに到着できれば、先に進む予定であったが既にここで13:00を過ぎている。
このまま谷地平に下るのであれば重荷でもいける時間であるが、今回は鏡沼を回っていくのが目的の一つでもあるため、明月荘泊りとする。

 そうと決まったところで明月荘へ向かう途中で荷物を置いて空身で東大巓山頂を往復することにする。
空身だと早い。
山頂では視界がよくきき、明日辿る方向や、昨年苦労した家形山〜霧の平の尾根や、福島市内が良く見えた。
夏は展望がきかないので、冬だけ見られる景色だ。
山頂のポールをみると、昨年よりも50cmは積雪が少ない感じだ。
ここには何度もきているが、晴れて展望がきいたことがほとんどないので、結構な時間をかけて景色を堪能してから、荷物のところへ戻る。空身で下りだとなんと楽で楽しいのだ!
あとは明月荘へ一直線で向かい、いつも通りドアを掘って中へ入る。

暗い一階を避けて2階に上がる。
我々だけの貸切なので、ツエルトを張ることにする。
そのお陰で非常に暖かく、夜中寝ているとき暑くなったくらいだった。
また、小屋は非常にありがたく、外では強風が吹いているようだが、静かに寝られた。


馴染みの天元台スキー場から出発。 青空が見える。
この時期にしては展望がいい 今年の小雪もここでは影響なし
風があるが、昨年のように寒くはない 人形石
樹氷もしっかり出来ている これから藤十郎へ
東大巓へ 荷物をデポして山頂へ
東大巓山頂。積雪量は昨年よりー50cmか 明日歩く予定の昭元山方面
明月荘。今年はドアの掘り出しが楽だった。 ツエルトを張ったのでぬくぬくだ。


二日目(1月27日)


 毎度のことながら朝寝坊で、出発が8:00過ぎになってしまった。
昨日と打って変わった荒れた天気で、視界不良だ。
コンパスを合わせて東大巓へ向かう。
東大巓山頂からは、昭元山へと縦走するので、まずは鞍部まで下る。
鞍部は少し広いので、今回仕入れた新兵器GPSで確認してみると、ちゃんと尾根に乗っているようだ。

昭元山手前のピョコを左手に見て昭元山へと進むと樹林の背が高くなってきて風が少し避けられるので一息入れる。

再び尾根上を歩くと昭元山の急斜面に突き当たる。
ここは昭元山に登らず山腹を大きく巻くようにトラバースする。
昭元山の北斜面にあたるところをトラバースするが、この斜面にはフカフカの粉雪が溜まっていて、思わず滑り降りたい気持ちになる。
予想よりも早く巻き終わって昭元山と烏帽子山のコルへ到着。
鏡沼は少し下りたところにある。
モコモコさんのいつもの「私、別に(鏡沼へ)行かなくてもいい〜。」がでたので、山人単独で鏡沼を往復してくる。

ここから谷地平へ下る。
しばらくはシールをつけたまま烏帽子山の南に伸びる尾根へと回り込む。
尾根に回りこんだところで、山人はシールをはずす。
この斜面は、少し樹林が濃く、距離が短いが、雪質が良くなかなか楽しい滑りをすることができた。

傾斜が緩やかになってきたところで、大倉深沢の横断地点へ向かう。
昨年は登山道のところへ向かうと小沢が入り組んでいて面倒で、谷地平へは短いが急なところを登らないといけなかったので、大倉深沢は上流で横断して谷地平のある台地へ登ってしまおうという魂胆だ。
その作戦があたり、難なく谷地平のある台地へと登ることができた。

あとは小屋を目指すだけだったが、モコモコさんはあまりにも一直線に小屋を目指したため、反対側にある沢へたどり着いてしまった。
このまま沢沿いに下流へと歩いていけば小屋であるが、GPSを試してみることにする。
結果、谷地平のように開けたところでの精度は抜群で、夏道をきちんと辿って谷地平にある道標に着いた。
ここまでくれば小屋まではあとわずかだ

少ない積雪量でも小屋前の小沢はちゃんと埋まっており、渡渉することなく小屋へ着いた。
毎度のドアの掘り起こしから始める。
やはり昨年に比べてあっけなく中に入ることができた。

