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港湯 minatoyu
北区中十条3−4−6
03-3909-2636
15:30-23:30
土曜休、番台





訪問記 【2008.7.29】

港湯は正面ファザードが変わっていて、前から気になっていた銭湯だった。青いテントが張られていて、ステンドガラスとは言わないまでも、半円形で扇形に鉄格子が入っている窓が玄関上にあり、(これは港区になる三越湯のかつてのステンドグラスに似た形のもの)、いい雰囲気を醸し出している。外観は昭和中期的なレトロモダンの一軒家銭湯だ。十条の線路東側の住宅街のなかにあって、面している路地も細いこじんまりとした銭湯だ。


同じ路地には床屋さんもあったりしていかにも十条という感じのところ。銭湯の前の家はかつてはコインランドリーをやっていたみたいだが、やめてから随分日にちが経っている感じ。屋号の「港湯」というのもずっと気になっていたのだが、親父さんに聞くと、戦前まで神田にあった港湯の屋号を引き継いだためとのこと。親子2代で77年銭湯経営した。当地に移ってからは47年とのこと。戦災を含めてあちこちに移転して建物が3回火災で焼失して今の建物は4軒目だとのこと。


玄関はいると、ここの天井は格天井(脱衣場は確か違っていたような)、左右に下足箱がある典型的な構造(下足錠はさくら)。サッシの引き戸は夏で開け放たれていて、その入り口に大きく「ゆ」と書かれた暖簾が掲げられている。番台は改装されて新しいもので、脇の側板が大きくて脱衣場が見えにくくしてある(女湯への多少の配慮)。ロッカーは壁際に20個、男女境壁(小さめの鏡壁あり)の下にも5個のロッカーあり。体重計はHokutowのアナログ体重計。冷蔵庫は縦長のもので牛乳など多数。坪庭はほとんどないに等しいが大きな木が植わっていて、屋根のうえに大きく張り出している。


浴槽に入ると島カランは1列で、カランの配置は5−6−6−7、湯温・湯量はちょうどいい感じ。カランは水色の6角、桶は木桶で椅子は普及物。立ちシャワーブース2基。床のタイルは大小の四角いタイルを組み合わせた幾何学模様でけっこう面白い。壁は大きい四角い化粧タイルで大理石模様あり。浴槽は2基で左がバイブラの浅湯、右が6点ジェット2基の深湯、湯温は42℃ちょうどに設定されている。正面壁は化粧タイルのみでビジュアルはない。浴槽の壁はめずらしく水色ではなくて、アイボリー。


というわけで、十条の東地区の住宅街の路地に立つ港湯は神田の銭湯の流れをくむ、ちょっと昭和レトロモダンの小粋なミニ銭湯だった。ビジュアルがないのが残念ではあるが、音もなくけっこう落ち着ける銭湯だ。出るときにすれ違った常連のおばちゃんが、「やってるの?ここはいつもやってる雰囲気がしないのよね」と・・・。確かに暖簾がないし、でも電気はついているし、どう見てもやってる感じだけどと思いつつ・・・。

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