山域 越後
コース 登川支流姥沢川南ノ入り沢
〜スラブ状大滝群に圧倒され・・・〜
日程 平成15年10月18日(前夜発日帰り)
データ
地図
;巻機山(1:25000)

アプローチ;東京22:40分→越後湯沢22:06

コースタイム
10月18日
 林道終点6:30〜入渓点8:50〜二俣9:41〜20m3段トイ状滝上12:58〜南ノ入りの頭16:45〜沢口バス停22:50


10月18日

コースタイム: 林道終点6:30〜入渓点8:50〜二俣9:41〜20m3段トイ状滝上12:58〜南ノ入りの頭16:45〜沢口バス停22:50

 前回、下ノ滝沢を中止にして少々気の抜けたところに急遽予定を入れた沢がここである。ガイドを見るとスラブ状大滝がすごいらしい。下ノ滝沢でスラブを見ることができなかったので、興味がわく。
 越後湯沢で夜明けを待ってタクシーで林道終点まで。砂防ダム工事をしており、予定よりもだいぶ前で通行止めなのか?と思ったら工事現場の隣に本来入るはずだった林道があるではないか。まあ、今日は日帰りで荷物も軽いし、たいしたロスではないと林道終点までテクテク歩くと、古峰山登山口と比較的新しい登山道の案内板が立っている。これなら道もしっかりしていて早くに入渓できると安心していた。そうこのときまでは。
 しばらく植林帯の中を歩くと、地形図やガイドとはまったく違うところへ進んでいる気がする。モコモコさんも「すぐに北ノ入り沢を渡渉するはずなのに」と言うので、今まで歩いていた沢右岸から、沢へ降りて左岸へ移って踏み跡を探すと予定の踏み跡(りっぱな登山道である)があった。
 これで結構おくれをとってしまう。
 登山道が沢をわたるところから入渓する。ここでまたミス。支流を渡っていると思い込んでいたので、なんと下降してしまう。かなりおりてから本流であることに気が付き、元のところへ戻るとなんと8:50になってしまっている。モコモコさんはもうすっかりやる気をなくし、戻ることばかり考えている。山人にせめて二俣までと説得されて先へ進む。

 F1-7mナメ滝までは平凡であるのに対して、F1からは沢の様子が一変する。
 スラブが階段のように上まで伸びており、F2-スラブ状滝、続く30m7段滝が目前にどーんと現れる。
 30m7段は直登ができないので、右岸を巻く。これを越えるとすぐに二俣。左俣に入ると次はF3-20m滝さらにF4-40m4段滝に6m滝と連続する。これも登れないため右岸を巻いた。
↑30m7段のスラブ状滝(下段部分)


            F4-40m4段滝→
F5-50m3段スラブ状滝も右岸から巻く。巻きばかりであるが、涼しいのと、スラブに紅葉が映えて和ませてくれる。20mスラブ状は右、一度沢へおりて次のF8-15とF9-25m6段滝は左から巻く。
 ここまでくると両岸のスラブがすばらしい。F11-70m6段滝はガイドでは左岸を大高巻きするとあるが、我々は右岸を少し登り、途中に入る小沢を登ってから潅木帯に入って高巻く。F12-80大滝は左を登る。特に難しいところはなく、ノーザイルでも登れるが、高度感があるため所々でモコモコさんにお助け紐を要求された。
↑20mスラブ状滝  →快適に登れたF12-80m大滝
20m4段滝
大滝群上にもこのような滝が連続する。

 滝上から下を見ると、すぐ下が入渓点であるかのように大滝で一気に高度を上げたのが分かる。
 20m3段トイ状は1段目は右のバンドのようになっている岩を登ってから左へ移り、2段目3段目は左から登る。3段目の落ち口付近を再び右に移って登るが、思ったよりも滑るので、一瞬ひやりとした。

20m3段滝


 これを越えればあとは5m前後の滝を快適に登ればいいだけ・・・のはずだった。最初は快適だ〜、などといっていたが、どの滝も結構滑りやすく、部分的にいやらしいところがある。
 どんどん滝を越えてもうすぐ滝群はおわりが近づくと信じていたが、見事に裏切られ、遡行図にはない(多すぎてのせられないのだと思われる)滝滝滝・・・・。なかにはかなり苦労しないと登れない滝もででくるので巻かなければならない。
 ここまでくると巻き上がるのは根曲がり竹をつかんで強引にあがらなければならない。
今までの高巻きが腕にきているのか(後にわかったのだが、モコモコさんは手首を傷めていたらしい)、1箇所巻き上がりでモコモコさんがいままできいたことのないような悲痛な叫び声をあげてセミになっている。あわてて手を貸した。

