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弦巻湯 tsurumakiyu

03-3429-0507
15:00-25:00
木曜休、番台
廃業(2008.10.31)





訪問記 【2008.10.25】

世田谷のこの辺は結構道が斜めや横に交差しているのだが、弦巻湯の面している弦巻通りはかつて川が流れていたらしい。銭湯正面のコンビニの前に石碑が建っていて、「親○橋を偲んで」と書かれている(○のとこ失念)。そんなわけで歩道がやたらに広くて木々が一杯植えられていて、実にゆったりのんびりしたいいエリアだ。


弦巻湯、そんなお洒落な通り沿いに、両脇をモダンな喫茶店に挟まれて昔ながらの風情を晒している。玄関部分だけが瓦葺の千鳥破風屋根で、上のほうはトタン屋根の昭和中期的一軒家銭湯。両脇にコインランドリーがあって、外側はトタン張り。ランドリー内は水色の空と雲が描かれていてきれい。玄関を入ると正面に大きな油絵が掲げられている。実は脱衣場にも一杯油絵が飾ってあって、女将さんが描いたものだとのこと。

玄関内は昔ながらの風情で両脇の下足箱(確かさくら錠だったような)。番台裏は木の重厚な造り。引き戸を開けて中に入ると右手に背の低い番台。素材は新しいものに改装されている感じ。天井は格天井だが折り返し部分はない。中央に縦に島ロッカーがあって、男女境は鏡壁、周辺は木製のレトロなもので、赤いサイレンなども取り付けられている。体重計は石川製作所のレトロなアナログ体重計。玄関傍に縦型の冷蔵庫あり。コインランドリー増設のためか坪庭はないが、縁側部分だけ残っていて油絵が飾られている。


洗い場へ。島カランは1列でカランの配置は6-6-6-6、左右に2基づつ立ちシャワーブースあり。カラン周りのタイルは昔のままの小さなタイルを貼り付けたもの。で、男女境壁が相当なレアもの。窓が4つぐらいあって、すりガラスがはめ込まれていて、女湯側が透けて見える。これが結構よく見えて人がどこにいるかぐらいまで分かってしまうようなもの。これは地方では結構見かけるのだけれど、東京で出くわすのは初めてだし、窓状になっているのが珍しい。

で、浴槽は典型的な浅湯深湯マーブルグリーンのタイルで縁取りされたレトロなものなのだが、少し改装されていて、深湯の奥全体が電気湯になっているし、浅湯の奥が打たせ湯になっている。2点背ジェット2条あり。湯温は42℃強のちょうどいい温度で、結構あたたまるいいお湯だ。最後に正面壁は中島さんのペンキ絵、これもちょっと珍しく逆さ富士(女湯側は駒ヶ岳のもよう)。描いてからけっこう経っているようで、左端の松の木の群生しているところがハゲハゲだった。


というわけで、弦巻湯は住宅街の中の綺麗な緑道に面して建つ、昭和レトロ感一杯でいいお湯のくつろぎのレトロ銭湯だ。廃業はほんとうにもったいない。

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