訪問記 【2008.12.30】
今日は戸越の万年湯。昼間に訪れると看板も何もなくてちょっと殺風景な感じすらするのだけれども、さすがに営業中ともなると電気がついて活気がみなぎっている。建物は昭和中期的な一軒家銭湯。変わっているのは正面に衝立の塀が建っていて(よく見るとタイル張りでお洒落)、その左右から入るようになっている。あれがなければ広々しているのにあの塀になんか意味があるのだろうか。でも、なんか秘密基地への入り口のようで隠れ場的でいいいえばいい。なんか料亭の入り口の様でもある。特に今日は門松なども飾られているのでさらに雰囲気が盛り上がっている。
玄関を入ると正面には傘入れ、左右の踊り場に定番の下足箱(さくら錠と松竹錠が混合)があって、番台裏の木窓の飾り付けが凝っている。中に入ると右手に番台、元気な女将さんが迎え入れてくれる。脱衣場は格天井ではなく、なんというのかプラスチック製壁紙貼り。すこし中央が楕円形にくぼんでいるモダンなタイプ。手前側には引き戸越しに坪庭があって灯篭なども置かれているが、残念ながらライトアップがなくてよくみえないのはもったいない。床はフローリングで真ん中に四角い島ロッカーが2個。男女境は鏡壁で、体重計はHoktowのアナログ体重計。壁には朝日の昭和的扇風機あり。島ロッカーの上には湯道具ケースがあって、お遍路スタンプ帳も積まれている。男女境に扉があって暖簾がかけられているあたり、地方の銭湯のようかな。
早速洗い場へ。正面は早川さんのペンキ絵。遠くに霞む山並みを控えた渓流(手前が高さがなくて幅の広い滝)が描かれている。覚え書きが「信州の風景、平成9年3月26日、早川画」と書かれていて、風景とか画とか書いてあるのは珍しい。描いてからだいぶ経つのに結構きれい。またペンキ絵の下に見ごたえのあるチップタイル絵で、大きな金魚がいっぱい描かれている。一瞬九谷の鯉かと思ったのだが、チップタイル製の金魚なのだ(鯉かもしれないが・・・)。また男女境にもチップタイル絵があってこちらは例の?オランダの風車と橋のある田園風景。で、カラン周りのタイルが昔のまんまの四角い白タイルなのが、レトロファンには嬉しい。島カランは2列で横長鏡のみのシャワーなし。カランの配置は5-6-6-6-6-8、立ちシャワーブース左に1基、カランは扇マークの8角茶、桶は黄桶でクリーニング屋さんの宣伝シールが貼られている(珍しい)。浴槽は右がバイブラの深湯、左の浅湯は中央が赤外線ライトアップされていて3点背ジェット1基、左側は水枕付の8点ジェットの寝湯で、これがなかなか気持ちがいい。お湯は薪炊きにちがいないような温まるいいお湯だ。
というわけで、案の定というか、こういう一見派手さのない銭湯はレトロファンには嬉しい昔ながらの風情のくつろぎ銭湯だ。鳴物もなくてゆっくりまったり入ることができる。
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