山域 吾妻連峰
コース 間々川支流佐原沢
〜絶景と藪コギの沢!〜
日程 平成17年7月30日
データ 地形図 天元台

アプローチ
前日 7月29日(金)
東京11:36〜米沢13:50/宿の送迎〜大平温泉15:00

コースタイム
7月30日(土)
入渓8:30〜黒墨滝10:15〜二俣13:30〜稜線15:20〜人形石15:48〜リフト乗り場16:05


前回の中津川がとてもよかったのでもう一丁、吾妻の沢に行こうということになった。
予想以上にいい沢ではあったが・・・・。
尚、7月29日は完全に温泉レポで沢の記録は7月30日のみです。



7月29日

前回の中津川以来、しばらく連休がない。そこで無理やり計画を立てたのが間々川の支流である佐原沢。
出発当日は徹夜の勤務明けであるが、その日は温泉までなのでなんとかこなせる。モコモコさんに1日休みをとってもらっての出発。

仕事が長引いてしまい急いで着替えてあわただしく出発。
東京駅に着くと自由席には既に長蛇の列。平日だから大丈夫かなとも思ったが、夏休みなので危ない気がしたので念のため指定席を取ってたのがよかった。
乗車できるようになったのは出発の5分前だったので、荷物をスキーボックスにおいたりしているうちに新幹線は出発。

東京駅で仕入れたお弁当とシュウマイを食べて寝ることにするが、近くの席の人が飲んでいたアイスコーヒーがとてもおいしそうで、次に車内販売のワゴンがきたら買っておいてくれるようモコモコさんに頼んでから眠りにつく。
新幹線は順調に米沢に向う。ワゴンサービスがきたようで目を覚ますとアイスコーヒー(※)が仕入れてあった。モコモコさんはちゃっかりとアイスクリームを買っていた。

(※)缶コーヒーではなく、ファーストフードなどにあるようにカップに氷をいれてくれてストローで飲めるもの。

コーヒーに満足してさらに一眠りすると在来線でいえば米沢の一つ手前の関根駅あたりに来ていた。
荷物を取り出す関係で少し早めに席を立つ。
米沢駅に着くと色々な宿の迎えが来ているが、我々の泊る宿のはない。ここではないのかな?と思い不安になり、観光館内所でたずねると「ここで待っていれば大丈夫ですよ。」と言われたので、少しの間待っていると、案内所の方が迎えに来たと教えに来てくれた。ありがとうございます。このときから米沢の方にとてもお世話になるとは思いもしなかった。


迎えはワゴン車1台。我々だけかと持ったら、ほかに2組総勢6名だった。
大平温泉に向かい出発。だいぶ奥まで入ってきたな、と思う頃滝見屋本邸というところに到着し、ここで乗り換えてくださいといわれる。
この先狭い林道を走るようになるため軽ワゴン車で向うのだ。ワゴン車には食材が積まれていた。
ワゴン車に乗れるのは3人までということでモコモコさんが1号車、山人が2号車に乗る。
さらに吾妻の奥に向かい進むと李山分校を通りすぎて急な山道を車はエンジンをウンウン言わせて登る。山人号の軽四駆は急なヘアピンカーブの連続でパワー不足の為に何度もエンストを起こし、坂道発進を余儀なくされた。
途中にあるはずの不忘閣ヒュッテはモコモコさんは確認したが、山人は見落としてしまったらしい。
さらに進むと駐車場がある。車で来るとここまで入れるらしい。
ワゴン車はもう少し先まで入ってくれる。

そこからは急なくだりの林道を徒歩で向う。しかし荷物は宿まで届けてくれるため手ぶらで歩けるので楽だ。しかし帰りは大変だろうな。そんなところで荷物はどうやって届けるのかというと・・・下の写真をご覧ください。

モコモコさんが荷物運びを見学しているところに山人も追いつく。
つり橋を渡るとすぐに今晩の宿「滝見屋」さんだ。
ゴルジュ状の間々川の崖を削ってやっと建てたというなんともいえない山宿だ。

部屋に案内してもらい、モコモコさんは早速お風呂へ山人は一眠りする。
宿にいながら渓にビバークするときと同じ音だ。
ご飯前に一風呂あびる。内湯からは火焔滝が望める。
ここの名物は露天風呂であるが、どうやら源泉の調子がよくなく、いつ入れるかわからないとのこと。入れるようになるといいなと祈りつつ露天風呂を見るとお風呂にお湯がたまりつつある。
様子を見に行くと「もう少しで入れるようになるよ。」と宿のかたから声をかけられる。
1日中作業をしていてくれたのだろう。感謝、感謝です。

