2010年7月20日“十二指腸潰瘍穿孔性腹膜炎”による“緊急入院・緊急手術”体験記

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★☆ かなりの大作(短編小説レベルの長文)なので、時間があるときにゆっくり読んでほしい ☆★

手術痕など、写真類は一切ありません。
テキストのみですのでご安心ください。


あと、話を楽しそうに盛り上げるため(笑)
多少セリフ等、フィクションが混じっております。



では、はじまり はじまり

えーと“十二指腸潰瘍穿孔性腹膜炎”による“緊急入院・緊急手術”をした。


めったに無いであろう、いろいろな経験をしたので覚えてることを忘れないうちに書いておこうと思う。
出来事の順番が異なっていたり、記憶違いをしていることもたくさんあると思うが…


俺は日頃から腹痛をよく感じていたが、何年も我慢・放置をしてきた。

ある夜、これまでの痛みとはあきらかに違う尋常ではない強烈な腹痛が襲ってきた。

布団から起き上がっても、ねころんでも、どういう姿勢をとってもどうにもならない“何コレ?”っていう痛み。

“これはヤバイ”

すぐにそう直感した。



しかし何故か朝まで何時間もの間、耐えられない痛みを耐えてしまう。

なぜ我慢するのか自分でもわからない。
あまりの痛みに思考力が停止したのだろうか?
小百合が見かねて救急車を呼ぶ。そのすぐ後、血液混じりの嘔吐をする。


救急隊員到着、「救急車まで歩けますか?」と言いやがった。

“はぁ? 歩けねえよ! ストレッチャーは?”

倒れそうになりながら救急車まで歩いたら、別の道から別の隊員がストレッチャー持って現れた!

“お前どこにいたんだよ!
迷子になってんじゃねーよカス”




“43歳男性、腹痛、嘔吐、意識レベルクリア、ごにょ ごにょ ごにょ…”
救急車の中で受け入れてくれる病院をさがす救急隊員。
いくつか断られたが、受け入れてくれる病院をついに確保。
そこに向けて出発するが救急車の中は振動が激しい。
救急車には何度か付き添いで乗ったことがあるが、
患者として乗ったとき、この振動はキツイ。
なんで、もっとクッション良くしないんだろう…。

病院に到着。医師か看護師か知らんが、TV番組でよくある質問を受ける…

「お名前言えますか?」

「生年月日は?」

意識はハッキリしているのでスラスラ答える。

「今日は何日ですか?」

“げっ、知らねえよ”

これはいいわけだが、仕事中などパソコンの画面で日付や曜日、時間をすぐ確認できる環境にあるので
今日は何日とか今日は何曜日とかあまり意識してない…

そのまま、すなおに言ってみた

俺「普段から日付を意識する習慣がないんです…」

医師か看護師「…。」


“本当なんです、意識レベルは問題ありません”
心の中で泣き叫ぶ俺。

2桁の足し算とか聞かれてたらと思うとゾッとする。

もう暗算なんかできないもん。

痛み止めの点滴を入れてもらうが、まったく効かない。
効いてるのかも知れないが、俺にはそうは感じなかった。

血を抜かれ、レントゲンを撮られ、CTを撮られる。
腹が猛烈に痛いのに「腕をのばせ」だの「脚をのばせ」だの指示される。
そうしなければならないのは理解できるので、指示に従うがそのたびに激痛が走る。

「尿も採りたい」と言われるが、どーやら脱水症状らしく1滴もでない。

「このままだと管を通して採ることになる」
と脅されるが、出ないものは出ない。

しばらくじっと寝転がっている状態が続く。

えっ?、もしかして“俺の尿の出待ち”ですか?

実際はそんなわけなく、もちろん検査の結果待ちだ。
んで…、

「どこからか場所はわからないが穴があいており、体液が腹に溜まっている。」

「白血球の数が20,000以上、体の中で炎症がおこっているということです。
体が一生懸命になって、抵抗しているんですね。
そしてこれは薬で治せるレベルではありません。」

「つまり、このままだと命の保証はできない。なので全身麻酔で緊急手術をするから同意しろ。」

「もし穴のあいている場所が上腹(胃・十二指腸)なら大きな問題はないが、下腹(大腸など)の場合、人工肛門になることもある。」

「肝炎やAIDSが怖いので輸血はなるべくしない方向で行くが、状況により輸血することもある。死にたくなければそれを認めろ。」

的なことを言われる。 拒んでもしかたがないので全てを任せる。


あと尿は採らずに 手術にGO! することとなった。

えぇ? そんなんでいーの?
調べないの?
管で採っていいよ?
俺死なないよね?
ねえってば?


