訪問記 【2009.3.29】
あらかじめ用意しておいた地図を元に一路、不動湯へ。思ったより駅近の住宅街の中にあったんだ(もっと海の傍かと思っていた)。到着したときはすっかり夜の帳が下りていた。でも、外から見た外観はさすが鎌倉の滝の湯を彷彿とさせるような、完璧なまでのレトロな佇まい。しばし、前の道路に座って見入ってしまった。それにしても後から後から随分ひとの出入りが多い。日曜のちょうどいい時間帯のせいか。
玄関、斜めのガラス窓つきの扉が中央で束ねられている。男湯と女湯と刷り込まれた文字も粋。玄関かまちの上も凝った木製の幾何学模様。下足錠は富士錠で久しぶりだ。ちょっと開き難いというか、強く扱うと壊れてしまいそうな木の引き戸を開けて中へ。番台の女将さんにご挨拶してさっそく中へ。おじいさん達が相撲見ながらまったりと寛いでいる。この銭湯はまったり寛げる雰囲気があるのだな。外トイレを借りる。さすがに水洗だが、板張りやら裸電球などは昔のまま。風水のような岩庭、暗くて良くは見えないがちょろちょろと水が流れる音。良く見れば金魚が泳いでいる。
脱衣場。天井は格天井。洗面台の前の鏡がレトロだ。鏡の一部にくっついた新聞の端切れが戦前の古い漢字のもの。、古い。乱れ籠が乱れ咲いていて、みんながみんな乱れ籠を使っている。こんな光景は始めてみる。昔はこうだったんだろうなあ。体重計はHokutouの針が銀のちょっとレア物。
とにかく浴室へ。噂に聞いた岩と柱の浴室。柱には豆タイルが貼られ、上には縦に蛍光灯数本。島カランも変則だ。一応、7−5−5−3−3かな。カランは6角茶、椅子は青い普及型で桶が無地の黄桶と不動湯オリジナルのアルマイト桶。これが実に美しいもので、この銭湯一番の感激アイテム。お湯が張られると少しコバルトブルーに変わって、なんて美しいのだろう。そして岩山もいいが、浴槽にまた感激。お湯の肌触りが抜群にいい。熱くてやさしいすばらしお湯だ。温泉のようだ。バイブラもあって白濁しているのだが、何かが入っているのだろうか。とにかく井戸水がいいのだろう。浴槽は左が浅湯(背ジェット、バイブラあり)、右が比較的シンプルな深湯。白濁していて、入るまで深さがわからない。浴槽の淵はマーブルグリーンのタイル貼り。天井の上のほうにも帯状にマーブルタイルが貼られている。
そんなわけで、不動湯は噂どおりの、いや想像以上にすばらしい屈指の名レトロ銭湯だ。とにかく、アルマイト桶、すばらしい白濁のいいお湯、乱れ籠の乱れ咲き、待ったり感、レトロな外観、挙げればきりがないほど、ポイントが続出だ。思わずリピートしてしまうのもうなずける。とにかくあの湯当たりが忘れられない。もっと長く入っていたかった。
|