翁湯
Part1

【2004.6.3】  

附:
塩原浴場

【2004.6.3】  
翁湯Part2へ続く
翁湯
栃木県栃木市泉町5−21
0282-24-6426
?:00-?:00 ?曜休、番台。

東部宇都宮線の新栃木駅で降りる。ロータリーのある綺麗な駅前。タクシーが並んでいるが、路線バスはなさそうだ。駅前をまっすぐにかなり進んでから5本目ぐらいの大通りを左折して南下して行く。この通りをまっすぐ行くと栃木駅前のロータリーにぶつかるメインストリートだ。かなりまっすぐ進んでから泉町の交差点を右折し、2本目の川沿いの小道を左折すれば翁湯の裏に出る。つまり細い1本目の路地で左折すれば正面に出る。泉町の交差点を過ぎると左手に塩原温泉の廃屋があり、その先に栃木?タクシーの詰め所があるので目印になる。歩いたら20-30分は覚悟しなくてはいけない。栃木駅からならまっすぐ北上するだけだが、歩けば30分以上かかるのでは?でも蔵造りの旧家などもあって時間があるなら歩いていくのもそれなりにおもしろそう。

コメント:出張で那須の方に行ったので、栃木県の銭湯を訪問することにした。とはいっても高原エリアの那須にはいわゆる銭湯というものはない。そんなわけで宇都宮、栃木あたりに眼を向けてみた。宇都宮にはいくつかの銭湯があるが、ビル銭湯やらでまあそれなりという感じのようだ。そこで思い切って濃いい銭湯のある栃木市へ行ってみることにした。とはいうもののどうやって行ったらいいのかさえわからない。新幹線からの場合、宇都宮経由がいいのかそれとも小山経由がいいのか。とりあえず、餃子も食べたいので宇都宮経由で行くことに即決定。さて、栃木市に行くには東部宇都宮線に乗らなくてはいけないのだが、これがなんとJRの駅に連結していない。で、仕方なく市営?バスで移動することに。地図で見たらすぐ近くのように見えるのだが結構距離があってバスで揺られること10分。やっと東部駅前に着いた。仕事帰りに向かったのでもう午後7時を回っていて、夜の帳が降り始めている。が、あせる心を抑えつつ、とりあえず駅前で餃子を食べることに。初めてというわけではないが、やはり宇都宮の餃子は最高だ。普通の餃子とどこが違うんだろうなどと思いつつ東武線へ。各駅停車で7−8個の駅なのだが、田舎?のせいか駅と駅の間隔がやたら長い。車中では今風のスカートの短い女子高生に囲まれて当惑。そんなこんなしているうちに、30分ほどでやっと新栃木駅に着いた。ロータリーは綺麗だが何もない。8時はとおに回っている。「歩いていては東京に帰れなくなる。」との判断でタクシーを利用することにした。行ってみたら案の定、思った以上に遠くて「タクシーにして良かった」と納得(とはいえ1メータだったのだが)。
闇夜のなかをしばらく歩くと煙突発見(ドラム缶を積み上げた形式の素朴なもの)。どうやら銭湯の裏側に出た模様で、銭湯独特の水色に染まった窓ガラスが並ぶ東京2段風の小柄な屋台骨が浮かび上がってきた。間違いなく営業している。銭湯周囲には薪が積まれていて、薪炊きのお湯であることがわかる。期待を胸に正面に回ると、「オー」、なんという光景だろう。男湯の脱衣場の戸が大きく開け放たれていて、外の正面通路に立ってふつうに眼を向けただけでもろにおじさんのお尻が見えてしまう。なんておおらかなことだろう。こじんまりとした大きさながらクラシックな破風付きの寺子屋風概観。正面に大きな縦長の暖簾が掛けられていて、これを手でばさっと押しあげて中に入る形式になっている。間近にある引き戸は格子状の町屋風のもので、天井や番台裏の戸袋などの一つ一つが質素ながらも味わい深い風情を醸し出している。
脱衣場へ。低い番台とすぐ脇の下足入れ、天井、和風な縁取りの付いた窓、木製で真四角の扉の付いたロッカー、床板、男女境の隔壁など、古い木製のこれらのアイテムがすぐ手の届きそうなところにあって、狭い空間の四方八方を覆い尽くしている。さらに旧式のKeihoku Hakariの体重計に高く積まれた乱れかごと完璧な品揃え。
さて、洗い場との境は一面に大きなガラス戸になっていて、ほとんど脱衣場と一体という感じ。真中に小さな三角島カランが1つあって、両壁際にそれぞれカラン3個と4個(中央側がシャワー付き)、カランは温泉マーク入りの赤・青のボタン型で、カランの湯温は熱い(熱すぎる)。正面壁は水色に塗られていて(壁画なし)、その下に浅・深の2槽(中央でつながっている)があり、湯温は43℃強とちょうどいい湯加減だ。2つの湯船の間に石造りの小山が造られていて、てっぺんに乗っかっている蛙の置物の口からお湯が流れ落ちている。湯船に入って正面を振り返れば番台のおばちゃんの顔がすぐそばに感じられて何かといえば何だが、上を見上げて深く湯に浸かれば極楽極楽。
というわけで、翁湯はすばらしいの一言に尽きる。
帰りにもう一つ大事な目的あり。それはすぐ近くにあるはずの塩原温泉の消息を確認することだ。泉町の交差点に戻り、ここから少し南へ行ったところで煙突のある建物をすぐに発見。ところが家の中はどこもかしこも真っ暗だ。正面に入り口が2つあってそれぞれの玄関のすぐ上に目をやると何かが剥がされた後がある。ここに男湯・女湯とでも書いてあったのだろうか。結局、真偽のほどは確認できず、後ろ髪を惹かれる思いでその場を後にした。

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