山域 谷川連峰
コース 万太郎谷井戸小屋沢右俣
〜名渓の傍らに秀渓あり〜
日程 平成15年8月24日(前夜発日帰り)
データ
コースタイム
8月24日(くもりのち時々晴れ)
 入渓点5:30〜井戸小屋沢出合8:00〜二俣11:17/11:30〜登山道14:00〜土樽駅17:00
 


8月24日
コースタイム:入渓点5:30〜井戸小屋沢出合8:00〜二俣11:17/11:30〜登山道14:00〜土樽駅17:00

 今年は本当に天候に恵まれない。そんな中、天気予報では新潟県側は降水確率が結構高いが、群馬県側の好天気に期待をかけて井戸小屋沢に挑戦。前夜土樽駅まで入っておき駅寝する。

 一晩中電気がついているが、快適だ。ただ一つ駅の外に寝ていた人が夜中に大きな音をたてて何度も出入りしたので目が覚めてしまったことを除けば。
 先日のうちに予約しておいたタクシーに迎えに来てもらい吾策新道入口まで入ってもらう。余談だが、土樽駅に以前あったはずの公衆電話が取り外されていた。たまたま携帯電話をもっていたからよかったものの最近公衆電話が極端に減って困る。
 空は曇っているが、雨は大丈夫そうだ。途中まで吾策新道を辿り谷川新道跡を使うつもりで歩くが、荒れていて時間がかかりそうなため沢に降りる。

 寝不足なためペースがあがらない。途中軽く行動食を口にしたりしてとろとろ歩くと釜を持つ4m滝に着く。
 朝早くから水に浸かるのは辛いので左をヘつって登る。モコモコさんは去年足が着かなくなって慌てたトラウマか、お助け紐を要求してくる。断って暴れられると困るので紐を出すとモコモコさんは「どうせへつっても落ちるから」といって水に浸かってくる。予想通り足がつかないようで中途半端な犬掻きをしてきた。

 ナメが出てくるようになり、やはり万太郎は素晴らしいと感動していると、例のエントツが出現する。いつ見ても無粋なものだ。煙突のそばを通り過ぎるとき、ブーンという換気扇の低い音がするのでモコモコさんに「音がする」と伝えるために立ち止ると、モコモコさんは「早く行ってよ。気持ち悪いんだから。」と怒っている。忘れていた。モコモコさんはこのような巨大人口建造物が大嫌いなのだ。このほかにも水力発電所によく見られる高圧導水路管などはまさに天敵なのだ。ここは走り抜けるように通過した。
 そして万太郎名物オキドウキョの瀞に着く。暑ければもちろん泳ぐのだが、今回はもったいないけれど左から巻く。
 オキドウキョをすぎるとすぐに井戸小屋沢出合。少し休憩をとり出発。出会いから小滝が続く。どれも登ることができて楽しい。

↑F3-7m2段滝
→7m2段滝の後にもこの様に遊べる滝が出てくる

F1-7m2段滝は右から簡単に巻く。
次々と登れる小滝が続く。F2-5m2段滝を越えるとすぐにF3-7m2段滝ここも楽しく登れる。しかも美しい。ゴーロ歩きなど少しもなく、小さくても必ず釜を持つ滝群を快適に越えていくとはじめてゴーロになる。すぐに子障子沢出合に着く。小障子沢は深いゴルジュ状になっていてスノーブリッジが見え、奥にもたくさんかかっているらしい。
 出合で一息ついた後、支流のように右に直角に曲がる井戸小屋沢本谷に入る。いきなりまたゴルジュ。最初の3m滝がつるつるなためショルダーで越える。次にかかる3mCS滝は直登はできないので左から巻く。ここからはナメ滝ナメ滝である。さらに幸運なことに天気もよくなってきている。

←小障子沢出合
子障子沢にはスノーブリッジが残っている。
→小障子沢出合からはこのように快適に登れるナメ滝が続々と出てくる。

障子沢を過ぎたところにあるF6-6m滝は右の岩を快適に登る。ナメ滝を喜んで進むと沖障子沢出合。出合のあたりはすごい岸壁になっている。ナメ滝を2つ越えるとF8−20m滝。ここは右から乾いた所をロープなしでいける。背後に茂倉岳が見えるようになってくると巨岩帯となる。巨岩の隙間を時にはショルダーで越えたりするため結構体力を消耗する。

 1:1の二俣で休憩。期待していた太陽がでてきて暑くなってきた。ここで今沢シーズン初めての日焼け止めを塗る。井戸小屋沢は左俣が本流だが、今回は右俣へ入る。ここからはゴーロで高度をグングン上げる。このままゴーロなのかと思う頃8m滝。問題なく越える。すぐに7m滝が現れる。この滝は一瞬楽勝に見えるが、実際取り付くと悪い。左から巻こうとするが、ちょっとのところで進めない。結局、水流を中間まであがり、ハーケン1枚打って右の乾いた岩へトラバース(この一歩が嫌らしい)し、残置ハーケンがあるので、さらに支点をとって、またまたあと一歩がためらわれる岩を這い上がり草付きを落ち口に向かってトラバースしてクリアした。
 一つ一つの動作は短いのだが、あと一歩をなかなか踏み出せず苦労した。モコモコさんは草付きまでは順調に上がってきたが、草付きトラバースで足をすべらせ危ないところだった。必死にしがみついて体勢を立て直してなんとか落ち口へ抜けてきた。

←F8-20m滝
茂倉岳をバックに、ロープなしで快適に登れ、高度感も最高である。
             →F9-7m
ここまで快適でいいのだろうかと逆に申し訳なくなってくるのだ。

 結局、あれこれ思考錯誤し、足を踏み出すのがためらわれたりでここを越えるのに30分近くかかってしまった。
まだ先がある。またこんな滝がでできたらいやだなと思ったが、幸いその先の10m、7mともホールドが少し細かいため多少気を使うがフリクションがよく効いて楽しく登れた。かなり源頭近くなってもまだまだ滝が続く。奥の二俣のようなところは右に入る。
 小滝をいくつか越えると右は涸れ沢、左からは水流がある沢の出合になった。本流は左なのだろうが、井戸小屋沢の頭の岩峰群へ入っているらしい。ここで水を汲み右の涸れ沢に入り、いよいよつめあがる。
 ときどきちょろちょろ水流が現れたり、涸れ滝を越えたりでヤブっぽくなってくる。やぶのなかにもしっかりと窪があり、思ったよりも楽に進める。もうすぐ登山道という頃に急斜面の笹薮に突入。少しばかりやぶをこぐと、ちょうど井戸小屋沢の頭への急登が始まる辺りに飛び出た。
 
←水もだいぶ少なくなってくる頃稜線の岩峰が見えてくる。

 ここからはあと登山道を下るだけ。安心したのか急激にお腹がすいたので、行動食をつまんで下山にかかった。吾策新道はよく手入れされていて歩きやすい。下山するにも急に下るわけではないが、効率的に標高を落としている。
 下ってきて最初に登山道が沢を横切るところで汗を流して一気に土樽駅まで歩く。
土樽駅に着くと、珍しく大賑わい。着替えをすませ電車待ちの間、登山者とおしゃべりが弾む。そのうちの1人は昔渓流釣りをしていたとかで、地下足袋にわらじで行動した等の興味深い話をしてくれた。
 今シーズン初めての晴天に恵まれ、美しい楽しい沢を満喫することができその余韻に浸りながら帰路についた。

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