竹の湯

【2008.5.10】  
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竹の湯
板橋区本町18−3
03-3962-9465
16:00-25:00、日曜は15:00-25:00、月曜休
、番台を改装したフロント。
アクセス:地下鉄三田線の板橋本町駅で下車したら環状7号線を東に進んですぐの信号を右折して旧中仙道の商店街を南下する。次の「縁切り榎前」の信号を左折してすぐの左側にある。駅から5分の記載。


コメント: 今日は板橋でレトロ銭湯を探す。板橋浴場組合のサイトをチェックして、竹の湯、富の湯、大和湯、伏見湯、ニコニコ湯あたりが渋そう。とりわけ竹の湯の男女境壁下に広がる縦長の湯船に惹かれて竹の湯に行くことに。

行ったらちょうど4時でシャッターが開く。常連のおじいちゃんに続いて中に入る。建物の外観は上がアパートか経営者の住まいにでもなっていそうな
縦長の四角い一軒屋銭湯。少し階段を上がって入った玄関は典型的な造りで左右に下足箱(錠前は新しい横向き松竹錠)。正面壁下、傘縦に隠れて福助のタイル絵あり。

引き戸を開けて中に入ると旧銭湯マップの記載とは違って
改装フロント(番台を逆向きに改装したもの)。脱衣場は結構広くて、天井は格天井。外側壁際と真ん中に島ロッカーがあってベンチなども置かれている。右手前に飛び出すように小部屋が作られていて、さりげなく灰皿などが置かれている(あまり細かいことにこだわっていない様子)。外側ロッカーの上には花瓶に生けた花が並べられていて、それなりに綺麗に飾られている。体重計はアナログ体重計だが、四角い箱に入れられていて、デジタル風に改造されている。

誰もいないので、脱衣場の写真を撮りまくっていたら、親父さんに声をかけられる。何かと思ったら「ココは初めてか?」と聞かれ、それを機にお遍路スタンプをもらうことに。意外というかむちゃくちゃ話し好きな親父で、なんとそれから延々と30分ぐらいつかまってしまって、あれやこれや。何でも
20年前にテレビにゲスト出演して、整理していてそのときのビデオが出てきたからちょっと見てくれと・・・。それが言いたくて声をかけてきたらしい。夜のヒットスタジオという古館と吉村真理が司会の歌番組。島津宏?とかいう演歌歌手が通い付けの銭湯(入谷の白水湯)の親父としてゲスト出演したもの(何でも彼がデビューできるようにフジテレビか何かに声をかけた経歴があるとか、よくわからない話)。

富山出身で終戦直後の東京が焼け野原のときに東京に来て一からたたき上げたと。入谷は戦火を免れ、あのあたりに住み着いた。東京中の焼け野原の様子は今でもはっきり覚えていると。で、30年前から今の竹の湯を継いだ(それまでは入谷の白水湯)。銭湯歴60年、銭湯のことなら何でも聞いてくれと豪語(それもこれも聞きもしないのにご自分から話しまくる明るい性格)。常連だろうが一元だろうがあまり拘りなく、とにかく人好きというか、話し好きというか、自慢が好きというか、ラブリーな性格ではある。

銭湯回りをしていると話すや、シビックランド日成の親父を知ってるとか、光楽湯の人も知っているとか、品川ならピース湯にいったかとか・・・。「板橋の竹の湯の山本」といえばみんな知っていると。そもそも銭湯経営者はみんな富山、石川、新潟だよ(知ってます)って。
薪炊きかときいたら、重油とのこと。値上がりで大変では?と聞くと意外にもそんなことはないとあっさり答える。自分が食べていければいいんだからどうってことはないとのたまう。ん〜、分からなくなってきた。いったいどっちが本当なのか。そんなに混み混みという銭湯ではないのだが(というより土曜の一番湯でおじいさん一人なんですけど・・・)。まあ、ウソはつけない性格みたいなんですが・・・。 とにかく裸のままでめちゃめちゃテンションあがった親父さんの過去のビデオみながら半分裸で30分。

いつまでたっても親父が出てこないので(何でも2時間スペシャル番組のようで・・・)もうすぐもうすぐというのを振り切って、風呂にはいって頭を洗っていると、今出るから出てきて見ろと洗い場まで呼びに来るので仕方なく頭にシャンプー付けたままで、ビデオを見に出る。なるほど
20年前の親父が映っていた。ウソじゃないだろ?といわれ、そうですね。美女二人に囲まれて、高級車で送り迎えしてくれたと・・・よっぽど嬉しかったらしい。それも一度や二度ではないらしく、藤井文哉?と銭湯のコマーシャルも撮ったことがあるとの事。

余談はそれくらいにして(って相当長くなったが)、浴室の様子。これも親父が自慢するようになかなかすばらしい浴槽なのだ。東京でもここだけだろうと自慢するその浴槽は、本当にレアなもの。
男女境壁の下に長々と横付けされた浴槽で、しかも下掘れになっていて、跨いで入らなくてもいいという構造。浴槽は深湯長い長い浅湯で、温泉・湯治場的な浴槽(3点ジェットが3基ぐらいあり)。湯温は42℃強でなかなかいい湯加減ではある。島カランは1列で、カランの配置は8−8−9、湯温、湯量ともに上々。立ちシャワーとかはない。 ビジュアルも充実していて、正面に見事な富士山のペンキ絵(覚え書きはないが、西伊豆から海越しに見た遠景の富士山、中島師だろうか)。さらに男女境壁には湖と遠くに山並みと洋風の建物が並ぶ景色のタイル絵あり。

というわけで、板橋宿の竹の湯は中が伝統的なレトロな構造で、レトロファンとしては申し分のないくつろぎの一軒屋銭湯だ。銭湯のことは俺に聞けという親父といろいろ話したい人は是非。ちなみに三助の経験もあるという元気な77歳の親父だ(元気ありまくり) 。

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