封印の絆







 ぬるい水の中を泳ぐような息苦しさで目が覚めた。まだ意識がはっきりしないせいか、視界が暗い。



 ぼんやりと辺りを見回して、ナルトは、そこが里の外れにある炭焼き小屋であることに気がついた。
 以前いたずらをして叱られそうになった時、何度か逃げ込んだことがある。人の気配のない小屋は、冬の僅かな間しか使われないため、今の時期は誰も近寄らない。
 なんでこんなところにいるのだろう。
 そう思ったナルトは、起き上がろうとし、そこで初めて自分の不自然な体勢に気がついた。
「な、んだ・・・これ」
 狭い小屋の片隅に、炭焼きの間寝泊りする寝台が置いてある。その上に、ナルトは両手を背中の後ろに縛られて、放置されていたのだ。
「やぁ、ようやく目が覚めたんだね」
 薄暗い小屋にサッと日が差し込むと、入り口のところに男が一人立っていた。
「だ、誰だっ」
「ああ、暴れない方がいいよ、ナルト君」
 男は、ゆっくりとした足取りで近づき、囚われたナルトのすぐ脇に立った。戸口の明かりで顔がはっきり見える。
 その顔に見覚えのあるナルトは、驚いて声を上げた。
 男は、薬師カブトだった。
「なんで、おめぇが…」
 ナルトの頭は混乱した。
「オレってば、確かサスケの見舞いに病院まで行って、でもサスケには…」
 病室の前に数人の上忍が警戒していて、会えなかった。
「それで、顔だけでも見ようと裏に回ったんだ」
 思い出そうとするが、そこからの記憶が、ナルトにははっきりしない。
「覚えてないかな、僕と会ったんだよ。ちょうど、サスケ君の病室の窓から飛び降りた僕とね」
 カブトはにっこり笑みを浮かべた。
「でもしかたないかな。君が気配に気づく前に、薬で眠らせて連れ出したからね」
「!」
 今回の中忍選抜試験に、大蛇丸という凶悪な忍とその部下が侵入していることは、ナルト達下忍にはまだ知らされてはいない。そしてカブトが、その手先の一人であるということも。
 だが、ナルトは、あいかわらず人の良さそうな笑顔のカブトの中に、どこか危険な匂いを本能で感じ取り警戒を強めた。
―――この男は、自分が今まで知っている薬師カブトではない。
「どういうことだってばよ」
 キツイ目で睨み付けて問いただすと、
「ん〜、これ、ついさっきバレたことなんだけど、ボク実は音のスパイだったんだよね」
「えぇっ!」
「で、これもついさっきなんだけど、君の友達のサスケ君を攫ってくるように命令されたんだ」
「―――っ!」
 世間話でもするようにのほほんと語られるが、内容はとんでもないものだった。
「カブトさんがスパイで、サスケを攫うって・・・」
「うん。でも残念ながら失敗しちゃった」
 悪びれもせずにカブトは言う。
「君んとこの先生が待ち伏せしててさ。ま、どうせ、もう隠す必要はなかったんだけどね」
 今までのように遠隔操作ではなく、御大将の大蛇丸自らが出てきたのだ。決戦は避けられない。
「それにサスケ君は、なんとなく気付いてたみたいだし」
 ナルトやサクラより実戦での勘が鋭いサスケの前では、カブトの擬態も生半可なものでは通用しない。
「けど、ボクとしてはこっちの方が、断然面白い展開かな。サスケ君を攫うのはいいけど、彼きっと大人しく攫われるなんてしないだろうから、傷つけちゃうだろうし。君と引き離すだけなら、なにも彼を攫わなくても、こうして君自身をサスケ君から引き離せばいいだけだしね」
