鶴ヶ丘湯

【2004.9.14】  
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鶴ヶ丘湯
北区赤羽西4−16−7
03-3900-9341
16:00-24:00、廃業、番台。
JR赤羽駅西口を下車。駅前のロータリーの向こう側を縦に伸びるバス通りを直進して行く。途中左手にイトーヨーカドーを見る。5分ぐらい進んで行くと道が大きく右手に「く」の字状に折れ曲がる。そのちょうど折れ曲がるところを左折して、細い坂道を上がっていくと、左右に横切る道に出る。ここを道なりに進んでいけば(途中店舗がちらほら)、左側角に鶴ヶ丘湯が現れる。駅から15分の記載だが、10分ぐらいでは?


コメント:銭湯マップ2002を見る限り、住宅街のど真ん中かと思ったら、意外とそうでもなくて、要するに駅前通りと平行して小高い丘の上を走る道路があり、この道沿いに小さな繁華街があって、そこの一角に建っているというわけ。だから、この道に入っていけさえすればすぐに見つけられる。
まず、煙突が見えてきて近くに寄ってみて驚いた。緑生い茂る広々とした敷地の中に、はたまた旅館か、あるいはそれこそ神社仏閣のような荘厳な感じさえ漂う巨大な建物が姿を現した。とにかく玄関前にこれだけの庭を備えた銭湯は東京では見たことがい。雰囲気だけで言えば京都の船岡温泉を彷彿とさせた。とにかく見上げるようにして繁繁と眺めてみたが、ほんとうに立派な建物だ。玄関周りも風情がある造りで、中に入ると正面に章仙作のタイル絵がお出迎え。描かれているのは竹取物語?しかし、雪景色だし、かぐや姫が描かれているわけでもない。
見上げれば玄関から格天井、木をふんだんに使用した昔ながらの構造。下足箱はオレンジと緑に塗り分けられた斜めおしどり錠で、横浜方面に多いタイプ?
さて、脱衣場に入ると、とにかく目を引くのが格天井に鳳凰が抱き合わされたデザインの壁画が貼り付けられていることで、そこから大き目のランプが吊り下げられている。島ロッカー1列で、ロッカーの錠前はやはり古いおしどりのもの。ロッカーの手前には乱れ籠が積まれており、さらに手前にはベンチが置かれ、岩を配した坪庭と向かい合わせになっている。秤はKeihokuの背の高い大き目のもの。
そして浴室に入るや、普通の東京の銭湯とは明らかに違う雰囲気が漂っていると感じた。というのも結構大勢の人たちがいて、あちこちでまったりとしているのだ。そう、ここは何となく湯治場の雰囲気。というのもここの売りは「草津温泉」で、なるほど右手の浴槽が見事な黄白色の草津の湯になっている。そして、さらに変わっている点は室内のペンキの色。東京では水色を使うことが多いのだが、要するに全然違う色使い(敢えて言えばベージュ?系)。ペンキ絵もなくて帆船が何隻か浮かんでいる日本的な海辺の景色を描いたチップタイル絵が正面の低い位置に取り付けられている(左端には富士山も描かれている)。こういった全体的な雰囲気はなんとなく東京離れしていて、地方の銭湯の趣のようでもある。
浴槽はこの他に左手に大きな主浴槽が合って、2点ジェット2基と熱い湯の噴出し口がある。湯温はどちらも44℃ぐらいはあって、忘れかけていた熱い湯の快感を取り戻した。そう、これが銭湯の醍醐味だよ、と言う感じ。島カランは1列で、カランの配置は6-5-5-5で、立ちシャワーブース1基あり。タイルなどは比較的新らし目で、カランのお湯も熱いぐらいなのがいい。
そんなわけで、鶴ヶ丘湯は「草津温泉」と歌っているだけのことはあって、東京の銭湯でありながら草津温泉に行ったような気分にさせてくれる雰囲気満点のレトロ銭湯だった。

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