山域 |
二口山塊 |
コース |
二口沢小松原沢 |
〜ナメとブナ林の宴会沢旅〜 |
日程 |
平成18(2006)年6月9日〜6月11日 |
6月に入ってようやくモコモコさんと土日の連休で休みが合う。
あまりにも久しぶりなので欲張ってさらに一日休みを取って出かけることにした。
久しぶりなため、行きたい所があちらこちらに溜まっている。
悩んだ末、なかなかとれない三連休は少し遠出して、また、あまりに久々の山行なので宴会目的にしようとなる。
そして決まった行き先は前々からモコモコさんが行きたがっていた二口山塊。大行沢は人気があり釣り人とかち合いそうな気がするため二口沢本流小松原沢とした。
小松原沢は日帰りも可能らしいが、怠けきったモコモコさんには泊りでのんびりがちょうどいいだろう。
気になるのは天気だ。予報ではどうもよくない。
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データ |
地形図1:25000 作並、山寺、笹谷峠
アプローチ:東京駅6:56〜仙台駅8:37/8:48〜愛子駅9:13
愛子駅よりタクシー約30分(約6700円)
コースタイム
6月9日
二口温泉ビジターセンターから二口バンガローまで徒歩約10分
1日目 6月10日
二口バンガロー8:15〜入渓点(風ノ堂沢出合付近)9:50〜南沢出合10:45〜小松倉沢出合12:30〜銚子大滝上14:12〜B.P.15:00(くらいだったと思う)
2日目 6月11日
B.P.7:20〜右沢出合7:24〜二俣8:00〜稜線9:00〜山形神室岳分岐(山形神室岳往復)9:20〜清水峠11:00〜二口峠12:00〜二口分岐14:00〜山寺駅15:20(二俣からは記録をとっていないため不正確です。)
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6月9日
コースタイム&ルート:二口温泉ビジターセンターから二口バンガローまで徒歩約10分
出発当日は朝から雨。
今回はのんびりな沢旅のため朝出発。
朝東京出発で9時前に仙台に着くので仕事関係で利用する人達でほぼ満席だ。スーツを着た人ばかりの中でいかにも遊びに行きますという我々は浮きまくりだ。
東京駅を出発して2時間足らずで仙台駅に到着。やはり「はやて」は早い。
仙台駅で仙山線に乗り換えて愛子駅まで行く。ここからバスで二口温泉まで入る予定だったが、なんだかバスが来る気配がない。時刻表を確かめてみるとなんと時刻が違っていた。モコモコさんは最初土日で計画していてその後に一日追加したが、土曜の時刻のままで平日の時刻を確認していなかったのだ。なんたることだ。
あわててモコモコさんのところに行くと地元の方とのんびりおしゃべりをしている。(どうでもいい話だが、モコモコさんと東北地方へ行くと必ずと言っていいほど地元の方に話しかけられたり、初めて訪れたところなのに道を聞かれたりする。今回も地元民だと思われていたらしい。モコモコという生物はよほど東北地方の風土に溶け込んで見えるようだ。)
本題に戻り、モコモコさんに時刻表のことを話すと、「うそー!!!、ごめん。タクシー代私が払うからタクシーで行こう。ついでに林道のいけるところまでタクシーで入ろう。」ということになる。
外は雨が止まず、ときどきザーッというくらいになっている。鳥までが屋根の下に避難するくらいだ。
こんなに降ると、沢での行動も殆ど無理だろうということで泊れるところがあったらすぐに泊ることにする。
そうなると今日の行動時間は殆どないに等しい。そこでのんびり駅で沢靴を履いてスパッツをつけてからタクシーに乗り込む。
二口温泉へ向うにつれて雨は本格的に降ってくる感じだ。運転手さんから今日は入梅で一日こんな感じみたいだと言われ、モコモコさんが「どうする?本当に先に行くの?二口温泉先のバンガローはすごくきれいだって話だよ。」とどこから仕入れた情報かそんなことを言ってくるので、先に進む気持ちが揺らいでくる。
二口温泉にあるビジターセンターあたりで運転手さんが「どうしますか?」と聞いてきたのであらためて外を見ると雨は本降りのままだ。とりあえず様子をみることにしてビジターセンターでおろしてもらう。
