北欧紀行 2008


9月の後半に、北欧に行ってきました。フィンツアーの企画した「北欧3カ国デザインを感じる旅 8日間」というツアーへの参加でした。
スウェーデンのストックホルム、フィンランドのヘルシンキ、デンマークのコペンハーゲン。
各都市ほぼ2日ずつという駆け足の旅行でしたが、地元の人が使う地下鉄やバス、トラムなどを利用しながら、後はひたすら歩きで街を巡ったので、少々くたびれましたが、充実の旅でした。
街の風景は、どこにカメラを向けても絵になる美しさですし、おススメスポットもたくさんありましたが、それはガイドブックに任せるとして、肌で感じた北欧をご紹介したいと思います。



★古いものと新しいもの
どの都市にも共通していることですが、市街地は古い重厚な石造りの建物が、取り壊されることなく建ち並んでいて、高さも色のトーンも統一された整然とした街並みが保たれています。地震がないし、石造りの建物が気候条件にあっていてのことなのでしょうが、1900年代の初めのころから広い道路幅を確保し、高さや様式のそろった建物を建てていたこと、しかも今でもそれを日常的に使っていることに感心するばかりです。
外観は昔のままですが、内部の水周りなどは新しくなっているし、ホテルの室内などはモダンなインテリアに変わっています。
図書館などの公共施設でも、昔の雰囲気をそのままに、各テーブルにはもれなくパソコンが設置されていましたし、居住用建物の入口には、セキュリティーシステムが設置されているところもありました。
古い建物を取り壊すことなく、今の生活に合わせてリニューアルしながら住み続けていくというのは、新しく建てるよりも面倒なことも多いと思いますが、素晴らしいことです。
セブンイレブンも、建物にあわせてレトロな雰囲気に。
コペンハーゲンの王立図書館は、古いレンガ造りの建物と、ブラックダイアモンドと呼ばれる近未来的なデザインの建物が、廊下でつながっているのに驚きました。



★大切な日の光
長く暗い冬の季節があるからなのでしょうか。太陽の光を部屋に取り込むための窓の工夫が、どこでもみられました。
訪れた9月が、白夜の夏が終わって太陽高度が下がってきた時期のせいなのか、さしこむ光が部屋の中に落とす影が、大変美しかったです。
ストックホルムの市立図書館は、円柱形の書棚が圧巻ですが、ドーム型の天井に並ぶ窓からの光で、日中は照明が必要ないほど明るい空間になっていました。
図書館の隣にある公園の借景が絵のように美しい大きな窓もありました。
ノーベル賞授賞式の晩餐会で有名なストックホルム市庁舎の青の間も、非常に広い空間ですが、天井近くのハイサイドライトの窓のおかけで、明るさが確保されています。
ヘルシンキのテンペリアウキオ教会は、まさに光が装飾といえるような建物でした。
外から見ると岩だけのような入り口を入ると、むき出しの岩肌の壁に囲まれた礼拝堂が現れ、天井の周囲を円形に切り取ったガラス窓からの光線が、刻々と映って、独特の空間を作り出していました。
ヘルシンキ中央駅のホームも、光がふりそそぐ屋根でした。
大きな建物には、ほとんどに中庭があって、どの部屋にも光が届くような造りになっているそうです。
コペンハーゲンにあるデンマーク工芸博物館は、元々病院だった建物を改装したそうで、回廊のような建物でした。
展示された工芸品の数々にもまして、私が目に留まったのは、窓から見える中庭の美しさでした。