計画ではこのあと東吾妻山を往復してくるはずであったが、既にやる気0だ。
ということで早速水汲みをし、ここでもツエルトを張って宴会の準備に入る。
ツエルトを張っているので寒いということはないが、モコモコさんが風邪をひいたらしく、しきりに鼻をかんで、「のどが痛い〜」といっている。少し熱もあるようで明日以降が心配だ。
とにかく沢山食べさせようとするが、「もうお腹一杯」といって食があまり進まない。

明日のことを考え、宴会もそこそこにシュラフに包まることにする。


昨日と打って変わった天候 ぼんやりと昭元山が見える
昭元山トラバース斜面。とても雪質がいい 鏡沼
鏡沼を後にして谷地平へ 烏帽子山の基部を回りこむ
烏帽子山を振り返る 大倉深沢横断地点へ
谷地平 今晩の宿谷地平避難小屋
水を汲めるのがとても助かる ツエルト撤収中


三日目(1月28日)


ツエルトのお陰で今日もヌクヌクでのお目覚めだ。
昨日とはまた正反対のいい天気となり、これから登る中吾妻山がくっきり綺麗に見え、幸先のいいスタートだ。

大倉川の横断はモコモコナビのお陰で難なくクリア。
天気がいいのでここで一枚服を脱ぐ。
中吾妻山への上りは最初小沢を軽く進んでいくが、快適に進んだ昨年と違いあまり埋まっておらず、藪と所々抜けていたりして歩きにくかった。

少し軽くなったとはいえ、重荷にペースが上がらず尾根の取り付きにくるまで一時間半もかかってしまった。
このままでは稜線につくのがいつになることやら。ということでこれまた当初は稜線でイグルーを作って、あとは周辺を滑る予定であったが、下山のことを考え少しでも下ったところで泊ることにする。

トップを交代しながら進む。この登りは標高1650mくらいから傾斜が増す。キックターンが面倒なので斜登行でをしていくと、継森から伸びる比較的緩やかな尾根に上がってしまった。昨年はほぼ夏道通りに登ったが、重荷の今回は遠回りでも、登りやすいのでそのまま尾根を行き、継森と中吾妻山の鞍部へトラバースするほうが楽だ。

一息入れてから鞍部の標高1850mまで標高を稼ぐ。
標高1850mを越えたので、鞍部に向かってトラバースする。
思ったよりも早く鞍部に着く。中吾妻山はパスして、中吾妻山とヒョッコリピークとの鞍部へ直接向かいそこから滑り出すことにする。

シールを外し、ワックスを塗って、コンパスを夏道と1500mの等高線が交わるところに合わせて、いよいよ今回の最大の目的である議場へ向けての滑降を開始する。
最初は込み合っていた樹林も徐々に隙間が開けてきて、南斜面であるが樹林なのでフカフカの粉雪だ。
重荷でも歓声を上げて行けるとても楽しいところだ。
目的の地点に近づいたようで、途中古い赤布を発見した。その後すぐに1500m付近に到着。
このまま一気に降りてしまおうかとふと思ったが、そろそろ泊る場所を探すことにする(これが正解だった)。
ちょうど10m四方で樹林がぽっかりと開けているところにでたので、今日の行動を打ち切り、イグルー作成に取り掛かる。

まずは二人で踏み固める。暖冬とはいえ、フカフカ雪の踏み固めに15分ほど時間を取られてしまう。
ブロックを切り出して、積んでいく。一段目はそれぞれが切り出して積んでいく。二段目にかかるところからモコモコさんが中に入り、ブロック積み職人(合間をみて足元からもブロックを切り出す)、山人はブロック切り出し職人となる。
積雪量があまりないため、ブロックを切り出しているうち、藪がでてきてしまった。
そこでブロックを切り出すために、新しい範囲を踏み固める必要がでてしまう。モコモコさんは既に積んでいる最中のイグルーからはでられないので、山人一人で踏み固めなくてはならないため時間が余計にかかる。
日が翳り始めてくるころにようやくドームが完成し、入口を掘る。

入口が貫通したところで、中にいるモコモコさんがイグルーの中の拡張工事に取り掛かり始める。
人が出入りできる程度まで拡張したところでモコモコさんと交代し、さらなる拡張工事を進める。
掘って掘って・・・、なんとか二人寝られるほどになったので作成終了とし、荷物整理をしてイグルーに入る。
踏み固めに予想以上に時間を取られてたため、すっかり日が暮れてしまった。製作時間2時間30分ほど。

