訪問記 【2009.4.5】
稲荷湯の入浴レポート。王子駅の北側、王子稲荷神社と名主の滝公園に鋏まれたロケーション。かつては王子稲荷神社の境内だったところなのでは?それで屋号も稲荷湯。建物は山小屋風の昭和中期的一軒家銭湯。左側にコインランドリー併設。比較的珍しく入り口から男女別々。結局中で合流するのかと思ったら衝立壁で玄関スペースも仕切られている。手前壁に下足箱(さくら錠)。引き戸から中に入るのだが、この引き戸の手前に縦長の暖簾が掲げられている。
脱衣場に入るとここの天井も山形になっている。番台は合板のこれまた昭和中期的な造り。男女境は鏡壁で、中央に島ロッカー1列。体重計はレトロなアナログ体重計だったがメーカーは傍に寄らないと解らないレアーもの(確認し忘れた)。横長冷蔵庫には缶ビールがいっぱい並べられていたのが印象的。坪庭などはない。
浴室へ。構造は一般的で中央に島カラン1列(ここは横長鏡だけでシャワーなし。カラン周りのタイルは比較的新しい肌色のタイルに貼りかえられている。カランは温泉マークの赤青、桶はケロリン黄桶。椅子はM字緑椅子(小)。立ちシャワーブース1基。男女境壁は幾何学模様のレトロな色タイル張り。浴槽は浅湯が手前に大きく張り出す変則形。淵がマーブルグリーンタイルで貼られていて、浴槽内は小さな四角いタイル貼りで、浴槽は創業当時のままのようだ。深湯は漢方薬湯になっている。湯温は42℃強でちょうどいい感じ。
そして正面壁のお目当てのペンキ絵。小林師の作とされるもの。描かれているのは男女に共通のモチーフで描かれている島並み。瀬戸内海とだけ書かれている。男湯側は比較的シンプルな島が点々(ドーナツ状に穴の開いた島などが描かれているが、女湯側には瀬戸大橋?が描かれている)。タッチは中島さんに近いだろうか。しかし、松の描き方が細かくてやはり中島さんとはタッチが違う。丸山さんにむしろ近いのか。
というわけで、温浴施設としては古典的な、それでいて鳴り物もなく静かで落ち着いた雰囲気のいい銭湯だった。
女将さんにいろいろと話を伺う。先任者から引き継いで40年、その4年前に母屋以外の部分を建て替えたらしいとのこと。十条の千代の湯はお兄さんが経営していたが、他の人に引き継いで何年かして止めてしまったとのこと。まだお若くて気さくないい女将さんで、いろいろな要望もこころよく聞き入れてくださった。また近いうちに訪問できるかな。
|