山域 吾妻連峰
コース 中津川
〜吾妻の秀渓に酔う!〜
日程 平成17年7月16日〜18日
データ 地形図;吾妻山、檜原湖、天元台    山と高原地図;磐梯・吾妻

アプローチ

東京6:12〜郡山7:54/8:13〜猪苗代8:54/9:00(タクシー)〜レークライン中津川レストハウス9:40〜入渓点10:00

コースタイム
一日目 7月16日(くもり)
入渓10:30〜白滑八丁(終了)12:00〜魚止め滝13:00〜取水堰堤14:00〜観音滝上B.P.16:45

二日目 7月17日(晴れ一時雷小雨)
B.P.6:15〜神楽滝9:44〜夫婦滝11:20/11:40〜熊落滝下12:40/(巻き始め)13:00〜巻き終り(朱滝上)16:40〜B.P.17:10

三日目
 7月18日(晴れ)
B.P.8:00〜ヤケノママ8:30〜登山道12:15/下山開始12:40〜リフト上13:10


何年も前からモコモコさんと「今年は中津川へ行こう。」と毎年計画を立てては様々な事情により中止となっていた中津川。
そんな憧れの渓谷にとうとう行く機会に恵まれた。
何日も前から天気予報とにらめっこして一喜一憂していたが、当日が近づくにつれて天気は悪化する傾向に・・・。そんな不安と期待の中新幹線に乗り込んだ。



一日目
コースタイム
入渓10:30〜白滑八丁(終了)12:00〜魚止め滝13:00〜取水堰堤14:00〜観音滝上B.P.16:45



磐越西線で郡山を出発するときは晴れ間も見られたが、磐梯熱海くらいから雨が降り出す。猪苗代に着いてトイレに行ってからタクシーに乗り込む。運転手さんからレストハウスまではどこ経由で行きますか?と聞かれたので早く着く行き方でお願いする。

運転手さんに天気のことを聞くと我々が猪苗代に着く少し前くらいにかなり雨が降ったようだ。幸いにして雨は出発してすぐに止んだ。タクシーは木地部落を過ぎてレークラインへ入る。通行料をとられるかな?と思っていたら幸いにしてゲートがなく助かった。ゲートを通ると途中でUターンしても出るときに再度通行料を払うことになるらしい。お話好きの運転手さんのお陰で思ったよりも早くレストハウスについたような気がした。

レストハウスからは中津川渓谷への遊歩道を行く。中津川へ降りられるところまではとても良く整備されていて歩きやすい。その先はあまり人が入らないので踏み跡になるが、しっかりしている。ずんどこ進むと左岸から沢が入ってくるので、本流に降りて林道を歩く。林道が右にカーブするところに中津川への入り口の標識があり、その先わずかに進んだところから入渓する。

林道が右にカーブするところにある とてもいい感じ。どうか晴れますように。


最初は川原歩きだが、両岸はすでにU字状。雨は降らないでいてくれて、雲も薄くなってきているようだ。だんだんナメ状になると、いよいよ白滑八丁。これが見たくてきたのだ。できれば青空の下で見たかった。雨が降ったせいか水量が多いみたいだ。最初はモコモコさんトップでフリクションをきかせてへつりにへつる。先に進むに従い、いよいよ白滑八丁も本領を発揮し始める。デジカメが水没する恐れがあるのでデジカメをしまってから山人先頭で、腰まで浸かったり泳いだりして進む。水が冷たいが楽しい。

こんな穏やかだが、大雨が降ったら大増水だ 水がとてもきれい でもちょっと冷たい
だんだん水に浸からないと突破できなくなる

途中ほんの2mほどなのだが、泳がないと進めない。山人が泳いで進もうとするが水流が強く戻される。モコモコさんに引き上げてもらい3〜4回挑戦するがどうしてもだめ。仕舞いには唇が紫になってしまう。泳いで取り付くのはあきらめて側壁を登りトラバースする。フリクションの限界ぎりぎりであとわずかのところでズルズルと滑り落ちてまたもやドボン。次なる手は、流れをとんで対岸へ渡りへつることにする。すると以外にも一番楽に越えられた。最初からこうすればよかった。その後もへつりを楽しんでいくと白滑八丁も終わり。穏やかな流れになる。