あとは夕飯を待つのみ。
18:00からが夕飯。献立は、鯉の甘煮をはじめとする、焼岩魚にミズナとウコギのテンプラを添えたもの、ウドやワラビなど山の幸中心。おいしくいただきました。
一休みしてから露天風呂に行く。ここの露天風呂は部屋から人が入っているかどうか分かるので人がいないのを見計らってお風呂に入ることができる。

もちろん、我々もそうしていったのでお風呂は男女とも貸しきり。しかし男湯は熱かったので浸かっていることはできなかった。女湯はそうでもなかったらしい。
一度部屋へ戻って休んでから今度は貸切の露天風呂(※2)へ。ここのお湯の温度が一番ちょうど良かった。

(※2)30分間だけだが、貸切の露天風呂に入れる。宿泊受付のときに予約する。

ご飯にもお風呂にも満足して明日に備える。

荷物運び専用ケーブル
荷物を宿の前まで運んでくれる
崖にへばりつくように建つ「滝見屋」
川のすぐそばにある衝立は露天風呂のあるところ


7月30日
入渓8:30〜黒墨滝10:15〜二俣13:30〜稜線15:20〜人形石15:48〜リフト乗り場16:05

朝起きると露天風呂のお湯がなくなっていた。どうやらまた調子が悪いようだ。
内湯につかりさっぱりする。
朝ごはんは7:30から。
これも正しい日本の朝ごはんといった感じでおいしく食べられた。

食後はサービスでコーヒーを御馳走してもらえる。
少しのんびりしてしまったが、8:30出発。

宿のすぐ裏が入渓点というのもめずらしい。
最初はゴーロだ。渓には宿に温泉を引くためのホースがひかれている。いつの間にホースが渓からなくなっているなという頃になると滝が出始める。
緩やかな10mほどの滝で、散歩気分で登れる。
この滝上に「二階滝」と名のついた15m・8mの2段滝が現れる。
倒木を抱きかかえるようにして右を直登するが、岩がぬめっていて緊張させられる。一歩がいやらしいなと思うところには残置ハーケンがあったので、ききを確かめてからランニングをとってさらに登る。
中段でピッチをきることができそうだが、やはりあと一歩がためらわれるところがあり、ハーケン1枚打ってから1段目を上りきる。
続いてモコモコさんの番だ。やはりぬめった岩に緊張しているようだが、がんばって上がってきた。

次に2段目。
ここも山人が先に上がる。最初の1歩に悩んだが、1段目より簡単にクリア。モコモコさんも無事クリア。

ここからはとても楽しい。小滝が続く。杉田川で見かけたような小滝はモコモコさんが先行して右をへつっていって登る。2〜3mの小さな滝だが、細かいホールドを拾ってだがフリクションがきいてとても楽しく登れた。
こんな小滝が続くといいね、と話しているとどーんと大滝が出現。
黒墨滝と名のついた25m滝だ。直登は無理なので左から巻く。
最初は草付きから取り付くので、久々の草つきにモコモコさんは悲鳴を上げていた。
ブッシュがでてきてからトラバース気味に少し登るとルンゼにぶつかる。このルンゼを少し登ってから落ち口に向かってトラバースすると滝上にすんなり出られる。

この滝のわずか先で唯一の支流らしい沢が滝をかけて入る。この滝だけ登るのも楽しそうだ。
その先にある3mほどの釜を持つ小滝は簡単そうに見えてちょっとしょっぱい。左から登るがホールドが少なくハーケンを打って越える。
さらにこの先でてくる小滝はどれも快適に登れる。
モコモコさんとわざと泳いだり、シャワークライムでキャーキャーいいながら楽しんで進むと、どーんと大物が現れる。
30m滝だ。これにも名前がついていたが忘れた。
これも登れず右から入るルンゼ状の小沢から巻きに入る。
この小沢は問題なく登れ、小滝を登ってから落口に向ってトラバースをする。途中大きな石を落としてしまう。かなり下まで転がっていってしまったようだ。
落口を確認してから木の枝を使って降りるとすぐに25mの階段状の滝。2ピッチの登攀。

シャワーを浴びながら快適に登る。一番登りやすく楽しい。
滝の中間が少し緩やかになっていてここでいちどモコモコさんにも登ってきてもらう。
滝上部は、滑ると下まで一気にいってしまいそうだが、途中にある潅木でランニングが取れる。ここが核心部で一番楽しいところだ。
これを越えてしまうとあとは小滝が少々あるだけでなにも出てこなくなる。
でもまだ標高は1300mくらいしかない。稜線へはあと標高差にして500mだが、距離が長い。
ゴーロになってからペースを上げて進む。
やっと1500mの二俣に着くとすでに13:30だ。なんとしてもリフトに乗りたいが間に合うか微妙なところだ。
とにかく先に進む。1550mくらいで水を汲む。するとすぐに水枯れ。
水枯れしたゴーロをひたすら進む。
水枯れすると沢は一気に藪がかぶさってくる。