ろうそくを灯すとヘッドランプなしでも大丈夫なくらい明るい。
早速水作りだ。
昨日までと違い、ツエルトを張っていないので暖かくない。しかしツエルトからでた避難小屋ほどは寒くないような気がする。
夕食をとりながらラジオを聴いたりしてからシュラフに包まる。
最初は寒いというよりも冷えるような気がしたが、いつのまにか寝てしまった。


青空に中吾妻が白く輝く。 最高の天気だ
昨日のルートも見える 暖冬小雪でも結構スキーがもぐる
稜線へと登る。滑って降りたい 継森を振り返る
中吾妻山とヒョッコリピークの鞍部にて 中吾妻山の斜面はフカフカだ
ブロックを積みながら足元からも切り出す イグルーのドーム完成も近い
ろうそくだけで明るい イグルーからろうそくの明かりが漏れる


四日目(1月29日)


四日あった日程も早くも最終日となり、今日は家まで帰る日だ。
モコモコさんは、「イグルー泊はもうこれっきりでいいや」と言っていた割りにはぐっすり寝ているようで目覚ましのアラームが鳴っても起きる気配がない。結構標高を下げておいたので、1.5時間くらいで林道について、お昼までは無理でも14:00頃には余裕で付くだろうと思いモコモコさんをしばらくそのまま寝かせておくことにした。
そんなことをしていたため、出発がまたもや8:00を過ぎてしまった。

昨晩さらりと雪が降ったようだ。
コンパスを林道に合わせて出発。
最初は藪がでていながらも昨日に引き続き快適に下っていく。

しかし標高1400mくらいから右にずれ始めていたので、左に修正しながら降りていく。
予想以上にずれてしまっているらしく、大胆にトラバースしていくが、時すでに遅し。
予定よりも一本右の尾根に入り込んでしまっていた。このままこの尾根を下っていても目的のところには着くが、急がば回れで予定のルートに戻ることにする。

最初はそのまま予定のルートに向かい歩いていたが、モコモコさんから「予定のルートに戻るには少し登らないといけないからシールをつけていったほうがいい。」と提案される。
最初はシールなんか付けるよりもこのまま歩いていったほうが早いと提案をい却下していたが、モコモコさんから「やっぱりシールをつける」との宣言がでてシールを付け始めたので、モコモコさんに従い山人もシールを着けることにする。

モコモコさんの言う通りシールを付けて正解だ。すぐに予定のルートに戻る目途がついてシールを再び外して下りにかかる。
あとは、林道までに2回ほど現れる急斜面を得意のイナズマターン(斜滑降+キックターン)でやり過ごせば楽勝のはずであった。

しかし、下るにつれ藪がうるさくなり、問題の急斜面にさしかかるとそこは激藪であった。しかも雪質がグザグザに湿って重く、イナズマターンどころか、足元には、くもの巣のように張り巡らされた藪のワナに阻まれ斜滑降もできない。それどころか、ところどころ藪こぎになってしまう。
もう少し積雪量があれば、ワナも埋まり少しは滑っていけるだろうが、この小雪ではとても無理だ。
結果、カニさん歩きで降りることになってしまう。藪がひどくキックターンができないのでひたすら同じ向きのカニさんだ。

どれくらいカニさんをしていたのか憶えていないが、ようやく第一の急斜面が終り少しまともに滑っていけるようになる。このまま終わればいいなと期待するが、山スキーはやはり甘くなかった。
第二の急斜面は、先ほど同様の激藪に加え今度は切り株畑にもなっていた。
ここも例年くらいの積雪量があれば、切り株も埋まって快適とは言わないまでも滑って降りていけるのだろう。
雪質はさらに悪く、コンクリートのようだ。こうなるとひたすら無言のカニさんとなる。
足元のワナを避け、ワナを避けると上半身に藪が絡み付いてまるで障害物競走(歩き)をしているようだ。

これまた時間と体力を非常に消耗するカニさん下りをどれくらいしたか憶えていないが、なんとか急斜面が終わったらしい。
あとは相変わらず藪っぽいが、緩やかになって少し藪も薄くなってきたようなところを進む。
もうすぐ林道のはずという辺りになると、樹林が開けてやっと快適にいけるようになり、なんとなく木に赤印がしてあるようなところを過ぎると、本当にやっと出たという感じで林道にたどり着くことができた。
林道についた時点でお昼前だ。最初はお風呂に入ってどこかでおいしいものでも食べて帰ろうという計画だったが、食事は無理だ。それでもここからはスイスイ快適に進んでお風呂にゆっくり浸かれるだろうとこの時点ではまた楽観視していた。

