山域 尾瀬
コース 大清水〜燧ケ岳〜元湯山荘〜鳩待峠
〜山人復活山行第1弾〜
日程 平成16(2004)年9月9日〜11日
データ
コースタイム
1日目 大清水11:30〜一ノ瀬12:30〜長蔵小屋14:40
2日目 長蔵小屋7:00〜長英新道分岐7:20〜俎倉10:30〜柴安倉11:10〜見晴14:30〜元湯山荘15:00
3日目 元湯山荘7:10〜竜宮9:00〜山ノ鼻11:20〜鳩待峠11:45

 月山での骨折から5ヶ月、退院してからは早2ヶ月が過ぎた。入院中にいつ頃から山へいけるか尋ねたときに「秋くらいには、軽い登山ならできるようになるでしょう。」と言われていたが、待ちに待った秋になった。歩くのには全く問題なくなったので、山へ再び行ってみようと思い急遽計画を立てることにした。



復活山行は、どこにするか悩む。次の問題があるためだ。
 ・階段を下りるときにプレートが当たり痛むので、まだ右足(骨折した方)をかばって下りている状態。
 ・退院後に診察をうけたときに、「順調だが、プレートや付きかけている骨はしならないので、足をひねるようなことは厳禁。もしひねったり、ボルトが緩んだり(痛くなるので分かるらしい)したらすぐに(診察をうけに)くること。」といわれている。

このことから、
@もしものときのことを考えて近くの山(関東周辺)であること。
A標高差があまりないこと、特に下りが短いこと。
B早く歩けないので追突される危険を避けるため空いていること。
C重荷を背負うことができないので、山小屋などが充実していること。
Dもちろん景色が素晴らしいところ。
の@〜Dを満たすところということで決定したのが、尾瀬であった。尾瀬でBを満たせるのかということが疑問であるが、シーズン中今が一番空いているときであり、しかも平日なので問題解決。

コースは大清水から三平峠経由で尾瀬沼周辺で一泊、翌日天気がよければ燧ケ岳に登り、元湯山荘泊、3日目は尾瀬ヶ原を散策して鳩待峠へ抜ける。これだと燧ケ岳の下りを除いて概ね登りとなり、怖いのは滑る木道歩きだけになる。

こうして復帰初山行は始まった。

1日目


 上野駅に着くといきなりハプニング発生。線路に人が立ち入ったため電車が出発できないとのこと。「もうー、犬じゃないんだから線路に入るな!入ってもすぐに出ろ!」と電車の遅れ(いつ出発するかわからないため)のために立ち食いそばを食べ損なったモコモコさんは不満をぶちまける。なんとか予定の乗り継ぎ電車に間に合う時間に高崎に着く。さらに、上越線の発車まで時間があるのでそばにたどり着くことができた。その後は順調に行き、沼田でバスに乗り換えて大清水へ。

大清水は、へたな地方の駅前よりもずっと開けている

 大清水までは一般車が入れるので売店などがあり、軽い食事も取れる。
一ノ瀬までは林道歩き。涼しいので沢へ入るときのような苦しいアプローチにはならず、途中の変な植物やモコモコしたハチを観察して喜ぶ。

一ノ瀬にも休憩所があり、休憩所の手前に湧水がありのどを潤すことができる。ここで軽く行動食をつまむ。休憩所ではおばさん2人が生ビールを飲んで既に出来上がっていた。

一ノ瀬からは登山道になるが、沢沿いの非常によく整備された歩きやすい道で気持ちよく、今回はストックを持参しているが、ほとんど使わずに全く問題なしで歩ける。途中で湧いているおいしい岩清水を飲んで一登りすれば三平峠。ここまではほぼコースタイム通り。なんだか調子いいぞ♪

三平峠から尾瀬沼へ向けての下りは僅かだが、木道歩き。乾いているので問題ないが、濡れていたら怖いところだ。少し下り始めるとすぐに尾瀬沼が見える。沼のそばに道があり、今夜の宿、長蔵小屋へ向かう。

一ノ瀬から登山道へ入ってわずかで見えた片品川一ノ瀬川の滝。
「遡行してえ〜!」思わずモコモコさんと叫んだのでした。
長蔵小屋へ向かう途中から望める尾瀬沼と燧ケ岳。
明日はあれに挑むのか。少し不安になると同時に、ここまで来られるまでになったことにうれしさを感じた。 
 この風景を写生しているおじさん(なかなかの腕前だった。)がいて、なんと贅沢な時間を過ごしているのだろうと少し羨ましくなった。

受付を済ませてからは、食事までまだ時間かあるので、 食事の前に周辺を散策をする。
散策した後、1杯飲んでうとうとする。食事はとてもおいしかった。
長蔵小屋は古い小屋だが、とても綺麗にされていてスタッフの人も気持ちがよく、とてもいい小屋だ。山人の独断と偏見で選ぶ山小屋ランキングでは見事ベスト3入りとなった。

 この小屋で小さな事件が発生した。夜トイレに行ったときに便器にガガンボ(ウスバカゲロウのように足が細くて長い虫を、我々が勝手にこのように呼んでいる。)が止まっていたので流してしまおうと思い水洗のボタンを押してから用足しを始めた。ところが、糸のように細い足のくせに予想外に強い脚力で水流に負けることなく水を浴びて耐え切ってしまった。こいつやるなあと感心していたら、突然びしょ濡れの状態でガガンボがこちらへ襲いかかってきた。しかしこちらはまだ用が済んでないので足しの途中で逃げられない。思わず声にならない叫び声を上げつつ自分に止まらないように必死に祈った。

