2002.03.2206-01 クランペット調子に乗ってスキレットを購入。スキレットとはフライパンのこと。ソルトレークオリンピック記念の品を大安売りしていた。こんどはLodge社という名の通ったメーカーの製品である。サイズは10インチで、スキレットとしてはもっとも一般的なサイズらしい。底に五輪マークが浮き彫りになっている。 シーズニング(出荷時の錆び止めのワックスを落とし、油を馴染ませる作業)が済んだ後の最初の料理は「クランペット」にした。クランペットとは、マフィン、ワッフル、スコーンなど「粉をぷっくり膨らませたもん」グループに属するパン・菓子類のひとつ。 アガサ・クリスティのファンなのだが、彼女の長編、『ヒッコリーロードの殺人』の冒頭でポアロ氏が、召使のジョージに四角いクランペットを焼かせるシーンがある。マフィンやスコーンなどは日本でも手に入るが、クランペットだけは、パン屋でもレストランでもお目にかかったことがなかった。 長い間、食べてみたいものだなと思っていたが、作り方を紹介している料理本もあるものの、如何せん、見たことがないものを作っても、それが成功なのか失敗なのかわかろうはずがない。 1999年、イギリスを旅行したさい、あこがれのクランペットがソルカムという小さな街のスーパーでビニール袋に入れられ菓子パンみたいに無造作に売られているのを見つけた。袋ごしに見ると表側はブチブチと穴があいていて、ちょうど焼けかけのホットケーキをそのままフライパンからおろした感じ。ホテルに戻ってじっくり説明を読んでみると「4分ほどトーストしてバターを付けて食べてください」と書いてある。ホテルにはトースターなんかないので、みやげにすることにした。しかし、賞味期限は帰国予定日の前日。「まあ、大丈夫だろう」とスーツケースに放り込んで帰国。帰国の翌朝、オーブントースターに入れ、袋の指示通り4分間トーストしてみた。あつあつにバターをのせると、表面の穴に溶けたバターがみるみる吸い込まれていく。かじる。もちもちっとしたかみごこち。私はもちもちの食品にことのほか心引かれる者である。生麩、竹輪麩、すあま、ういろう……、たまらない。しっとりとした表側に対し、裏側はキツネ色でぱりっと乾いている。この湿と乾の取り合わせがまた絶妙。 なお、この写真のスキレットの後ろに写っている「やかん」もおなじソルカムで買ったもの。手作りの銅製品を製造販売している店を見つけ、しっかりとした作りと、武骨さと繊細さが同居する不思議な形に魅かれ、購入した。店主のものと思われる「ポール」というサイン入り。たしか49ポンド。店主が、「飾りに使うのか?」と尋ねるので、「いーえ、いーえ、キッチンで毎日使います」と答えると、すごくうれしそうににっこり笑ってくれた。約束通り、ほぼ毎日、コーヒーをいれるのに使っている。注ぎ口が細く、いい感じにお湯が出てくる。底が楕円形をしているため、ガス台の後ろにぴたりと収まるのもうれしい。 ということで、今回はイギリスネタでありました。 recipe本によっては玉子を加えて作るレシピも紹介されているが、玉子の風味が舌に残って気になるので、私は、あっさりした玉子なしのほうに軍配をあげたい。10枚程度の分量。イーストとベーキングパウダー、両方を使うのがコツ。あつあつにバターを載せて食べよう。 材 料
道 具ホットケーキリング(直径7センチくらい。テフロン加工のものがよい) 発酵機能が付いたオーブン(あれば)。真夏のキャンプ場ではテントの中が醗酵には最適 10インチ スキレット 作り方
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