前川湯


【2007.9.15】 
内部の写真へ続く
前川湯
埼玉県川口市前川町4−564−33
048-265-4615
16:00-23:00、月曜休、番台。

アクセス:JR蕨駅が最寄の駅となる。駅北の通りを東に向かい、産業道路に出たら左折して北上する。しばらく行って右手前にエッソのガソリンスタンドのある交差点(芝下)を今度は右折して「前川観音通り」を道成りに進んでいく。左手にヨークマートを見ながら右にカーブしたら緑川を渡り、川沿いの道の次の路地を左折して北上、さらに次を右折してすぐの左側。駅から歩くと20-30分はあるだろうか。完全に住宅街のなかに埋もれた感じで建っている。

コメント:川口の道路も縦横に走っているようで、芝川が大きくカーブするように流れてから荒川に合流する関係からか、川に沿って斜めに歪むように走る昔道もあり、これらが妙に交錯していてなかなか解りにくい。で、この
「前川観音通り」だが、沿道に庚申塚などがいくつも並んでいるような昔道で、東へ向かった後はやはり芝川に沿って南下し、荒川の手前で岩槻街道(日光御成街道)に合流する。で、肝心の前川観音というのは、前川湯のあたりからもう少し東に進んだ右側にある観福寺の「千手観音菩薩」のこと。

もう一つ脱線すると、芝下の交差点から東へ進んだすぐのところ(左側)に唐破風の立派な銭湯発見。
三晴湯というのだが、何と浴場組合のリストにない。それにしても立派な典型的な銭湯なのだが・・・。後ろ髪を引かれつつも予定の前川湯へ向かう。

前川湯は1週間前の昼間に下見済み。ここは
平入りの構造ながら、やはり古びた瓦屋根のレトロ感満点の一軒家銭湯。周りは新らし目の住宅に囲まれており、妙にここだけ浮いている感じ。建物横には角材が積まれており、ここだけぽっかり異空間という風情。

夜に訪問すると、
玄関回りも昔のままで、番台に座ったご主人の後頭が見える。番台裏の壁には福助のタイル絵があるようだが、敬老の日のお知らせの張り紙が貼ってあって、残念ながら全景が見られない。木の引き戸から中に入ると、脱衣場も天井高く、格天井の昔ながらの風情だ。島ロッカー1列。左手前がコインランドリーに改装されているためか、坪庭などはない。大きな水槽があって、アマゾンかどこかの巨大魚が数匹飼われている。秤は確かKeihokuのアナログものだった。

浴室に入るとここも比較的手が付けられていない感じで、
中央の島カランは鏡なしの旧式のもの。カランの配置は4−5−5−6、湯温はなかなかよく調整されていて、不自由はない。左右に立ちシャワーブース1基あり。男女境壁の上には横長のタイル絵があって、洋風の湖と遠景の山々が描かれている。で、浴室正面はというと有難い事に富士山のペンキ絵。覚書はないが、河口湖かなにかの向こうにそびえる富士山で、湖面にはヨットが数隻浮かんでいる。中島師の手によるものか。描いてから数年は経っているような感じで、キャンパスの板の両側が反り返っている。

浴槽も
シンプルな浅・深湯の2槽で、浅湯の横から2点ジェットが2基噴出している。湯温は43℃弱といったところで、薪で焚いた肌当たりのいいお湯だ。帰る頃には番台が若奥さんに替わっていて、ちょっと恥ずかしい感じ。始めにいた旦那さんも比較的若い方で、女性に遠慮してか男側の番台の脇に立ってテレビを見ていた。

そんなわけで、前川観音近くの前川湯は住宅街の中に忽然と残っている昔ながらの手付かずのレトロ銭湯だ。それでいて、切り盛りしているのが比較的若くて感じのいいご夫婦で、この2重のアンバランスが何ともいえない銭湯だ。古い建物を綺麗に磨き上げて、長く続けてもらいたいものだ。

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