実際に林道を歩くと、重い雪で埋まっている林道は傾斜が緩くほとんど滑らない。それでも最初はわずかながらの傾斜のお陰で、セカンドなら少し滑っていけたが、いくらも進まない内に平坦になってしまった。
トップを交代で林道を進む。途中休憩を入れてからモコモコさん先行で進む。途中で山人がトップを交代している内に吾妻山神社方面へと向かう林道との合流点に着く。
ここには今は要なしとなったようなゲートがあった。

ゲートからは下りとなり、少し楽できる。途中、ウサギが走って林道を横切っていくのも見ることができて楽しい。が、そのようなところもすぐに終わってしまう。林道が沢を渡る橋からは、ひたすらゆるーい下り若しくは平坦な林道を進む。
トップを交代しながら重ーい雪質の林道を進む。
山頂付近は軽い粉雪であったが、林道周辺はほとんど春といった感じで林道も所々道が覗いているところもある。ほとんど平坦な重い雪に覆われた林道に激藪のときと同様、時間と体力を浪費している。一度休憩を入れて地図をみて、到着は16:00頃になってしまうなとモコモコさんと話す。
再び歩き始めてしばらくして、見覚えのあるものが。中津川遡行のときに見た登山口の案内だ。
夏ならば、もう着いたも同然だが、冬期の今はこれから秋元湖周りの長いサイクリングロードをいかなければならない。

唐松川にかかる橋と中津川にかかる「通行止め」とある林道の橋を渡ってさらに歩みを進めると、ようやくレークラインが見える。
レークラインは林道の上を通っており、林道は岩をくりぬいたかわいいトンネルをくぐって中津川沿いを秋元湖に向かっている。
暑くなったのでフリースを脱ぐことにして、モコモコさんには先行してもらいトレース付けを頼む。
モコモコさんの後を追うが、カメラを落としたと思いフリースを脱いだところまで引き返す。結局のところカメラはきちんとジャケットにしまってあったのだが、これでモコモコさんに結構遅れをとってしまう。

先行したモコモコさんから笛でコールがかかる。
それに答えてから何分かした後再度コールがかかる。
思ったよりも間があいてしまったので、なにかトラブルがあったのではと心配になっていたようだ。
立ち止まって待っていたモコモコさんに追いついた所は秋元湖の中津川河口であった。
河口から少し進むと、レークラインへつながる林道の分岐があり、少しはなれたところにポツンと別荘のような建物があった。
あまりにも平坦で、わずかに登りもある林道をここまで歩いてきて、モコモコさんが「ここからシールをつけていくよ。」といってシールを着けた。
山人はそのままシール無しで行くが、シールを付けたモコモコさんから「シール着けると楽だよ。」といわれ、やはりシールをつけていくことにし、モコモコさんに先行してもらう。

シールのつきが良くなく、テーピングを巻いたりしたので、またモコモコさんとの距離が離れてしまう。
先行したモコモコさんは少し心配になったようで途中待っていたところに追いつくと、湖にある小島を目指して歩いていく。
湖の周りはほぼ平坦で、わずかに登りがあったりするのでシールを付けて正解だったようだ。
秋元湖は途中ウサギの耳のような形をしているところがあり、湖が無事凍っていれば耳の根元にあたる部分で湖上を横断して時間を短縮できるのだが、暖冬の今年はあまり凍っていないように見られる。
湖上には動物の足跡がみられるが、体重のある人間が乗るには無理そうだ。
「これは横断無理だね」と話ながらいくと横断の目安になるあたりに着く。

湖上にはワカサギ釣りのテントが張られているので、乗っても大丈夫であろうが、林道を忠実にいくことにする。
途中、側壁からブロックが落ちているところが見られた。昨日か今日に落ちたものらしい。なんだか春のようだ。この時期にありえないほどの雪質の悪さだったのもうなずける。

ウサギの耳を回り込み終わる頃になるとスノーモービルの跡が出てきて、スキーがもぐらずに進むことができる。
しかしこのウサギの耳は思ったよりも長かった。
秋元湖キャンプ場(冬季休業)に着いたときにはかなり日が傾いていた。
この調子ではお風呂に入って帰れるか微妙だ。
行動食を取って再び頑張って歩くと、やっと発電所だ。
ここからは車が入ってくる道なので、ときどきアスファルトが見えたりしてるが、そのままスキーを付けていける。