この辺りはとても快適で楽しい ここにくるまでに泳ぐところあり
フリクションがきくが、落ちたらやだな〜 白滑八丁が終わった先にかかる枝沢の滝


少し休憩をとってから再度モコモコさん先頭で進む。
魚止め滝が現れる。滝もすごいがその滝が持つ釜がすごい。ここは釜の手前の右にあるルンゼから巻き上がる。ぐずぐずのルンゼで、途中2箇所ほどいやらしいところがありモコモコさんが不安がるので念のためザイルを出す。平らになるところまで登ると踏み跡がある。ここから堰堤まで特に特徴があるわけではないらしいので堰堤上までそのまま踏み跡を進む。

堰堤が見えたので適当なところから降りて休憩する。ここにグランデコからの登山道がきている。最初はここで泊る予定だったが、思ったよりも早くに着いたので先に進むことにする。

魚止滝15m。なにかが棲んでいそう 一休み
東電取水堰堤。ここからぐっと水量が増す 銚子口 右からへつっていって越える


ゴーロ歩きしばらくでまたゴルジュとなり銚子口に着く。何のことはない小滝なのだが、とても大きく深い釜を持っている。右をへつっていって越える。このゴルジュはすぐに終わり再びゴーロとなる。ここで釣り人に会う。堰堤の登山道から入ったとのことだ。釣りの成果は・・・まあこの際どうでもいいだろう(要するにぼうず)。

この先こんな感じが続く モコモコさんは、へつりに失敗して泳いだ


我々は先に進ませてもらう。堰堤をすぎてからぐんと水量がまして迫力を持つ小滝をどんどん越えていく。そろそろ泊り場が欲しいところだが、ゴルジュ状なのでなかなか見つからない。1箇所猫の額くらいの小さな川原を見つけるが少しの増水で水没しそうだ。一応逃げ場はありそうなので候補にする。その先を進むと、大きな釜を持つ5mくらいの滝が現れる。腰まで水に浸かって何とかへつれたが、後に続くモコモコさんはあと一歩のところでへつりに失敗し結局泳ぐ羽目になった。

銚子口上の沢の様子


この滝を越えると自然に観音滝の巻きの取り付き地点となる大岩にのっていることになる。この大岩で泊った記録もあり、いいB.P.だったとあるが、岩が濡れていて天気も余りよくない今日はいいポイントとは思えない。モコモコさんにさっきのところまで戻ろうと提案するが、またあの釜を突破する気はないという。
結局観音滝上を探すことにする。巻きは踏み跡がはっきりしていて分かりやすい。巻き終わって降り立ったところはやはりゴルジュ。
 先を偵察に行こうとするとモコモコさんからここがいいよと声を掛けられるが、とにかく巻き道からみえた川原状のところを確認に行くことにする。するとあまりよくない。さらに先に進む。15分くらい進むと沢はさらにポイントがなさそうなので戻ると途中までモコモコさんが迎えに来ていた。

観音滝12m 右から簡単に巻けるが足元に注意 やっと見つけた藪の中のB.P.
B.P.からわずかのところにある枝沢の滝 焚き火ポイント


モコモコさんがみつけたところを見に戻る。そこは大岩があるせいか奇跡的に樹林が沢まで降りてきていて、少し樹林に入るとなんとか横になれそうなところがあった。少し虫がうるさいが増水しても安心で、下の大岩では焚き火ができるいいところだ。

例のごとく焚き火はモコモコさんに任せて赤いきつねを用意する。定番のハムステーキとパスタを食べる。
パスタは焚き火の強力な火力のお陰でで自然に掻き混ぜられていた。
さらに乾杯をしてつまみをつまんでいるうちに焚き火も安定してくる。焚き火のお陰で服も乾いて、増水の心配がないためか、少し斜めではあったが良く眠れた。