 男は、不気味に笑みを貼りつかせたまま、目の前の獲物に手を伸ばした。ナルトの中で、警戒心が、恐怖心に変わる。
「ち、近寄んなってば!」
「あ〜らら、警戒しちゃって。まるで野生の狐みたいだね」
 逃れようと、ナルトは必死に寝台の上をずり下がるが、後ろ手に縛られた恰好ではすぐに捉えられてしまう。
 押さえつけられ、身体ごと圧し掛かるようにして寝台に縫い止められると、もうナルトには逃れようがなかった。
「ちくしょう!放せ!放せってばよ、このヤロ…っ」
「ああ、そんなに暴れちゃダメだって」
 そんなことを言われて大人しくするナルトではない。腕がだめなら足で蹴り上げようとがむしゃらにもがく。
 だが、その時身体の奥で、突然溢れるように熱が弾けた。
「な、な…にっ」
 ドクン…ッと、急激に脈拍が上がる。鼓動の回転数の上昇に追いつけず、意識がぶれる。
足の先から頭の芯まで蕩かされるような感覚に、ナルトは一瞬我を忘れて喘いだ。
「あ…っはぁ…っ」
「ほら、だから言ったじゃないか、暴れちゃダメだって」
「あ、熱…、身体…どうして…?」
「薬のせいだよ。動けばそれだけ回りの早いヤツなんだ。ほら、ここもこんなに火照ってる」
「や…っ」
 カブトの冷たい手が、無防備に反らされた首筋をそろりと撫でた。触れられた箇所から新たなうねりが生まれて、くぐもった声が漏れる。カブトはわざと耳元を舐めて囁いた。
「どんな薬か知りたいかい?」
 ナルトが声もなくこくこくと頷くと、
「君の、本性を暴く薬だよ」
「?」
「九尾の狐の力ごと、君を思い道理にできるとしたら、面白いと思わないか?」
「どう…いう」
「サスケ君のかわりに、君にこちら側に来てもらおうと言うのさ。君にとっても悪い話じゃないと思うけど? どうせ木の葉の里じゃ、不本意な化け狐と蔑まれて悔しかったんだろう? 僕らだったら、そんな不当な扱いをしないと約束するよ」
「なっ、誰がおまえらなんかに! 木の葉の忍者のくせに音に味方するなんて、この裏切り者!」
「言うねぇ。せっかく君自身に選ばせてあげようと思ってたのに。残念だよナルト君」
 カブトの目が鋭く細められたとたん、さらにうねるように熱が上がった。ジ…ンと痺れる経験のない感覚に、ナルトは身を震わせて堪える。
「あ、な…なにこれ…」
 今までに覚えの無い疼きが、下腹部を中心に膨れ上がっていく。全身が火照り、じっとしていられない疼きに、叫び出したい衝動に駆られる。
「ん? もう効いてきたかな?」
 戸惑うナルトの様子に、カブトがニヤリと薄笑いを浮かべた。
「言い忘れてたけど、効き目がすごい分、この薬は強烈な副作用があってね。人間の身体的な欲求を著しく上層させるんだ。ま、言ってみれば媚薬の効果かな」
「え…? あ、あはっ、な、なにこれ、身体が…変」
その手の知識がまるでないナルトは、これから何をされるのかさえかわってはいなかった。自慰の経験すらないのだ。カブトの言葉を理解するには、ナルトはまだ幼すぎた。
急激な身体の変化についていけない不安に、ナルトは激しく動揺した。涙さえ浮かべて小刻みに震える様が、男の征服欲をよけいに掻き立てるとも知らず。

