吉野湯

【2004.10.25】  

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吉野湯
新宿区西新宿8−16−12
03-3371-7426
15:00-25:00、
廃業、フロント。
地下鉄丸の内線の西新宿駅で下車して青梅街道を西へ進む。次に成子天神下の交差点を右折して細い路地を北上する。突き当りをさらに右折してすぐの右側。駅から5分。


コメント:吉野湯の面している通りは成子坂下から職安通りへ抜ける抜け道になっていたところだが、大幅な道路拡張のために立ち退きを迫られることになり、今月いっぱいで廃業することになったらしい。訪れてみると既に吉野湯から先は新しい道路幅で整地されており、吉野湯だけが飛び出ている状態。吉野湯の外観は昭和中期的な年代の大きな千鳥破風屋根のある一軒家銭湯。右にコインランドリー、左にガラス張りのロビースペースが見える。改装された男女共通の玄関から中に入ると正面にフロントがあり、その左右の入り口から暖簾をくぐって男女それぞれの脱衣場へ入る形式。
脱衣場はコインロッカーに囲まれ、洗い場から突き出してL字状に仕切られたスペースが有料のサウナ室になっているようだ。そんな影響で狭くなった空間にベンチとテーブル、旧型マッサージ機やHOKUTOWのアナログ体重計などが所狭しと置かれている。天井は一応折り返し部分のある格天井。続いて浴室に入ってみてびっくり。平日の6時半頃とはいえ10人ぐらいが入っていて、一見して混雑している感じ。島カラン1列でカランの配置は7-6-6-5で合計24なのだが、最多で浴室にいる人の人数が16人となり(ピークの7時頃)、一時は島カランの片側の12のカランのうち9つが埋まり、満杯状態(普通はだいたい1つ毎ぐらいに空いていることが多いのに)。そのカランは「銭湯マップ」にも書かれているようにすべて「フレキシブルシャワー」付きで、珍しくもいわゆるカランや蛇口に相当するものがない。
左手前のサウナ室を出たところに水風呂があるのだが、いい材質の木を使用して和風に改装されていてなかなか感じがいい。そして浴室正面の大きなチップタイル絵。入り江、遠くにピラミッドのような山々、そして海岸に衣が舞っているようなところに大きな裸婦が描かれている(よく脱衣場上のガラス窓に熱帯魚と裸婦を描いた透かし画があるが、そのタッチに似ている)。噂どおり確かに女湯側の裸婦は横を向いて腕を抱えているような控えめなポーズをしている(東京ではあと池袋の温泉銭湯の桃仙浴場に似たような裸婦画があった。ちなみに桃仙浴場のお湯は黒湯ではなくて、いかにも鉄の多そうな赤茶褐色の温泉だった)。さて吉野湯の浴槽。基本的な浅・深湯2槽で、浅湯に2点ジェット3基、深湯にぼこぼこと音が出るほどのバイブラ湯があり、湯温はいずれも42℃強といったところ。
そんなわけで、カランがなくシャワーホースだけのところ、ペンキ絵の代わりに裸婦画があるところなど、ちょっと一風代わった銭湯だが、いかにも新宿西口の銭湯という感じのする混雑銭湯だった。池袋西口界隈といい、やはり環状線駅外側というのはまだまだ昭和の匂いが色濃く残っていると改めて実感したが、これらのエリアもとうとう開発の波に飲み込まれようとしているようだ。

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