某国神盾物語
要約
今は昔の話です。
江戸の遊郭、吉原に、弘隆という気のいい男が宮津庵という妓楼を営んでおりました。
宮津庵では、絵描きの用心棒という風変わりな男を雇っておりました。
名を、仙石。
ぼんやり何となく日々を過ごしていた仙石でありましたが。
それは野分の如く、現れました。
名を、行之介。
美丈夫で名が高い、老舗呉服屋如月屋の若旦那で御座いました。
仙石を一目見るなり格子から、そのしなやかな腕をぬうと伸ばし、仙石の腕をひっ掴み。
行「お前を買い取る」
仙「お、男の身請けなんて聞いたことねぇぞ!」
行「なら俺が草分けになろう」
頼「あらぁ灼けるネェ…」
話はトントン進みまして、翌朝、仙石は福井町に居を構える老舗、如月屋へと身請けされて行きました。
そこでは丁稚の菊政、行の祖父の如月屋が仙石をいたく歓迎してくれました。
菊政に黒饅頭を馳走になった後、仙石は如月屋に呼び出されます。
如月屋は先ず孫の横暴を詫び、意にそぐわぬ身売りなのならば、宮津庵に戻っても構わぬ旨を仰いました。
思わぬ言葉に仙石が唖然としていると、話を(盗み)聞きしていた行が乱入、仙石を連行。
鬼気迫る行に身の危険を感じた仙石。最早これまでと思ったとき。
仙石を救ったのは、旗本の子で行の昔なじみ、渥美大輔。
「行は仙さんに惚れてるんだろ」
噂を聞きつけた渥美はすっかり行の心中を見通しておりましたとさ。
菊「え!わ、若旦那が仙石さんに惚れて!?」
仙「じょ、冗談だよな?行の旦那」
行「……」
仙「何でそこで顔赤くするんだよ!」
渥(面白すぎる…しばらく日参だな)
続。
文:あじ
絵:印度ともよし
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