訪問記 【2008.8.19】
横浜の大和湯行ってきました。吉野町ってどこかと思ったら黒湯銭湯銀座、阪東橋の一角なのですね。このあたりは
昔は長閑な住宅街だったんでしょうけど、すっかりビルが増えてしまって横浜の中心街に飲まれていくような感じですね。黒湯の銭湯が一つずつ減っていってしまうのはほんとうにもったいない。
噂どおり大きな通りに面して、少し花道のような引き込み道を進んだところにある立派な屋台骨の大きなレトロ銭湯 。地下鉄の駅の真後ろに銭湯の入り口があるというローケーションは本当に珍しい。もちろん駅が後からできたのだ ろうけど。駅に銭湯前の土地を譲ったのだろうね。それにしても外から見ても脱衣場の窓が二段構えに積み上げられていて、まるで3階部分があるような変わった構造をしている。屋根は玄関前の千鳥破風のほかに天辺には四方に向かって千鳥破風の屋根が作られている。これがすべて脱衣場部分の上にあって、その後ろには赤いトタン屋根の浴室部分の屋根が続いているが、これが母屋の屋根と一体になっている。
玄関脇には大きな庭石、入り口の左隣にはベンチも置かれている。脱衣場の窓は昔ながらの木枠の窓で、レトロな格子ベースのデザインとぎざぎざレトロガラスが哀愁を誘う。玄関部分の構造も独特だ。後から追加して造ったと思われる壁構造(おそらく脱衣場の目隠しと思われる)があって、ミラールームのように下足箱がちりばめられている感じ。昔ながらの引き戸を開けて中に入ると、模様の入った立派な番台、ここにも側板が後から取り付けられていて 、死角を減らすように改装されている。天井は折り返し格天井で、天井の中央にちょっとモダンな和風のクロス形蛍光灯が釣る下げられている。男女境は鏡壁。L字状に外に続く引き戸があって、小さな坪庭には灯篭が置かれている。番台の上には大入りの額が飾られている。扇風機はAsahiの昭和レトロのもの。横長のボックス型の冷蔵庫には牛乳類を中心に飲み物が用意されている。体重計は確かHokutow のアナログ体重計。島ロッカーは1列だ。
洗い場に入ると正面には大きなサイズのタイルで組まれたタイル絵、ちょっと洋風な山並みと湖畔の様子が描かれている。さらにその周りに大きなタイル枠があるのが珍しい。釜場に続くドアーの周辺も小さなタイルのタイル張りだ。島カランは2列で、カランの配置は6-5-5-5-4、湯温は良好。カランはピンク・水色の5角のもの、M字形の緑座椅子にケロリン桶という品ぞろい。カランや壁のタイルは比較的新しいものに張り替えられている。床は大小の四角いタイルを組み合わせた幾何学模様 。最後に浴槽は左端に黒湯のぬる湯、真ん中の浅湯にはラドン石の入った、ライトアップされた檻からお湯が注がれ ており、右端は6点ジェット付きの座湯2基の深湯というラインナップ、湯温は42 ℃ちょうどといったところ。立ちシャワーブースは2基あって、その手前に脱衣場にはみ出すようにサウナ(100円)が併設されている。
というわけで、今月で廃業してしまう阪東橋エリアの黒湯銭湯大和湯は、立派な屋台骨の横浜では珍しい大きな規模の千鳥破風レトロ銭湯だった。
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