用賀浴場

【2002.8.28】  
用賀浴場
世田谷区上用賀1−10−1
03-3700-0733
16:00-24:30 
廃業、番台。
東急新玉川線の用賀駅で下りて用賀中町通りを北上。駒大付属高校入り口を右折してすぐ。馬事公苑南の住宅街の中。


コメント:
インターネットで廃業情報を聞いて即日(と言っても最終日)に訪問することができた。この日は新幹線で帰京の途中に横浜で下車して南区高根町の鎌倉館に行くことに決めていた(こちらは9月16日で廃業)ので、用賀についたのは9時過ぎだろうか。用賀の駅が超現代的になっていたために方角がまったくわからず、やっとの思いで中町通りへ出たのでだった。酒屋で銭湯への道を訪ねると、さきほども2人ずれの女性に銭湯への道を訪ねられ、今日はどうなっているのかと・・・。
狭い狭い路地から入る入り口。脱衣場も普通の部屋といった趣。それでも洗い場奥の壁一面に広がる富士山のペンキ絵はそれはすばらしいものだった(ひょっとすると最近見たものの中でも一番のすぐれもの?)。ボディーシャンプーが底を尽きてしまい、シャンプーで体を洗う(この日2回目)。脱衣室に出るとそこにいるみんなが名残を惜しんでいる様子。おやじさんは一人一人に挨拶して缶ビールを振舞っていた。常連は床に座って談笑している。酒も入って駒大の学生風の青年(律儀に正座をしている)に出身地を聞いたり、がんばれと励ましたりしていた。始めて話してるくせに、最後に「もう、会えねえけどな。」などと言っていた。おかみさんは番台に座っているもののもう涙目になっている。
とても言い出しにくい雰囲気の中で、心を鬼にして「ペンキ絵の写真を撮らせて欲しい!」とおやじさんに懇願すると、ためらいもなく、こころよく引き受けてくれた。ただし、おやじさん、洗い場にまで行ってみんなに「写真撮りますから。人は入れませんから。」と・・・。中の人は端の方へ大移動。思いがけない事態の展開に言葉もなく、そそくさと撮影を済ませてぺこぺことお礼、そして感謝感謝。帰りしなには(始めて訪れたのだけれど)、「お世話になりました。」と挨拶してその場を後にしたのだった。
大切な最終日だというのにお騒がせしてごめんなさい。いいおやじさんでした。最終バスもなくなっており、気持ちよい風に吹かれながら帰路についた。ほんとうにご苦労(自分)、いえご苦労様でした(用賀浴場)。

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