訪問記 【2009.4.18】
もうすっかり夜の帳が下りていたが、のんびり寛ぐことにして、戸塚の矢部の湯へ。この周辺って古い商店がかとかってに想像していたが、戸塚って巨大な街じゃないの。で、矢部の湯のところだけが、年季が入っている感じ。道の反対側は更地になっているし、駅前には巨大なビルなども立ち並んでいるし・・。そもそもブリジストン横浜工場とか日立(だったっけ)横浜工場とか、すごい会社の工場が乱立している。戸塚ってそういうところだったんだ。
で、矢部の湯、瓦屋根ではなさそうだが、脱衣場上の窓取りが大きくて、背の高い威風堂々の立派な一軒家銭湯。少し花道があって、左側は専用駐車場(2台分)で、右側はお店(今日は暖簾が下りていて、何の店か不明)になっていて、建物の左半分だけがその姿を正面に晒している。花道は屋根つきだったかな。玄関から中へ。左が女性で右が男性。下足錠はカナリア。早速中へ。
ここも番台。比較的背の低い簡素な造り。女将さんはやさしげでおっとりした人当たりのいい方。島ロッカーは横向きで、鍵は番台で渡される。天井は立派な折り返し付き格天井で、風格満天。お客さんもいっぱいで、まったり寛げる感じが漂っている。ん〜、ここはなかなか聞きしに勝るいい銭湯だ。男女境は鏡壁で、体重計は残念ながらKubotaのデジタル体重計。
早速、浴室へ。お目当ての早川さんのペンキ絵が正面に鎮座しているが、ところがところが浴槽の真ん中に柱が建っているので、正面からは柱で絵が分断されてしまう。島カランは1列、カランの配置は8-6−6−7(だったかな)、カランは湯マークの赤青だが、片方が和栗の球に付け替えてあるところが多い。桶はケロリン黄桶で、椅子は緑のM字(大)と一部普及版。カラン回り、浴槽回りは改装されていない昔のまま、ここがレトロファンには配点が高く、湯治場的なまったり感が醸し出されている。島カランは鏡もシャワーもなし。外側カランにもシャワーなし。男女境壁には九谷の大きなタイルのタイル絵が4服。描かれているのは・・・松島(右から)、雪の兼六園?、弁慶と義経、最後が岩山?、どれも秀作。浴槽はシンプルな3浴槽。右から熱めのじっこう?の薬湯(43℃)、真ん中が浅湯(バイブラ?)、左がまた深湯(白湯、42℃強)。縁取りがなんとマーブルグリーンの昔タイル。壁にもこのマーブルグリーンのタイルの帯あり。
で、最後にペンキ絵は、ちょっと古くて平成18年6月19日(かな、ちょっと読みにくい)、西伊豆、早川、と書いてある。ちょっと傷みが来ているかな。描かれているのは富士山と左側に大きな岩山の海岸線、当然のように岩に波が弾けている。女湯側に行くにしたがって、岩山が大きくなっていて、女湯側がなんだかすごい岩山の外観になっている。向こうが見てみたい感じ。平成18年の富士山はノーマルで和風な描き方だ。これは今まで東京で多く見かかる富士山だ。積もった雪が豊富というか、割り合い下の方まで雪が描かれている。富士山の裾野のカーブがこれより前のものがかなり急勾配なのだが、平成19年はかなりなだらかで史実的になっているように感じる。
というわけで、矢部の湯は、萎びた湯治場のような、それでいてお客さんでいっぱい(入ったときはカランがすべて埋まっている感じ、出るときはさすがに少なくなっていたが・・)の、寛ぎのレトロ銭湯だ。
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