センター内はとてもきれいだ。中を見学したりして時間を潰すが雨は一向に止む気配がない。
これはバンガロー泊に決定だ。となると予定を変更しなくてはいけない。
最初は小松原沢を遡行したあと、大行沢へ降りてさらに面白山高原へと下山し、ニッカウヰスキー工場へ寄ってから帰るというものだった。
モコモコさんが早速コースの変更の作成にとりかかる。「できた!」の声にどれどれと案を見ると変更プランにもしっかりと工場見学が入っている。
「これは無理だよ。ましてや全然歩いてないでしょ?ニッカウヰスキーにこだわりすぎだよ。」と山人が大幅にルートを短縮した計画に立て直す。
「はい、軟弱プランの出来上がり。」とモコモコさんに見せると「全然歩いていない」の言葉がきいたのか素直に納得した。
明日からの予定が決まったところでバンガローの宿泊の申し込みをする。宿泊だけでなく、毛布も有料で貸し出してくれるらしいので、毛布も借りる。
ペラペラな毛布がくるのかな?と思っていたらほとんど新品のような肌さわりのよいフカフカも毛布でうれしくなった。外は雨が降り続いているので毛布はゴミ袋に入れてもらった。
雨のなかバンガローへ移動する。きれいな滝を持つ小行沢にかかる橋を渡り、すぐに大行沢にかかる橋を渡る。朝から降り続く雨で大行沢も増水している。今日の入渓を延期して正解だったとつくづく思う。
バンガローはとてもきれいで快適だ。
降り続く雨と風に悩まされることもなく、お腹一杯に食べてラジオの天気予報で明日は天気に恵まれることに喜んでフカフカ毛布にくるまって明日に備える。
1日目 6月10日
コースタイム&ルート:二口バンガロー8:15〜入渓点(風ノ堂沢出合付近)9:50〜南沢出合10:45〜小松倉沢出合12:30〜銚子大滝上14:12〜B.P.15:00(くらいだったと思う)
朝起きると雨は止んでいた。
朝早く出発しても水が引いていないだろうということでゆっくりの出発。
快適に過ごしたバンガローを後にして林道を歩く。
林道をタラタラ歩いていくと磐司岩が見えてくる。
「すごいねー。あそこから飛んだら正にバンジー(磐司)ジャンプだね。」というモコモコさんの寒いオヤジギャグを軽く受け流してさらに進む。しばらく歩くと林道は二口沢の右岸に渡り、湧き水があるところに着く。
早速湧き水を味わうと冷たくまろやかでとてもおいしい。ここまでの林道はよく整備されているので一般の人もよく汲みに訪れるらしい。
気温があまり上がらないが歩くのにはちょうどいい。
セミ君の合唱の中、ときどき林道に転がっているセミ君をバッジのように体に付けて遊びながら歩いていくとようやく糸滝が見えてくる。
糸滝への遊歩道入口には車を数台駐車できるスペースがあり。そのすぐ先にゲートがある。
ゲートのすぐ先にかかる橋から沢を見ると見事なナメである。ただ残念なことにナメの左岸が護岸工事されていて折角のナメの雰囲気を損なっている。
どこから入渓してもよさそうだが、林道が右にカーブして沢沿いから離れるところから入るのが一番いいような感じで、ここから入渓する。
沢に入るとナメ一色の世界となる。
水量はやはり多目のようで滑床をさらさらというよりはザーッと流れる感じだが、快適に進める。水がとても冷たいが深いところはほとんどないので問題ない。
時折現れるきれいなナメ滝を快適に越えていくと少し傾斜が強くツルツルの10m滝に着く。ここは右から簡単に巻ける。
巻き終わった先にスノーブロックが残っていた。
途中釜を持つ小滝は水が冷たくなければ何も問題がないのだが、今日は水に浸かりたくないので小さく巻く。このあたりから右上に林道が見える。
南沢を過ぎてから少しゴーロが出てくるがすぐにまたナメやナメ滝に戻り、いいねーいいねーと進む。
両岸から10mほどの滝をかけて支流が入ってくるところの先にある小滝は右の草つきから小さく巻く。
巻き降りた先からはスノーブロックがちらほら出てくるようになりそのうち小さなスノーブリッジがかかってくるようになる。
スノーブリッジは規模が小さいので簡単に上に上がって越える。そのうち沢は雪渓で埋まりその上を歩く。