「初めてなのかい? 可愛いねぇ。なんだかお兄ちゃんイケナイことしてる気分になっちゃうよ」
「あぁっ!」
 前触れもなく身体の中心を握りこまれて背中が跳ねる。むず痒いような痺れに、どうしようもなく腰が砕けてしまう。
「や、やだ、こんな…っ!」
「気持ちいいだろう? ここ、我慢しなくていいんだよ」
 カブトの長い指が、硬くなっている幼いシンボルをやんわりと揉み込む。下半身を直撃する刺激に、ナルトの全身が震え上がった。
「ああ…あっ、やだ…ぁ」
 襲い来る快感の嵐に抵抗もできない。
 そうやって追い詰めてから、カブトは身を凝らせて堪えているナルトの服をたくし上げた。
「へぇ…」
 思ったとおり、なだらかな腹部に独特の封印式が浮かび上がっている。
「これが例の九尾の封印か」
 封印式は、ナルトの臍を中心に幾重にも渦巻いていて、独特のチャクラを放出していた。
 ―――薬が効き出したな
 カブトは、子どもの匂いのする柔らかな身体から手早く着ている衣服を剥ぎ取っていく。
 それが、ナルトにとって長く甘い拷問の始まりだった。








 激しい痛みがあった。
バラバラに千切れたような感覚に何度も襲われて、サスケはかすかに眉をひそめた。霞む視界の向こうに、誰かが覗き込んでいるのが見える。
金色の髪の少年。

 また泣きそうな顔しやがって…

いつもは好奇心いっぱいに輝いている瞳は曇り、今にも涙が零れ落ちそうに覗き込む少年に、サスケは一瞬痛みを忘れて苦笑した。
 両親をなくしてからこれまで、他人からそんな目で見られるだけで、虫唾が走るくらいだったのに。こいつから変な同情心とかを感じないせいだろうか。
なんとなくくすぐったいような気持ちになりながら、見かけよりずっと柔らかい髪に手を伸ばそうとした時だった。
突然少年の背後から、突き刺すような殺気が噴出した。
 闇色にとぐろを巻いたそれが、少年の身体を包み込み、サスケから傍から引き離そうとする。
 懸命に手を伸ばすが、さっきの何倍もの痛みに襲われ、サスケは目の前で少年が闇に飲み込まれるのを見ているしかなかった。

 待て、待ってくれ! ちくしょう…

「ナルト…っ!」

 ハッと目が覚めた。今度こそ、現実の痛みに顔をしかめて、サスケはそこに良く知る自分の上司の顔を見つけた。
「なんであんたがここに…?」
「気が付いたか」
 カカシは、サスケが今まで見たこともないような険しい目をしていた。見れば、殺風景な病室には似つかわしくない遺体が数体転がっている。
「誰か来たんだな」
「ああ。だがもう危険は去った。ここにはすぐにでも新しい見張りを立てる」
 サスケは、転がっている遺体の顔に目を留めた。
「カブトか…。あの男、やはりな」
 死の森からこっち、ずっと不自然に思っていたことが全て繋がる。
 さっきの夢の中で感じた殺気がヤツのものだとすれば…。
「とにかく、おまえは大人しく寝てろ。どうせ中忍の最終試験は一ヶ月後だ。それまでは身体を戻すのが先決だからな」
「……」
 言い置いて部屋を出て行くカカシの後姿を見送りながら、サスケはさっきの夢の記憶を反芻した。
 おそらく、カブトは誰かの命令でここへやって来たのだろう。殺すためか、それとも他に目的があったのか。どっちにしろそれは失敗してしまった。
 だとしたら…
「ナルト…」
 闇に飲み込まれる小さな身体を思い出して、サスケは痛みに耐えながら起き上がった。
「待ってろ、すぐに行く」
 たとえ夢の中のことだとしても、サスケにとってはそれは紛れも無い現実だった。