手術待ちの部屋に移動

なんか若い女の看護師が俺をナデナデしながら言葉をかけてくる。

「不安ですか? 大丈夫ですからね? 寝ている間に終わっちゃいますからね。 はやくスッキリしようね?」

とか言ってる。

嬉しいといえば嬉しいがそんな言葉で安心するわけなく、甘ったるい喋り方に申し訳ないが微妙にむかついた。

☆★ スマンが天使はオマエじゃない ★☆




麻酔専門の医師登場

なんかアンケートを受ける

麻酔専門医「えーと背中の部分麻酔はどーしますか? やりますか?」
俺「え? 全身麻酔ときいてましたが?」
麻酔専門医「そうですが、部分麻酔をすることもできます。」
俺「部分麻酔か全身麻酔か選べと言うことですか?」
麻酔専門医「違います。全身麻酔で手術しますが、さらに部分麻酔をすることもできるのです。」
俺「ふーん」

俺、ちょっと考える…
俺“まてまて、何故そんなことを俺に確認する?”
俺“これは何かしらのリスクがあるのでは?”

俺「何か危険があるのですか?」
麻酔専門医「ありません。」
俺「ふーん」

俺、また考える…
俺“あ、危険では無いんだ。じゃあしてもらおうかなー”
俺“でも、なんで確認とるんだろう…”

麻酔専門医「…。」
俺「…。(考え中)」
麻酔専門医「…。」
俺「…。(考え中)」

麻酔専門医「…。み、みなさん、けっこうやってますよ。」
麻酔専門医「後で、やってて良かったと思いますよ。」   

俺“どっかの販売業者みたいになってきたな…。”


俺「…。わかりました。じゃあ、それもしてください。」
麻酔専門医「あいよっ 毎度ありぃ。」

多分“硬膜外麻酔”というものらしく、全身麻酔が切れた後も数日間に渡って痛みを抑えることができるらしい。
便利じゃん、確認とらなくていいよ。何でオプションなんだろう。


そして、全身麻酔へ…

なんかマスクを口にあてられる俺…

俺「…。」
俺「……。」
俺「………。」
俺「…………?」
俺「……………??」

麻酔専門医「深呼吸してくださーい。」
俺「すーはー すーはー」
俺「あっ、なんか目がまわっ…」













看護師「…さーん」

看護師「奥田さーん」


俺“…!?”

俺“ココハドコ? アナタハダアレ? ワタシハナニ?”


看護師「手術終わりましたよー」

俺“終わったんだ。”
俺“生きてた。”
俺“なんか喉が変”
俺“お腹の傷どうなっているんだろう。”
俺“お水飲みたい”



実は、このあたりの記憶がうすい…。 
なおかつ、めちゃくちゃ眠かった。
目をあけてられない眠さに襲われる。
まだ全身麻酔が浅くかかってるんだと思う。
しばらく寝たり起きたりをくりかえす俺。

吐き気などの、全身麻酔の副作用はまったくないが、いや、熱は少し出てたか…

それよりも“俺どーなってんの?”って思ったことは
ものすごい勢いでシバリングを繰り返す俺。

何か布団乾燥機みたいなものを布団の間にはさんでもらう。
いや、もしかしてほんとに布団乾燥機か?

おかげで熱風がハンパなく、めちゃくちゃあったかい

それなのに激しいシバリング。
それは消耗している体力をさらに容赦なく奪っていく…。
大丈夫か俺?
(たぶん30分ぐらいでおさまったと思う。)



「ここはICUです、ナースコールは声を出すなり体を少し動かすなりしてください。」
「いつでもそばにいますから…。」


たしかそんな感じの言葉をもらった。

俺「オシッコ行きたい。」

看護師「そのまましてください。」


俺“そうか管が入ってるんだな…”

俺“だれが付けたんだろう? ハズカシー”

俺“てか、この病院ってかわいい娘(看護師)がいっぱいいるなー”

俺“院長の好みかなー”

