大盛湯


【2004.7.28】  
大盛湯

北海道函館市湯川2−18−23
0138-57-6205
5:00-22:00 第1、3水曜休、フロント。


市電の終点、湯の川で降りて、すぐ先の交差点(左奥が湯倉神社)を右へ曲がってすぐの右側。駅からは2分。

湯の川温泉について:
湯の川温泉は350余年の歴史を持つ、北海道でも屈指の名湯との事。函館市内を走る市電の東の終点が湯の川駅で、駅前の左前方に湯倉神社がある。松前藩第9代藩主(高広)が幼少の頃に湯治をしたのをきっかけに、1653年に社殿を改築した。かつてはここに源泉があったとの事。この神社の脇を流れる湯の川が海に注ぐ所に函館市営熱帯植物園があり、ここが現在の湯元になっていて、園内の数ヶ所で温泉が吹き上げているのが見られる(冬には温泉に入るサルが見ものらしい)。湯の川とさらに西側を流れる鮫川に沿って温泉宿が点在しており、銭湯も植物園前に日の出湯と根先湯、神社の手前に大盛湯があるほか、全部で5軒あるらしい。





コメント:
さて、大盛湯。平成3年の大々的なリニューアル以来となる改装が行われていて、何と訪れたときはリニューアル・オープンの前日。あらかじめ連絡をしておいたのが幸して、いろいろおもしろい話を聞かせていただいた上に開店前の内部を見学?させてくださり、挙句はホテルまで送り届けていただくという迷惑振り。そして翌日のリニューアル初日(大安)にめでたく初入湯することができ、おまけに粗品の手ぬぐいと、その他諸々の品々(ケロリン桶ストラップ、貴重な昔の入浴券のレプリカ−北海道の銭湯紹介本、「いらっしゃい。北の銭湯」にも掲載されている)まで戴いてしまうという有様で、いや、ほんとに申し訳ありません。お忙しいときに。

大盛湯の外観。2階建て家屋(これだけなら一見、アパート風)の正面に立派な焼き煉瓦の外装が施され、正面上にはアーチ状の庇もついている。ここに「湯の川温泉、大盛湯」という大きな飾り文字が貼られていて、玄関上には縦長の牛乳石鹸の暖簾(左に風呂桶、右に宮造り銭湯のデザイン)が掛けられている(この正面部分も今回の改装の対照となっている模様)。なお、裏手には温泉であるのにかかわらず、煙突がそびえ立っている、が、これはあくまでも銭湯の象徴としての飾り物だとのこと(煙突に貼り付けられた大盛湯の文字は先代が鉄板を繰り抜いて作ったものとのこで、銭湯に対するこだわりが感じられる)。

引き戸を開けると正面にフロント、ここで銭湯料金を払ってから左右の下足箱に靴を入れ、さらに引き戸を開けて脱衣場へ入る。クリーム色を基調に内装が張り替えられているので全体に明るいイメージとなっており、床材のチョコレート色とのコントラストが美しい。壁際にはこれまた新品の木製のロッカー(30扉)が取り付けられている。一方で伝統の乱れ籠も積み上げられており、黄緑色のIUCHI SCALEの台秤あり。なお、フロント裏の背面・側面の板が取り外せるようになっており、そうすると番台に早変わり。これはここを高座として落語?などの催しができるようにしてあるとのこと。

浴室。リニューアルの最大の目的は、浴槽の造り替え。洗い場突き当たりにある浴槽は2槽から3槽になり、御影石の天板が浴槽の縁を覆っている。また、浴槽周囲の壁には自然石のスライス(岩を2cmの厚さにスライスしたもの)が張り巡らされており、露天風呂のような雰囲気を醸し出している。とにかくここのキャッチフレーズは、「かけ流しです。沸かしてません。毎夜、取り替えます。」というわけで、泉質は海辺に近いこともあって無色透明・塩味の含重炭酸土類石こう食塩泉(源泉の温度65℃)のお湯がそのまま注がれているのだ。そんなわけで左端の浴槽の湯温はなんと55℃とのことで、これはもう人の入れるような温度ではない(それでも「こちらはあついです。ご注意ください」とは書いてあるものの、入ってはいけないとは書いてない)。反対の一番右側の浴槽には、「あついのが苦手な方はこちらに水を入れてお入りください」というやさしい注意書きも。で、真中で44℃強といったところか。左端はもちろん引水可(水というよりは明らかにお湯で、塩気のある蕎麦湯といった感じ)。

洗い場の方はすべてきれいなタイルに貼りかえられており、小さな島カランも1列あって、カランの配置は5-3-3-7(今回の改装でカラン1個づつ追加)。湯温・湯量も良好(ところでここの上水は温泉の浴槽をコイル状に巻いた管の中を通すことによって暖められているとの事。すごいアイデア)で、すべてシャワー付き。

そんなわけで、とにかくきれいで明るい浴槽で良質の温泉が体験できる、その名の通りの「湯の川天然温泉」の中心的存在の名銭湯だ(近所のホテルの仲居さんもこっそり?入りにくるとのこと)。番外編として、源泉のパイプから採れた木の年輪のような温泉のがりの塊を見せてもらった。そのときの泉質の違いによって、象げ色や薄茶色の層が見事な年輪を形作っている(どのぐらいの年月をかけて出来上がったものかは不明との事)。

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