千代の湯


【2004.10.13】  
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千代の湯
北区上十条4−11−10
03-3900-5066
14:00-24:00、日曜は8:00より 廃業、フロント。
JRの十条駅の南側、王子駅から環7に抜ける道路が斜めに横走しているが、この通りを北上(駅から向かえば右折)。信号7つぐらいで環状7号線に行き着くが、その交差点手前の右側のやや奥にある。歩いて10分ぐらいだろうか。バス停では2つで、「バス停前の銭湯」とうたっている。なお、浴場組合に非加盟。


コメント:写真集でもお馴染みで、マニアの間でも有名なビジュアル(ペンキ絵やタイル絵)が充実している銭湯。おもいっきり古典的な外観だと思ったら、玄関から奥を綺麗に改装していて、ペンションかなにかの入り口のようでもある(ちょっと言いすぎか)。コインランドリーを通過して正面から入るあたりが愛嬌だが、結局このコインランドリーを設置するための改装であったもよう。その上にそびえ立つ旧来の屋根部分はやはり昭和中期的なレトロな雰囲気を残している。
さて、男女共通の入り口から中に入り正面にあるフロントで料金(組合と同料金)を払ってさらに左右の入り口から脱衣場へ入る。高い格天井(茶の格子に板張りはアイボリー塗装)に、緑がたくさん植わっている庭があり、島ロッカーはL字状に置かれていて(ロッカーの鍵はフロントで渡される形式)、その横手の通路のようなスペースにマッサージ機2台とテレビが置かれている。浴室入り口近くにKeihokuの小さ目のアナログ体重計あり。
さて、洗い場だが、タイル等は比較的新しいものだが、浴槽は古典的な浅・深2槽。浅湯の左端に赤外線ランプが灯り、白濁したよもぎの薬湯となっている(さらに浴槽下の右端に足踏み石がごろごろと転がっているのがおもしろい)。もう一つの浴槽は中心から湧き出すバイブラの部分と右奥の備長炭が置いてある白湯部分から構成されている。圧巻なのはやはり浴槽上の富士山のペンキ絵(男女に跨る富士山とその裾野は男湯側は渓流、覚書等は記されていない)、と浴槽上の周囲をとりまく、鯉が描かれたタイル絵だ。
島ロッカーは1列で、カランの配置は4-5-5-4のゆったりさ(シャワーはそこそこながらカランの湯温がなかなか上がらない)。立ちシャワーブース2基で、最後に男女境壁に見事な九谷のタイル絵額が3つ(正確には4つあるが、一つは立ちシャワーブースのために半分隠れてしまっている)、それぞれのタイル絵の周囲をマジョリカタイルで縁取りされている。描かれているのは「鯉の滝登り」、「牡丹の花」、「鴨の羽ばたく図」などで、いずれ劣らず見事な出来栄えのものだ。
というわけで、確かにビジュアルものが都内でも屈指の(マニア的にはまるで美術館のようでもあるが)、そしてどうして浴場組合に入っていないのかが謎のごく普通の銭湯だった。ただし、足踏み石あり、備長炭ありで、なかなかサービスに努めているよい銭湯だと思われる。


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