山域 谷川連峰
コース 湯檜曽川本谷
〜来て!見て!納得!誘う美渓〜
日程 平成14年8月10日〜8月11日
データ
地形図25000:1 茂倉岳

アプローチ
東京駅6:08〜高崎駅6:59/7:09〜水上駅8:10(タクシー)〜一ノ倉沢出合8:35〜武能沢出合10:36

コースタイム
1日目 8月10日

武能沢出合10:36〜白樺沢出合11:08〜十字峡12:13〜七ツ小屋沢13:27〜峠の沢出合15:45〜二俣16:45(B.P.)
1日目 8月10日
二俣6:40〜奥の二俣7:55〜朝日岳9:30〜土合駅15:10

  

回想

それは暑い8月だった。湯檜曽川本谷はとても思い出深い沢だ。私が沢を始めて二回目に訪れてビビリまくった沢だ。初めての沢は単独での奥秩父東沢釜ノ沢である。この沢で、沢の魅力(でかい釜)、焚き火の面白さにすっかりはまってしまった。滝を登るという行為も今まで縦走登山中心に登ってきたのでとても新鮮に感じた。ちょっとしたスリリングが冒険心をくすぐりそれがたまらなかった。

 次に目を向けたのが湯檜曽川本谷だ。選んだ理由としては一泊二日のコースであること。(一泊することで焚き火がしたかった)ガイドブックを見グレード3級なら大丈夫と思った。スリルを味わえそうだと感じたからだ。こんな理由から湯檜曽川本谷と決定したのであった。

 最初の魚止めの滝を通過し、岩棚から沢に降りるためお助け紐で初めての懸垂下降(ほんの少しの距離)をした。いきなり、ここで不安に陥る。しかし、先へと進むと美しいナメ滝やナメ床が出てくるではありませんか!沢が微笑みかけてくるではありませんか!すっかり、気を取り直した。
 次に現れたのはウナギ淵だった。楽しく泳いで突破した。十字峡のスケールの大きさにびっくりした。20m抱返りノ滝で肝を冷やした。40m大滝手前の10m滝を登ったときはこの沢に来たことを後悔した。40m大滝はけっこうスムーズにクリア!
 
ポツリポツリ雨が降ってきた。結構な降りになってきた。二俣でビバーク場所を探すが先に先客がいた。私の頭の中で「沢+雨=増水(流されて死亡)」という変な図式が成り立っていた。私は先へ急いだここにいたら危ないと感じたのだ。(本当は全然大丈夫だったのだが・・・)二俣から1時間位は登っただろうか、周りには高い木々がなくなり、源頭の雰囲気を醸し出してきた。以前雨は降り続いており、雷まで鳴っていた。僅かなスペースを見つけてビバークをした。焚き火は当然できずじまい。斜めの寝床で朝を待つことになったのだった。

次の日は夏の日差しが戻っていた。逃げるように朝日岳へ向けて藪を越えて突き進んだ。山頂からみた湯檜曽川本谷は朝日に照らされ神々しく見えた。

美しきナメ滝その1


1日目 コースタイム:
武能沢出合10:36〜白樺沢出合11:08〜十字峡12:13〜七ツ小屋沢13:27〜峠の沢出合15:45〜二俣16:45


 時は巡ってきて2002年今度はモコモコさんと一緒だ。モコモコさんは、いきなり6m魚止滝で這い上がれなく苦労している。残置シュリンゲにしがみ付き下から私が肩を貸してクリア!上がると、先行パーティーが二人いた。ゴルジュ帯を抜け出したところで一息ついた。

6m魚止滝 うなぎ淵へ挑むモコモコ

きれいなナメ滝、ナメ床にモコモコさんも感激しています。うなぎ淵ではモコモコさんに先に行ってもらうことにしました。しかし、慌てて退却してきました。どうやら、足が着かないので不安になり戻ってきたようです。バトンタッチして今度は山人がザイルを結び泳ぎ、後でモコモコを引っ張る作戦で突破する。泳いで突破しても楽しいし、後から引っ張ってもらうのもどちらも楽しい!素敵な沢だ。

30m大ナメ滝

出たきたのが30mナメ滝だ!それほど傾斜は強くはないが迫力がある。その奥に抱返り滝がドカーンとそびえ立っている。凄い眺めである。十字峡に向けて快適に進む。抱返り沢は圧巻である。天に向かって一直線に伸びているようだ。沢を左に進む。8mCS滝だ。足をまたげるほどの沢幅だ。水に浸かって取り付く。棚状になっているので簡単だ。20m抱返りノ滝がドーンと現れた。モコモコさんとザイルを組んで左から突破する。

抱返り沢 20m抱返りノ滝

20m抱返りノ滝を越えると、楽しい小滝やナメが出てくる。七ツ小屋沢が合流する。七ツ小屋沢もなんだか面白そうな沢だ。40m大滝手前の10m滝その1が現れた。ここは、ビショ濡れ覚悟で、滝を中央突破する。うまい具合にバンド状になっているので簡単だ。最高に気持ちがいい。雄叫びをあげたくなる。
 40m大滝手前の10m滝その2が現れた。ここは、ザイルを結んで右から登る。残置ハーケンがあるが、垂直に近い壁なので嫌らしい。慎重に行動してビレイポイントまで進んだ。モコモコさんも「この滝が一番、難しかった」と語っている。お陰で、40m大滝は簡単にあっけなく通過できた。
10m滝その1 10m滝その2

 40m大滝を越えると湯檜曽川本谷も穏やかになってくる。さらに気持ちのいい滝を2・3個突破すると本日のビバーク予定の二俣へ到着だ。一番良い場所は先行パーティーが確保していた。我々は少し先の左岸の場所にした。タープを張り焚き木を集め夕食の準備をする。
 今日一日も、本当に楽しかった。今まで、私の頭の中に「恐怖の沢」だった湯檜曽川本谷。しかし、今は「とっても楽しい沢」に変わっていた。ここ数年間で「俺もようやく楽しめるレベルになったのかな?」と焚き火を見つめながらふと思った。この日は、酒が一段とうまかった。

美しいナメ滝その2


2日目 コースタイム:6:40〜奥の二俣7:55〜朝日岳9:30〜土合駅15:10
 
朝から良い天気だ。暑くなりそうだ。朝日岳へ向けてあともう少しだ。背中に七ツ小屋山を望みながら最後の詰めに入る。チクチクする植物に気を付けながら進む。踏み後を辿ると、朝日岳直下に出た。登山者に迎えられて感動のフィナーレだった。改めて、湯檜曽川本谷を振り返る。全く、あきさせない名渓だった。

源頭まできた

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