正面に雪渓で埋まった枝沢を分けると本流は左に直角に曲がる。ここからまたナメベースでスノーブリッジ、小滝といくつか交互に現れこれを問題なく越えていくと右岸から小松倉沢が出合う。
小松倉沢出合いを過ぎてすぐの6m滝はホールドが細かいので空身で登る。水がとても冷たく手がかじかむ。登りきったところで荷揚げにかかる。しかし、荷揚げに2度失敗しそのたびに荷物を回収するときモコモコさんは頭から冷水を思い切り2度も浴びたので、あとから登ってきたモコモコさんは「う〜、づべだい。」とうなっていた。
相変わらずきれいなナメをひたひた歩き、大き目のきれいな滝を連続して3つ越えるといきなり15m滝が出現する。ここにきて連続した3つの滝が15m滝手前の3段15m滝だったと分かる。
15m滝は右岸を巻く。
この巻きは簡単ではないが、慎重にロープなしで越えられた。巻きの途中からは今回一番の大物銚子大滝が見える。
銚子大滝手前で一度沢床に下りる。降りたところはスノーブリッジの手前だった。このスノーブリッジはいままでと違い大きく下を一人ずつ足早にくぐりぬける。短いがちょっと緊張するところだ。
銚子大滝は最下段が立っているが倒木がかかっていて頑張れば登れるかもしれないが、今日の水量と水の冷たさでは登るのは問題外ということで早速巻きにかかる。
くぐり抜けたスノーブリッジのそばの右の草つきから取り付く。そこそこ潅木があるが、念のためザイルを出す。ある程度まで上がると潅木が豊富にあるので、それを使って落ち口へトラバースする。この巻きも簡単ではないが、銚子大滝を眺めながら進めるところを進めば問題なく通過できる。
大滝上はゴルジュになる。
ゴルジュに掛かる最初の釜を持つ滝は最初へつっていって取り付こうと思ったが、へつりに失敗して釜に落ちる。心臓がとまるかと思うくらい水が冷たく巻くことにする。滝上には雪渓があり、巻き終わりは雪渓の上に一度降りてから沢床に降りる。その先は特に問題なく2〜3個の滝を快適に越えていく。ゴルジュも長くなく終わりきれいなブナ林が回りに現れると、ここに泊るしかないでしょうという場所にたどり着く。
まだ先にいける時間だが、今回はのんびりの計画なのでここに泊ることに決定。
今年初の沢でのビバークだ。
最初バカ虫がいてうるさく感じたが、やがてバカ虫もいなくなり、冷たく吹いていた風もやんで快適になる。よく燃えた焚火を囲んで楽しく過ごし、明日の好天を祈って眠りについた。
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お世話になったきれいなバンガロー |
磐司岩が見えてきた |
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入渓点付近の小松原沢 |
水量が多くきれいなナメ滝 |
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ナメ滝 |
ナメ滝 |
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ナメ滝のオンパレード |
雪渓がでてきた |
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スノーブリッジを足早にくぐる |
巻きの途中から銚子大滝が見える |
2日目 6月11日
ルート:B.P.7:20〜右沢出合7:24〜二俣8:00〜稜線9:00〜山形神室岳分岐(山形神室岳往復)9:20〜清水峠11:00〜二口峠12:00〜二口分岐14:00〜山寺駅15:20(二俣からは記録をとっていないため不正確です。)
さすがにこの時期の朝はまだ寒い。しばらくシュラフに包まってもぞもぞしてから気合を入れて起きる。
早めに出発するつもりだったがやはりゆっくりの出発となる。
出発してすぐの小さいナメ滝のすぐ上にある釜を持つ小滝は水に浸かるのが辛いので小さく巻く。
この滝のすぐ先が右沢との分岐で、左沢のほうが沢床が高い感じだ。右沢左沢ともナメが続いている。
ここは左沢に入る。左沢は分岐から急に傾斜が増す。フリクションをきかせてぐいぐい進むと、テンが沢を横断するのを目撃する。残念ながらカメラをモコモコさんに持たせたままで、モコモコさんは後を歩いていたのでカメラを出すのが間に合わなかった。