 行けども行けども滝で時間がかかり、明るいうちに古峰山(下山する尾根の標高720mあたり)の登山道にたどりつけるかが心配になってくる。やっとゴーロ状になって、奥の二俣状になるところを右に入ると水涸れ。
 なんとなく多めに水を汲み、根曲がり竹を藪こぎすること約30分で、南ノ入りノ頭直下の踏み跡に飛び出た。ここからの眺めはすばらしく、巻機の割引岳や金山沢が見渡せる。

 ゆっくり見たいが、すでに夕暮れ目前、急いで下山にかかる。最初は明瞭であるが、標高1300m付近になると時々わかりにくくなる。そして、あっという間に日が暮れてしまい、とうとう標高1250mあたりで踏み跡を見失った。
 やっとそれらしきものを見つけて下ると、なんだか尾根をはずれている。間違いに気が付き引き返す。間違えた地点までなんとか戻れたが、その先の道がわからない。ビバークになるかもしれない。
 モコモコさんに「とにかく休んで落ち着こう」といわれて、しばらくなにも口にしていなかったのと、地形図、コンパスを一度も見ていなかったことに気が付いた。
落ち着いてモコモコさんと相談するとなんとなく先が見えてくる。もう一度慎重にあたりをさがすと木の切り付けと赤記しで木→とかかれているのを見つける。
 木というのがよく分からなかったが、やったとばかりに下る。しかし、沢っぽくなる。また同じところに戻ると、モコモコさんから「これはっっっ」という言葉が出る。よくみると『木』ではなく『水』だったのだ。どうりで沢状になるはずであった。
このお陰で踏み跡が続く方向がつかめ、最初に道をはずした窪状のところは下るのでなくその先に踏みあとがつづいていることが分かった。慎重に木の切りつけや赤インク記を確かめながら行く。明るければこんな記しなんかいらないのにと思うが、とても助けられている。

 ようやく踏み跡も明瞭になってきたので気をゆるめたのか、1100m付近でまた間違えた。
沢方面へ下っている。尾根へ登りかえして戻ると、分岐のようになっている。尾根をはずさないよう慎重に進むと古峰山登山道に合流した。
 ここからは登山道として整備されているので、歩きやすくなり迷わなくてすむ。急なところはトラロープがあったりする。途中から雨がぱらついてきた。
 またもやハプニング発生。山人のメガネの片方のレンズが外れて行方不明になってしまった。モコモコさんと懸命に探すこと約15分、藪のところからレンズがようやく見つかった。助かったと思ったところ、今度はヘッドランプが消えてしまった。予備の電池もきちんと充電されていないのか光が弱く、ペースを大幅に落とすことになる。登山道になっていてよかった。
 この尾根はだらだらと長いのでなかなか標高が落ちない。なんとか植林地帯に入る頃にはすでに22時を回っていた。結局3時間で下れるところを倍の約6時間かけて降りたことになった。多めに水を汲んでおいてよかった。

 完全に最終の新幹線には間に合わないので、越後湯沢のビジネスホテルに泊ることにした。
着替えをするのとタクシーを呼ぶために、沢口のバス停まで歩く。このバス停はかまぼこ型の小屋で、公衆電話が設置されている。早速電話をかけてタクシーを呼ぶ。その際に宿の相談をすると、宿の手配もしておいてくれるとのこと。なにからなにまでタクシー会社にお世話になってしまった。お陰で快適な一夜を過ごすことができた。ありがとうございました。

 総括
 南ノ入り沢はスラブ状滝が続くとても眺めのいい沢でした。
 巻きが多いので真夏の暑いときと巻きが大嫌いな人は避けたほうが無難かもしれません。やはり紅葉の頃がお勧めです。しかし日没が早いので注意しましょう。下山は明るければ問題ないと思いますが、暗くなると極端に踏み跡が分かりにくくなる個所がありますので慎重に。
 余談ですが、降りた日は、山人もモコモコさんも眠りに入ると手足が痙攣したようにビクンと動いて目が覚めてしまいました。どうやら体がまだ動かなければならないと思っているみたいでした。

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