訪問記 【2008.10.18】
姉妹店の第二宝湯と同じ中板橋至近の瓦葺一軒家銭湯。この駅最寄の銭湯は他にも2軒あって、なかなか銭湯銀座的エリアだ。駅から続く商店街から少し入った花道の奥にある。花道は両側が2階建ての建物に鋏まれているが、かつてはすべて銭湯の敷地だったのだろう。宝湯は平入りの瓦屋根構造で、横の筋から見ると脇に千鳥破風の部分が見える。正面左側にはコインランドリーが併設されていて、横の筋からも入れるようになっている。
玄関周りも含めて建物自体は手が加えられてなくて昔のまんまだ。玄関上にも手の凝った木彫りの欄干が残されている。正面はタイル張りの上に鏡が張られているが、ひょっとするとその下にはタイル絵が隠されているのかもしれない。さらに壁の上は番台後ろが窓になっていて、女将さんの頭がちらちらと見えている。玄関部分の床の豆タイルが可愛らしい。下足錠はさくらのG錠。
気の引き戸から中に入ると昔ながらの背の低い重厚な番台。天井は正方形の格天井ではないが、畳状の板張りが区画わけされたような変則格天井。コインランドリー併設のためか坪庭はない。島ロッカーは縦に1列置かれており、その向こうにソファーテーブルが置かれていて落ち着ける空間になっている。古いマージャンのゲーム機がテーブル代わり。男女境は鏡壁で、上には立て掛けタイプの小さな看板が並べられている。体重計はKeihoku hakariの貫目メモリ付の古いアナログ体重計。柱時計あり。ボックス型冷蔵庫が番台脇に置かれている。
洗い場に入ると正面は宇宙を描いたチップタイル絵が目を引く。一方男女境は和風の海岸線を描いたモザイクタイルで、松林や海の小島の弁天堂、そこに続く橋などが描かれている。島カランは2列、カランの配置は7-6-6-6-6-5、湯温はかなり熱め。立ちシャワーブース1基。カラン周りのタイルは比較的綺麗なものに張り替えられている。カランは水色六角のもので、椅子は小型の緑のM字椅子と普及型が混在。桶は睦和のちょっと小型の黄色桶。
浴槽は古典的な広めの浅湯(2点背ジェット3基)と狭い深湯(バイブラ付で赤外線で水中が照らされている)。湯温は43℃弱とやや熱め。おそらく薪炊きのようないいお湯だった。
というわけで、宝湯は鳴り物もなく静かで落ち着ける昔のまんまの癒し系レトロ銭湯だった。女将さんも叔父さんも口数は少ないがきっちり挨拶してくださって気持ちのいい。花なども飾られていて、経営者の人柄が窺われる。
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