まあ、妄想はここらへんで置いておいて…

常にオシッコしたい感覚というか、違和感があって気持ち悪い。
オシッコしようと思っても“ジョー”っと一気には出せない。
じわじわと出ていってるようだ。

なんか“オーバーニーソックス”みたいなものをはかされる。
なんでも“血栓を予防するため”らしいがよーわからん。
これがかなりピチピチで看護師さんが「うんうん」いいながら力を込めて必死にはかせてくれた 。
んで、「足を意識してグーパーしろ」とか、「ベッドに歩くように押し付けたりしろ」とかも言われる。
※他の病院ではそれを自動でやってくれる機械もあるようだ。
最初は頑張ってやっているが、だんだんメンド臭くなってくる。

点滴していることに気付く。
点滴の袋に“ビーフリード”って書いてある。
これがしばらくの間、俺の“主食”になるようだ。

そう、しばらく口から飯は食えない。
500mlの袋×4を1日(24時間)かけて持続点滴する。
ほかにも 痛み止め抗生物質胃薬 を適時 点滴する。

胃薬を点滴するとき、何か血管がヒヤッとして気持ちいい。
てか胃薬の点滴ってすごいスピードで注入して行くんだけど…
ダイジョブ?


鼻にも違和感がある。どうやら管が入っているらしい。
こいつのせいでツバを飲み込む度にのどが痛い。
しまいには、のどぼとけまで変な違和感がでてきた。
もう、イライラする。

で、この管は胃まで届いているわけで、何か液体が俺の体から外に出て行ってる。
(十二指腸に穴があいているので、漏れないように胃の中のものを吸い出してる。)
本来胃液だけなら黄色っぽいハズだが、今の俺は胃の活動が悪く胆汁(ガーレ)が多く含まれており、
緑色の液体が出て行ってる。なんか気持ち悪い色だ。
こんなのが俺の体内にあるのか!と、ちょっと自分で自分を“キモ”とか思う。

あと、体を右下にして寝ると、よくこの“ガーレ”が出て行くことを発見。
おもしろいのでドンドン出す。

ふと…
全身麻酔で眠らされてる間に、俺に装着する時苦しむであろうことを全部やっといてくれたんだな… いい病院だなー 
とか思う。

これってアタリマエか?


酸素マスクしていることにも気付く。
うーん、どうやら俺って今、大変なことになってるな。
一般病棟じゃなくてICUかよー。
大丈夫か俺? 絶対動かんぞ、安静にしていよう。 とかいろいろ思う。


なんか幻覚も見える。マジで。
黄色の線が何重にも重なって動いて見える。
簡単な図形が動いて見える。
もしかしてモルヒネ投与されてるかもな。



看護師「体を動かしたほうが早く良くなるので、できるだけ動いてください。」

俺“でも手術したばっかだよ?”


内視鏡手術で傷口はたいしたことないというのを知る。
何だよ、もっとお腹にズバーンと傷があるとばっかり思ってた。
それならわかったよ、動いてやるよ。

と思ったが何これ?

脇腹から4本の管。
鼻から1本の管、
さらに酸素マスク。
股間から1本の管。
背中から1本の管。
左腕には点滴。


俺の体に何本ぶらさがってんの?
これで、動けってあなた…ヤダよ。

ころんだり、管のどれかが何かに引っかかったりしたらどうすんの?

やっぱ動かんぞ。

それに今は血圧や体温をなんか10分おき位ではかってるし動けないだろ。
多分、術後の出血とか二次感染を監視するためかな…? 知らんけど。


動かんぞと思っているのに 、「レントゲンとりまーす」とか言われる俺…。
“動けませーん”
と思ってたらレントゲンのほうが病室にやってきた!

なんか折りたたみ式のレントゲンでやんの。


俺、ベッドで寝たままにして、レントゲンを撮ってもらう。
この歳にして“入院デビュー”の俺にとっては
何もかもが珍しい。
てか、まわりの人たち被爆しないのコレ??



ちょっと話変わるけど…

いろんな患者さんがいて、すこし錯乱してるような人も何人かいたりして、夜中もにぎやかなことがある。
看護師さんが何度注意しても同じことをくりかえす患者さん、そのたびに同じ処置を何度もする看護師さん。
横で見ているだけでこっちがイライラする。