「だめっ…も、だめだってばぁ…」
 圧倒的な快感がナルトを支配しつつあった。剥き出しの神経を嬲られて、息も絶え絶えに許しを請う。
 泣きながらの哀願に、カブトはその薄い唇を歪めて酷薄な笑みを浮かべた。
「楽になりたいかい?」
 問いかけに夢中で頷く。
「じゃあ、ボクの仲間になると言いなよ。そうしたらすぐにイかせてあげるよ?」
 耳朶を舐めるようにして告げられた言葉に、それでもナルトは首を横に振った。胸元の淡い飾りは執拗な愛撫で濡れ光り、中心は開放を阻まれまま弄られ続けて生理的な涙が止まらないというのに。ナルトの理性は完全に屈したわけではなかった。
 精神を責めるときには肉体を、肉体を責めるときには精神を。ウィークポイントを確実に押さえながら同時進行で行うのが拷問のセオリーだ。そして、ナルトは知らなかったが、悦楽でもって支配するこのやり方は、くの一によく使われる方法だった。
「意外と強情なんだね」
ヒクヒクと全身を痙攣させているくせに頷こうとしないナルトに、カブトはもう片方の指をあらぬ処に伸ばして蠢かせた。
「ああっ、ひっ、ひああぁっ…」
 狭い器官を無理やり抉じ開けられて、ナルトの喉が悲鳴を上げる。痛みのせいではない。薬のせいでとろりと蕩けたそこは、カブトの指を貪欲に飲み込み、ナルト自身を快楽の渦に叩き落としたのだ。
「やぁ…っ、これっ、い…やぁあ」
「ここ、そんなに感じるんだ」
 前と後ろを同時に嬲られて、何も知らなかった幼い身体はもう限界だった。あまりの辛さに意識が遠くなる。だから、その名を呼んだのも無意識のことだった。
「あ…助けて…サ…スケ…」
「こらこら、ここでその名を呼ぶのは反則だよ」
 お仕置きに、男は封印の施されている臍に口付けた。ねっとりと舌を差し込み、次いできつく吸い上げる。
「あ、ああぁ―――っ!」
ナルトの身体は一瞬硬直し、塞き止められているにも拘らず熱い精を吐き出した。何度かビクビクと痙攣した後、小さな身体がカブトの腕の中でくたりと気を失う。
「とうとう最期まで落ちなかったか。本当に強情な子だ。ま、その分いたぶり甲斐があって楽しめたけどね」
 あとは、この子を誰にも知られず一時里の外に連れ出し、監禁しておけばいい。
 カブトは、ナルトの身体を包むために、先ほど剥ぎ取った衣服を拾うとした。手を伸ばし最初の一枚を拾い上げようとした時、空間を切り裂くような疾風が目の前を掠めた。
 カカッ! 
「!」
音を立てて、手裏剣が突き刺さる。
正確にカブトを狙って投げられたそれをかわし、反転して距離を取ると、黒い影が素早い動きでナルトとの間に立ち塞がった。
「うちはサスケ…!」
 まだとても動ける状態ではなかったはずだった。
「すごい回復力だね。それとも、お姫さまの危機だからかな」
「黙れ」
怒りで戦闘モードに切り替わった写輪眼で、サスケは相手を睨みすえた。
「やる気かい?」
「当然。裏切り者には死しかない」
 どんなに実力の差があろうが、ここでこの男を許すことはサスケにはできなかった。
「……」
 男の目が、すーっと細められる。
「…やめた。今回は分が悪い」
「逃れられると思っているのか」
「今やりあうのは簡単だが、それじゃあボクの任務に反する」
 カブトに与えられた使命は、あくまでサスケ奪取だった。
「それに…」
 男は視線をずらして、横たわったナルトに目を向けると、顎でサスケに見てみろと促す。見るとナルトが意識を取り戻すところだった。
「…! ナルト!!」
 サスケはすぐにでも駆け寄りたかった。しかし、うかつには動けない。
「そんな顔しなくてもすぐにまた会えるさ。それまでこの勝負は預けておこう」
 カブトの言うとおりにするのは癪だったが、この場はナルトを優先して頷いた。視界の端で姿を消すカブトを確認し、サスケはすばやくナルトに駆け寄る。
「ナルト、ナルト! しっかりしろ、このウスラトンカチ!!」
「う…ん、サ…サスケ?」
「大丈夫か?」
「あ…そっちこそ、無事だったみたいだな…」
 カブトからサスケを攫うと聞いて不安だったナルトだが、サスケの無事な姿にホッと息を吐いた。
「…よかった…」
「ナルト…」
 涙で汚れた顔で無理に笑うナルトに、サスケの胸は締め付けられた。白い肌に無数に散った痣を見れば、何があったのか一目でわかる。改めて込み上げてきた怒りに、サスケはナルトをきつく抱き締めた。
「ちょっ、サスケ、苦しいってばよ」
「ちくしょう…」
 どうすればこの苛立ちが治まるのだろう。
 サスケは抱き締めたナルトの首筋に唇を埋めた。育った環境のせいか、ナルトは歳のわりにずっと幼い。きっとまだ何も知らなかっただろうナルトに咥えられた行為を思うと、サスケはもう自分を止めることができなかった。
「や、あ…何…?」
 体中に散った花びらのような痕跡を指や唇で乱暴に辿られて、ナルトの身体がぶるりと震える。まだ薬が残っているのだ。ほんのちょっとの愛撫でも恐ろしいほどの刺激だった。
「やだ、サスケ…なんで…っ?」
「黙ってろ。消毒してんだ」
 やがて辿り着いた幼いシンボルを、ためらいもなく口に迎え入れる。
「ア、 アア―ッ!」
 カブトの時と同じだが、この行為の意味が分からないナルトは、何をされているのかも把握できていない。濃厚な甘く重いうねりに下腹部を支配され、あまりの苦しさに必死にサスケにしがみついた。
サスケは上体を起こして身体を重ねると、口で愛撫していたナルトの花芯に自分のものを擦りつけて、両手で一緒に扱き上げた。
「あ、ああっ、サスケェ…もぉ、も、やだぁ・・・っ」
「いやじゃない。こういうのはイイって言うんだ」
「あっぁ、ああっ! ど…にか、なっちまう…てばぁ」
「なっちまえ」
 一緒にいくから。どこまでも一緒だから。
 さらに激しく愛撫しながら、肛膣に指を入れて掻き回す。
「や、アアッ、ア―――っ!」
「…っ!」



