|
|
内部の写真を見る |
川嶋湯 北区浮間3−10−21 03-3966-9835 15:00-23:00、付き2回不定休、フロント。 JRの北赤羽駅駅前通りを北上して、最初の交差点(T字路)を左折し、鉄道の高架下をくぐってさらに直進する。Y字路に出たらここをを左に行き、しばらく進んだ右側の少し引っ込んだところにある。駅から10分の記載。この先の右手が中外製薬の工場になっている。 コメント:ひと目見てレトロファンにはたまらない、クラシックな状態を維持しながらも美しく手入れされた究極の東京レトロ銭湯だ。外観は大きな唐破風屋根に見事な懸魚(2羽の鶴)が取り付けられている昔ながらの趣だが、玄関を入ったところは綺麗に改装されている。ロビースペースに通じる入り口が一箇所右手にあるのだが、正面部分は改装前のタイル絵(宝船)がきちんと保存されている。折角のタイル絵を傘立てやポスターで隠してしまっているところが多いが、ここではタイル絵の周りに緑の植物を置いて綺麗に飾っており、一層タイル絵の良さが引き立たせている。 フロントで料金を払って男女左右の入り口に掲げられた暖簾をくぐって脱衣場へ入る。改装によってフロント部分にスペースを取られながらもまだまだ広い脱衣場スペースだ。入ってすぐの窓際に大きな白ベンチが置かれ、奥にはモダンなマッサージ機と血圧測定計があり、これらを取り囲むようにL字状に庭が広がっている(照明が暗くて庭の様子がちょっとわからない)。高い天井は折り上げ部分のある立派な格天井になっており、柱時計もある。島ロッカーは1列(かつては2列はあったのだろう)で、アナログ体重計はEIKO SCALE Co.ltd のものが置かれている。 さて、浴室へ足を踏み入れてまた驚嘆。なんて見事なビジュアルの数々だろう。正面には富士山のペンキ絵(作者はちょっと同定しにくいのだが、おとなしい画風で富士山の手前に湖と帆船などが描かれている)、その下には横一面に鈴榮堂章仙作の見事なタイル絵(鯉の滝登り)があり、さらに横に目をやれば男女境の壁にも3服の華麗なタイル絵(これらも章仙作)が威風堂々と飾られている(画題は左から湖水中島の弁天堂、富士山、そして五条大橋の弁慶と牛和歌丸)。このパターンの配置で昔ながらのビジュアルがきっちり残されている銭湯は東京でもあと何軒ぐらいになっているのだろうかなどと思う(最近では北区の千代の湯がそうだった)。 島カランは1列で、カランの配置は5-5-5、というのもカラン周りのタイル(および浴槽のタイル)は綺麗に新しいものに改装されているのだが、右壁側にはカランがなくて棚のみ(湯温・量は良好)。最後に浴槽は浅・深湯の古典的な2槽で浅湯にバイブラがあり、また浴槽の端に水枕付きの、底が人の背中に合わせてウェーブしている寝湯がある。湯温はやわらかな肌触りの43℃強といったところ。 というわけで、川嶋湯は伝統を継承しつつ新旧の調和をとった改装が施されている、ビジュアルがいっぱい残されている模範的な東京レトロ銭湯だった。 |