“何やっとんじゃこのボケ老人がー”と思う。
でも看護師さんは
看護師「◯◯さん大丈夫?」
看護師「◯◯しちゃダメよ」
毎回、絶対に、やさしい。

これってスゴイね。俺には真似できない。尊敬します。
なぜ、そこまで、やさしくなれるのだろう…。


そんなこんなで俺は体の機能の回復待ちです。
管の数が減らなきゃ動く気になれん。


まず、酸素マスクをはずしてもらった。
パルスオキシメーターによる血中酸素濃度が99%と、充分な値のためだ。



管もバンバン外していってもらいたいが…
担当医師いわく

「ドレーン(管)はいったん外したら再び付けるには再手術が必要になる。
なので、様子をみながら慎重に外したい。」

ということらしい。
ちなみに、このドレーン(管)で俺のお腹の中に溜まった体液を排出している。



ていうかお水飲みたい。
飯食えないのはいいとして、お水飲ましてー。

看護師さんが氷を持ってきてくれる。
それをなめて乾きをごまかす俺。

グスン…
ノドからから。

マジで猛烈にノドからから。
たぶん2〜3日は飲んでない。




ゴメン、また話変わるけど… 

看護師さんに頭洗ってもらったー。
何でもできるんだねー。
あんまり上手いので、「美容師の免許も持っているの? 」
と訊いてみたところ
「ありがとう、美容師の免許は持っていないけど洗髪の技術も習うのよ。 」
と言ってた。

お礼のつもりかどうか知らんが、「かゆいところはございませんか?」
とか訊いてくれたので、俺は「全てがかゆい」と言っておいた。

実際久しぶりの洗髪だったし。


左横隔膜下と右横隔膜下のドレーンが外れた。

ドレーンを外すときは、痛くは無いのだが、体の中から何かが失われていくような…
うまく表現できないが、気持ちの悪い感覚がある。


これで残すお腹のドレーンは
ウィンスロー孔(うぃんすろーこう)とダグラス窩(だぐらすか)の2本だ。
ネットで調べると
“ダグラス窩は子宮と直腸の間にあって、女性にしか存在しない”と書いてあって
男性の場合は“膀胱直腸窩”というらしい。
しかし、俺のドレーンの先に付いている袋には“ダグラス窩”とマジックで書いてあった。
もしかして俺は“解剖学的に女”なのか?

で、ダグラス窩は一番排液が汚れていて時間がかかってるらしい。

ウィンスロー孔は穿孔の近くだから最後まで(食事が始まって数日たつまで)残しておきたいんだって。

そうですか、せめてこのうざったい鼻からの管がとれてくれればなー。
腹からのドレーンはそんなに気にならないが、この鼻からの管…これは相当のストレスだ。

そんな気持ち、看護師さんには伝わっていた…。

俺の担当看護師さんが俺の担当医師に突っかかってくれる。
※担当看護師といってもシフトがあるので、毎日担当してくれるわけではないが、ちょくちょく気にかけてくれている。

担当看護師「もう胃管(鼻からの管のことね)はいらないんじゃないですか?」

担当医師「…。」

担当看護師「排液もきれいじゃないですか!」


担当医師「…。 まだダメ。」

担当看護師「くっそー。」


俺“くっそーって おいおい (^^;) ”

☆★ アナタこそ天使です ★☆



胃の活動が鈍っているのに胃管を外すと
胆汁混じりの濁った胃液を処理できず、嘔吐し続けることになるのだ。
医師は慎重になっている。
俺もそのことは判っているが、それよりもストレスが上をいっている…。



担当看護師「奥田さん。 せめてバルーン(尿道カテーテルのことね)とりましょうか? バルーンなら私の権限でとれます。」

俺「うーん。」

俺「まだドレーンが残っている中、歩いてトイレに行かなくてはならなくなるのはなー。」

担当看護師「…。そうですよね。」

担当看護師「じゃあ体あらいましょうね。」


俺「はい。」

担当看護師「ゴシゴシ」


俺「あっそんなとこ洗わなくていいです(照)」

担当看護師「バルーンが入っているところはよく洗わないと感染症になるんです。」


俺「す、すみません…。」



4Fの“看護師が常駐しているICU”から3Fの、看護師が常駐はしていないけれど“設備的にICUの部屋”へ移動…。
そしてついに3Fの“一般病棟”へ… 次々移動していく俺。

“おお、これは良くなっていってるんだなー”
とか思う。

ICUでは点滴が無くなってるんじゃないか?
とか考えることすら無かったが(常に看護師さんが見回ってるから)
一般病棟では、気がついたら点滴のチューブが真っ赤になってたり…(点滴の液が無くなって血液が逆流しているのだ)

慌ててナースコールを押して看護師さんに来てもらう。
おお、これが一般病棟かー とか納得する俺。

点滴についてもっといえば…

ICUの時はなんか機械が間にはさんであって細かく管理されている感じがしたが、
一般病棟の点滴って、容器からチューブが出ててそれが腕に繋がってるだけだし…。




そーこーしているうちに飲水の許可がでた。
誰が許可を出したのか知らんが、とある看護師さんが「飲んでいい」と言ったのだ。

これが後に、すばらしい展開へのトリガーとなる!




