大正湯


【2004.2.9】  
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大正湯
墨田区立川1−5−1
03-3633-1504
16:00-23:30
、土曜休、番台。
都営新宿線の森下駅を下車したら5番出口で清澄通りに出る。するとちょうど出口を出たところに右斜めに北上する道があり(右側が公園になっていて、ここが江東区と墨田区の境になっている)、この道を少し行ったところにある交差点の北東の角に大正湯はある。銭湯マップには駅から8分とあるが、この5番出口を出るまでに5分ぐらいかかるだけで、そのあとは1−2分という至近距離にある。


コメント:一度休業していて再開した銭湯だからずっと気になっていて、やっと訪れることができた。外観は大型の典型的な東京型2段型銭湯で、立派な唐破風屋根もある(残念ながら懸魚の類はない)。玄関前に2−3段の階段があって建物全体が少し高いところに建っているので、なおさら大きな印象を受ける。なんだが威圧感すら漂っていて、神社の鳥居をくぐる時のような厳かな気持ちになるのは、心の中で「ありがたや、ありがたや。」と反唱しているためか。
玄関には見事な木製の下足箱(カナリヤの下足錠)があり、玄関の天井までが格天井になっているのは完璧なレトロ銭湯の証だ。扉をがらっと開けると、定番の低めの番台。島ロッカー2つが斜めに配置されていてほんとうに島のように見え、その向こうに早くも立派な富士山のペンキ絵のある洗い場が目に飛び込んでくる。高い格天井に柱時計、男女境の鏡壁、その両サイドに昔ながらのマッサージ機と体重計が配置されているあたり、グッズの揃いは完璧だ。外側の壁側はやはりロッカーになっているが、手前側の外にはちゃんと定位置に中庭があり(最近、この定位置に中庭が残されている銭湯が少なくなってきた)、見事な金色をした鯉が泳ぐ池と石灯篭などが配置されている。
さて、洗い場に足を踏み入れるとその異様さに一瞬息を呑む。真中の島カランがあるべきところに島カランがない。というよりは一番奥の湯船の近くに小さな島カランがあって(左右に2基づつカランが付いている)、まるで能登の軍艦島を見ているようだ。「どうして?」としか言い様がない。とにかく洗い場の大きさは相当広くって、その証拠に左右の壁際にはカランが9基づつ並んでいる。もっとも旧式のままの内装だから1個1個のカランの間隔は狭い。固定シャワーがあるもののその数は今では半分に減らされていて、お湯の出はあまり良くない。でも、カランのお湯が熱いのがいい。浴槽は当たり前のように深湯と浅湯だけ(いちおう背中ジェットが3基備えつけられているが)。2つの浴槽は中でつながっていて湯温は45℃弱ぐらいとちょうどいい。最後にビジュアルだが、とにかく申し分ない。正面には富士山を背にした渓流のペンキ絵(覚書きはなく、中嶋師風?のもの)、その下には鯉や金魚を描いた鈴栄堂印のある章仙のタイル絵、男女境には松島風の穏やかな海辺を描いた昔ながらのチップタイル絵。また、床やカランなど浴室全体のタイルもむかしのまま(白無地の小さな四角いタイルが基本)で、窓枠こそサッシを使っているものの周囲の枠組みは昔ながらの白木の木材(今ではもちろん真っ黒だが)を残している。
そんなわけで、やはり評判通りのレトロ銭湯星一つという感じだ(いや、真剣に星つけするならば、星2つです)。

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