秋元湖の土手になにかの撮影か観察に10人くらいの人が現れたのをみながら進むことわずかで、五色沼入口へ向かう道路にぶつかったところで完全にアスファルトが見えている道路となる。
ここでスキーは終了。
スキーを脱ぐついでに、ブーツも脱ぐ。
そういったことをしているうちに、どっぷり日が暮れてしまう。入浴予定としていた裏磐梯ロイヤルホテルでこれから行ってもお風呂に入れるかな?と心配になり、電話を掛けてみることにするが、昭文社の地図には番号が載っていない。携帯電話を見てみると、いつ入れたのか全く憶えていないがなんと電話番号が入っていた。
ラッキー♪ということでモコモコさんに電話をしてもらうと、今からの時間でも入浴できるとのこと。
助かった。これで4日分の汗を流して、体を温めて帰ることができる。

板とブーツが入ったことでずっしりと重くなった荷物を担いで裏磐梯ロイヤルホテルに向かう。
真っ暗な中をテクテク歩く。
夜になって道路が凍っているので気をつけて歩くこと30分。暖かな裏磐梯ロイヤルホテルに到着。
帽子を脱いだところ、髪の毛がもちゃくちゃな状態となった頭を晒したモコモコさんが、早速入浴の受付をする。
さらに、「お風呂に入った後で、帰りも遅くなりそうでさすがにもう重荷から解放されたいから、ここから荷物を送ろう。」とモコモコさんが言いだし、ホテルの方にさっさと宅配便について問い合わせを始める。

ホテルの方は大変親切に対応してくれ、ブーツと、ザック×2(カバーにも入れずそのままの姿で)発送してもらえるとのことで助かった。
お風呂に入っている間も荷物を預かってくれるとのことで、温泉セットを取り出してお風呂に向かうことにする。
温泉セットを出しているときに、モコモコさんがホテルの方からどこから降りてきたのかと話しかけられ、概ねのルートと雪質のことを話すと、今年はやはり例年に無く雪質が悪いとのことだった。

このホテルのお風呂は、タオルからかみそりまで全て揃っているので着替え以外の装備は不要で、きれいさっぱり快適な思いをして、荷物の発送の手配をした後は、バスの時間を待つ。
昨年までの会津バスが猪苗代-裏磐梯路線を運行しているときは、裏磐梯ロイヤルホテルにはバス停が無く、5分ほど歩いたバス停へいかないといけなかったが、今年はこの路線から会津バスが撤退し、もとから別路線で裏磐梯ロイヤルホテルへ乗り入れている別のバス会社が、猪苗代-裏磐梯路線を運行することになったので移動せずにバスに乗ることができる。

バスの姿が見えたのでホテルからでてバスへと乗り込む。
いつもはバスの中で寝るのだが、二人とも寝ない。モコモコさんからも「いつも寝るのに、今日は眠くならない。」といわれ、「おなかが満足してないからだよ。」と答える。
計画書を見てみると、猪苗代駅で約1時間の待ち時間がある。
そこでこの時間を利用して腹ごしらえしようという打ち合わせをする。

駅前の店は、平日のこの時間ではもちろん全て閉まっているので、猪苗代駅に荷物(板はさすがに担いで帰る)を置いて、タクシーの運転手さんにどこか1時間以内で食べて帰ってこられるところがないか相談してみる。
するとラーメン屋さんがあるということで、連れて行ってもらう。「久しぶりに椅子に座ったな〜」「椅子っていいね」と会を交わす。

そこで食べたラーメンと飲んだビールは涙がでるほどおいしかった。
迎えを頼んでいたタクシーが来る時間となり、大満足したお腹をかかえて店をでる。
その後は順調に乗り継ぎ、新幹線でツアー無事終了の乾杯をした。


一晩お世話になったイグルー 忘れ物点検後イグルーを出る
藪がでているが快適 激ヤブの中、珍しく開けているところ
林道間近、後は快適にいけると思った レークライン
レークラインをくぐるための小さな隧道 秋元湖ウサギの耳部分のところに張られていた
秋元湖キャンプ場 日が暮れた頃、スキーを脱ぐ


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