ある日…
看護師「奥田さん、点滴してる方の腕がカッチカチになってますよ? 痛くないんですか?」
俺「うーん… 痛くはない。 かゆい…かな?」
看護師「えっ? これは血管から点滴が微量に漏れ続けてるときに起きる腫れ方でなかなか気づきにくいんです。
これはもう、漏れだして相当時間たってると思うし、かなり痛いハズなんだけどな… とにかくすぐに点滴やりなおしますね。」
俺「はーい」
看護師「………。 奥田さんって、ガマン強いって言われませんか?」
俺「いや、別に…」
看護師「痛いと思ったらガマンしないですぐ病院にきてくださいね。」
俺「は・はい…」
そんなこと言うなよ… 惚れてまうやろー
(笑)


※ガマン強いとは思っていない。
普通の人よりも痛みを感じにくい体質なのかもな …。




そして数日後…
ダグラス窩ドレーンが外れる。
排液の量も減り、色も綺麗になったからだ。

後はウィンスロー孔ドレーンと鼻からの管、そしてバルーンと点滴だ。

ここで俺の担当医師があることに気付く!!


担当医師「ん? あれ?」

担当医師「もうお水飲んでるの?」

俺「YES! がぶがぶいっちゃってます。」


担当医師「んじゃ、この胃管(鼻からの管のことね)から出てるのは水ってことだね。」

俺“???”

担当看護師“キターー(゚∀゚)ーー!!”

俺“あっ!”

担当医師「…。 ん、胃管はずそう。」

俺“ヤッター”


担当医師「じゃあ抜くよ」

俺「えっ? ちょっ タイム!タイム! 今ぬくの? ここで?」

担当医師「そだよ 何で?」

俺「ここ、病室ですよ? もうちょい設備のある場所に移動するとか… ほら、あるじゃん…」

担当医師「はぁ? こんなもん、どってことねえだろ?」

俺「ちょっ、この鼻に入ってる管って、胃まで届いてるんですよね?」

担当医師「4の5の言うんじゃねえ、ほら息とめて。」

俺「 !? ゲボ・ガボ・ゴボ」

担当医師「はい抜けたー。」

俺「あ・ありがとうございました。す・すっきりしました…」



これで俺のテンションは上がりまくり。
経験のある人でないと解らないだろうけどこの鼻からの管のストレスから開放されてもう踊りだしそうだ。
ツバを飲み込むとき、あんなにノドが痛かったのにもーなんともない。
快適 快適。

勢いでバルーンも外してもらう。
さきっちょが痛かった…。

しばらくオシッコが赤かったが抜くときにどっか切れたんだろう。
しかしテンション上がっているのでそんなことは小さなことだった。

だが、すぐにテンションは下がることになる。

担当医師「胃管抜いたから、胃カメラ飲めるね。」

俺「胃カメラいやーん」


担当医師「飯食うようになる前に飲もうね。」

俺「しくしく (T T)」



胃カメラは、専用の部屋まで歩かされる。
って、その場所は別館なんですけどー
(涙)
俺まだ結構フラフラ。
誰か車椅子で送ってー
レントゲンみたいにポータブルのは無いのー?
とか思いながらもなんとか到着。

胃カメラの看護師「はーい、胃をきれーにするお薬のんでね。」
俺「ごくん」

胃カメラの看護師「はーい、ノドの麻酔液です、ウガイして吐き出してね。」
俺「がらがら・ぺっ」

胃カメラの看護師「はーい、胃の活動を抑える注射しまーす。」
俺「え? ちょっ?」

胃カメラの看護師「はーい、もう一回ノドの麻酔液です、これは飲み込んでね。」
俺「ごくん」

胃カメラの看護師「はーい、これくわえてね。」
俺「ん?」

胃カメラの看護師「はーい、鼻で息すって口ではいてね。」
俺「え?」

胃カメラの看護師「ん? いきみ逃しの呼吸法と同じよ。したことない? ヒッヒッフーよ? 息を吸いすぎると呼吸とまって死ぬよ?」
俺“したことねーよ! こーみえても俺は男だよ!”