★あたりまえのエコ意識
北欧というとエコ先進国というイメージが強いですが、実際に行ってみると、確かに多方面にわたってエコが浸透しているのを実感しました。
近頃の日本のように「エコ生活してますよ!」なんてことを、目標に掲げているというよりは、無駄がなくて合理的で、昔からの当たり前の暮らし方が、エコ生活である気がしました。
「必要以上の快適さは求めない」のです。
トイレにはウォシュレットなどはなく、流す水流も必要最低限で、上手く流さないと流れきらない感じです。
地下鉄にはエスカレーターがありますが、動くうちはこれで充分というくらいの古いものもあり、人が乗らないときには動かないようなシステムになっています。
スーパーには容器の回収コーナーがあり、缶などを持ってくるとコインが戻ってくるので、街に空き缶が捨てられていることはありません。
道路には、自転車専用レーンがあって、多くの人が通勤などに自転車を使っている様子です。
かといって日本のように道端に通れないほどに自転車が乗り捨てられたりしていることはなく、パーキングに整然と停められていました。
街角には、レンタサイクルもありました。
採光の配慮も、照明用の電力の消費を抑えるための工夫のひとつであるように思えました。
都市の中心部であっても、夜は、日本で慣れている明るさよりもずっと暗い印象でした。
各都市で一番大きなデパート、一番大きな本屋さんに行ってみましたが、どこも想像以上に、売り場面積が広かったり、豊富な品物があふれているということはありません。
日本では、CO2削減の努力目標が、時折思い出したように話題になりますが、実際の生活の中でどれだけ具体的なことができているのでしょうか?
「買い物にはエコバッグを持っていきましょう」というひとつのことを考えても、一握りの人が実践しても解決にはならないと思うのです。
なぜお店の側で、スーパーバッグを有料にする事は出来ないのでしょう。
売り上げが落ちる? 客からのクレーム? でもそれが当たり前の事になれば、日本全国規模で考えると、プラスティックごみが、ずいぶん減ると思うのですが。
生活全般に関して、もっと具体的に、根本的に、エコを考えなくてはいけない時期にきているような気がします。



★豊かさって?
北欧の人々は、贅沢はしないけれど、豊かな暮らしをしているなあと、実感しました。
皆が自然を大切にし、昔からある建物・ライフスタイルを大切にしながら、今の生活に合わせて少しずつ変化を加えていっている気がしました。
教育の力なのでしょうか?
日本人のように、目先の事だけしか考えないで、昔の貴重なものをどんどん壊してしまったり、今だけよければ20年後50年後のことなんて関係ないといった発想とは対極の暮らしをしているように感じました。
日本人にとっての豊かさとは? お金があること? あふれるほどの豊富な品揃え? 日本はどこかで道を間違えてきてしまったのでは?
景気後退が生活を直撃している今こそ、ライフスタイルの変革が求められる時期なのではないだろうか?なんてことを考えた北欧旅行でした。



★旅の思い出
どこにカメラを向けても美しいところばかりで、「見て!見て!」とご紹介したい写真がたくさんありますが、私のお気に入りのショットを。
まずは、ノーベル賞授賞式で有名な、スウェーデンストックホルム市庁舎。
赤レンガの壁に絡まる蔦が紅葉して、まさにナイスタイミングでした。


ストックホルムのガムラスタンは、古い街並みがそのまま残されていて、まるで絵本の世界に入り込んだよう。
そういえばガムラスタンは「魔女の宅急便」のモデルになったところだとか。
私も「魔女の宅急便」好きだったなあ。
ストックホルムの中心部からバスで10分ほど行ったところに、自然あふれる島、ユールゴデン島があります。
スカンセン野外博物館や北方民族ミュージアムなどが、緑豊かな島に点在しており、遠足に来ていた小学生をたくさん見かけました。こんな美しい自然の中で育っていく子どもたちは幸せだなと思いました。


フィンランドのヘルシンキでは、日常の買い物は広場のマーケットが便利。
トラムに乗って行ったハカニエミマーケットには、色とりどりの果物や野菜が綺麗に並べられ、天気のいい日には、朝ごはんやカフェも気持ちよさそう。
屋内市場のお店にも掘り出し物が・・・
デンマークのコペンハーゲン中央駅から列車で30分ほどのところにある「ルイジアナ美術館」。
周辺の自然を配慮した低層のミュージアム、広々としたガーデンに点在する現代アートの作品、ガーデンの先に広がる海の景色。
すべてが美しく、1日中のんびりと過ごしたい、癒されるところでした。



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