訪問記 【2008.7.15】
葛飾区は堀切の吉の湯へ。なぜか大通りの手前に平行して小道が走っていて、この小道沿いに建つ小ぶりな一軒家レトロ銭湯。そのロケーションのためか、なんか京都当たりの銭湯のような雰囲気がしていてずっと気になっていた。右側にはコインランドリーがあり、左側は塀が改装されていて綺麗なタイルブロック塀になっていた。それ以外は昔のまんまで、正面は平入りの瓦屋根と玄関上のむくり破風、さらに看板建築風の四角い屋根がせり出している。玄関の中は典型的な造りで左右に下足箱があって、踊り場から中に入る。今日はかなり蒸し暑いこともあって、脱衣場へ通じる引き戸は開け放たれている。
中に入ると左手に番台、料金を払ってお遍路スタンプもしっかり押してもらう。脱衣場天井は低めでフラットだが、左壁際がすべて引き戸になっていてその外側には欄干付きの縁側があり、ずらっと椅子が並べられていて屋形船のよう。引き戸もすべて開けられていて完全オープン状態。欄干の向こうには池のある緑の庭があって、旅館の縁側的雰囲気に満ち溢れている。脱衣場の中央には小さな島ロッカー、男女境は鏡壁で、体重計はTANAKAのアナログ体重計だ。
そして洗い場。昔ながらの風情でほとんど手が加えられていない感じ。中央には三角鏡だけが付いた島カランが1 列で、カランの配置は6-5-5-6 、湯量・湯温良好。シャワーの湯量はやや弱めかな。床のタイルも昔ながらの長方形の豆タイル。カランは6角えび茶色(中央に赤・青)。男女境壁には一面に久谷のタイル絵、珍しく厳島神社の鳥居と島浪が描かれている。そして正面壁は早川師による富士山のペンキ絵。製作月日は書かれていないのだが富士川と書か れていて、川の向こうに見る富士山。川の真ん中に島があって松ノ木が1本。富士山は早川師にしてはおとなしい感じ。湯船は古典的な深湯と浅湯(2点ジェット2基)だけで、湯温がめちゃくちゃ熱くて44 ℃ぐらい。数人の常連客でも埋める人はいないが、入浴時間が皆短い。
そんなわけで、荒川近傍の葛飾区は堀切の吉の湯は、思ったとおりの京都の銭湯を思わせるような、こじんまりとしてはいるものの昔のまんまの縁側が気持ちがいいお勧めレトロ銭湯だ。
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