傾斜が少し緩み、延々と続いたナメも源頭に近づくとさすがに終焉を迎えゴーロ歩きとなる。このあたりから雪渓が現れる。
ときどき切れる雪渓上をとことこ歩いたり、ゴーロを進んだりで二俣に着く。この二俣は右に入る。雪渓もほとんどなくなりゴーロとなる。やがて水が枯れてくると沢型もなくなり、うっすらと二手にわかれた窪が残されてその先はヤブとなっている。この窪を左に入る。窪を10mほど進むとヤブコギに突入。
ヤブを数分こぐと傾斜がなくなり、さらに数分ヤブコギすると登山道に出た。
モコモコさんも続いて藪から無事脱出。登山道にでたところでモコモコさんから「はい、お土産。」と根曲がり竹を渡される。ヤブコギ中に採ったらしい。根曲がり竹をかじってからハーネスなどをはずして縦走スタイルになり、行動食を食べる。
山形神室岳分岐に移動する途中トグロを巻いているヘビを目撃する。分岐に荷物を置いて山頂を往復してくる。生憎のガスでなにも見えないので山頂で写真だけ撮って下山にかかる。
分岐からいきなり急な下り。登山道はよく踏まれているが、とにかくよく滑る。しりもちをつきながら進む。このあたりはブナがとてもきれいだ。
気温が上がらず風もふいているので歩くのにはちょうどいい。
途中地元の消防団の方々とすれ違う。さらに山菜採りの人たちとも出会い、山菜のおいしい食べ方についてしばし講義を受ける。
アップダウンが多くよく滑る登山道であるが、きれいなブナ林と涼しい風に癒されながら進む。しかし清水峠へ着く30分ほど前からガスが一段と濃くなり風も強くなってきて肌寒くなる。
清水峠に着いたときにモコモコさんに高瀬に降りたいようなことを言われたが、長い車道歩きがいなやのと折角なので予定通り山寺を目指す。
黙々と歩いていくと林道にでる。この林道の山形県側はよく整備されていて車でこられるが、宮城県側はゲートが閉まっていて通り抜けできない。
二口峠まではもう一頑張り。二口峠はきれいに切り開かれたところだ。風の当たらないところで休憩する。
地図には「歴史のある道」と書かれているのであとは楽勝だろうと思っていた。確かに最初は馬も通っていた道なのか広くて歩きやすい。崩れていたところにはロープも張られている。
しかしここからすぐに道は細くなり崩れているところも多くなりとうとう踏み跡程度になってしまう。
沢に下りてからは完全に踏み跡だ。
何度も沢を渡り返し、時折沢床を歩いたりするので登山靴では大変かもしれない。
いい加減うんざりしてくるが、まだまだ先は長そうだ。
延々歩いて植林地に入る。ここまでくればさすがに道はしっかりしているだろうとの予想通り車も入ってこられるような巾になり間もなく林道にたどり着く。
林道が二口峠からの林道と合流してからさらに歩くとようやく正面に山寺(立石寺)が見える。山寺では観光客が写真を撮っているらしくフラッシュが時々光る。
あと少しで駅だ。
仙山線をくぐると駅は目の前だがぐるっと迂回しないといけないなと歩いていくと、「駅へいくんだべ?ここいきな。」と店の駐車場入口で案内をしていたおばあちゃんの言葉に甘えて近道をさせてもらい駅に到着。
着替えを済ませて仙台駅に移動して仙台駅で牛タン定食を食べて帰宅した。
入梅にちょうどぶつかってしまい初日こそ雨に降られたが、翌日は運よく梅雨の中休みにあたり行動中は雨に降られずにすんだ。
予想以上のきれいな沢で大満足だ。これからまた機会があったら訪れたいと思うところだった。
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ブナに囲まれた素敵な幕営ポイント |
白と緑 |
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ブナ林の中を出発 |
左沢のナメを行く |
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ナメは続くよどこまでも |
ナメも終盤 |
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