二日目
コースタイム
B.P.6:15〜神楽滝9:44〜夫婦滝11:20/11:40〜熊落滝下12:40/(巻き始め)13:00〜巻き終り(朱滝上)16:40〜B.P.17:10

今日は大高巻きが連続する日。なんとしても朱滝上まで行きたい。
眠い目をこすり出発。最初はゴルジュ状を快適に進む。左岸からきれいな滝が入ってくると大きな釜を持つ小滝や渕が連続する。朝から水に浸かるのはちょっとつらいが、楽しい。気温が高くてかんかん照りなら飛び込み用プールとお立ち台だろうなと思わせるようなところを何度も過ぎると巨岩のゴーロ帯になる。

モコモコさんの向こうにある大岩を越えていく かんかん照りならきっと飛び込みたくなるよ
神楽滝に近づくにつれて荒々しい岸壁が現れる まるで本流のように見える立派な権現滝


このゴーロ帯はうんざりするほど長い。途中枝沢から滝をかけて入るのを鑑賞できるのが慰みになる。
途中尾根を回りこんで入る滝が権現滝かと思ったが、そこから少し進むと本流と行ってもおかしくないほどの立派な権現滝が現れる。
 権現滝の立派さに「おおっ!」と声を上げるが、すぐ先には「おおおおっ」と声を上げてしまった神楽滝が現れる。近くまで寄ってみると釜が大きく見事の一言。
この滝は登れないので権現滝との間の尾根から巻き始める。
踏み跡を追って登ると傾斜が緩む。時々不明瞭になったりするが尾根にある踏み跡をはずさないよう慎重に行く。結構歩いてきたよなあと思い始める頃に、根元に人が入れそうな大きな穴が開いているところから踏み跡は谷に向かってまっすぐに降り始める。それに従い谷に下り始める。
ちょうど夫婦滝の前に降り立つ。日差しもあり滝からの涼風がふいて気持ちがいいところなので少し長めに休憩をとる。
あまりの気持ちよさに少し寝てしまった。

神楽滝が見えてきた(手前は5mの小滝です) 神楽滝40m 滝からの風がすごい


夫婦滝は左に鎖がぶら下がっている。鎖を使わなくても滝の左から快適に登れる。
滝上も快適に進むと静滝に着く。この滝は左を直登できそうだったが、落ち口の辺りが悪そうだ。
モコモコさんからも「落ち口のところ私には登れないよ」とわれたので、巻くことにする。巻きは右にあるルンゼから取り付いて小さく巻く。

夫婦滝10m ここで少し昼寝をした 静滝12m 美しい滝


滝を登ってからはまたゴーロになる。
両岸がだんだん高くなってくると熊落滝。滝そのものは高くはない(といっても15mはあるらしい)が、そのまわりの岸壁がすごい。写真撮影をして巻きに備えて休憩をとる。
巻きは手前の小尾根から登る。この尾根の傾斜が急で登るのが大変だ。

登り始めてすぐに強い雨が降ってくる。幸いにしてすぐ止んだが、雷もなり始めた。相変わらず急な尾根を登る。モコモコさんもふうふういいながら登ってくる。途中でてくる岩を越えてさらにひたすら登る。傾斜が緩くなってからトラバースを開始する。もうこの時点で、1時間30分ほどひたすら登り続けている。水を汲んでなかったことを後悔する。時すでに遅し・・・。

ずいぶん歩いてきたので滝を越えただろうと思い下ろうとすると、モコモコさんから「雷なってるし、また巻くために登るのやだ。このまま朱滝上まで巻いちゃおう。このままトラバースしていけば下に下りなくても沢のほうから上がってくるよ。」といわれて、降りることに反対される。


熊落滝 岸壁全部はカメラに収まらなかった 近づいてみた


 とりあえず谷に下りずに先に進む。藪のうすいところをさがしてひたすら進む。いい加減降りようと思ったときに小沢を渡る。
水を汲むことができたので気を取り直して進む。(冷たい水で助かりました)途中赤テープを見つけるが踏み跡はない。何度も小沢を渡り何度も藪に足を取られて転びながら延々と藪こぎする。途中、「なんでわざわざこんなところにいるんだ?」といった様子で我々のことを見ている猿に出会う。
できるだけ中津川沿いを歩くようにすると、木に赤ペンキで○しるしが付けられているのを発見する。どうやら朱滝の巻き道にうまくのったらしい。ときどき道標もみられる。

