山域 吾妻連峰
コース 天元台スキー場〜藤十郎〜谷地平〜中吾妻山〜継森〜谷地平〜酸ヶ平〜五色沼〜吾妻スキー場
〜秘境 中吾妻山を目指して〜
日程 平成18年3月4日〜3月6日

(昭文社「山と高原地図」磐梯・吾妻・安達太良から引用)
GPSは持っていないので黄色の行動線はおおよそです!

1月下旬に今回とほぼ同じコースを予定して向ったが、ラッセルとシールトラブル等に泣かされルートを縮小してしまった。今回のツアーはいわば雪辱戦!天候にも恵まれ満足のいく内容になった。
データ アプローチ
3月4日

米沢駅バス8:05〜白布湯元8:46〜天元台9:20〜リフトトップ10:10

コースタイム
3月4日
米沢駅バス8:05〜白布湯元8:46〜天元台9:20〜リフトトップ10:10〜中大巓10:50〜人形石11:00〜藤十郎鞍部11:35〜東大巓下1805m付近13:00〜谷地平避難小屋15:55
3月5日
谷地平避難小屋7:00〜中吾妻山10:45〜1933mP11:50〜継森12:35〜谷地平避難小屋13:40
3月6日
谷地平避難小屋5:55〜姥ヶ平8:25〜一切経山鞍部9:30(彷徨)〜緊急橇置き場10:15〜家形山分岐10:40〜慶応山荘分岐11:10〜吾妻スキー場11:50


1日目 3月4日(土)
コースタイム;リフトトップ10:10〜中大巓10:50〜人形石11:00〜藤十郎鞍部11:35〜東大巓下1805m付近13:00〜谷地平避難小屋15:55

 早朝出発と体力温存の為、前回と同様に前夜に米沢のビジネスホテルに宿泊した。
朝起きてみると、見事に快晴。やる気が俄然でてきた。8:05発の天元台行きのバスに乗り込む。車内は我々のほかに、山スキー2人パーティー。このお二人とは藤十郎あたりまで前後することになる。

天元台には予定通り到着。早速、ゴンドラ券を購入して列に並ぶ。ぼやぼやしていると次ぎのゴンドラに乗る羽目になるのでここはスピーディーな行動が必要。

身支度を整えて神社で山行の無事を祈り、リフト乗り場へGO。前夜雪が降ったようで、ゲレンデがとてもいい条件になっている。トップに到着すると山スキー2人パーティーが出発するところだ。「シールが剥がれませんように」とおまじないを唱えていざ出発。

先行トレースがあるので非常に楽して高度を稼ぐ。締まった雪の上に10センチぐらいパウダースノーが積もっている感じで、ラッセルで苦労することはない。稜線に出てみるとガスっていて視界が悪い。さっきまでのあの晴天はどこに行ってしまったのだろうか?山スキー2人パーティーが休憩していた。我々はコンパスを人形石へセットしてとりあえず向うことにした。人形石からは楽しい下りが待っていた。シールを着けたままゆっくり滑る。モコモコさんは調子に乗って滑って顔面から転倒して「首が痛いよ〜」と言っている。

鞍部に到着して今後の作戦タイム。予定ではここから中津川の二俣1596mまで滑り、そこから東大巓と継森の鞍部を目指してトラバースの計画だった。モコモコさんが「二俣まで下ってから登るとなるとやっぱり大変だよ」ということで藤十郎の先の鞍部からトラバースをすることにした。

ここからは、二人旅だ。樹林帯の中をトラバースしながら進む。雪が軽くて体力的には楽ができる。天気のほうも薄いガスになったりして地形の概要が垣間見れるので助かる。鞍部からは今夜の宿である谷地平避難小屋を目指して樹林帯の中を滑る。食料と寝袋で満載になったザックでは斜滑降&キックターンが精一杯。それでも雪質がいいので快適だ。

1月の時は谷地平手前で彷徨い遠回りをしてやっと小屋に到着した反省を生かして、今回は継森の山裾を進む。しばらく行くと、ぽっかりと開けた台地が出て来た。地形図によると秘密の湿原らしい。天気も回復してきて周囲の山々が見渡せる。ここは不思議な場所で声が響く。大声で「ヤッホー」「お〜」などと奇声をあげて喜んでしまった。これも谷地平の特殊な地形の成せる技だなと感心した。沢沿いを進むと見覚えのある地形になった。ここまで、来ればもう一息だ。谷地平避難小屋の屋根が見えてきたときには二人とも「やった〜」と騒いでしまった。

小屋の入口を掘り、早速小屋に入る。ほぼ一ヶ月ぶりの宿で「ただいま」といった感じだ。
暗くなる前に、スリングをつなげて小屋脇の沢で水を汲む。雪を溶かさなくてもいいので非常に助かる。これがこの小屋のいいところだ。