コケで滑りやすい石と、倒木に苦しめられながらいよいよ14:00頃ヤブコギに入る。
すでにクボとなった所を忠実にたどるが、倒木やら潅木やらハリブキやらにふさがれたりでなかなか手強い。こんな状態を40分間ほど進むと、こんどこそ完全にヤブの世界。
薄いところを探すがどこも同じような感じだ。

根曲がり竹はまだかわいいが、矮小なアスナロやらツガやら広葉樹の潅木がやっかいだ。
ときどきでてくる石楠花をさけたりしているうちにヤブの迷路にはまってしまう。稜線近くは傾斜が緩いので方向がつかみにくいのだ。時間も押してきてヤブにイラつき始める。自分の頭で勝手に登山道の方向をイメージしてしまいとんでもない方角へヤブコギをしていた。モコモコさんに「なんかトラバースしているよ!」と注意されてコンパスをふりつつヤブコギする。モコモコさんはすでに泣きが入っている。
やっと稜線間近となり木に登って偵察すると、湿原と木道が見える。
モコモコさんに「湿原と木道が見える。湿原までは100mくらい、このまま南にいけばそれよりも近い距離で登山道に出られる。どっちに行く?」と相談すると、モコモコさんから迷わず「湿原!!!」との答え。
これが正解で湿原が近いということは植生も湿性を好むものになるせいか藪を漕ぎやすくなる。このまま直に登山道をめざしたらさらに潅木と根曲がり竹と石楠花の混合部隊のなかを突破しなければいけなかったろう。

湿原までは視界のきく中のヤブコギなので精神的にいくらか楽だ。
するとひょっこり湿原に飛び出た。
モコモコさんは後ろでまだもがいていたが、声をかけると頑張ってすぐに藪から脱出してきた。
とてもきれいな湿原で時間があればのんびり寝転がりたいがそうはいかない。せめて写真だけはと思いカメラを取り出していると、モコモコさんは「私歩くの遅いから先に歩いている。」といって木道にむかってフラフラ歩いていく。

藤十郎付近の木道にでたのが15:20.、リフト乗り場までコースタイムでは1時間10分くらいかかる。リフトの最終が16:00で間に合うかどうかは分からないが、がんばってみることにする。
最初は緩やかでいいが、わずかに登り始めるとモコモコさんのペースが上がらなくなる。とにかくリフト乗り場にどちらかが行かなければ、ということで山人が先行するが、ヤブコギで体力を消耗してしまい荷物も重いこともあって思ったよりもペースが上がらない。トライアスロンをやっている気持ちになった。希望を捨てずに頑張る。
なんとか人形石につくと15:48。ガスがでていてモコモコさんが良く見えないが、2分ほど待つとモコモコさんの姿がガスの中に見えたのでここからリフト乗り場へ向うことを伝える。かなり疲れた声だが返事がある。

ここからは緩やかな下りなのでペースを上げられる。リフト乗り場についたのは16:05。だめかと思ったら乗せてくれるという。助かった。係りの人にあと一人くるので待ってくれるよう頼む。
乗車券を買ってからモコモコさんに笛をふいてみるが応答がないので、鐘をならしてみるがやはり応答がない。後から聞くと笛の音は聞こえなかったようで、鐘の音は聞こえたので応えようとしたらしが、それよりも先に進んだほうがいいと思ったらしい。
あきらめてゆっくり降りてくるのかなと思っていたら「リフト乗り場はどこだ?」との声がする。鐘を鳴らしてあげるとすぐにモコモコさんが山人から遅れること5分で到着。
第一声は「間に合わなかった?」だったが、大丈夫なことを伝えると心からほっとしたようだった。

リフトに乗れてこれで確実にお風呂に入って最終のバスに乗れることに安心する。
リフト1本目は長いので、リフト上で水をのんだりお菓子を食べたりしてようやく落ち着く。
各リフト乗り場では我々が来るのを待っていてくれて、とても暖かく迎えてくれる。
昨日今日と本当に米沢の方にはお世話になった。
最終のロープウエイの時間(17:00)10分前に天元台に到着。ここで沢の装備を解いてすぐにお風呂に入れるようにする。
中津川同様に森の館でお風呂にはいって一休みしてから最終のバスで米沢へ。
駅前のお弁当屋さんでお弁当を仕入れてから新幹線へ乗り込む。
今日はヤブコギでお腹が空いてしまい、お弁当1つでは足りずもう一つ買い足して食べてしまった。


ここから楽しくなる 15・8m二階滝、右を直登できる
小滝を登るためにへつるモコモコさん 黒墨滝、正面は逆光のため撮影断念
しょっぱく登った小滝 この沢一番の大物30m滝
階段状25m滝、快適に登れる 長いヤブコギのフィナーレとなった湿原&遠方にはヘロヘロになってフラフラ歩くモコモコさん

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