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銭湯屋号いろいろ 銭湯の屋号として選ばれている名前にはいくつかの傾向があって、当然のことながらおめでたいものから選ばれていることが多い。。松竹梅鶴亀はその代表と言える。ほかには寿とか末広、千代、玉、福、豊、幸、恵、子宝、千歳などもある。
その他に花の名前や植物の名前は比較的多く用いられるモチーフである。桜、桃、藤などである。日の出や朝日に関連するものも多く、
富士山に対する信仰にも近い憧れも銭湯の名前によく顕われている。神仏に絡んだものとしては大黒、恵比寿、弁天が多く、宝や宝来というのも多い。意外に多いのは単純に栄というもの。そのほか、泉や岩、浜、山、滝など山水と関係したもの、月や星などの天体由来のもの、大正、昭和などの時代を表したもののほか、初音、春日、金春、黄金、天徳、稲荷、観音、天神、天狗、平和、愛国、帝国などが目立つ。特に稲荷や不動、天神、地蔵などはその付近に実際にそれらが隣接することが多い。
経営者の苗字をとったものや、出身地に関係したものもある。単純には地域の名称に由来したものもある。その他、重、秀、益、関など。

松竹梅の順位(松竹梅総数73軒/東京銭湯1186軒中)
 1. 松の湯 38軒
 2. 梅の湯 20軒
 3. 竹の湯 15軒
鶴亀の順位(鶴亀総数32軒/東京銭湯1186軒中)
 1. 亀の湯 17軒
 2. 鶴の湯 12軒
東京銭湯で最もよくみられる屋号、ベスト10
 1. 松の湯 38軒
 2. 栄湯 22軒
 3. 梅の湯 20軒
 4. 大黒湯 18軒
 5. 亀の湯 17軒
 6. 寿湯 16軒
 7. 竹の湯 15軒
 7. 日の出湯 15軒
 9. 宝湯 14軒
10. 富士の湯 13軒
11.鶴の湯、玉の湯(12軒)、13.朝日湯、千代の湯(11軒)、15.旭湯、富士見湯、弁天湯(10軒)、
18.恵比寿湯(9軒)、19.藤の湯、高砂湯(8軒)、
注1:第一、第二などの接頭語は無視してカウントした。ニュー、新などの接頭語も同様に無視してカウントした。恵比寿に関してはいくつかの異なる漢字使用のものを同一にカウントした。タカラ、あけぼの、えびすなどのカタカナひらがな表示のものは漢字使用のカウントに組み入れた。乃とのは同一とみなした。
注2:富士と富士見を合計すると23軒で2位となる。
注3:朝日と旭を合計すると21軒で3位となる。
注4:この計算は手計算によるものであり、総括的な統計ではない。
花や植物名の銭湯屋号
松、竹、梅、藤、桜、桃、菊、玉菊、柳、萩、荻、橘、椿、ぼたん、さつき、紅梅、若葉、二葉、双葉、若松、森、栗、えの木、桑、花、緑
変わった名前・おもしろい名前の屋号
お玉、世界、万才、塩、君、おとめ、乙女、歌舞伎、廿世紀(浴場)、入、蛇骨、弘法、美人、おかめ、良、電気、人参、鈴、春、オリンピック、東京(浴場)、記念、煉瓦、大盛、ピース、都、あたり、羽衣、一、クラブ、雷、袋、道灌、金、又六、愛染、紀の国、南、友、万、ニコニコ、いこい、しのぶ、まり、元、孫、よろづ、のぼり、ほまれ、橋、四方、明の海
合成・熟語によるもの
白水、菊水、梅月、光月、新月、秀月、月見、松見、新柳、水神、明神、神明
動物の名前
竜、龍、たつ、燕、おしどり、かもめ、鶯、鳩、鷹、鳥、熊、鹿、虎、狸、鯉


後記:いろいろな銭湯を訪れて、何となく同じような名前の銭湯が多いなあと漠然と考えていた。そんな中でも特に松の湯という屋号の銭湯はやたらと多いと気になっていた。そこで思い切って銭湯の屋号について調べて見ることにした。
案の定、松竹梅の中では圧倒的に松の湯が多かったばかりか、その他のすべての屋号のなかでも松の湯は断突の一番人気であった。ところで松竹梅の真ん中の
が少なくて松の次にが多いというのはどういうわけなのだろうか?うな重を頼むときについ一番安価な梅を頼んでしまうという庶民感覚からきているものだろうが、梅でないとすると「ええい今日は特上の松にするか」という意気ごみなのだろうか。やはり真ん中の竹にするというのはあまりにも中途半端すぎるのだ。
東京のあちこちに富士塚があって、実際に晴れた日には東京のあちこちから
富士山が見えるから、東京人が富士山好きなのもうなずける。それにしてもことあるごとに神社仏閣お参りして御利益にあやかりたいと安易に考えている東京人は、七福神の大黒さんや弁天さまも大好きだ。花鳥風月を愛でるのは良いことだが、それもエスカレートしていくと普通の動物では飽き足らずに虎だの狸だのと言い出すのだ。ついつい遊び心が頭を持ち上げるのだろうか。
それにしてもどうしてそういう屋号にしたのか皆目
見当もつかない名前もいっぱいある。クラブ湯とはどういうことか?美人や乙女というのは男の気を惹くためか、はたまた美人になれるという振れこみか。人参湯とは変わっているが、何となくどんな銭湯なのかと興味を引かれて行ってしまう効果がある。歌舞伎湯というのもわけがわからないが、オリンピック人気にあやかってオリンピック湯という安易さ。東京浴場というのも大胆で、記念湯は何を記念しているのだろうか。煉瓦湯に煉瓦がなかったら腹が立つかもしれない。塩の湯には塩湯が、電気湯には電気風呂があるのだろうね。
これからはあちこちの松の湯に
ターゲットを絞って入りまくって比べて見るとか、風変わりな屋号の銭湯を集中的に訪れて名前の由来を問いただして見るとか、そんな銭湯行脚もおもしろいかもしれないと思う今日この頃だ。

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