早速お湯を沸かすことにする。しかし、なんと鍋の底にべっとり着いていた雪が融けてストーブが消えてしまった。再度点火しようと試みてみたが全体に炎がいきわたらない状態。モコモコさんが「ライターであぶってみたら」というので水分を飛ばすことにした。今度は、なんとライターの煤が詰まったらしく、さらに悪化してありえないようなところから炎が飛び出してきた。「うわーガスが〜」と思わず仰け反る。 「ふふふ、ゴルゴ山人に抜かりはない」ということでモコモコさんが予備で持ってきたヘッドと交換することにした。あ〜びっくりした。肉を目の前にして生殺しの夜にならなくて良かった。(その後、ヘッドはなんとか持ち直し使えるようになりました。)

お約束の赤いきつねを食べて心も体も落ち着く。ビールと焼酎で乾杯して本格的に夕食作りに取り掛かる。今夜のメニューは白菜汁&うどん、しゃぶしゃぶ牛肉豚肉各200グラム、焼肉400グラム。今回は焼肉を持参してきたのでリベンジを果たすことができた。(前回は焼肉を冷蔵庫に忘れてきて食べられなかった。)さすがに全部は食べきれなく、焼肉の半分は明日の楽しみにとっておくことにして、うどんで締めて寝ることにした。

夜になっても天気は良く、周囲の山々も見れて素晴らしい星空が広がっていた。

最高の天気 トレースがあるのでお気楽に出発
稜線に上がると一気に視界不良。人形石にて なんとなく先が見える
モコモコさんが行く 藤十郎付近を進む
1805付近から東大巓を望む 谷地平へ向けて沢筋をトラバース
快適な沢の中 もうすぐ谷地平
東吾妻山を正面に谷地平へ向けて沢筋を進む 谷地平避難小屋はまさにオアシス
まずは水汲み 山人&モコモコさん宴会中



2日目 3月5日(日)
谷地平避難小屋7:00〜中吾妻山10:45〜1933mP11:50〜継森12:35〜谷地平避難小屋13:40

朝起きてみると、快晴。
朝食は白菜汁の残りにうどんを加えて煮る。肉の出汁がでてうまい。
今日は小屋をベースに中吾妻山〜継森〜谷地平避難小屋へ戻る周回コースだ。荷物が軽いので足取りも軽やかだ。
 ほぼ夏道通り(といっても廃道だが)に尾根に取り付く。天気がいいのでジャケットを脱いで登る。風がないのでありがたい。稜線直下からトラバースして、中吾妻山と1933mピークの鞍部を目指す。ふと、稜線を見上げると単独の方が軽装で歩いている。こんな山奥で人を見るとは思ってもいなかった。「こんにちは〜」「やっほ〜」と大声で呼びかけたが聞こえないようで継森方面へ行ってしまった。モコモコさんと「いったいどこから登ってきたのかな?」「グランデコからかな〜?」などと話しながら進むと、先ほどの方のトレースに合流した。

鞍部からは直接、中吾妻山へ登ることもできるが直下がやや急で張り出しているような感じなので、裏にあるヒョッコリピーク方面へ少し歩き回りこむ様なコースで登った。
中吾妻山はその名の通り吾妻の中心。360度、飯豊連峰、磐梯山、安達太良山、西吾妻山から県境の山々、猪苗代湖、桧原湖・・・と挙げたらきりがないくらいの大パノラマが広がっていた。

展望を楽しんだ後は、明日降りる予定のコースの下見をする。天候が良ければここから中津川に並行するように、議場方面へ下り、秋元湖を横断して秋元湖入口バス停まで滑る予定だ。偵察も終了し、ヒョッコリピークへも足を伸ばす。単独の方はグランデコ方面から登ってきたのではないかと予測していたが、トレースはない。あと、考えられることは明月荘を朝一で出発したのではないかということだった。

ヒョッコリピークからは少しの距離だが無木立の斜面が広がっている。シールを着けたままであるが二人とも楽しく滑ることができた。鞍部へ戻る。モコモコさんは中吾妻山へ登れたことで満足していて、このまま小屋へ帰っていもいいようなことを話している。時間も早いし天気が良いので予定通り継森まで足を伸ばすことにした。

1933mピークで休憩する。どうやらモコモコさんはお腹が空いているらしく、これが先ほどの発言の原因のようだ。機嫌を取り直して、1933mPと継森への鞍部目指して滑る。上部は樹林の間隔が広く快適だ。継森へ登る途中、テントを設営した跡があった。先ほどの単独の方はここをベースに行動したのではないかと思う。素敵なところに泊る方だなと感心した。

継森からはお待ちかねの滑走。相変わらず天気が良いので谷地平避難小屋の場所がおおよそではあるが目視できる。お約束でシールは着けたまま斜滑降&キックターンで1600m位まで下れば、斜面も緩やかになる。小屋の方向へトラバースしながら進む。山頂から約1時間で小屋に無事到着。