胃カメラの看護師「あらそう? で、ツバは飲まずにタレ流してね。 ムセてやっぱり死ぬよ?」

俺「は?」

担当医師「いきまーす」
俺「オエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ」
俺“麻酔効いてんのかよコレ”

胃カメラの看護師「奥田さーん、力ぬいて 力ぬいてー」

俺「オエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ」

胃カメラの看護師「奥田さーん(笑) ナデナデナデナデ」


担当医師「終わりでーす」
俺「はあ はあ はあ はあ」
俺「ありが…オエ」


担当医師「胃は真っ赤にはれてるね。これがひかないとよく解んない。」
担当医師「十二指腸が穴あいてたね。今はふさがりつつある。」

俺「そうですか…オエ」

担当医師「苦しかったね。次は鼻から入れるタイプにする? 結構楽だよ?」
俺“ 最初からそれにしとけよ! ”


☆★ お前は悪魔か! ★☆


これで残りはウィンスロー孔ドレーンと点滴。
まず、飯を充分に食べれないと(栄養を採れないと)点滴は外せない。
3分粥から5分粥、全粥へとステップアップ。

はやく外したいので、意地でも残さない。
(移動するにも、着替えるにも、管があるとめちゃくちゃ不便…)

今は点滴とドレーンが残っているせいで、トイレに行くにもキャスター付の点滴棒を持って移動している。
(点滴は体の上のほうに、ドレーンは体の下のほうにある)

病院内を散歩している時に見たんだが、ドレーン袋を買い物袋のように持ってお手軽に移動している人がいた。
そうか、点滴が無ければその手が使えるのか!
それはおれの次の目標になるー。


ふふふ、メシは全部食ってやった。
なんだったらおかわりだってするぜー。

担当医師「無理して全て食べる必要はありません。全然残していいですよ。」

担当医師「ゆっくり行きましょう。」

と言っていたが、ゆっくり行くなんて無理。
早く体についてるいろんなものを外したかった。


飯を食う時だが…手術の時、おそらく気管挿管の時だろう、もともと弱かった歯がぼろぼろになっててうまく噛めない…。
でもお粥なので飲みこむ。

あと入院中はすることも特になく、いつしか飯を食う事が楽しみになってきたりして、
時計をみては“もうすぐメシー”とかそわそわしだす。



体に異常(発熱など)が無いことを確認して点滴を外す。

後はウィンスロー孔ドレーンのみ!

点滴をはずしたので、薬も飲み薬になる。

パリエット
【強力な胃酸抑制剤ープロトンポンプ阻害薬(PPI)】
※2010年現在の時点で日本最強の胃薬だって…怖っ

ガナトン
【胃腸の運動を活発にし、胃内容物の腸管への排出を促進する】

ムコスタ
【胃の血流の流れをよくし、粘膜を修復する】


を処方してもらう。

食事を初めて数日、排液の色・量を確認、ウィンスロー孔ドレーンも外してもらう!!

ヤター、全部外れたー (^o^)

俺“うん、退院もたぶんもうすぐだな。”



最後にオチがつく出来事が…





看護師「奥田さん、それ何? よく見せて?」
俺「え?」

看護師「あっ、背中のカテーテル何で残ってるの?」
俺「は?」

看護師「これは私じゃ抜けないから、先生にいっとくね。」
俺「はあ…」

看護師「先生、忘れてるんだわ」
俺「は・ははは…」





担当医師「さーて、そろそろ背中の麻酔はずすかー(汗)」


俺“てめー忘れてたんだろうが…”




担当医師「あれー、もう抜けてらー。」


俺“ズコー”





そうしてほどなく、退院の日がやってきた。


担当医師「グスッ あんなにお腹の中がぐちゃぐちゃに汚れてたのに…(遠い目)」


担当医師「こんなに早く退院できるなんて、僕の患者さんの中で最短記録です。」


俺「まじっすか? あざーす。」


俺“まあ、まだまだ若いからだろうな…”


周りを見ても年寄りばっか…。


普段、健康な時って…
そのありがたさに気づいている人はきっと少ないだろう。
今、俺は禁酒だし、禁煙だし、食べちゃいけないものもある。
大好きなコーヒーも制限がかかった。

はー 何コレ
(涙)
もっと、ちゃんとしとけば良かった…。

とか思うよ…。
お腹のキズを見るとね…。

皆さんは充分に気を付けてくださいネ
(はーと)





なにはともあれ…
俺に関わってくれた全てのみなさんへ…
大変にお世話になりました。
どうもありがとうございました。
m (_ _) m ペコリ



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