恵比寿湯


【2004.10.23】  
内部の写真を見る

恵比寿湯
北区田端新町3−6−15
03-3893-1206
15:30-24:30、廃業、番台。
JRの田端駅の北口で降りたら陸橋を北上し、右側のホテル(リッツホテル)脇の階段を下りて鉄道下を潜り抜ける。道路を横断して、複雑に入り組んだ道を強引に北上していくしかない。稲荷神社の脇に出ればもうけもので、その左側の筋をまっすぐ進んで行って、踏み切り、ガード下、また踏み切りを渡ってさらに進む。やがて左側に煙突が見えてくるのだが、適当なところで左側を平行して走る通りに移り、さらに左折して花道を進めば正面にある。わからなくなったら一旦明治通りに出てからアクセスしなおせばよいかもしれない。迷わずに行ければ駅から10分弱か。


コメント:JR環状線の駅から歩いて行けるのだから現存する貴重な銭湯の一つかもしれない。田端駅の北側というのは陸橋の上になっていて、ちょうど上野駅のそれのような感じ。そんなわけでお店などは少なくて、ちょっと縁の少ないエリアだ。
やっとのことで銭湯に辿り着いたのだが、途中で道すがら電柱やら何やらがぐらぐらと揺れ始める。そう、この揺れが新潟県中越地震の最初の揺れだった(東京は震度3?)。恵比寿湯は静かな住宅街の中にたたずむこじんまりとしたレトロ銭湯。明治通りも近いので、煙突は隣のマンションから手で触れるような位置にある。銭湯の正面には長い花道が合って、その道の入り口にアーチ状の「ゑびす湯」の看板があるのがユニークだ。
さくらの下足錠。脱衣場の中へ入るための戸扉は珍しく手前に引く形式の開き戸になっている。取っ手以外は木製のレトロな趣きだ。番台で料金を払って脱衣場へ。天井は格天井ではないが、大きく格子状に塗り分けられていて、3枚羽根の扇風機がぶら下がっている。男女境上に置かれたテレビでは地震の第一報を早速報じている最中だった。中央の横向きに置かれた島ロッカーを利用してそそくさと浴室へ。
正面は珍しく富士山のチップタイル絵。湖水からの眺めになっているが左手の松が緑なのに右手の木々が見事に紅葉している。浴室中央に島カラン1列。左手手前に立ちシャワーブースが2基あるので、カランの配置は5-5-5-7。湯温・湯量良好。特にシャワーのお湯の勢いが強くて、首に充てるとマッサージのような感じ。タイル等は比較的新しいものになっている。浴槽は基本的には浅・深湯の2槽だが、浅湯側は2つに仕切られていて、奥の脇にある檻のなかにラドン石が入れられている。さらに正面にはショルダーシャワー、簡単な仕切りを挟んで、2点ジェット2基の浅湯が続いている。深湯のほうは薬湯で、別府温泉の看板があるもののサイドには洋風入浴剤の説明書きもあって、どちらが本当だかわからない。湯温は43℃弱で、丁度いい感じ。
風呂から上がって脱衣場でくつろいでいると、再び大きな揺れに襲われる。2回目の、現地震度6強の地震を今度はレトロ銭湯の脱衣場の中で体験。3枚羽根の扇風機がゆさゆさと揺れ、落ちてくるのではないかと・・・。新潟地震の余震とわかっていたので比較的落ち着いていられたが、東京の震災だったら腰を抜かしていたかもしれない。
というわけで、不思議な地震体験の入湯となったが、恵比寿湯はビルの谷間に一輪の花を咲かせた典型的な東京型レトロ銭湯だ。


ホームへ戻る東京銭湯目次へ戻る