沢の冷たい水でバシャバシャと日焼けで火照った顔を洗ってさっぱりしてから小屋に入り、明るいうちから、宴会モードに突入する。
またもや赤いきつねから始まり、昨日食べ切れなかった焼肉を食べる。
昨晩と同じで「おいしいよ〜」と喜んだ。昨晩全部食べなくて良かった。食べてばっかりなのでチビチビやりながらラジオを聞いたりしながら時間を潰す。

今晩の夕食はパスタとポークステーキ。お腹も一杯になり明日は朝が早いので19:30頃就寝。


家形山、一切経山方面 東吾妻山
谷地平が良く見える 西吾妻山方面とヒョッコリピーク
中吾妻山より継森方面。単独者のトレース 磐梯山方面。秋元湖
西大巓と西吾妻山奥には飯豊連峰 さらに藤十郎
ヒョッコリピークより滑る 1933mピーク。広くなだらか
継森と東大巓 昭元山と白い烏帽子山
継森より一切経山方面 継森より東大巓方面を望む



3日目 3月6日(月)
谷地平避難小屋5:55〜姥ヶ平8:25〜一切経山鞍部9:30(彷徨)〜緊急橇置き場10:15〜家形山分岐10:40〜慶応山荘分岐11:10〜吾妻スキー場11:50

3:40起床。トイレに出て外の様子を伺う。異常なくらい暖かい。星空は見えない。山々のシルエットも見えない。天気は悪そうだ。
朝食は餅入りラーメン。パッキングを済ませ、小屋の中で体操する。明るくなるまで小屋の中で待機する。どんよりとした曇り空。中吾妻山の中腹から上は雲に覆われている。秋元湖へ抜けるのは今回もあきらめることにする。

6:00になるとだいぶ明るくなってきたので、エスケープとして吾妻スキー場へ向うことにする。1月に来たときは小屋の周りをグルグルと2時間以上彷徨って時間をロスした苦い思い出がある。今回は前回の教訓を生かしスムーズに軌道に乗ることができた。朝のうちは暖かかったが、次第に雪へと変わり寒くなってきた。ジャケットのフードを被って姥ヶ平へ進む。順調に赤布や赤ペンキを辿り約2時間30分で姥ヶ原に出た。

鎌沼へ向って進む。予想していたよりは風は強くない。トラバース気味に一切経山のコルを目指す。酸ヶ平避難小屋の裏の斜面はところどころアイスバーンになっており気が抜けない。稜線に上がると一気に風が強くなり、斜め後ろから風雪がビシバシ当たってくる。

後は五色沼へ向って降りるだけだが、視界が悪く方向を見失う。つい、1週間前の高山下りの時に通ったというのに場所を特定できない。地図を広げても分からないのでとりあえず戻ってみることにした。すると見覚えのある地形が出て来た。この間20分ぐらい右往左往したことになった。

あとは赤布に導かれるように通称パラダイスに到着。緊急用の橇が木にくくり付けてある場所で休憩する。ここは五色沼の周辺から浄土平までの強風地帯の中でここだけ不思議と風が弱いといわれている。
ここまで来れば、だいぶ気持ちも楽になる。五色沼のふちを進み、家形山との分岐では強風で雪が吹き飛ばされて地面が露出しているのでスキーを脱ぐ。相変わらず風が強く、時々耐風姿勢をとりながら進む。大岩を少し下ったところでようやく、執拗な風から解放される。板を装着し、ガリガリの斜面をしばらく横ずらししながら下る。

慶応山荘分岐までは斜滑降とキックターンを繰り返しながら慎重に下る。ここを過ぎると樹林の中の快適な滑走が待っていた。相変わらずシールは着けたままだが、緩やかな斜面を面白いように滑るので我々にはぴったりだ。最後のほうになると、さすがに傾斜が緩すぎて滑らないのでシールをここでようやく剥がす。ストックで漕いだりしながらだらだら下ると吾妻スキー場へ到着。
閑散としたスキー場をボーゲンで休み休み下るとバニーハットに無事到着した。
ちょうどお昼時で無性にお腹が空いたので、ここで煮込みカツ丼と五目あんかけ丼を食べてすっかり落ち着いてしまった。

高湯の花月ハイランドホテルの素晴らしい温泉で汗を流した。
ここで思わぬ出会い。温泉上がりの一人の登山者に声を掛けられた。山人が登ってきたルートを説明して「どちらを登られたのですか?」と質問すると「俺は慶応山荘の管理人だ」と言うので思わず「失礼しました!」と洩らしてしまった。福島駅まで向うバスの中でも一緒だったので少しの時間だったが、貴重なお話を聞くことができた。

秋元湖へは滑り込むことができなかったが、晴天のなか中吾妻山に登れたことが印象に残った。


薄暗い中まずは姥ヶ平へ向け出発 モコモコさんとモコモコ雪
姥ヶ平付近 鎌沼の上をモコモコさんが進む
酸ヶ平避難小屋の裏の斜面を登る 稜線に登ったが風雪と視界不良に悩む
緊急橇置き場は休憩に最適 板脱ぎポイントは相変わらずの強風
中間ポイント 快適な樹林帯を進む



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