 薄い踏み跡を追っていくが終わりのない巻きにとうとう嫌気がさしてくる。モコモコさんはさらにやぶを漕いでいこうとしていたが、穏やかになった谷が見えたので下に下りることにする。するとすんなりと降りられた。
 降りたところは朱滝上の穏やかな流れになってるところだった。
熊落滝の巻き始めから3時間40分も延々とやぶこぎをしてしまった。一番いい所を見逃した感じがするが、とりあえず良しとしよう。


穏やかになった中津川 ナメ滝で入る小沢


谷は一変して穏やかになり、あいかわらず両岸が迫っているが、壁は低くとてもかわいい感じだ。
ナメがあったり楽しむことわずかで開けた川原になる。川原になってすぐのところに泊るのにちょうどいい場所があったので行動を打ち切る。
整地もさほどすることなかったので、すぐに薪集めにかかる。
巻きのときにつれてきてしまったバカ虫を焚き火のけむりで追い払って中津川の2日目の夜を楽しむ。例のごとく、赤いきつねから始まり、チンジャオロース、パスタと続いた。雨も降らず月明かりがきれいで最高の夜となった。


B.P.からわずかでこんな開けたところになる 今夜の宿



三日目
コースタイム
B.P.8:00〜ヤケノママ8:30〜登山道12:15/下山開始12:40〜リフト上13:10

いよいよ最終日。
今日が一番天気がよさそうだ。
ラジオを聴くとラジオ体操をやっている。夏休みだね。今日うまく詰めあがれれば我々にとっても最高の夏休みになりそうだ。
昨日のうちにここまでこられたので、今日はのんびりの出発。
 穏やかな川原歩きを30分でヤケノママに着く。土崖の上から煙がでているのが分かる。モコモコさんが登ろうと奮闘していたが、ズルズル滑り落ちて断念していた。
ここから二俣までは途中ナメがあったりするがなんの特徴もない。昨日までがうそのようだ。
二俣からは方向を90度変えてさらに川原歩き。
川原歩きに飽きてくる頃から、ゴーロで高度を上げ始める。といっても急登ではないので全身を使っての登りになるようなところはわずか。


ヤケノママ 二俣手前のナメ


さすがの中津川も源流の様子を見せ始め、稜線が望めるようになる。小沢や枝沢となり水量がだんだん減ってくる。
このころになると小湿原に出会えたりする。
途中水量が1:1の二俣状のところは、わずかに水量が多いほうへ入ると笹が沢に被るようになり、ほとんど溝というくらいの幅になる。
このまま詰めて行けば大凹の水場に出そうだったが、藪が濃そうだったので二俣状のところまで戻って別の沢からつめあがることにする。

こちらもすぐに笹がかぶってくるので、ところどころでてくる湿原を拾ったりして進んでいくと登山道が見えた。
登山道が見えてからは笹もなくなり足の幅ほどになった水流を歩いて登山道にでる。
詰めあがったところは登山者が撮影大会をするくらい景色のいいところで最高の詰め上がりになった。

水場へ行って中津川の最初の一滴でカルピスを飲んでから下山にかかる。
整備された登山道はとても歩きやすい。30分ほどでリフト乗り場に到着。
ここから楽をしてリフト&ロープウエイで降りる。

白布湯元にある森の館(歩いて行ける距離にあり電車派にはうれしい)で3日分の汗と汚れを洗い流し、1時間ほど昼寝をしてからバスで米沢へ。
米沢で米沢牛で打ち上げをしてから帰路についた。


いよいよ中津川の詰めに入ります 小湿原。こういうのが途中あちらこちらにある
終了点となった登山道から 人形石への分岐付近のワタスゲ



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