中里和人、安藤邦廣、
宇江敏勝著
INAX出版
(第2版 2001.4月)
定価1500円


  • 小屋〜働く建築
小屋〜働く建築はINAX出版から出されたシリーズ写真集のうちの1冊です。シリーズは建築・アート関連のものが中心で、この1冊はINAXギャラリーにおいて催された「小屋 働く建築」展と併せて刊行されたものです。
2部構成で、前半が写真家の中里和人による写真集で、後半では建築家の安藤邦廣、林業家の宇江敏勝によって、それぞれ建築学の観点、あるいは炭焼きに携わるものの観点から見た山小屋、炭焼き小屋についての考察が繰り広げられています。
特に前半の中里による小屋の写真集は圧巻で、最初のページをめくるなり、大きな衝撃をうける。我々が見落としていた美の世界がこんなところにあったのだと思い知らされます。本人曰く、「日本中がピカピカの街になり、しっとり心を落ちつかせる光景がなくなりつつある。・・・ふいに道端にある建物が目に飛び込んできた。これだっと思わず心の中で叫んだ。・・・目の前に現れたのは一軒の小屋だった。」
ひとことで言えば、トタン、ペンキ、切り貼り、手作り、雨ざらし、掘っ立て小屋。派手に塗られた赤や黄や緑に青。トタンが錆びてペンキが剥げ、板がはがれ落ちて、全体が傾いている。それをまた補修して仕事に使っている様子に人間の営みを感じさせ、それを写真に捉えようとした中里の感性はすばらしい。


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