 達したのは同時だった。
「あ…はぁ…はぁ…サスケ、なんで…」
「ナルト…俺は……」
 この想いを、何と呼べばいいのかサスケにもわからない。一言で言えば執着なのだろう。良くも悪くも互いに意識した関係に、他人が入り込むことさえ拒むほど…。
 気が付けば、浮き上がっていたナルトの封印文字は消えており、身体の熱も開放されて楽になっていた。
(なんでだろう。カブトんときにはあんなにイヤで気持ち悪かったのに…)
 体中のチャクラの暴走は、サスケの愛撫で溶かされたように治まっていた。
(あれが気持ちイイってもんなのか…?) 
 そう思って一人顔を赤らめる。
 サスケだからそう感じるのか。ナルトにはわからない。でも、きっと他の人間ではダメなのだ。おそらくイルカでさえ…。
 限りない安堵感に包まれて、ナルトは自分を抱き締めるサスケの胸に身を預けた。
 そこへ、ようやく他の上忍を引き連れてカカシがやって来た。
「カ、カカシ先生!」
「ん、どうやら丸く収まったかな」
「今頃来ても遅いんだよ」
 一通り小屋の中を確認して頷くカカシに、半裸のナルトを掻き抱いたままサスケが言う。
「じゃあ、早く来て良かったのか?」
「ぐ…っ」
「ま、二人とも無事で良かった。」
 にっこり笑ったカカシは、救護班にあれこれと指示し、二人を病院へ運ぶ手配をした。
「とりあえず中忍試験の本戦まであと少しだ。本当に強くなりたければ、二人とも死ぬほど修行しなきゃな」
「!」
 力強く頷くナルト。無言のサスケ。
 九尾の封印と大蛇丸の呪印。
 カカシがいつでも踏み込める場所に潜んでいたことを二人は知らない。
 これは賭けだとカカシは思った。二人が互いの封印を保つほどの絆を持ちえるかどうか。それで里の運命が変わる。
(やれやれ、また余計な仕事が増えるな)
 ボヤキとは裏腹に、カカシの頭の中は二人の若い部下達をどう鍛えてやろうかということでいっぱいだった。

 そして一ヵ月後、運命の中忍試験の本戦が始まった。




〜FIN〜









この作品は、2002年5月に発行した「KISS OF LIFE」に掲載されたものです。
なんかこの時は鬼畜カブトさんに嵌まってて、今読み返すと笑ってしまいますね(爆)。
負けるなサスケ! 頑張れサスケ! ナルトを守れるのは君だけだ!って感じで読んでください。
不器用なサスケが初めて自覚したお話でした。

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