 夜はさすがに尾瀬といった感じで、冷え込み、毛布と掛け布団を掛けて寝た。都心のあの暑さがうそのようだ。

散策した大江湿原。
ここは本当に尾瀬なのか、というくらい静かであった。
尾瀬に何回も訪れている人の話では、ニッコウキスゲの頃は人を見に来ているような感じになる。静かなこの時期が一番好きとのことだった。
今晩の宿、長蔵小屋の様子。
初めて泊るのに、なんだかとても懐かしくなる雰囲気だ。
ここでガガンボ事件発生。

2日目

 曇り空だが、雨は降っていない。
予定通り燧ケ岳に登ることにする。
コースは長英新道を登り見晴新道を下りにとる。このコースだと時間はかかるが、登山道の整備状況も比較的よく、急なところは山頂付近だけですむ。

 長英新道に入ってから最初はほとんど傾斜のない樹林帯。前日雨が降っていないので、ぬかるみもほとんどなく歩きやすい。木の根が張り出していたりするが、登りであるのとストックを持っているので問題ない。

だんだん急になってくると尾瀬沼が見えるようになる。さらに登ると少し岩がでてくるが慎重に足場を選んで登るとほぼコースタイム通りに俎ーに着くことができた。山頂は生憎の濃いガスで何も見えないので記念撮影だけして柴安ーへ向かう。最初は急な下り。
 下りになると一気にスピードが落ちる。鞍部まで下りて少し登ったところでお昼にする。このころからガスがさらに濃くなり、柴安ーに着くころには霧雨になる。
 そして柴安ーに到着。とうとうここまできた。記念撮影をしていると雨が降ってきたので、もう少し感動に浸りたいところだが急いで雨具を着てすぐに下りにかかった。

燧ケ岳への登り
尾瀬沼が見えてきた。
燧ケ岳(柴安ー)山頂
とうとうここまできた。

 最初は急な下り坂で滑りやすいので今まで以上に慎重に行く。足をひねるような動作ができないのがもどかしい。一歩一歩普通以上に慎重に行くので急な下りにも関わらず、1時間に標高差250mしか落とせない。下りにものすごく時間がかかるのは思ったとおりだ。その後傾斜はだんだん緩んでくるが、涸れ沢を利用して作られたのか、石がゴロゴロしているので、あまりペースが上がらない。また、ストックのありがたさが身にしみた。

 このゴロゴロは樹林帯になっても変わらず、ブナ林が出てきてようやく開放された。開放されてすぐで無事木道にたどり着く。木道は架け替えたばかりで新しくなっていて、近くで架け替え工事をしている音も聞こえる。この木道はだいたい10年くらいで架け替えるらしい。
 この架け替えに国からの補助はなく、群馬、福島、新潟の3県と東京電力で負担しているそうだ。木道をみると焼印があり、どこがいつ設置したかが分かるようになっている。見晴らしに出ると小屋がたくさん建っている。朝小屋を出てからここまで誰にも会わなかった。時期はずれの平日とはいえ尾瀬でこの現象は珍しいのでは?

 最初見晴付近を散策する予定だったが、相変わらずの雨なので、直接小屋へ向かう。
 小屋へ歩いていくと東電小屋への分岐までもうすぐというところで、いきなり木道と木道の間から何かが出てきた。カモだった。このカモは人間が襲ってこないのを分かっているのか、我々と1mほどしか距離をとらず、逃げないのだ。それどころか、木道上を先行して歩いているのでモコモコさんと喜んだ。

燧ケ岳から下山途中に見かけた木。
いったい彼(彼女?)の人生(木生)に何があったのだろう?と思わされる。
途中、木道に飛び出してきたカモ。
しばらく、我々の先をマイペースで歩いていった。
雨にぬれた首の後ろの感じがかわいい。
警戒心が全くない。→
1mくらいまで近づいても全く逃げる気配なし。
この写真はズーム機能を使わずに撮ったもの。

元湯山荘に着いて受付をすると、追加料金を出すと岩魚の刺身(\400)や塩焼き(\800)の一品料理を出してもらえるとのことで、両方を頼んだ。

 元湯の名のとおり、温泉に入ることができる。一風呂浴びてから無事下りられた祝杯をあげる。
夕食は長蔵小屋のほうがよかった(※)などと贅沢なことをモコモコさんと話し、翌日の好天気を祈りながら眠りについた。


3日目

雨がやんだ。
今日は木道歩きなので、雨がやんでいて助かる。
他の人は先に出発していて、我々が最後の出発だった。
出発するときに小屋のご主人が見送ってくれ、そのときに昨日のカモのことを話したら、あのあたりによく出没し、全然逃げないので有名なカモであるということが分かった。
日々是成長!といった感じのキノコ。 ガガンボの群れ。
姿に似合わず、行動は可憐。
しかし、こうして集まっていると、やはり気持ちが悪いのだ。

鳩待峠へは東電小屋を回り、、竜宮経由で上がる。
土曜日だというのに東電小屋に数人、ヨッピ吊橋で数人に会ったきりで竜宮に着く。途中木道で滑りそうになり冷や汗をかいた。竜宮では、ゆっくり休んでから竜宮現象をじっくり観察する。
竜宮からはさすがに人が出てくるが、気になるほどではない。

尾瀬名物のボッカさん。
ボッカさんがいないと、小屋は飢餓状態になってしまう。80kgくらい担ぐらしい。
これも尾瀬名物の地塘と浮島。
やはり尾瀬は素晴らしいところだ。
鳩待峠に着くとちょうどいい時間に出発するバスがあり、早速乗り込んだ。
戸倉で乗り換えて、沼田へ着く直前にとんかつ屋「山彦」をチェックする。モコモコさんと顔を見合わせニヤリとする。暖簾が出ている。
早速「山彦」へ向かう。今回の最大の目的(山の帰りにここのトンカツを食べる)を果たすことができた。


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