快哉湯

【2003.12.29】  
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快哉湯
台東区下谷2−17−11
03-3874-3853
16:00-24:00、木曜休、番台。
地下鉄日比谷線入谷駅(北寄り出口)で下車して、昭和通りを少し北上してすぐの路地を左折。さらに少し進んでもう一度左折してすぐの右側(駅出口の裏手にある感じ)。駅から3分。


コメント:快哉湯は惚れ惚れするような見事なレトロ銭湯で、正面から眺めた建物の外観も申し分ない。銭湯マップの紹介に「木の温もりを大切にしている」と書いてあるだけに、玄関正面の引き戸も、入り口上の灯り取りの羽目板も、踊り場の床板もどれをとっても皆木の温もりでいっぱいだ。
入り口の引き戸を開けて初めて脱衣場に足を踏み入れ、その瞬間に目に飛び込んでくる景色も決して期待を裏切らないものだった。伝統的な木製の番台の形状がまたすばらしく美しく、定番の3枚羽根の大きな扇風機が格天井からぶら下がり、屋号入りの柱時計が正面の柱にどっしりと取り付けられており、1条の島カランの上に銭湯グッズが並べられている。脱衣場の手前には小さいながらも岩を配した壷庭があり(照明がないので良く見えないのが残念だが)、脱衣場を取り巻くように欄干付きの縁側が廻らされていて、なぜか大きな木製のたらいが3つ立て掛けてある。
さて浴室の入り口の方に目を移すと、木枠に大きなガラスがはめ込まれた立派な引き戸があり(この銭湯で唯一この引き戸だけは新しいものに取り替えられているのだが、しっかり木の温もりを残している)、脱衣場からでも洗い場正面のペンキ絵が良く見える。
浴室に足を踏み入れてみて、さらにその味わい深い木の温もりに驚嘆した。左側の壁際に年期の入った大きな「木窓」が壁いっぱいに張り巡らされていて、さながらひなびた湯治場の家屋を彷彿とさせる。さきのペンキ絵は早川師の手によるもので、西伊豆からの富士山の図(平成14年8月1日)。浴槽は伝統的な浅湯と深湯の2槽で、湯温も43℃ぐらいとちょうど良い。島カランは1列、床や島カランのタイルは気持ちのいい新しいものに張り替えられているのだが、不思議と木の温もりと良く調和しているように感じられる(カランの配置は6-5-5-6の対称で、湯温・湯量も申し分ない)。
そんなわけで、快哉湯は決して大きな銭湯ではないのだが、木の温もりにあふれた東京でも屈指のレトロ銭湯と言うことができる、レトロファンとしてははずせない、必見の銭湯だ。

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